ピネン
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ピネン (pinene) は化学式 C10H16 で表される有機化合物で、モノテルペンの1種。名称はマツ (pine) に由来し、その名の通り松脂や松精油の主成分であるほか、多くの針葉樹に含まれ特有の香りのもととなる。香料や医薬品の原料となる。
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[編集] 構造と性質
六員環と四員環からなる炭化水素で、二重結合の位置が異なるα-ピネンとβ-ピネンの2つの構造異性体が存在する。さらにそれぞれが2種の鏡像異性体をもつことから、ピネンには合計4種の異性体が存在する。各異性体ともに分子量 136.24 g/mol。常温常圧では無色の液体で特有の香りをもつ。水に不溶であるが、酢酸・エタノール・アセトンには任意に混和する。
- α-ピネン - CAS No. [80-56-8]
- (1R)-(+)-α-ピネン - [7785-70-8]
- (1S)-(-)-α-ピネン - [7785-26-4]
- β-ピネン - [127-91-3]
- (1R)-(+)-β-ピネン - [19902-08-0]
- (1S)-(-)-β-ピネン - [18172-67-3]
[編集] α-ピネン
融点 -57℃、沸点155-156℃、比重 0.8584-0.8600。α-ピネンの四員環は反応性が高く、特に酸性条件ではワーグナー・メーヤワイン転位が容易に進行する。希硫酸または無水酢酸条件ではテルピネオール誘導体やテルピンが、塩酸条件ではボルネオールまたはリモネンの骨格をもつ塩化物が生成する。ヨウ素や三塩化リンでは芳香化が起こりシメンとなる[1]。
[編集] β-ピネン
融点 -60℃、沸点164℃、比重 0.8740。ローズマリーやパセリ、バジル、イノンド、バラなどに含まれている。
[編集] 生合成
α体、β体ともにゲラニル二リン酸を出発原料とし、リナロイル二リン酸の環化を経て骨格が完成する。最終段階で脱離するプロトンの位置によってα体とβ体に分かれる。 
[編集] 用途
ピネンを適当な触媒を用いて酸化することで、様々な医薬品や香料などが成分が生産される。最も簡単な酸化生成物はベルベノンであり、空気酸化によっても生成するが、酢酸鉛(IV)を触媒として使うこともある [2]。
α-ピネンとボランから得られるイソピノカンフェニルボラン類は、有機合成分野において不斉還元剤として用いられる。
[編集] 参考文献
- 物性値は、市岡ほか 『山地森林の快適性(第1報)-測定方法の検討を中心に-』 三重県保健環境研究所(環境部門)年報第1号(通巻第20号)、2000年[2] によった。
- ^ Richter, G. H. (1945) Textbook of Organic Chemistry, 2nd ed., John Wiley & Sons., New York, PP 663-666.
- ^ Organic Syntheses, Coll. Vol. 9, p.745 (1998); Vol. 72, p.57 (1995). [1]
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