いとこ婚
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[編集] 概要
日本では4親等以上離れていれば直系でない限り血族同士の結婚も認められているため、いとこ婚が可能である。かつて、日本でどのくらいの確率があるかが調べられたが、1931年の東京市で4.0%、1949年の長崎市で5.24%とイングランド(1925年 - 1939年)で0.40%、フランス(1914年 - 1919年)で0.97%、アメリカ・ボルチモア(1925年 - 1950年)で0.05%の欧米に比べれば高いが、韓国・ソウル(1953年 - 1956年)で7.81%、イスラエル全土(1955年 - 1957年)で5.22%と、当時の他の地域と比べても抜群に多いというわけではない(数値は後藤源太郎「近親結婚と母系制」より。古いデータであることにも注意)。
アメリカでは、いとことの結婚は25の州で禁止、また別の6州では特殊事情の下でのみ可能である。例えば、ユタ州は双方の配偶者が年齢65歳以上または55歳以上で性的不能に関する証拠を持つ場合に限られる。残る19の州及びコロンビア特別区は、制限なしでいとこ婚を許可している(2008年現在)。
イスラム文化圏では地域によって異なるが、血縁が濃い事が喜ばれる傾向があるため、いとこ同士の見合い婚が多い。恋愛結婚にしても、女性が顔を隠しているために男性にとって恋愛対象になり得るのが顔を知っている従姉妹に限定されてしまうという事情がある。また、預言者ムハンマドの第7夫人ザイナブがムハンマドの従姉妹である事もいとこ婚が推奨される背景になっている。クルアーンに記述された、婚姻が禁じられた近親者の一覧[1]の中には、いとこは書かれていない。女性が従兄弟に当たる男性からの求婚を断る事ができないという習慣をもった地域も存在する。
他の文化圏の事情については近親婚も参照。
このように、いとこ婚の可否にはまず文化的な差異が大きく影響している。
[編集] 研究
[編集] 遺伝的な障害との関係
いとこ婚に関しては様々な研究が行われているが、現在のところ害があるともないとも断定できないといってよい。これは「いとこ婚自体には害がない可能性が高いが、何世代も繰り返せば害がある可能性がある」ためであると考えられている。
- 肯定的見解
- 2002年4月の「Journal of Genetic Counseling」では、いとこ同士が交配した場合であっても子供の遺伝的な危険性は通常3%程度のところから1.7 - 2.8%しか高まらないと述べた。このリスクは高齢の女性の出産と同程度である。
- 否定的見解
- 英国の研究ではイギリスに住むパキスタン人(55%がいとこと結婚する)の遺伝子障害の発生率が一般住民の13倍もの高率であり、いとこ婚の子供の10人に1人は幼年期に死ぬ或いは重大な障害を起こすということが分かった。イギリスではパキスタン人(人口の4%未満)が遺伝病の子供全体の少なくとも3分の1を占めている。
[編集] 文化人類学におけるいとこ婚
レヴィ=ストロースはいとこ婚を
- 交差いとこ婚:兄妹や姉弟など、異性のきょうだいの子供同士が結婚する
- 平行いとこ婚:兄弟や姉妹など、同性のきょうだいの子供同士が結婚する
の2つに分類し、多くの社会ではこのどちらか片方が奨励され、他方がタブーとされてきたと論じた。いとこ婚に関するこの分類方法は、その後も文化人類学において一般的に使用されている。
[編集] いとこと結婚した著名人
以下に挙がっている人物の中には、いとこの他により近い血縁者とも結婚していた例が含まれるが、ここでは言及しない。
※は父方・母方双方でいとこ同士
[編集] ヨーロッパの王侯貴族
[編集] 兄弟姉妹ともにいとこ婚
- ナポリ王家(アンジュー=シチリア家の同族間)
- ナポリ女王ジョヴァンナ1世 - 2番目の夫ターラント公ルイージ(従兄)
- マリア(ジョヴァンナ1世の妹) - 3番目の夫ターラント公フィリッポ2世(従兄弟、ルイージの弟)
- カスティーリャ王家 - アラゴン王家(共にトラスタマラ家)
- スペイン王家(ハプスブルク家) - ポルトガル王家(アヴィシュ家)
- スペイン王家(ハプスブルク家) - ポルトガル王家(アヴィシュ家):いずれも上記2組の夫婦の子供※
- ロレーヌ公(ヴォーデモン家の同族間)
- ハプスブルク=ロートリンゲン家 - ブルボン=シチリア家※
- 神聖ローマ皇帝フランツ2世 - 2番目の妃マリア・テレジア(従妹、フランチェスコ1世とルイーザ・マリアの姉)
- *3番目の妃マリア・ルドヴィカも従妹
- トスカーナ大公フェルディナンド3世(フランツ2世の弟) - 妃ルイーザ・マリア(従妹、フランチェスコ1世の姉)
- 両シチリア王フランチェスコ1世 - 最初の妃マリーア・クレメンティーナ(従姉、フェルディナンド3世の妹)
- *2番目の妃マリーア・イザベッラも従妹
- 神聖ローマ皇帝フランツ2世 - 2番目の妃マリア・テレジア(従妹、フランチェスコ1世とルイーザ・マリアの姉)
- ブルボン=コンデ家 - ブルボン=コンティ家(共にブルボン家傍系)
- ブルボン公ルイ・アンリ - 最初の妻マリー・アンヌ(従姉、ルイ・アンリ2世の姉)
- コンティ公ルイ・アルマン2世 - 妻ルイーズ・エリザベート(従姉、ルイ・アンリの妹)
[編集] イギリス
- イングランド王ウィリアム3世と女王メアリー2世(従兄妹)
- スコットランド女王メアリー1世 - 2番目の夫ダーンリー卿ヘンリーが従弟
- イギリス王ジョージ1世 - 妃ゾフィア・ドロテアが従妹
- イギリス王ジョージ4世 - 王妃キャロラインが従妹
- イギリス女王ヴィクトリア - 王配アルバートが従弟
[編集] イタリア
- シチリア王マルティーノ1世と女王マリア(従姉弟)
- ナポリ王カルロ3世 - 王妃マルゲリータが従妹
- ナポリ王フェルディナンド1世 - 2番目の王妃ジョヴァンナが従妹
- エトルリア王ルドヴィーコ1世 - 妃マリア・ルイーザが従妹
- イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世 - 最初の妃マリーア・アデライデが従妹
- イタリア王ウンベルト1世 - 王妃マルゲリータが従妹
- サヴォイア公フィリベルト1世 - 妃ビアンカ・マリアが従妹
- ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・スフォルツァ - 妃イザベッラが従妹
- パルマ公ラヌッチョ2世 - 最初の妃イザベッラ、2番目の妃マリア(イザベッラの妹)が従妹。
- トスカーナ大公レオポルド2世 - 妃マリア・アントニアが従妹
- カゼルタ伯アルフォンソ(両シチリア王位請求者) - 妻アントニエッタが従妹
- カストロ公ラニエーリ(両シチリア王位請求者) - 妻マリア・カロリーナが従妹
- トスカーナ大公子カルロ・サルヴァトーレ - 妻マリア・インマコラータが従妹
[編集] オーストリア
- 神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世 - 皇后マリアが従妹
- 神聖ローマ皇帝マティアス - 皇后アンナが従妹
- 神聖ローマ皇帝フェルディナント3世 - 最初の皇后マリア・アンナ、2番目の皇后マリア・レオポルディーネが従妹
- オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世 - 皇后エリーザベトが従妹
- オーストリア大公フェルディナント・カール - 妃アンナが従姉※
- オーストリア大公ライナー・ヨーゼフ - 妻マリア・エリザベッタが従妹
- テシェン公カール・フェルディナント(オーストリア大公) - 妻エリーザベト・フランツィスカが従妹
[編集] スペイン
- レオン王アルフォンソ9世 - 最初の王妃テレサが従妹
- カスティーリャ王アルフォンソ11世 - 王妃マリアが従妹※
- カスティーリャ王エンリケ4世 - 最初の妃ブランカが従姉、2番目の妃フアナが従妹(ブランカとも従姉妹)
- スペイン王カルロス4世 - 王妃マリア・ルイサが従妹
- スペイン女王イサベル2世 - 王配フランシスコが従兄※
- スペイン王アルフォンソ12世 - 最初の王妃マリア・デ・ラス・メルセデスが従妹
- スペイン王フェルナンド7世 - 最初の妃マリア・アントニアが従妹
- スペイン王女エウラリア(イサベル2世の娘) - 夫ガリエラ公アントニオが従弟
[編集] ドイツ
- プロイセン王フリードリヒ1世 - 最初の妃エリーザベト・ヘンリエッテが従妹
- プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世 - 王妃ゾフィー・ドロテアが従姉
- プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世 - 最初の妃エリーザベトが従妹
- プロイセン王子(ドイツ皇子)ハインリヒ - 妻イレーネが従妹
- ハノーファー王エルンスト・アウグスト - 王妃フリーデリケが従妹
- ヘッセン大公エルンスト・ルートヴィヒ - 最初の妃ヴィクトリア・メリタが従妹
- バイエルン選帝侯カール・テオドール - 最初の妃エリーザベト・アウグステが従姉
- バイエルン公カール・テオドール - 最初の妃ゾフィーが従妹
[編集] フランス
- フランス王シャルル4世 - 最後の王妃ジャンヌが従妹
- フランス王ルイ10世 - 最初の王妃マルグリットが従妹
- フランス王ルイ14世 - 王妃マリー・テレーズが従妹※
- コンデ公アンリ1世 - 最初の妻マリーが従妹
- ブルゴーニュ公シャルル - 2番目の妃イザベルが従妹
- オルレアン公シャルル(フランス王ルイ12世の父) - 2番目の妃イザベルが従姉
- オルレアン公フィリップ1世 - 最初の妻アンリエット・アンヌが従妹
- オルレアン公フィリップ2世 - 妻フランソワーズ・マリーが従妹
- ベリー公シャルル(ルイ14世の孫) - 妃マリー・ルイーズ・エリザベートが従妹
- フランス王女マリー・テレーズ(ルイ16世の娘) - 夫アングレーム公ルイ・アントワーヌが従兄
- パリ伯フィリップ(フランス王位請求者) - 妻マリー=イザベルが従妹
- シャルトル公ロベール・ドルレアン(フランス王ルイ・フィリップの孫) - 妻フランソワーズが従妹
- ギーズ公ジャン(フランス王位請求者) - 妻イザベルが従妹
- ナポレオン・ルイ・ボナパルト(ナポレオン3世の兄) - 妻シャルロットが従姉
- ギーズ公アンリ2世 - 最初の妻アンヌが従妹
[編集] ポルトガル
[編集] ベネルクス
- オランダ王ヴィレム1世 - 王妃ヴィルヘルミーネが従妹
- オランダ王ヴィレム3世 - 最初の王妃ソフィアが従妹
- ルクセンブルク大公シャルロット - 夫フェリックスが従兄
- ブラバント公ジャン4世 - 妻ジャクリーヌが従姉
[編集] 中欧
- ポーランド王ヴワディスワフ4世 - 最初の王妃ツェツィーリア・レナータが従妹
[編集] 北欧
- デンマーク王フレゼリク2世 - 王妃ソフィーが従妹
- デンマーク王フレゼリク6世 - 王妃マリー・ソフィー・フレデリケが従姉
- ノルウェー王ホーコン7世 - 王妃モードが従姉
- ノルウェー王オーラヴ5世 - 妃マッタが従妹
- スウェーデン王フレドリク1世 - 最初の妃ルイーゼが従妹
- スウェーデン王カール13世 - 王妃ヘトヴィヒ・エリーザベトが従妹
- ヴァーサ公グスタフ(スウェーデン王太子) - 妻ルイーゼが従妹
[編集] 古代ローマ
[編集] 他の国々の王侯貴族
[編集] 日本
- 聖徳太子 - 正妃菟道貝蛸皇女が従姉妹※
- 弘文天皇 - 皇后十市皇女が従妹
- 長屋王 - 正妃吉備内親王が従妹※
- 藤原仲麻呂 - 正室藤原袁比良が従妹
- 大伴家持 - 正室坂上大嬢が従妹
- 平城天皇 - 贈皇后藤原帯子が従姉妹
- 一条天皇 - 最初の中宮藤原定子が従姉、次の中宮上東門院彰子が従妹
- 高倉天皇 - 中宮建礼門院徳子が従姉
- 前田利家 - 正室芳春院が従妹
- 毛利輝元 - 正室南の方が従妹
- 直江兼続 - 正室お船の方が従姉(異説もある)
- 豊臣秀頼 - 正室千姫が従妹
- 松平忠直 - 正室勝姫が従妹
- 松平容保 - 正室敏姫が従姉妹
[編集] その他
- 漢の武帝 - 最初の皇后陳氏が従姉妹
- 北斉の廃帝 - 皇后李難勝が従妹
- 元の文宗トク・テムル - 皇后ブダシリが従姉妹
- タイ王ラーマ9世 - 王妃シリキットが従妹
- イラク王ガージー - 王妃アーリヤが従姉妹
[編集] その他の人物
[編集] 日本
- 芥川比呂志(俳優)
- 色川武大(小説家)
- 岩瀬弥助(明治期の実業家)
- 菅直人(政治家)
- 岸信介、佐藤栄作(ともに戦後の首相) - 両者は実の兄弟であるが、岸は父方の岸家の従妹・良子と、佐藤は母方の佐藤家の従妹・寛子とそれぞれ入り婿の形で結婚している。
- 佐藤彦五郎(新選組の後援者、多摩の村役人)
- 野中到(気象学者)
- 村上信夫(フランス料理のシェフ)
- 依田勉三(北海道開拓者)
- 若槻禮次郎(戦前の首相)
[編集] 日本以外
- アルベルト・アインシュタイン(ドイツ出身の物理学者)
- H.G.ウェルズ(イギリスの小説家、歴史家)
- カルロ・ガンビーノ(ニューヨーク・マフィアのボス)
- アブドゥラー・ギュル(トルコの政治家)
- エドヴァルド・グリーグ(ノルウェーの作曲家)
- サッダーム・フセイン(イラクの大統領) - 第1夫人サージダ・ハイラッラーが母方の従姉
- アンドレ・ジッド(フランスの小説家)
- グレタ・スカッキ(イギリスの女優)
- イーゴリ・ストラヴィンスキー(ロシア出身の作曲家)
- チャールズ・ダーウィン(イギリスの自然科学者)
- ヴェルナー・フォン・ブラウン(ドイツ出身のロケット技術者)
- ウィリアム・ホィップル(アメリカ独立宣言の署名者)
- エドガー・アラン・ポー(アメリカの小説家、詩人)
- ジョン・A・マクドナルド(カナダの首相) - 最初の妻イザベラ・クラークが従姉
- ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ(イスラーム教の開祖) - 第7夫人ザイナブが従妹
- セルゲイ・ラフマニノフ(ロシア出身の作曲家、ピアニスト)
- デヴィッド・リーン(イギリスの映画監督) - 最初の妻イザベル・リーンが従姉妹
- 陸游(中国南宋の政治家、詩人) - 最初の妻唐婉が母方の従姉妹
- サタジット・レイ(インドの映画監督、小説家)
[編集] その他
関連のことわざに「いとこ同士は鴨の味」(いとこ同士の夫婦の仲はとても睦まじい)がある。
[編集] 脚注
- ^ あなたがたに禁じられている(結婚)はあなたがたの母・女児・姉妹・おば・姪・乳母・乳母の姉妹・妻の母・妻の生んだ養育中の養女―妻との性関係がないうちならよい―・息子の妻である。(クルアーン第四「婦人章」より)
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月23日 (月) 23:51 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【いとこ婚】変更履歴

