いのち (NHK大河ドラマ)

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いのち』は、1986年1月5日12月14日NHKで放送された大河ドラマ第24作である。原作は橋田壽賀子、主演は三田佳子

いのち
ジャンル ドラマ
放送時間 44分59秒
放送期間 1986年1月5日~12月14日(50回)
放送国 日本
制作局 日本放送協会
製作総指揮 渋谷康雄
演出 富沢正幸 他
脚本 橋田壽賀子
出演者 三田佳子
伊武雅刀
丹波哲郎
久我美子
石野真子
渡辺徹
赤木春恵
野際陽子
吉幾三
大坂志郎
役所広司
泉ピン子
宇津井健 他

目次

[編集] 概要

近代路線に転換してから視聴率的に苦戦していた大河ドラマの桿入れのため、『おんな太閤記』『おしん』で人気の実力派・橋田壽賀子を起用した。当初、NHKは司馬遼太郎原作の明治物の脚色を依頼していたが、オリジナルに拘る橋田が難色を示し、自らの戦後史に擬えての同世代史となった。2009年現在、大河ドラマでは最も新しい時代を取り上げた作品である。

大河としてはかなりの異色作で、作風から連続テレビ小説の拡大版と言った方が近い。歴史上の人物が登場しない唯一の大河であり、ナレーションでも歴史人物の名前が出るのは池田勇人(内閣総理大臣)ただ一人、それも一回だけとなっているが、高度経済成長化の農村、集団就職オイルショックなど戦後の主要事件は、ほぼ描かれており、歴史と全く無関係のドラマとは言い切れない部分もある。

主人公が医者になったのは、橋田が元々医者志望だったが数学が苦手だったので、学部志望を変えた事に由来する[要出典]。配役的には映画『Wの悲劇』などで、当時注目されていたベテラン・三田佳子を橋田の希望で主演に迎え、その他の配役も、庶民派大河を意識した地味なキャスティングとなった。制作費の面では出演者も例年にくらべて少なく、過去の局資産も流用できるため、思い切って本建築の高原家セットを組むなど、バランスのとれた予算配分をした。

近現代三部作では唯一高視聴率を記録した(平均視聴率は29.3%、最高視聴率は36.7%)。2006年12月からCS放送ホームドラマチャンネル」で再放送されている。この番組はキューバでも放送され、視聴率80%という驚異的な数字をたたき出す。バラエティ番組「あッと驚く日本人を世界の隅々で探してきましたSPベスト20」で、サチ役を演じた石野真子がキューバを訪れた際、すぐさま国営ニュースで報道される様子が放送された。

なおタイトルが完全に平仮名で表記されているのは本作のみである。

また、オープニング曲は、蝋燭を灯し、青森の山をぼかすような作風になっており、大河ドラマの中でも、芸術的作品と言う者もいる。

[編集] あらすじ


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


1945年8月18日、終戦3日目の弘前へ向かう汽車に、東京の自宅を焼け出され、故郷へ向かう高原未希・佐智姉妹がいた。佐智は空襲で足が不自由になっており、この旅で、弘前へ男を訪ねる妊娠中の村中ハル、学生の中川邦之と知り合う。

故郷へ帰り、母の千恵、使用人の工藤清吉・イネ夫妻と再会したのも束の間であった。男に裏切られ、海に身を投げようとして、海軍予備学生から復員した浜村直彦に助けられたハルが連れて来られ、千恵、イネらの奮闘に関わらず流産する。一時は自殺すら考えたハルだったが、清吉らの説得により「男に頼らず一人で生きる」と実業家への道を志す。間もなく千恵が吐血して倒れ、医師・坂口一成の診察によりを宣告される。シベリアへ抑留された父正道と結婚式を挙げた神社へ未希とハルの助けで参拝して間もなく亡くなり、このことがきっかけで未希は医者を志し女子医専に進学。

しかし、高原家は農地改革の嵐に見舞われ、小作人で幼馴染の岩田剛造の努力も虚しく、父のシベリア抑留を理由に不在地主に認定された高原家は、全ての土地を失ってしまう。

東京で共に農村医療を志す直彦と未希は惹かれあい、医専を卒業した未希は故郷へ帰り、念願の医者となる。シベリアから父・正道が帰って来るが、長い抑留生活のため、余命いくばくもない事がわかり、その後医師となった中川邦之は正道が元気な内に佐智と結婚したいと申し出る。その結婚式の夜、妻・千恵の墓前で、正道は息を引き取った。

その後も開業医としては順調な日々を送る未希だったが、妊娠中の剛造の妻初子の体調不良の訴えを妊娠中毒症と誤診、腎臓病で初子を胎児ともども亡くす結果となり、医者としての自信を失った未希はアメリカシアトルへ留学し、そこで直彦と再会する。留学も終わりに近付いた頃、一旦は直彦のプロポーズを受けた未希だったが、帰国後地域医療を捨て大学に戻る途を選んだ直彦と決裂。帰国後、周囲の反対を押し切って剛造と結婚した未希は、姑のテルと激しい確執を演じるが、剛造と初子の娘・典子の病気を治療した事をきっかけに和解する。

公立の診療所ができて、次第に経営が苦しくなった未希は、東京でダンスホールの経営者として成功していたハルの勧めで、東京郊外の新興住宅地に1年間だけの予定で移り開業、急速に開発が進んだ結果医師不足となっていたため多忙となる。自らが必要とされている地域があることを知り、テルや清吉、佐智らに反対されながらも、剛造の後ろ楯で本格的に移転を決める。しかしその過程で典子との確執を生むのだった。

ハルは、弘前から集団就職で出てきた征子を引き取り、大学まで出し医者にさせるほど愛情を注ぎ、征子は、剛造と初子の息子・竜男と結婚。その新婚旅行の最中、オイルショックが起こり、これに対応して乗り切った竜男は、やがて病院の実務を切り回していくことになる。一方、典子との確執は収まらず、結婚式の日、典子は未希が用意した婚礼衣装に袖を通さず、初子の形見の着物を身につけて式に臨むが、テルが痴呆症にかかり、未希は彼女を引き取り介護する事で和解する。やがてテルは未希に看取られて死去。それから間もなく親友のハルの末期が発覚。ハルは弘前での最期を望み、親しい人たちに囲まれて高原家で息を引き取る。やがて、竜男による医療保険不正請求事件が発覚。竜男を問い詰め叱責する未希に対し、竜男は謝罪するが、病院の経営状況が火の車であり、やむなくしていた事を聞かされた未希は愕然とするのだった。

剛造が長年のリンゴの品種改良の努力が実って、農業賞を受賞。喜びも束の間、剛造もまた病に冒される。意識不明になった剛造の自発呼吸がついに停止し、気管切開をしようとする医師とそれを望んだ家族に対し「もういい。お父さん頑張ったんだから」と未希は延命治療を拒み、安らかに旅立たせるのだった。それにより、典子は、剛造を殺したのはあんただ、それでも医者かと罵倒、激しい憎しみを燃やし、竜男や征子が説得しても剛造が建ててくれた家に未希が入る事を許さなかった。しかし、失意の未希に清吉は剛造が生前農業雑誌に寄稿していた記事(品種改良の結果できた新種のリンゴの名を未希にちなんでつけたことと未希への感謝の念が書かれていた)を見せてくれ、それを読んだ未希は喜びに涙する。その記事は典子も読む事となり、剛造の未希への愛情を知り、典子が未希に土下座して謝罪、和解する。

その後、典子達の農作業を手伝おうとする未希だったが、慣れない農作業では却って足手まといとなり、自責の念にかられた未希は、全てを投げ出そうと家を出、青森県内のとある山奥の温泉宿に逗留する。そこで働いていた女性の難産を助け、自分にも役目があることを思い出し、離島の診療所へ赴く。そして「いのち」を守るため、今日も診療を続けるのであった。

[編集] スタッフ

  • 作:橋田壽賀子
  • 音楽:坂田晃一
  • 語り:奈良岡朋子
  • 演奏:新室内楽協会
  • テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
  • テーマ音楽指揮:小松一彦
  • 監修:小木新造、小舘衷三
  • 医事監修:行天良雄、白石幸治郎
  • 衣装考証:小泉清子、鈴木紀男
  • 方言指導:津島康一、相沢ケイコ
  • 制作:澁谷康生
  • 美術:川口直次、蒔田穣
  • 効果:広瀬洋方、中村真一、米本満
  • 技術:大沼伸吉、田村久男
  • 撮影:入倉道治、遠藤信明
  • 照明:増山実、久保富雄
  • 音声:岩崎延雄、仲野次郎
  • 記録・編集:高室晃三郎
  • 演出:伊豫田静弘、富沢正幸、布施実、金沢宏次、枡田豊、小見山佳典、阿部康彦

[編集] キャスト

[編集] 放送

[編集] 放送日程

放送回 放送日 演出
第1回 1月5日 帰郷 伊豫田静弘
第2回 1月12日 母と娘
第3回 1月19日 母よ! 富沢正幸
第4回 1月26日 旅立ち 布施実
第5回 2月2日 めぐり逢い 伊豫田静弘
第6回 2月9日 落日の家 富沢正幸
第7回 2月16日 いとしき大地 布施実
第8回 2月23日 姉妹 伊豫田静弘
第9回 3月2日 若者たち 富沢正幸
第10回 3月9日 ひとすじの道 金沢宏次
第11回 3月16日 卒業 布施実
第12回 3月23日 故郷へ 伊豫田静弘
第13回 3月30日 希望 金沢宏次
第14回 4月6日 父と娘 富沢正幸
第15回 4月13日 花嫁の父 布施実
第16回 4月20日 嵐の青春 金沢宏次
第17回 4月27日 わかれ道 富沢正幸
第18回 5月4日 友情 布施実
第19回 5月11日 再会 伊豫田静弘
第20回 5月18日 愛の別れ
第21回 5月25日 新たなる旅立ち 枡田豊
第22回 6月1日 ふれあい 富沢正幸
第23回 6月8日 愛あればこそ 布施実
第24回 6月15日 結婚式 伊豫田静弘
第25回 6月22日 嫁の座 富沢正幸
第26回 6月29日 嫁姑 布施実
第27回 7月6日 母を待つ子 小見山佳典
第28回 7月13日 輝けるとき 伊豫田静弘
第29回 7月20日 走れ妹よ! 富沢正幸
第30回 7月27日 津軽の少女たち 布施実
第31回 8月3日 かあさんの味 伊豫田静弘
第32回 8月10日 東京へ 富沢正幸
第33回 8月17日 生きがい 金沢宏次
第34回 8月24日 いとしき妻 布施実
第35回 8月31日 さらば津軽よ 伊豫田静弘
第36回 9月7日 光さす道 富沢正幸
第37回 9月14日 女のしあわせ 阿部康彦
第38回 9月21日 女ふたり 布施実
第39回 9月28日 花嫁衣裳 伊豫田静弘
第40回 10月5日 愛の賛歌 富沢正幸
第41回 10月12日 津軽のおんな 布施実
第42回 10月19日 嫁のつとめ 金沢宏次
第43回 10月26日 望郷 伊豫田静弘
第44回 11月2日 あしたこそ 富沢正幸
第45回 11月9日 新しき家族 布施実
第46回 11月16日 ガン告知 伊豫田静弘
第47回 11月23日 さらば友よ 富沢正幸
第48回 11月30日 帰りなんいざ 布施実
第49回 12月7日 永遠のわかれ 伊豫田静弘
最終回 12月14日 いのちふたたび
平均視聴率 29.3%(視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

[編集] 総集編

放送回 放送日
第1部 12月27日 帰郷
第2部 希望
第3部 12月28日 生きがい
第4部 いのち・ふたたび

[編集] その他

  • この番組の放送を記念して弘前市にあるお菓子メーカー・ラグノオささきが、「いのち」というスポンジケーキを発売した(現在でも発売している)。それを食べ、「これは津軽風"萩の月"だ」と感想を述べる宮城県民もいる。
  • これでもか、これでもかと主人公にふりかかる不運の連続に相当の批判の投書がNHKに寄せられた。但し本作の脚本家である橋田壽賀子のいわゆる「橋田節」に対する支持も同等以上あったことは視聴率が証明している。

[編集] 脚注

  1. ^ 声優清水愛とは同姓同名の別人
NHK 大河ドラマ
前番組 番組名 次番組
いのち

最終更新 2009年10月30日 (金) 18:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【いのち (NHK大河ドラマ)】変更履歴

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