お玉牛

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お玉牛(おたまうし)は上方落語の演目の一つ。

主な演者として、3代目桂春団治桂春雨などがいる。

[編集] あらすじ

堀越村の美女お玉をめぐって、村の若い者が話をしている。

彼女は最近、奉公に行っていた京都から戻ってきたばかり。生来の美しさに磨きがかかり、『後光』が差しそうな魅力を放っていた。

みんなお玉と一緒になりたくて仕方ない。中には、「お玉と仲良くなった」と怪気炎をあげる奴もいたが、詳しく聞いてみると夢の話だった…。

大騒ぎになっていると、そこへこづきの源太が鎌を振り回して歌いながらやってくる。

「よいよ、よいと、こらこら、うれしてたまらん。」

「おい。おい。源太やないか。どないしたんや。そないに浮かれて、あぶないやないかい。鎌振り回しな。」

「あっははは。お前ら、これがうれしてどないなるかい。今晩、わたいはお玉んとこへ忍びに行くんじゃ。」

聞けば、偶々出会ったお玉に迫り、手にした鎌で「断れば、この鎌で胴ん腹にお見舞い申すぞ。うんと言え。うんか。鎌か。うん鎌か。」と強引に口説き落としたという。

あきれるみんなを尻に源太は浮かれて去るが、おさまらないのはお玉である。

さっそく両親に泣きつくと、父親の怒ったの怒らないの。

「何やて。そないなこと抜かしやがったかい。お玉、心配すな。わしがなんとかしたる。」

何を思ったのか、父親は家に飼っている牛をお玉の床に入れてしまった。

「今晩、わしは寄り合いで出かけねばいかんのじゃ。お玉は空いたわしの寝室で寝ろ」

…そんなことも知らぬ源太、踊りながらやってきて、お玉の部屋に夜這いをかけた。

「お玉の寝床は、台所の次の間。ここから忍んで、おおそうじゃ。」

見る奴もいないのに、芝居の二枚目もどきで気取っている。

「玉ちゃん。えらいえらい毛だらけやなあ。また大きなったなあ。ははあん。こら寝肥(ねぶとり)やなあ…」

完璧に牛をお玉と思い込んでしまい、やたらと牛の体を撫ぜ回す。

明かりが消えているので牛とは気がつかず、牛のしっぽをお下げ髪と勘違いし、肛門の糞を鬢付け油を間違えて嗅いでしまう。

ついには、牛の角を簪と思い込み…。

「なるほどなあ。一本笄か。ウニコールのやったら高いと聞いてるで。こら五十両の値打ちやなあ。ほ、ほう。こっちにもあるわ。二本笄か。こら百両なやんて…ホンマに頭はどこやア。」

角を思い切り引っ張ったものだから、牛が怒って「モオ~!!」。

胆をつぶした現太、友人宅に転がり込む。

「なんじゃ。夜中に人の座敷に下駄でころがりこんで来やがって。」

「お、俺や。」

「誰やと思たら、こづきの源太やないかい。今晩、お玉をとこ行くてえらそうに抜かしといて、『うん』て言わしたんかい。」

「いいや。『もう』と言わしてきた」

[編集] 概説

本題「堀越村のお玉牛」が示すように、夜這いの風習を主題とし鄙びた民話の香りがする。本来はお玉が村に来るいきさつを説明した前半部があるが、今日では演じられていない。

源太が鎌を振る下りは歌舞伎舞踊の「かさね」のパロデイであるが、夜這いの件りもだんまり模様で演じられ、歌舞伎と落語の関係の深さが認められる。

戦前は5代目笑福亭松鶴が得意としていた。現代では3代目桂春團治の得意ネタである。春團治は若いころに2代目立花家花橘からこの噺を伝授してもらい、その後練りに練って完成させた。特に夜這いの件りは華麗な舞踊を見るかのような出来で、高く評価されている。

艶笑噺の範疇に入るが、現在は春團治によってかなりすっきりした演出である。かつてはかなりきわどいやり方で演じられていて、夜這いの件で股の間に扇子を立てて「まだ、早いで。」とつぶやくクスグリがあった。(2代目桂小文治談)

最終更新 2009年1月24日 (土) 22:58 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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