アポロ13
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| アポロ13 Apollo 13 |
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|---|---|
| 監督 | ロン・ハワード |
| 製作 | ブライアン・グレイザー |
| 脚本 | ウィリアム・ブロイルスJr. アル・レイナート |
| 出演者 | トム・ハンクス ケヴィン・ベーコン ビル・パクストン ゲイリー・シニーズ エド・ハリス キャスリーン・クインラン |
| 音楽 | ジェームス・ホーナー |
| 撮影 | ディーン・カンディ |
| 編集 | マイク・ヒル ダン・ハンリー |
| 配給 | ユニバーサル映画 |
| 公開 | |
| 上映時間 | 約140分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
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| キネマ旬報 | |
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| IMDb | |
『アポロ13』(アポロサーティーン、Apollo 13)は1995年のアメリカ映画。上映時間約140分。アポロ13号爆発事故の実話に基づく作品である。第68回アカデミー賞において編集賞、音響賞の2部門で受賞した。
実際のアポロ13号の船長であったジム・ラヴェルの著作"Lost Moon"[1]が原作となっている。
アポロ13号を宇宙に打ち上げるサターンVロケットの発射シーンや、各種モジュール切り離しシーンなどは、本物のような映像を当時の最先端CGによって再現しており、試写を観た当時のごく一部の関係者らが本物の記録映像と間違えた程である[2]。(ただし発射されたロケットをその軌跡の近くで上空からのアングルで捉える事はメディア関係者ならば常識的に不可能と判断できることであり、これは一部の技術的な知識の持ち合わせていない関係者に限ったことと考えられる)。CG制作の模様はNHKスペシャル「新・電子立国」や「世界まる見えテレビ特捜部」でも大きく取り上げられた。
無重力状態のシーンは、映画史上初めて航空機を使った実際の無重力状態で撮影されている。この航空機は、もと空中給油機だったKC-135AをNASAが無重力訓練用に改造したもので、通称「嘔吐彗星」。1回のフライトで約25秒間の無重力状態が得られるが、撮影のために600回近く飛行した。当作品では、地上のセット(すなわち通常の重力下で撮影したカット)と巧妙に混ぜ合わせて編集されている。
ラストシーンでトム・ハンクス演じるラヴェル船長が握手するヘリ母艦イオー・ジマの艦長役は、原作者ラヴェル船長本人である。[3]またサターンロケット打ち上げシーンでは、発射観覧席にマリリン夫人本人が座っている。
目次 |
[編集] スタッフ
- 監督:ロン・ハワード
- 製作:ブライアン・グレイザー
- 音楽:ジェームズ・ホーナー
- 撮影:ディーン・カンディ
- 美術:マイケル・コレンブリ
- VFX:デジタル・ドメイン
- VFXスーパーバイザー:ロバート・レガート
[編集] キャスト
- トム・ハンクス(ジム・ラヴェル)<声:江原正士/山寺宏一/江原正士>
- ケヴィン・ベーコン(ジャック・スワイガート)<声:安原義人/山路和弘/安原義人>
- ゲイリー・シニーズ(ケン・マッティングリー)<声:鈴置洋孝/石塚運昇/有本欽隆>
- ビル・パクストン(フレッド・ヘイズ)<声:立木文彦/星野充昭/星野充昭>
- エド・ハリス(ジーン・クランツ)<声:小川真司/津嘉山正種/納谷六朗>
- キャスリーン・クインラン(マリリン・ラヴェル)<声:唐沢潤/土井美加/弘中くみ子>
- ザンダー・バークレー(ヘンリー・ハート)
- クリント・ハワード(サイ・リーベルゴト)
- ロジャー・コーマン
※<>内にフジテレビ制作/日本テレビ制作/DVDの吹き替え声優を記述。日本テレビ金曜ロードショーでの初回放送では、トム・ハンクス=山寺宏一版が本編ノーカット放送。ちなみにフジは通常2時間枠のみ
【日本テレビ 金曜ロードショー版 初回放送 1999年1月15日】 翻訳:たかしまちせこ
【フジテレビ ゴールデンシアター版 初回放送 2003年5月24日】 翻訳:松崎広幸
[編集] あらすじ
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
1969年、アポロ11号により、人類として初めてニール・アームストロング船長が月面に着陸した。その予備チームであったジム・ラヴェル船長(トム・ハンクス)とフレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)、ケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)は、アポロ13号の正チームに選抜された。しかし、打ち上げ直前に、司令船パイロットのケンが風疹感染者と接触していることが判明し、なおかつケンには風疹抗体がなかったため、ケンの搭乗は認められないことになった。予備チームと交替するか、司令船パイロットのみ交替するか。判断はラヴェルに任されたが、彼はパイロットのみを交代させる決断をして予備チームのジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)と交替させることにした。しかしながらこの決断は息の合ったチームワークを乱す原因となる。
1970年4月11日、アポロ13号は現地時間13時13分に打ち上げられた。当初の飛行は順調であったが、アームストロングの月面着陸により、国民の関心は薄れつつあった。テレビ中継は放映されないことになったが。、その事実は飛行士たちをがっかりさせないために彼らには伏せられた。(その一方、事故の後は興味本位にマスコミが飛行士の家族にまで殺到し、彼らを憤らせた。)しかし、月に到着する直前の4月13日、酸素タンク撹拌スイッチ起動により爆発が発生。酸素タンクから急激に酸素が漏れだした。酸素は乗員の生命維持だけでなく電力の生成にも使用するため、重大事態となる。
当初、事態をつかみ切れていなかった乗員や管制官たちは、途中まで月面着陸を諦めていなかったが、やがて地球帰還さえできないかもしれないという重大事態であることを把握した。二酸化炭素濃度の上昇、電力の不足。地上の管制センターでは、管制官達だけでなく、メーカーの人間も含め、関係者全員が招集され、対策が練られた。搭乗しなかったケンは、電力をいかに節約するかをシミュレータを使って検討、地上からラヴェルら乗員をバックアップした。残存電力を保つため、船内は最低限の電力しか使わず、ウインナーが凍るほど寒くなるが、乗員同士支え合う。
しかし、13号がコースを外れていることが判明。原因は、酸素の噴射により軌道のズレが生じたというものであった。誘導コンピュータは電力を使用してしまうため起動できない。このため、手動噴射による姿勢制御を決断。窓の外は船外を漂うゴミと、船内の室温低下とで曇っていてよく見えないが、地球が見えた。これを唯一の目標として、手動による噴射を行い、見事に成功。
ところが、またもやコースについての問題が露見した。月面に着陸しなかったことで、土産として積み込む予定だった月の石100kg分の重量が不足していたためである。不要物を手動で移動させ重心を調整した。管制センターの計算では、大気圏進入角度がわずかに浅かったが、これは乗員に伏せられた。
やがて大気圏再突入となるが、再突入時には通常、通信が約3分間途絶してしまう。ケンは何度もアポロ13号を呼び出すが、3分間経っても返答はない。しかし約4分後、交信が入る。限られた資源と時間を使って奮闘した乗務員と管制センターの連携により、彼らは無事に地球に戻ることができ、管制室は歓喜に沸いてハッピーエンドとなる。
[編集] 様々な異常事態
劇中では様々な不測の事態が発生するが、ここでは順を追って説明していく。
- センターエンジンの故障
- まず最初に起こった不測の事態は、宇宙空間に出てすぐに訪れた。サターンロケットの第2段において、さいの目の「5」状に並んでいる5つのエンジンの内、中央のエンジンが原因不明のまま停止した。しかし他のエンジンに異常が無かったため、地上のヒューストン管制センターは「ミッション継続に支障なし」と判断。正常な他の4基のエンジン噴射時間を少し長くとることで、そのまま航行は継続されることになった。その後問題なく着陸船とのドッキングにも成功。この故障自体はさして深刻な問題ではなかった。
- 酸素タンクの爆発
- アポロ13号が深刻な事態に陥った事故は酸素タンク撹拌の際に起こった爆発であった(原因の詳細はアポロ13号の項を参照)。宇宙船内はパニックに陥り、ヒューストンの管制センターも事態が全くつかめない状態だった。アポロ13号の乗組員は何とか機体の姿勢制御に成功し安定飛行できるようになったので、この状態からヒューストンに状況を説明した。ラヴェル船長は窓からガスの流出を発見、何かの気体が船外に漏れていることを報告したが、それが酸素であることが分かるのに時間はかからなかった。司令船オデッセイ内の酸素メーターの残量レベルが急激に減少していたからだ。事態を飲み込めたヒューストンは、直ちに「月面着陸」のミッションを中止し「乗組員を安全に帰還させる」ミッションへとシフトした。酸素タンクから燃料電池1番・3番へのバルブを閉めることにより、酸素の流出を止めるべく試みたが、流出は止まらなかった。この時点での司令船の生命維持限界は15分。やむを得ず司令・機械船オデッセイの機能を凍結し、月着陸船アクエリアスを救命ボートとして使うことになった。
- 電力の不足
- 着陸船へ避難することにより一時的に生命の危機から脱出したものの、不測の事態は次々と襲い掛かってきた。次の異常事態は「電力不足」である。アポロ13号に搭載されている酸素は、乗組員の呼吸はもちろん燃料電池のエネルギー源にもなっていた。司令船とは独立した電池を持っている着陸船だったが、電力をフルに使っては地球に帰還する前に電力がなくなってしまう状態だった。生命維持限度は45時間で、これでも地球への帰路の半分である。しかし、60A(アンペア)を使い続けている着陸船の電力は残り16時間分しかないため、消費電力を12Aまで落とさなければならない。これを切り抜けるため、ヒューストンとの通信に必要なメインコンピューターの電源のみを残し、船内の電力消費を生命維持に必要な最低限度のレベルまで節約することになった。機器から熱が出なくなり、ヒーターも切ったため、船内はウインナーが凍りつくほどの寒さ(1〜4℃)となった。
- 二酸化炭素濃度の上昇
- 月の引力を利用して周回軌道に乗り、窓から地球が見える場所まで来たところで、また問題が発生した。船内の二酸化炭素濃度が上昇し始めたのだ。着陸船には二酸化炭素を濾過し排出するフィルターが搭載されていたが、本来着陸船は二人乗りのため、三人分までは対応していなかった。しかも着陸船と司令船のフィルター接続部の形状が異なるため、司令船のフィルターを着陸船に接続することは不可能だった。しかし船外排出を行うと、その勢いで機体の軌道および姿勢が崩れる恐れがあるため、それはできない。そこでヒューストン管制センターでは、アポロ飛行船内にある道具だけで、しかも大至急という条件付きで、規格の異なるフィルター同士を接続する道具を作ることになった。しかしこの事態はある程度予測できた事態だったため、ヒューストンの対応は早く、船内の二酸化炭素濃度が致死濃度に至る前にフィルターは完成。二酸化炭素を吸収する水酸化リチウムフィルターへの空気が逃げないように、靴下をバッファ代わりに利用した即席フィルターだった。製造方法をアポロ13号乗組員達に伝えると、乗組員達は凍えるような寒さの中、フィルターの製作に成功。致死濃度15%に達する寸前で二酸化炭素濃度の問題は解決した。
- 降下用エンジンによる軌道修正
- 二酸化炭素の問題が解決した後、今度は大気圏再突入への軌道がずれていることが発覚した。急遽軌道修正をしなければ、再突入角度が浅く大気圏に弾かれてしまう状態だった。着陸船の降下用エンジンを噴射することで軌道修正することが考案されたが、問題はまだあった。再突入角度を計算する誘導コンピューターが電力を消費するため使用できないのだ。そこで飛行士達は窓から見える地球を唯一の目標として手動制御で軌道修正を行うことになった。39秒の噴射により推進剤を全て消費することになったが、オメガ社のスピードマスターを頼りにかろうじて軌道修正に成功。軌道がズレた原因は、酸素の噴出による慣性であった。また、その後にもずれが生じた。これは月に着陸せず、回収予定だった月の石約100kgを持ち帰らなかった事による重量不足が原因だったため、不要品を移動させて重心を変更させることで対処した。
- 司令船の再起動
- 司令船さえ動けば自動的に大気圏に再突入できる状態まで持ってくることができた。しかし、またここで問題が発生する。司令船の電力は底をつきかけている状態だったため、再起動するための電力を確保する必要があった。大気圏再突入時に必要な電力は最低限度まで落としたが、それでも再起動するための電力は、どうしてもあと4A足りなかった。そこで、司令船から着陸船に電力を供給するラインを使い、このラインへ電力を逆流させることにより、一時的にではあるが4Aを確保する方法が発案された。シミュレータでは再起動の電力確保に成功したが、ここでまた一つ問題が発生した。司令船内は外部と内部の温度差により発生した水滴でびっしりと埋め尽くされていたため、電源投入と同時にショートする恐れがあった。幸いショートすることなく再起動は成功した。この際、大気圏再突入角度がわずかに浅くなっていたが、軌道修正は不可能と判断され乗員には伏せられた。乗員は司令船へと移動し、機械船は切り離された。乗員達はこのとき初めて、外壁が丸ごと吹き飛んで内部構造を大きく露出させた状態の無残な機械船の姿をその目で見たのだった。
- 最後の難関
- ついに大気圏再突入まで持ち込んだが、ここで最後の難関が待ち構えていた。燃料タンクが爆発した際に、司令船にも何らかの損傷があった可能性がある。もしも司令船の遮熱パネルが損傷していた場合、大気圏再突入時の空力加熱による灼熱に司令船の外壁が持たないだろうということ。そして、仮に大気圏を突破できたとしても、長時間凍り付いていたパラシュートが開かなくなる可能性もあった[4]。現場海域には台風警報が出ていた。これまで地上と宇宙一丸となって対策してきた超先進科学を持つNASAだったが、最後に取るべき対策はもはや科学の力でも何でもなく、ただ「神に祈る」ことしか出来なかった。通常、大気圏再突入の際3分ほど交信が途絶える。しかし3分を経過しても交信は回復しなかった。4分ほど経過した後、司令船との交信が回復。乗員達はまさに「奇跡の生還」を果たしたのだった。
[編集] 史実との比較
アポロ13号の項にある通り、この事故は、後に「輝かしい失敗(successful failure)」と呼ばれるようになった。"Houston,We've got a problem here."[5]や"Failure is not an option."に代表されるセリフ、主席飛行管制官であるジーン・クランツと各管制官との「まわしキャッチボール」など、劇中では事実を忠実に再現しているシーンが数多く見られる。使われているニュース映像や、さらには初の独身宇宙飛行士であったジャック・スワイガートをネタにアポロ計画をからかうテレビショーは全て本物である。また、宇宙船内の機器パネルや管制センターの作り込みは秀逸で、演技指導のNASA OBがセットから出ようとするとき、本物にあったエレベータ[6]を探そうとして迷ったというエピソードもある[7]。
また、当時最先端のSFXを駆使した発射シーンは、技術が進歩した今日を基準にしても見事な出来映えであり、ラヴェル船長本人やNASAの関係者が「よくこんな映像が残っていたな」と感想をもらしたほどである[2]。
一方、デティールへのこだわりとは裏腹に、次から次へとピンチが襲いかかる緊迫感と、船員達の友情を優先したストーリーラインのために、事実をドラマティックなものとして(ときに極端に)脚色しているだけでなく、創作している部分もいくつか見られる。極端な脚色の例として、二酸化炭素フィルター、着陸船エンジンによる軌道修正などが挙げられるし、創作の例としては船内で撹拌スイッチについて、ヘイズとスワイガートが口論するシーンや、航空医に対する「反逆」シーンがある。またカットされた事実の一例として、史実では度々交信される地上スタッフへのねぎらいと感謝の描写が挙げられる。事実を忠実に描写したものではないという点には注意しなければならない。
なお、ラヴェル船長の夫人がシャワーを浴びている際に指輪を落とすシーンまで誇張であると批判を浴びたようだが、こちらは事実とのことである[8]。
以下では、劇中では削られた問題、あるいは実際とは違った描かれ方をしている部分について述べる。
- 事故発生
- 劇中では激しい爆発音を伴う事故としてドラマティックに表現されているが、酸素タンク破裂時に実際にクルーが感じたのは微弱な振動・きしみだけであった。事故直後の最初の数十分間は、燃料電池の原因不明の出力低下にクルーもヒューストンも頭を悩ますという状況が続いていたに過ぎない。また劇中ではフレッド・ヘイズがジャック・スワイガートに「タンク撹拌のときに目盛りを読まなかった」などと詰め寄るシーンがあるが、後述のようにそのような事実はない(そもそも水素タンク・酸素タンクの目盛りは事故前から不調が続いていたものであり、その対策として撹拌を行った)。
- PC+2噴射
- 劇中ではほとんど描かれていないが、実際のミッションにおける前半最大の山場はこのPC+2噴射であった。それまでのアポロ宇宙船は、自由帰還軌道と呼ばれるコースを辿って月へ向かっていた。この軌道に乗っている場合、万が一エンジンが故障して月軌道に入れなくても、月の裏側を回って自動的に地球に帰還することができる。元々の計画では、13号はフラ・マウロ高地への着陸を目指すため自由帰還軌道を外れており、月面探査を終わって地球に帰還する際に近月点[9]通過後2時間経過した時点でエンジンを噴射し、加速して自由帰還軌道に戻ることになっていた。これがPC+2噴射である。
- 実際のミッションでは、故障した宇宙船を一刻も早く自由帰還軌道に戻すため、事故発生から約5時間半後に着陸船の降下用エンジンを噴射して軌道修正を行っていた。そのため、PC+2噴射は主に帰還までの時間を短縮するために行うことになった。噴射のプランは3通りが検討された。即ち、死んだ機械船を投棄して宇宙船の重量を軽くした上で、燃料が空になるまで降下用エンジンを燃やして最大限に加速する方法、同じく機械船は投棄するが、若干加速を緩くして燃料を節約する方法、機械船を投棄せず、噴射時間も更に短くする方法である。第1のプランは噴射後わずか1日半で帰還できるのが最大の利点であったが、燃料をほとんど使い切ってしまうためにPC+2噴射後軌道修正が必要な事態が生じても対応できなくなる、機械船を投棄することで司令船の耐熱シールドが宇宙空間に長時間曝されダメージを受ける可能性がある、着水海域となる大西洋には収容用の艦船が配置できていない等の問題があった。第2のプランは第1のプランに比べ数時間飛行時間が延びるだけで、収容に十分な艦船を配置できている太平洋への着水が狙える利点があったが、第1のプランと同じく耐熱シールドの問題を抱えていた。ディーク・スレイトンは宇宙飛行士代表として、一刻も早く宇宙船を地球に帰還させるため第1のプラン実行を強く主張したが、議論の末に採用されたのは最も飛行速度が遅くなるが、耐熱シールドと収容の問題をクリアできる第3のプランであった。[10]
- 劇中では月の裏側を抜け出てヒューストンとの交信を再開する際、ヒューストンが「PC+2噴射のデータが出た」と応答するシーンがある。
- 二酸化炭素の問題
- 劇中では、事故後二酸化炭素の問題が深刻になってから慌てて二酸化炭素吸着フィルターの接続方法を検討するシーンがあるが、実際にはこの問題は早い段階から予期されており、事故発生から間もない火曜日の朝には既に試作品は完成している[11]。
- バイタルモニター
- 劇中では乗組員の焦燥感が昂じてバイタルモニター機器を外しているように描写されているが、実際には事故後の早い段階でバッテリー節約のために電力をカットされていた。劇中の航空医に対する当てつけ行為は完全な創作である。そもそも莫大な国家予算を投じているアポロ計画において、風疹を発症する可能性のある宇宙飛行士(しかも、もし発症するのであれば月着陸船が月での任務を終えて司令船と再度ドッキングする頃にピークを迎えると考えられた)を回避するのは当然であり、マッティングリーを外したことについての航空医に対する不信感が存在したとは考えにくい。ジム・ラヴェル著の原作でもこれをはずしたのは船長のラヴェルだけだったと書いてある。
- 着陸船のバッテリー爆発
- 地球に帰還する途中の水曜の午後、3人の救命ボートとなっていた着陸船に搭載されていた4個のバッテリーのうちの1個が突如として爆発した。それまでの徹底した電力節減によってかなりのマージンが確保されていたため、このバッテリー爆発はそれほど大きなダメージには至らなかった。劇中では省略されている。
- 降下用エンジンによる軌道修正
- RETROを初めとするトレンチは、月からの帰路中ずっと、僅かではあるが原因不明の軌道のズレがあることに悩まされ続けた(帰還後のNASAによる検証で、月着陸船を起動していることから生じる水蒸気の放出が原因であったと判明)が、劇中ではある時点から急に問題となっているように描かれている。また着陸船のエンジンによる軌道修正において、劇中では地球を窓に捉えて方向を決めていたが、実際には太陽と地球の影(三日月状に見える地球の先端)を利用してジンバル(宇宙船の方向を示す羅針盤)を調整したものである。この方法は船長のラヴェル自身が、アポロ8号で月から帰還する際に万一に備えて考案したものであった。なお、実際の噴射は39秒間ではなく14秒である。出力は数%程度であり、方向もそれほど重要ではないものであった。劇中ではことさらにドラマティックに描かれているといえる。なお、これ以外にもスラスター(宇宙船の姿勢制御用の噴射装置)を用いた軌道の微調整も何度か行われているが、劇中ではカットされている。
- 司令船の再起動
- 劇中ではケン・マッティングリーがシミュレータに入り、試行錯誤の末、司令船の再起動に不足している4Aの電力を着陸船のバッテリーから転用する方法を考案しているが、史実では地上スタッフ同士でバッテリーの転用に関する会話がもっと早くからやり取りされており、マッティングリーが考案したものではない。なお、利用可能な残存電力をどの機器にどれだけ割り振るかについては、管制各部門の間で激しいやりとりがあったが、この点は全く描かれていない。なお、一連の再起動手順の確認を実際にマッティングリーがシミュレータを用いて行ったのは事実である(もっとも手順の作成者は管制官たちである。なお、マッティングリーの起動テストはたった一度で成功した)。
- 月着陸船の切り離し
- 月着陸船には月面機器用の原子力電池が積まれていたため、切り離し姿勢、つまり地球上のどこで月着陸船が燃え尽きるかはデリケートな問題であった(にもかかわらず、ラヴェルが切り離し時の姿勢設定を間違えるというハプニングもあった)が、劇中では省略されている。
- 再突入
- 再突入の際、通信途絶の後テレビにパラシュートを開く13号が映って交信が回復する場面があるが、実際にメインパラシュートを開いたのは通信回復後である。また、劇中ではマッティングリーがラヴェルと交信しているが、実際にこの時宇宙船と交信していたのはキャップコム[12]のジョー・カーウィンであった[11]。
- 乗組員
- 月着陸から一転、絶望的なピンチが降りかかり、皆落ち込み、不安になり、イライラし、ついには喧嘩にまで発展し、船長のリーダーシップの下、それぞれが使命を自覚し、力を合わせて生還を目指す感動的なヒューマンストーリーだが、実際には、ラヴェル船長によると、喧嘩どころか感情的にもならず、月着陸放棄の際に皆少し落ち込んだだけで、後は与えられた課題を必死にこなしていて(眠ることも含まれる)、喧嘩するどころではなかったという。月を間近に見てはしゃぎ、未練がましくブツブツと言葉を交わす二人をたしなめる場面もあるが、これも曰く「全員ではしゃいでいた」。劇中の描写ではスワイガートが浮きがちだが、「三人が三人とも任務に追われてる。そんな時に、ベッドの取り合いなんてしない」[13]。なお、ヘイズの体調が悪くなったのは、水分摂取を制限したが故の腎炎(尿路感染症)である。
[編集] 日本語版
吹き替え版は、トム・ハンクスの声が山寺宏一のものと江原正士のものでは話の内容や台詞そのものが違っている。金曜ロードショーで一度だけ放映された山寺の吹き替えではエンディングでクルーたちのその後が語られているが、現在主にテレビで放送されている江原正士のものはエンディングでのクルーたちのその後が一切語られないバージョンである。
[編集] 関連項目
- アポロ13号
- ジム・ラヴェル
- フロム・ジ・アース/人類、月に立つ - トム・ハンクスが製作総指揮のアポロ計画をテーマにしたテレビドラマシリーズ
[編集] 脚注
- ^ 邦題『アポロ13』(ジム・ラヴェル、ジェフリー・クルーガー著) 新潮文庫 ISBN 4102463011 1995年6月
- ^ い ろ NHKスペシャル「新・電子立国」第6巻「コンピューター地球網」(相田洋著、日本放送出版協会、1997年)p.87
- ^ ただし本人の退役時の階級は大佐であったため、着ている軍服の階級章も大佐になっている。
- ^ 実際、ソ連はソユーズにおいてパラシュートが開かなくなり搭乗員を死亡させている。
- ^ 音声記録も残っている
- ^ 管制センターは3階にあった。
- ^ LOST MOON(The Making of Appolo13)内にてFIDOであったジェリー・ボスティックがインタビューに答えている。
- ^ 10thアニバーサリースペシャルエディション Disc1の音声解説、および、Disc2の夫人本人へのインタビューによる。
- ^ 軌道上で最も月に近づいた点。
- ^ PC+2噴射を行わない場合に比べても飛行時間は10時間しか短くならなかった。
- ^ い ろ 新潮社「アポロ13号奇跡の生還」 ISBN 978-4-10-528901-0
- ^ 宇宙船と交信を行う地上スタッフ
- ^ 乗組員の項、書籍From the Earth to the Moonより
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最終更新 2009年11月9日 (月) 12:48 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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