アメリカ合衆国シークレットサービス

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シークレットサービス紋章 連邦警察の場合、バッジのコントロールナンバーは裏に打ってある事が多い

アメリカ合衆国シークレットサービス (USSS; United States Secret Service) は、国土安全保障省の一部門であり、アメリカの警察機関の1つである。

アメリカ同時多発テロ事件により2003年に国土安全保障省が設立される前は、財務省の管轄下にあり、その活動の必要上アンダーカバーを擁していたため、「秘密検察局」と称していた。1865年創設。

目次

[編集] 概要

[編集] 任務

大統領専用リムジンのドアを開ける警護任務中の警護官(特別捜査官)
2005年、ブッシュ大統領の就任式パレードにおいて警護任務にあたる警護官(リムジン両脇の2名と写真左端の1名が確認できる。)と大統領の車列。2台のリムジンの後方を走行しているSUVが警護車、さらにその後ろを走行しているのは救急車である。また、さらに後方にはバイク隊が見える。バイク隊は警護車と同様に大統領車列を守り、一般車の通行を規制する。

シークレットサービスの任務として広く知られているものは要人(アメリカ合衆国大統領とその家族、副大統領とその家族、高級官僚、過去の大統領経験者とその配偶者、次期大統領・副大統領、訪米中の各国元首)の警護、及びテロ予備行為の捜査・取り締まりである。

合衆国大統領とその家族が旅行する際には、地元警察及び軍と協力してエアフォースワンマリーンワン等の内部、またリムジンの警護車から警護を行う。

シークレットサービスは、特別捜査官(Special Agent)2,100人、制服部隊(Uniformed Division)1,200人、技術・管理部門の1,700人からなる5,000人以上の職員を抱えている。特別捜査官は要人警護または経済犯の捜査・検挙を行う。1970年議会を通過したPer Public Law 91-217により、制服部隊所属の警護官は以下の警備・警護活動を行う。

  • ホワイトハウスとその付属施設、大統領府
  • 大統領の家族
  • コロンビア特別区の副大統領仮設公邸
  • 副大統領の家族
  • ワシントンD.C.における外交使節団、大都市地域、全米にわたって法令によって国の領土もしくは所有と定められた場所
  • 大統領選挙の年における共和党民主党の大統領候補
例外的に、バラク・オバマには2007年5月から早くも護衛が付けられた。未指名の段階でこのような警護が付くことは異例中の異例であるが、オバマはこの時点で、アフリカ系アメリカ人として初めて大統領候補指名を受ける事が有力視されており、暗殺を警戒してのことである。ちなみに2008年1月からは、態勢が現職大統領と同レベルにまで強化されている(米国では、現代に至るまでKKKに代表される白人至上主義者など中心に、アフリカ系アメリカ人を差別する弊習があり、このような集団による襲撃・暗殺の可能性が懸念されたため。選挙運動中にも2件の暗殺計画が判明し容疑者が逮捕されている)。

シークレットサービス制服部隊の任務は、合衆国議会警察の任務と類似しており、ホワイトハウスの敷地とワシントンD.C.内での外交使節団の警備がその任務である。

なお、大統領と配偶者は希望すれば、生涯シークレットサービスの警護を受ける事が出来る。また、配偶者は離婚した場合、警護対象から正式には外される。

しかしながら、シークレットサービス設立時の本来の任務は、偽造通貨などの取り締まり、様々な不正経理犯罪・個人情報窃盗の捜査、地域犯罪における科学捜査情報の提供である。これらの任務では、政府小切手・トラベラーズチェックのような通貨等価物の偽造、いわゆるナイジェリアの手紙として有名なナイジェリア刑法第419条に抵触するような詐欺、クレジットカード詐欺の調査を行う。

また、連邦コンピュータ犯罪法に対する司法権も有している。シークレットサービスは合衆国全域に15の電子犯罪タスクフォース (ECTF's; Electronic Crimes Task Forces) を設立している。このタスクフォースは、技術的な犯罪を防止するために、シークレットサービス・連邦/地方警察、民間部門、学術部門との協力関係を構築している。

本来の任務に要人警護が加わった経緯は歴史の項で詳述する。

[編集] 同時多発テロにおける救助活動

シークレットサービスニューヨーク事務所は、2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件ニューヨーク世界貿易センタービルのノースタワー (1WTC) とサウスタワー (2WTC) と共に崩壊した7WTCに位置していた。 攻撃の直後、ニューヨーク事務所に駐在していた特別捜査官と他の職員は真っ先に応急処置の対応を行った。ニューヨーク事務所に配置されていた67人の特別捜査官は、トリアージエリアの設置やタワーからの避難の手助けをすることで地元消防・警察救助隊の支援を行った。シークレットサービスの職員、Master Special officerのクレイグ・ミラーがこの救助作業中に命を落としている。

2002年8月20日、長官のブライアン・スタフォードは救助活動に参加したすべての特別捜査官と従業員に対してディレクターズ・バロー賞を授与し、彼らの勇敢さを讃えた。

[編集] 装備

[編集] 服装など

2008年4月17日にワシントンD.C.で開かれた、ローマ法王ベネディクト16世主催のミサで警護に当たるシークレットサービス。左端の警護官の耳元に見えるのが、無線イヤホンのアコースティックチューブである。

[編集] 私服部隊

シークレットサービスの私服部隊は、TPOに応じた服を着用する。これは多くの場合、控えめなビジネススーツ(一般的にダークスーツが多い レジャースーツやカジュアルなジャケットは認められないようである)を意味する。 しかしながら、前述のようにTPOに応じた服を着用することから、彼らの衣服はタキシードからジーンズ、スポーツウェアまで多岐にわたるようである。例えば大統領がパーティーに出席するにはタキシード、大統領が乗馬やジョギング、ゴルフなどのスポーツを楽しむ際にはジーンズやスポーツウェアを着ている警護官を写真や映像などで確認することが出来る。

また、写真や映像などでも多く確認されるように、任務中は無線のアコースティックチューブ(透明シリコンのコイルイヤホン)を着用していることが多いほか、外での警護任務の際などには状況に応じてサングラスを着用する。このサングラスは、公式HPのFAQにもあるとおり、支給品ではなく各自の私物である。

写真や映像などを通じての露出の影響か、フィクションでは、シークレットサービスと言えば「ダークスーツにサングラスと無線のアコースティックチューブを着用、常に厳しい表情またはポーカーフェイス」というように描かれる場合が多く、そういったイメージが一般には根強く残っている。

[編集] 制服部隊

シークレットサービスの部署の一つ、ホワイトハウスを警備する制服部隊

制服部隊については、ホワイトハウス警護官向けに儀礼服が用意されている。この儀礼服に関しては、通常の警察官の制服とほぼ同様のものとなっている。

また、専門的な作業・任務にあたる職員には、専用の衣服が用意されている。調査官のためには専用の作業服が、カウンタースナイパー(ホワイトハウス屋上から狙撃銃双眼鏡を手に24時間外周監視に当たっている)のためには作業服・識別ベストが用意されている。

[編集] 使用する銃器

レーガン大統領暗殺未遂事件発生直後の様子。左側の警護官が持っている銃がウージーである。

シークレットサービスにおいて、私服部隊と制服部隊の警護官が銃器を携帯している。彼らが使用する銃器は多岐にわたる。

拳銃に関してはSIG P229.357SIG弾仕様、サブマシンガンに関してはH&K MP5が基本装備となるが、前述の通りこの二つに限定しているわけではない。

サブマシンガンに関しては、レーガン大統領暗殺未遂事件の際に、警護官がウージーを隠し持っていることが明らかになり、そこから彼らがサブマシンガンを携帯していることが知られるようになった。近年はFN P90を装備している。

[編集] 歴史

[編集] 初期

シークレットサービスは、1865年7月5日にワシントンD.C.で偽造通貨の取り締まりのために「秘密検察局」として組織された。当時のアメリカは南北戦争の戦費調達のために政府が大量に紙幣を発行し、その紙幣が極めて簡単に複製できたため、偽札が大量に流通していたのである。これが、財務省の管轄下に設立された所以である。偽札は組織的に作られる例が多く、組織内部に潜入する捜査官を必要とし、ここから「秘密検察」が命名された。

シークレットサービスの本来の任務は偽造通貨・経済犯罪の取り締まりであり、要人警護は例外的なものであった。このような任務の組み合わせになった理由は、19世紀後半、大統領警護の重要性が明らかになってきたとき、連邦政府の資源的な限界があったためである。当時はまだ連邦捜査局 (FBI)、アメリカ中央情報局 (CIA)、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局‎ (ATF)、麻薬取締局 (DEA)といった組織が存在していなかった。連邦保安官 (USMS) は唯一の論理的な選択肢であり、実際、幾度も大統領の警護を務めていた。しかしながら、この任務はシークレットサービスが担うことになる。

[編集] 中期

1901年、ウィリアム・マッキンリー第25代大統領が暗殺されるとアメリカ合衆国議会はシークレットサービスに対して非公式に大統領の警護を要請した。その1年後、フルタイムの大統領警護が課せられることになった。1902年には、大統領警護中にエージェントであるウィリアム・クレイグが殺害されている。

大統領に対する襲撃を防いで死亡したエージェントは、ホワイトハウス警察隊(White House Police Force, 現・Uniformed Division)に所属していたレスリー・コッフェルト (w:Leslie Coffelt) ただ一人である。ホワイトハウスが改築中のため、ハリー・S・トルーマン第33代大統領は通りを隔てたブレアハウスに滞在していた。

1950年11月1日午後2時過ぎ、プエルトリコの国家主義者グリセリオ・トレソーラとオスカー・コラッツオの2人が大統領を暗殺する目的で近づき、コッフェルトを含むホワイトハウス警護官3名に対して発砲した。コッフェルトはルガーから発射された3発の銃弾を胸部と腹部に受けながらも応戦し、トレソーラの頭を打ち抜いて射殺している。 コラッツオは負傷するものの生き残り、1979年にプエルトリコに戻る前に29年間服役している。

1968年に大統領候補ロバート・ケネディが暗殺され、議会はPublic Law 90-331により大統領候補及び副大統領候補、ノミネートされた候補者の警護を認可した。 また、大統領の未亡人についても亡くなるか再婚するまで、子息についても16歳になるまで警護することを認可した。

当初、Uniformed DivisionはWhite House Police Force(ホワイトハウス警察隊)と呼ばれる別の組織だったが、1971年にシークレットサービスに編入され、1977年にシークレットサービスUniformed Divisionと改称された。

[編集] 近年の動向

議会は1994年に、1997年1月1日以降に大統領に当選した人物が、大統領辞任後10年間にわたって警護を受けるとする法律を可決した。1997年1月1日より前の大統領経験者は生涯にわたって警護を受けることができる(財務省歳出法、1995年: Public Law 103-329)。

1998年、ビル・クリントン第42代大統領は、国家特別警備行事 (NSSE; w:National Special Security Event)を決定する大統領令62に署名した。この指令の中で、特定の行事において連邦捜査局や地元警察と連携しながらシークレットサービスが中心となって安全を確保するという責務が明確にされた。特定の行事には共和党、民主党の全国大会や年初に行われる大統領の一般教書演説などが挙げられる。

2003年3月1日付で、シークレットサービスは国土安全保障省へと移管された。

2006年10月20日に、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領がアルゼンチンに訪問した際に、同大統領の娘バーバラがシークレットサービスに守られレストランで食事をしている中、バッグを盗まれるという被害に遭ったが、シークレットサービスは誰も窃盗被害に気付かなかった。

[編集] 関連項目

[編集] シークレットサービスが主題となったフィクション作品

[編集] 参考文献

  • 『In the President's Secret Service』Ronald Kessler ISBN 978-0307461353
  • 『The Secret Service: The Hidden History of an Engimatic Agency 』Philip H. Melanson Ph.D. ISBN 978-0786716173
  • 『Standing Next to History: An Agent's Life Inside the Secret Service』Joseph Petro, Jeffrey Robinson ISBN 978-0312332228
  • 『The U.S. Secret Service: Protecting Our Leaders』Connie Colwell Miller ISBN 978-1429612753
  • 『Confessions of an Ex-Secret Service Agent』George Rush ISBN 978-1556110542

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月18日 (水) 02:40 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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