酒
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酒、お酒とは、
- 広義には、日本酒、ビール、ウイスキー、ワインなどのアルコールを含む飲料全般を指す。本項ではこれについて述べる。
- 狭義には、特に日本酒(清酒)を指す。欧米では「Sake」が外来語として日本酒を指す言葉になっている。
酒(さけ)は、エタノール(酒精、エチルアルコール)が含まれた飲料である「お酒」という丁寧な呼び方もよく用いられ、「酒類」や「アルコール飲料」とも呼ばれる。また、ソフトドリンクに対してハードドリンクとも呼ばれることもある。なお西洋ではワインに相当する語彙が総称として用いられることがある。
日本の酒税法では、アルコール分を1%以上含む飲料と定義され[1]、酒税の課税対象となっている[2]。そのためアルコールを10%以上含み江戸時代には酒であったみりん(本みりん)は、調味料として使用される場合でも酒税の課税対象となる[3][note 1]。
製造方法や原料等は多種多様だが、原材料から発酵によってエチルアルコールを生成することで共通している。エチルアルコールは人間の不安感・抑うつ感を抑える向精神性物質で、酒の製造および販売は、多くの国において法律(日本では酒税法や未成年者飲酒禁止法)により規制されている。
また、近年では、ジュースなどとの誤認を防止するため、果汁を配合したチューハイやカクテルなどの容器の前面に「お酒」と表記されたり、缶入りビールやチューハイなどの上部に点字で「おさけ」などの表記がされるようになっている。
なお、酒を飲む代金のことは「のみだい」ではなく「飲み代(のみしろ)」という。酒の代金のことは「酒代(さかだい)」という。
目次 |
[編集] 総説
[編集] 酒とアルコール
酒とは、エチルアルコールを含んだ飲料のことである。以下、特に断らない限り、アルコールとはエチルアルコールのことを指す。
日本では、「アルコール度数」を含まれるアルコールの容量パーセントで「度」と表す。正確には、温度15℃のとき、その中に含まれるエチルアルコールの容量をパーセントで表した値に「度」をつけて表す。販売されている酒の多くは、3度(ビール等)~50度前後(蒸留酒類)の範囲であるが、中には90度を超す商品もある。日本の酒税法では、1度未満の飲料は酒に含まれない。なお、日本酒には「日本酒度」という尺度があるが、これは日本酒の比重に基づくもので、アルコール度数とエキス分(酒類中の糖・有機酸・アミノ酸など不揮発性成分の含有量)に依存する。
英語圏では、度数のほか、アルコールプルーフも使われる。USプルーフは度数の2倍、UKプルーフは度数の約1.75倍である。英語圏で degree や ° といえばプルーフのことなので、注意が必要である。
酒に含まれるアルコール分はほとんどの場合、酵母による糖のアルコール発酵によって作られる(テキーラは例外的にザイモモナスと呼ばれる細菌をアルコール発酵に使用している)。果実から作られる酒(ワイン)は、果実中に含まれる糖分から直接アルコール発酵が起こる。しかし、麦・米・芋などの穀物類から造る酒の場合、原材料の中の炭水化物はデンプンの形で存在しているため、先にこれを糖に分解(糖化)する。糖化のためにはアミラーゼ等の酵素が必要である。酵素の供給源として、西洋では主に麦芽が、東洋では主に麹が使われる。
[編集] 酒の分類
酒は大きく分けて醸造酒・蒸留酒・混成酒に分かれる。醸造酒は単発酵酒と複発酵酒に分けられ、複発酵酒は単行複発酵酒と並行複発酵酒に分けられる。
- 醸造酒:原料をそのまま、もしくは原料を糖化させたものを発酵させた酒。
- 単発酵酒:原料中に糖分が含まれており、直接発酵するもの。
- 複発酵酒:穀物などデンプン質のものを原料とし、糖化の過程があるもの。
- 単行複発酵酒:糖化の過程が終わってからアルコール発酵が行われるもの。ビールなど。
- 並行複発酵酒:糖化とアルコール発酵が同時に行われるもの。清酒など。
- 蒸留酒:醸造酒を蒸留し、アルコール分を高めた酒。
- 混成酒:酒(蒸留酒が主に使われる)に他の原料の香り・味をつけ、糖分や色素を加えて造った酒。
蒸留酒のうち、樽熟成を行わないものをホワイトスピリッツ、何年かの樽熟成で着色したものをブラウンスピリッツとする分類法がある。ただし、テキーラ、ラム、アクアヴィットなどではホワイトスピリッツとブラウンスピリッツの両方の製品があり、分類としては本質的なものではない。
[編集] 酒の原料
糖分、もしくは糖分に転化されうるデンプン分があるものは、酒の原料になりうる。脂肪分やタンパク質分が多いもの(たとえば大豆などの豆類)はあまり向かない。
ブドウ、リンゴ、サクランボ、ヤシの実などの果実。米、麦、トウモロコシなどの穀物。ジャガイモ、サツマイモなどの根菜類。その他サトウキビなどが代表的な原料である。また酒造の副産物として得られる酒粕・ブドウの絞りかすなどから、二次的に酒を造り出すこともある。クリなどの堅果類、樹液や乳、蜂蜜を原料とした酒もある。
原料によって酒の種類がある程度決まる。
- 果実原料のもの
- 穀物原料のもの
- 副産物原料のもの
- その他
しかし、ジン・ウオツカ・焼酎・ビール・マッコリなどには、穀物や芋類など異なった原料のものがあり、必ずしも原料によって酒の種類が決まるわけではない。また、原産地によって名称が制限される場合がある。たとえばテキーラは産地が限定されていて、他の地域で作ったものはテキーラと呼ぶことができずメスカルと呼ばれる。
[編集] 健康への影響
アルコール依存症
アルコール依存症とは、長期にわたり多量の飲酒した事から、アルコールに対し精神的依存や身体依存をきたす、精神疾患である。
アルコールを繰り返し摂取し、アルコールに対する依存を形成し、精神的に身体的に続的に障害されている状態をいう。長期間多量に飲酒を続ければ、誰でもアルコール依存症になる可能性があり、WHOの策定した国際疾病分類第10版には"精神および行動の障害"の項に分類されており、個人の性格や意志の問題ではなく、精神疾患と考えられている。
アルコール依存症の症状には精神依存と身体依存とがある。 精神依存としては、飲酒への強烈な欲求をもつようになり、飲酒のコントロールがきかず節酒ができない状態となる。また精神的身体的問題が悪化しているにもかかわらず断酒できない、などが挙げられる。 身体依存としては、アルコールが体から切れてくる事で、指のふるえが起きたり、発汗症状などの禁断症状が現れたり、以前と比べて酔うために必要な酒量が増大する、などが挙げられる。 アルコール依存症になると他の娯楽や生活をなおざりに、飲酒をすることをすべてに優先的な行動となってしまう傾向にある。
がん
WHO(世界保健機関)では、飲酒は口腔ガン・咽頭ガン・喉頭ガン・食道ガン・肝臓ガン・大腸ガンと女性の乳房のガンの原因となる事を発表しており、飲酒は喫煙と同じく深刻な健康被害をもたらすため、多くの人々に問題を知らせ、極めて有害であるアルコールの真実を効果的に伝える必要があるとし注意喚起を行っている。
アルコールそのものには発癌性があり、少量でも飲酒で顔が赤くなるような体質の2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人では、アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが食道癌の原因となり、ガンリスクを増大させると結論づけている。 ALDH2の働きが弱い人は日本人の約40%にみられ、アセトアルデヒドの分解が遅く飲酒で顔面が酷く赤くなったり、二日酔いを起こしやすい体質を作るなどの症状をもたらす。アセトアルデヒドやアルコールには発ガン性があり、口腔・咽頭・食道の発癌リスクが特に高くなります。口腔ガン、咽頭ガン、食道ガンは一人に複数発生する傾向があり、ALDH2の働きが弱い人に多発癌が多くみられます。少量の飲酒で顔が赤くなる症状が飲酒を始めた2年以内にあった人では、約9割の確率でALDH2の働きが弱いタイプと判定される。
2005年の厚生労働省多目的コホート研究では、男性に発生した癌全体の約13%が週300g以上の飲酒による原因と概算されています。口腔・咽頭と食道癌では禁酒によりリスクの低くなることが報告されており、禁煙と禁酒の両者に取り組めばさらにリスクは低下すると報告されている。
大腸癌は飲酒で約1.4倍程度のリスク増となり、日本人では欧米人よりも同じ飲酒量でも大腸癌のリスク増加は若干多い傾向にある。大腸癌は頻度が多いので飲酒量を減らすことによる予防効果は大きいと考えられている。
[編集] 酒の歴史
[編集] 古代
人類が最初に造った酒は蜂蜜酒だという説がある。水で薄めた蜂蜜は、自然酵母の働きで酒になるからである。また、サルが木の洞に果物を集めると、その果汁が発酵して猿酒になるという伝説があるが、これは疑わしい。いずれにしても検証されていない。
また 口噛み酒が起源と言う説も有り 南米 アジア アフリカのごく一部で現在も行われている各種穀物を口に入れ噛み砕いた後 瓶や甕に吐き出し集め発酵を待つという原始的な酒造法が低アルコールながら有史以前に広まっており 古代日本でも巫女がその役を務め 「醸す」の語源となっていると言う説もある
2004年12月、中国で紀元前7000年ごろの賈湖遺跡(かこいせき)から出土した陶器片を分析したところ、米・果実・蜂蜜などで作った醸造酒の成分が検出されたという報告があった。いまのところこれが考古学的には最古の酒である。
オリエント世界では、紀元前5400年頃のイラン北部ザグロス山脈のハッジ・フィルズ・テペ(Hajji Firuz Tepe)遺跡から出土した壺の中に、ワインの残滓が確認された。また紀元前3000年代には、シュメールの粘土板にビールのことが記録されている。シュメールの後を継いだバビロニアで、最古の成文法であるハンムラビ法典の中にビール売りに関する規定が記されている(第108条~第110条)。
エジプトでは紀元前2700年頃までにはワインが飲まれていた。ツタンカーメン王の副葬品の壺からはワインが検出されている。またビールも広く飲まれていた。ピラミッド工事の労働者たちにはビールが支給されていたらしい。オリエント世界ではブドウの育つ場所が限られるので、ワインは高級な飲み物であり、ビールはより庶民的な飲み物だったらしい。
中国において殷・周のころ、酒は国家の重要事である祝祭において重要な意味を持っていた。非常に手の込んだ器である殷代青銅器のうち、多くのものは酒器である。
『論語』には、「郷人で酒を飲む(村の人たちで酒を飲む)」などの記述があり、紀元前5世紀頃には一般的な飲み物になっていたらしい。
ギリシア・ローマは、ブドウの産地ということもあり、ワインが多く生産された。それらはアンフォラと呼ばれる壺に入れられて、地中海世界で広く交易されていたらしい。酒の神ディオニソス(ギリシアではバッカス)が信仰され、酒神を讃える祭りが行われた。
古代バビロニア時代に、香水を作るための蒸留技術があったという説があるが、 蒸留の技術は、3世紀頃のアレクサンドリアの錬金術師たちには既に知られていたと推測される。
ローマ帝国は、イギリスをはじめヨーロッパの各地を支配下に収め、その過程でワイン生産の技術を伝えた。フランスのボルドーやブルゴーニュなどではそのころからワインの製造が始まっている。 なお、イギリスは気候の低温化によりブドウが栽培できなくなりワイン生産は廃れた。
[編集] 中世
10世紀以前には蒸留酒が発明されていた。それは錬金術師が偶然に作り出したものだといわれる。 ラテン語で蒸留酒はアクア・ヴィテ(生命の水)と呼ばれた。それが変化してフランス語でオード・ヴィー、ゲール語でウシュクベーハーになり、今日の様々な蒸留酒の区分ができた。
1171年、ヘンリー2世の軍隊がアイルランドに侵攻した。その時の記録によると、住民は「アスキボー」という蒸留酒を飲んでいたという。これが「ウイスキー」の語源となる。
沖縄(当時は琉球)では、若い女性が口の中で噛み砕いた木の実を唾液とともに吐き出し、それを醗酵させた「口噛み酒」なるものを中国の使節へ供したという記録がある。
[編集] 飲酒と人体
詳細は「エタノールと人体」を参照
摂取した酒に含まれるアルコール(エタノール)は、主に胃と小腸粘膜で吸収される。
吸収されたアルコールは迅速に酸化されアセトアルデヒドとなる。しかし、一度に大量のアルコールを摂取すると代謝が間に合わず、血中アルコール濃度が上昇を始める。血中のアルコールは中枢神経系を麻痺させ、酩酊や急性アルコール中毒を引き起こす。
アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドも高い毒性を持つ。飲酒後の頭痛・不快感などの原因はアセトアルデヒドである。またアセトアルデヒドには発がん性が有り、飲酒によって膵臓がん、口腔がん、食道がん、咽頭がん、大腸がんなどの発症が高くなる。アセトアルデヒドはゆっくりと酸化され無害な酢酸となる。
恒常的に飲酒を繰り返すと、アルコール依存症となり、肉体(主に肝臓・神経系)、精神双方に多くの疾患が発生する。
精神、心理状態を変化させることなどもあって、飲酒は様々な文化と関わってきた。元来は酒のもたらす精神変容は宗教体験や呪術と結び付けられ、非日常の宗教儀式用に摂取されるものとされていたと考えられる。今日でも様々な文化において様々な伝統宗教や祭祀習慣に酒類が欠かせないものとなっているし、飲酒にまつわる儀礼にはそうした宗教・祭祀慣習とのかかわりが深い。
その一方で、原材料となる穀物や果実の生産力の増大に伴い、酒類は儀式・儀礼以外のときにも飲用される一種の日常化が起きた。アルコールによる精神変容も日常生活で体験されるようになり、酔っ払いの奇行は、喜劇などにおいても良く用いられるモチーフとなった。
「ヤケ酒」(自暴自棄な気持ちで飲酒すること)、「飲み会」(飲酒を中心とする会合)、など飲酒にまつわる習慣を表す語彙も多くあり、また、映画、テレビ番組などフィクションにも飲酒の様々な場面が登場する。また、睡眠を促すための飲酒は「ナイトキャップ」と言う。ただし、アルコールの特性上、作用時間の消失後は、かえって覚醒を促すため逆効果となる。
もちろん酒類が日常化し、晩酌(夕食時に(しばしば日常的に)飲酒すること)する人や酒飲み(日常的に飲酒をする人)が存在する今日においても、酒類の儀礼性、宗教性は濃密に残っており、「おとそ」のように特定の祝い事と結びついた酒があり、また非日常的飲酒を行うためのバー、パブ、居酒屋、スナックのような飲食店も存在している。
日本では宴会や各種行事などで、なかば強制的に飲酒させる慣習が見られたが、最近は急性アルコール中毒や飲酒運転による死亡事故報道の増加や、アルコール代謝酵素の欠落症の存在が広く知られる様になった事で、酒席でのノンアルコールも認められる様になりつつある。
[編集] 飲酒と社会
[編集] 飲酒で増加する自殺リスク
飲酒量が増すにつれて自殺のリスクが直線的に高い結果が示された。多変量解析の結果、多量飲酒者の自殺リスクは、非現在飲酒者(非飲酒者+過去飲酒者)と比べ3.3倍高くなり、さらに、1日1合未満の少量飲酒者においても自殺リスクが1.7倍と高いリスクが示された。[4]
[編集] 飲酒運転による死亡事故
飲酒運転による死亡事故は、平成14年施行の改正道路交通法により罰則等が強化されたことで減少してきました。 しかし、18年以降の取締りの強化及び飲酒運転根絶に対する社会的機運の高まり、更には飲酒運転の厳罰化等により、大きく減少し、10年前の約3分の1となっている。 しかし交通事故全般において、死亡事故数は事故から1日以内をカウントしているため、医療の発達による死亡者数減少や一時延命者数によっての縮小という面がある事も指摘されている。
[編集] 飲酒と貧困
飲酒と貧困 には、世界の貧困問題と不可分である。世界的に、学歴が低く、低所得、失業中などの人において飲酒率が高いことが多数の統計的研究によって裏付けられている。複数の研究では、貧しい国の中には家計の約18%が飲酒に費やされていることもあると指摘されている。そのため、少ない所得から食費・健康管理費・教育費などがさらに削られ、栄養不良・医療費増大・早死・識字率低下をもたらし、社会階層の固定化に寄与している(WHOによる)。
[編集] 日本での飲酒者の傾向
日本人男性では,年齢が高いほうが飲酒未経験者・禁酒者の割合が高く,若年層では飲酒量が多い傾向がみられた。結婚している人よりしていない人,および身体活動度が高い人より低い人で,飲酒未経験者・禁酒者・多量飲酒者が多かった。 女性では,高齢層より若年層,教育年数の短い人より長い人,身体活動度の高い人より低い人で飲酒者の割合が高いという結果となった。その他、非飲酒者の収縮期血圧,拡張期血圧,総コレステロール,LDL-Cは飲酒者よりも高い結果がみられた。 [5]
[編集] 飲酒と社会的損出
韓国政府は、飲酒による社会経済的な損失の費用が年間20兆ウォン(約2兆6000億円)を超えるという韓国内政府統計を示した。これを切っ掛けにテレビコマーシャルなどを用いた「節酒キャンペーン」が行われた。医療費の支出や早期死亡、生産性の減少など、社会経済的に損失を与えた費用が20兆990億ウォンに及ぶなど、飲酒の弊害が深刻な水準にあると明らかにした。同部はその根拠として、18‐64歳のアルコール使用障害人口(アルコール乱用人口とアルコール依存症人口を合わせた数)が全人口の6.8%(221万人)に及ぶという2001年保健福祉部精神疾患実態疫学調査の結果を挙げた。仁済大学の金光起(キム・クァンギ)教授チームの調査の結果、過度な飲酒による疾患で死亡した人は2001年2万2000人(死亡者全体の8.7%)だった。また、2001年の殺人・暴力・強盗・強姦(ごうかん)などの凶悪犯罪や交通事故の加害者など、現行犯の43.5%が犯行時に飲酒状態であったことが分かった。 日本では政府による大規模統計は示されていないが、韓国人では1人あたり年間71.1リットル、日本人は1人あたり年間83.5リットルとという飲酒量から同様の問題が懸念されている。
[編集] 利用法
[編集] 料理
様々な料理に風味付け、臭み消し等の用途で広範に利用されている。
[編集] 宗教
多くの宗教では、酒を特別なものとして扱っている。
- 神道では、お神酒(おみき)は神への捧げものであると同時に、身を清め神との一体感を高めるための飲み物とされる。
- カトリックなど大多数のキリスト教会派ではミサや礼拝の際に執り行われる聖餐式で、赤ワイン(葡萄酒、特に混ぜ物のされていない純粋なもの)がイエスの血の象徴とされる。ただし、プロテスタントの宗派の多くはアルコール分を含まないブドウジュースを用いる。
- ユダヤ教では、安息日や祝祭日を聖化して迎えるために、夕食前にワインを専用の杯に注いでキッドゥーシュという祈りの言葉を唱える(ブドウジュースで代用する場合もある)。
- 仏教やキリスト教プロテスタントでは、飲酒は避けるべき悪徳であるとされる。ただし、明確に禁止されてもいないため、黙認されている。プロテスタントの中でも宗派により容認度は異なり、保守的な宗派ほど厳しい。セブンスデー・アドベンチスト教会は禁酒を勧めている。
- モルモン教は飲酒を禁じている。
- 日本の仏教各宗派でも表向きは飲酒を禁じていたが、酒は穀物を利用して作られるので仏教の殺生戒にはあたらず、般若湯と称する事で僧侶の飲酒を黙認していた宗派が多く、浄土真宗においては無戒であるため最初から許可されている。
- ヒンドゥー教では飲酒は避けるべき悪徳であるとされ、中でもヴィシュヌ神の敬虔な信者の多くは飲酒をしない。
- イスラム教では、飲酒の効用は認めつつも酒癖や健康上などの弊害が多いことを理由に飲酒を避けることを強く推奨していることに加え、酒に酔って神にお祈りすることを禁じているため一日に5回もの頻繁なお祈りが義務付けられたムスリムには酔っている時間がなく、飲酒はできないことになっている。しかし実際には多くのムスリムが適度な飲酒なら問題ないと考え、飲酒を楽しんでおり、事実上黙認されている。イスラム世界でもキリスト教徒やユダヤ教徒による醸造は許されたことが多く、飲酒文化が保持された。古来より飲酒をするムスリムは非常に多く、ルバイヤートなどでは飲酒の快楽が述べられている。現代でも比較的世俗的なトルコ、エジプトなどでは飲酒が盛んである。詳しくはイスラム教における飲酒を参照されたい。
- ラスタファリズムは飲酒を禁じている。
- カンドンブレでは、神への供物とされる。エシュにはカシャッサ、イェマンジャには白ワインなど、神によって酒類の好みがある。
[編集] 主な酒
[編集] 法律
酒には古来より、公序良俗を守るため或いは租税を公課するためにアルコールに対して、さまざまな法律が制定されてきた。
飲酒が全面的に禁止されることは少ないが、一部の厳格なイスラム教国は例外である。またアメリカには、飲料用アルコールの製造・販売等を禁止するアメリカ合衆国憲法の改正(俗に言う「禁酒法」)が行われていた時期があり、現在でも一部の郡では酒類の販売が禁じられている。日曜日に酒類の販売を制限している自治体も多い。また、インディアン居留地ではアルコール依存症を防止するために飲酒を禁じているところがある。また、欧米などでは、屋外や公園などの公共の場所での飲酒を禁止しているところが多く、日本の花見のような光景は見られないことが多い。
ほとんどの国では、年少者の飲酒または酒の購入を禁じている。法律で飲酒が認められる年齢を最低飲酒年齢 (minimum drinking age、MDA)、購入が認められる年齢を最低購入年齢 (minimum purchasing age、MPA) という。世界的には、16歳~18歳を最低飲酒年齢または最低購入年齢(またはその両方)とする国が多い。
ほとんどの国では、飲酒運転を禁じている。飲酒運転とみなされる血中アルコール濃度は国によって違い、下限は0.0%(少しでも検出されれば不可)~0.08%の範囲である。
多くの国では、酒類の生産や販売について免許が必要である。それらを国営企業や公営企業が独占している国もある。
主要国や特徴ある国の法規の概要は以下のとおり。
- 日本
-
詳細は「酒に関する日本の法律」を参照
- 未成年者飲酒禁止法により、20歳未満の飲酒と、20歳未満への販売・提供(購入ではない)が禁止されている。また海上自衛隊では艦内での飲酒は禁止されている。
- アメリカ
- かつては州により最低飲酒年齢は18歳~21歳とばらばらだったが、1984年、国家最低飲酒年齢法 (National Minimum Drinking Age Act) により21歳未満の飲酒を認める州には連邦政府予算を支出しないこととなり、最低飲酒年齢は21歳に統一された。ただし、一部の州は、宗教的理由などでの21歳未満の飲酒が認められている。
- ドイツ
- 最低購入年齢は16歳(ビール・ワインなど)~18歳(蒸留酒など)。飲酒の可否は、保護者に一任される。
- イギリス
- 最低購入年齢は18歳。最低飲酒年齢は、家庭では5歳。16歳で、ビールとリンゴ酒をバーやレストランで飲むことが認められ、18歳で全面的に飲酒が認められる。スポーツ施設での飲酒は禁止されている。
- フランス
- 最低購入年齢は16歳。最低飲酒年齢は、アルコール度数の低い一部の酒類については16歳、残りの酒類は18歳。
- 韓国
- 最低飲酒年齢は19歳。
- サウジアラビア
- 飲酒・所持・国内持込は全面禁止。
- クウェート
- 飲酒は全面禁止。
- アラブ首長国連邦
- 内務省の許可の下、非イスラム教徒の外国人のみが、飲酒を認められる。
[編集] 航空機への持ち込み制限
アルコールそのものは可燃性液体であるため、航空保安上、度数の高い酒類の持ち込みが規制される。以下は日本においての規制内容である。
- 70%超 危険品となり、機内持ち込みも受託もできない。
- 24%超70%以下 機内持ち込み分・受託分の合計が1人当たり5Lまで。
- 24%以下 制限なし。
[編集] 「酒」を含む慣用句など
- 金谷の酒数
- 紅灯緑酒
- 高陽の酒徒(出典:『史記』)
- 酒が沈むと言葉が浮かぶ/酒口に入る者は舌出づ
- 酒買って尻切らる/酒買うて臂切らるる/酒持って尻切らる(出典:『放屁論』)
- 酒極まって乱となる
- 酒沈めば話浮く/酒の終わりは色話
- 酒と朝寝は貧乏の近道
- 酒と産に懲りた者がない
- 酒と煙草はのんで通る(出典:『譬喩尽』)
- 酒なくて何の己が桜かな
- 酒に呑まれる
- 酒に別腸あり(出典:『五代史』)
- 酒の中に真あり/酒は本心をあらわす(出典:『格言集』)
- 酒飲み、本性違わず/酒の酔い本性違わず
- 酒は憂いの玉箒/酒は憂いを払う玉箒(出典:『蘇軾』)
- 酒は燗、肴は刺身、酌は髱
- 酒は気つけ薬
- 酒は古酒、女は年増
- 酒は三献に限る(出典:『醒酔笑』)
- 酒は諸悪の基
- 酒は天の美禄(出典:『漢書』)
- 酒は飲むとも飲まれるな
- 酒は飲むべし飲むべからず
- 酒は百毒の長(出典:『徒然草』)
- 酒は百薬の長 されど万病の元(出典:『漢書』)
- 酒はやめても酔いざめの水はやめられぬ
- 酒飯雪隠(出典:『譬喩尽』)
- 酒を悪みて酒を強う(出典:『孟子』)
- 酒池肉林(出典:『史記』)
- 酒嚢飯袋
- 粗酒粗餐/粗酒粗肴
- 飲まぬ酒には酔わぬ
- 人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む/酒が酒を飲む(出典:『鎌田兵衛名所盃』)
- 林間に酒を煖めて紅葉を焼く
- 醴酒設けず(出典:『漢書』)
- 魯酒薄くして邯鄲囲まる(出典:『荘子』)
- 酒肴料(しゅこうりょう)
- 日本の企業において、年末年始手当などのことを、「酒肴料」と称することがある。
[編集] 関連項目
[編集] 二日酔い、病気関連
[編集] 飲酒運転
[編集] 飲酒文化一般
- バックス (ローマ神話)(酒の神)
- ディオニューソス(酒の神)
- マイナス (ギリシア神話)
- オオヤマツミ(酒造の神という一面がある)
- アルコールハラスメント(アルハラ)
- カクテル
- 肴
- 低アルコール飲料
- ノンアルコール飲料
- 酒合戦
- 戦艦三笠(沈没した原因に、度の強い酒に引火したという説が一部で唱えられている)
- 嫌酒権
- 寝酒
[編集] 税関係
[編集] 脚注
[編集] 注釈
- ^ 酒税法では「混成酒類」に分類される。
[編集] 出典
- ^ 酒税法 第一章 第二条
- ^ 酒税法 第一章 第六条
- ^ 酒税法 第一章 第三条
- ^ [http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/outline/cohoto/0711alcohol.html 東北大学大学院 医学系研究科(飲酒と自殺リスクとの関連)]
- ^ 循環器疫学epi-c.jp JMSコホート研究


