アンコウ

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アンコウ
アングラー

ニシアンコウ(アングラー)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 魚上綱 Pisciformes
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
: アンコウ目 Lophiiformes
: アンコウ科 Lophiidae
:
  • アンコウ Lophiomus setigerus
  • キアンコウ Lophius litulon (など)
英名
Monkfish

アンコウ(鮟鱇、英名 Monkfish, Goosefish、Anglerfish)は、アンコウ目 アンコウ科に属するの総称。また、そのうち、主に食用にするアンコウ類のことを指す。

アンコウ科には 25 種ほどが含まれ、すべてが海水魚で、主に深海魚である。北極海、太平洋、インド洋、大西洋、地中海に生息する。頭部が著しく大きく、幅が広い。

肉食性で、口が大きく、歯が発達している。海底に潜んで他の魚を襲うのに適するため、口はやや上を向いている。口の上には棒状の突起がついており、これを動かして獲物をおびき寄せる。魚の他にも、たまに水面に出て海鳥を襲うこともあり、食べるために解体したら胃の中にカモメウミガラスペンギンなどが入っていたという報告もある。[要出典]

フランス語ではボードルア (baudroie)。

目次

[編集] アンコウの生態

食用とされるキアンコウと、チョウチンアンコウとは異なる。頭には2本のアンテナ状の突起があり、長い方には皮がついている。アンコウは泳ぎが下手なため、泳ぎの上手な魚を追い回しても逃げられてしまう。そこで、海底の砂に潜り、その突起の皮を水面で揺らし、これをエサだと思って寄ってきた魚を、丸呑みにして捕食する。突起の皮は擬餌針のような働きをする。

アンコウは主に小魚やプランクトンを捕食するが、種によっては小さなサメスルメイカカレイウニ、上述の海鳥などを捕食するものもある。

大きさもさまざまだが、基本的にオスは小さくメスの方が大きい。体長は大きなもので2m近く、重さも60kg近い種(ニシアンコウ)もある。

「アンコウのオスはメスに寄生する」という話があるが、その習性を持つ種はチョウチンアンコウ亜目の一部であり、キアンコウなどアンコウ科に属する種ではそのような習性は見られない[1]

[編集] 捕獲量

茨城県内各地の底曳網漁船によって漁獲されている。特に北茨城市平潟日立市の久慈浜漁港は底曳網漁業が盛んなため、水揚げが多い。底曳網は、多種の魚が混在して捕獲され、アンコウはその中の一種類に過ぎない。アンコウの漁獲量は、昭和30年代には749トンという記録が残っているが、2000年代の水揚げは数十トン程度である。アンコウの漁獲量は、比較的短い周期で局地的な増減があり、2000年代の茨城県内の水揚げは増加傾向にある。また、2000年代には日本各地で捕獲されるようになり、実際は下関での捕獲量が日本一とされる。

[編集] アンコウの旬

日本では、アンコウ漁は産卵を終えた7月から8月が禁漁となっている。基本的に春先は産卵の時期になると肝が小さくなり、商品価値も薄れる。肝が肥大化する11月から2月が一番美味しい時期とされる。

[編集] 食用にするアンコウ

日本では、キアンコウ(ホンアンコウ)とアンコウ(クツアンコウ)が主な食用の種である。この種は別の属に分類されているが、外見は良く似ている。体は暗褐色から黒色で、やわらかく平たい。頭が大きい。砂泥状の海底に生息し、手足のように変形したヒレで海底を移動する。

キアンコウ(ホンアンコウ) Lophius litulon
尾びれの根元までの体長 1.5 m。太平洋北西部(日本、朝鮮半島、東シナ海)の水深 500 m 程までの深海に生息。
アンコウ(クツアンコウ) Lophiomus setigerus
全長 40 cm。インド洋、太平洋の全域の水深 500 m 程までの深海に生息。

ヨーロッパで主に食べられるアンコウはアングラー、北アメリカで食べられるアンコウは、アメリカンアングラーと呼ばれ、いずれもキアンコウと同じキアンコウ属 ( Lophius ) に含まれる種である。

アングラー(ニシアンコウ) Lophius piscatorius
体長 2 m、体重 60 kg 近くになる。大西洋東岸(バレンツ海西南部からジブラルタル海峡まで)、地中海、黒海の水深 1000 m までの深海に分布。
アメリカンアングラー(アメリカアンコウ) Lophius americanus
全長 1.2 m、体重 20 kg。大西洋西岸(カナダ、ケベック州から米国フロリダ州まで)の水深 100 m までの海底に分布。

[編集] 食材

肝とともに市場で売られるニシアンコウ
あんこう鍋の具材

体全体が柔軟性に富み、粘りがあるため、普通の魚と異なり「吊るし切り」(後述)という独特の方法で捌かれる。吊るし切りは、下あごにフック(鉤)をかけて体をつるし、アンコウの口から水を流し込んで胃を膨らませ、柔らかい胴体に張りがでたところを解体する方法である(但しそうしないと捌けないということはない)。

柳肉(身肉、頬肉)の他に、、水袋()、キモ(肝臓)、ヌノ(卵巣)、えら、トモ(ヒレ)が食用にされ、一般に「七つ道具」と呼ばれ、鍋の中に入っている。

一般には七つ道具と野菜味噌または醤油味で調味しあんこう鍋として供される。特に肝臓はアンキモと呼ばれ、ポン酢もみじおろしで食べるが、美味として珍重され、見た目と食感から「海のフォアグラ」とも云われている。肉よりもその他の部位(七つ道具)の方が旨いとされる変わった魚でもある。

またオスは食用になるほど大きく成長しないため、食用になるのはメスである。まれにメスの胃袋の中からオスのアンコウが出てくることもある。これは産卵の時期、オスはメスに食べられるからである。カマキリと同じような習性を持っていると知られている。

あんこう鍋は茨城県の平潟や常磐路のあんこうとして「大洗町」が有名である。

[編集] 吊るし切り

表面がヌルヌルして図体の大きいアンコウはまな板の上では捌きづらい。そのため、アンコウを吊るして体内に水を入れ回転させながら捌く「吊るし切り」が伝統の解体法とされている。

茨城県水産紙や本朝食鑑にも「高所に吊るして置いて庖丁を入れる」、釣切として「縄を魚の下唇に貫いて横梁に懸け…」と紹介されている。

2000年代に入ってからは大洗周辺の食事処、北茨城はもちろん、新潟千葉など各地で吊るし切りを紹介する施設が存在する。 また、大洗海岸にある大洗ホテル、北茨城の五浦観光ホテルでは11月1日から3月31日まで毎日、解体ショーとして宿泊者が見学できるイベントが行なわれている。

[編集] 七つ道具

トモ(ヒレ)
あんこうの両腕にあたる部分。ここの付け根が食感が良く美味しい。
カワ(皮)
コラーゲンたっぷりで味もあり、代表される部位。とも酢が代表的な一品料理。
えら
普通の魚においてはエラは食べないが、アンコウでは鍋に入っている。
キモ(肝)
別名アンキモ。アンコウを美味しくしてくれる代表的な部位であり、「海のフォアグラ」とも呼ばれている。
水袋(胃袋)
胃袋には特徴があり、入り口に歯のようなものが上に2か所、下に2か所ある。この歯のようなもので噛み砕くわけではないが、丸呑みにした魚が逃げられないように「返し」になっている。
ヌノ(卵巣)
平板状のためにそう呼ばれる。
台身
アンコウの身の部分。白身で淡白。

他にもホホ肉(柳肉)やトモ(尾の部分)、背骨の周りも出汁になり、基本的にあんこうは顔(歯や目)そして骨以外のすべての部位が食べられるとされる。柳肉やトモを七つ道具と呼ぶ地域もある。ただし、ホホ肉・トモは部位といえども台身と同じ肉の部分であり、本場ではエラを入れて七つ道具と呼ばれている。

[編集] アンコウの栄養素

基本的に水分(全体の約80%)。白身の部分は脂質が少なくヘルシーである。アンコウの身にはビタミンB12B1ナイアシン等のビタミンBが含まれ、皮膚粘膜の健康維持、そして貧血予防に良いとされている。

対してあん肝は脂質が多く高カロリーで、ビタミンA(レチノール)やビタミンB12、ビタミンDが豊富に含まれている。肌の健康を維持したり、老化防止、視覚暗順応に良いとされている。

[編集] あん肝

高価な食材である。濃厚でチーズ(またはのハラミ)のような甘みとクセを持つ。あんこう鍋が美味しいのはあん肝を入れているためである。

[編集] アンコウ料理の種類

通常のあんこう鍋
一般的に提供しやすく、アンコウの具材(七つ道具)、野菜、割り下を入れておきあとは煮立てるだけの簡単な鍋。味噌味や醤油味があり、あっさりした味付けが多く初心者には食べやすい鍋。いわゆる「あんこう鍋ブーム」にあわせて作った鍋。
どぶ汁風の鍋
鍋に火を入れ、肝を炒ってからアンコウの具材料、野菜、割り下を入れて作る鍋。あん肝を多く使用し、また炒ることで少し濃厚でより深い味わいになる。北茨城市の旅館などで提供されるあんこう鍋であり、通常のあんこう鍋よりも旨みが増す。
どぶ汁
水(割り下)を使用せずに作る鍋。鍋に火をいれ、肝を炒る。肝が溶け出した頃にアンコウの具材、野菜(大根や人参、白菜など水分の多い野菜)を入れる。その後野菜とアンコウの部位から出た汁に味噌を入れて味付けすることで完成する。とにかく濃厚で初心者には食べにくいが、本物志向を求める者には最高の鍋である。これを求める者は多いが、どぶ汁を提供する店は少数である。
あん肝
として家庭で食べる機会が多い。蒸した肝に大根おろしを載せ、ポン酢で食べるのが通とされる。
友酢(供酢)
あん肝や皮、台身などを肝と酢味噌を合わせたタレに付けて食べる。水戸の発祥と言われており、アンコウの一品料理における代表料理である。
アンコウの刺身
通常は刺身で用意することはない。ただ、骨の周りの肉など、新鮮な状態であれば刺身で食べられるとされる。あん肝を寿司にする場合、十分に血抜きをしなければならないため、基本的には湯引きしたあん肝になり完全な生では提供されない。ポン酢につけて食べるのが通とされる。
アンコウの唐揚げ
皮や台身を唐揚げにして食べる。レモンをかけて食べるのが通とされる。

このほかにも、胃袋を揚げたり、肝を使った豆腐など多種の料理がある。

[編集] 出典

  1. ^ 『深海生物ファイル』北村雄一著 2005年 ネコ・パブリッシング発行 p.184

[編集] 関連項目

最終更新 2009年11月24日 (火) 14:43 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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