インチアップ
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インチアップ (inch up) とは、自動車に純正サイズで装着しているホイールのリム径をより大きなものに交換することである。
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[編集] 概要
インチアップの本来の目的は、より大型のブレーキを搭載するための空間確保である。自動車の高性能化とともにブレーキへの要求も高まったが、特にスポーツタイプの車両にとってブレーキの性能向上は必須であったため、インチアップによってブレーキを大型化することとなった。ボディー、サスペンションとの兼ね合いもあり、タイヤの外径まで大きくはできないため、装着できるタイヤは元よりも偏平率の低い(より平らな)ものとなる。
とはいえ、この本来の目的とは別に流行しているのが実態である。
- ドレスアップ(大型ホイール)が目的
- ハンドリング向上が目的
- タイヤの幅を広くすることが目的(見た目、グリップ)
これらが現在の主流であるが、後述の通り、ブレーキの大径化を伴わないインチアップはメリットよりデメリットの方が遙かに大きい。
なお、インチアップの一手法として、純正オプション若しくは上級グレード、フルモデルチェンジ後の同一車種、共通車台を使ったスポーツ系車種等に設定されている純正大径ホイール&タイヤをそのまま下位グレードに流用する、若しくはこれらの純正大径サイズと同一のホイール&タイヤを社外品から選定する方法もある。厳密にはエンジン出力、ブレーキ径、ショックアブソーバー減衰力、スプリングレートが上級グレードと異なる場合が殆どの為、車体本来の性能を発揮しきれる訳では無いが、純正で全く使用実績がないサイズのホイールに変更するよりはタイヤのフェンダーはみ出しや走行性能の著しい悪化などのリスクが小さい、比較的安全な手法と言える。
[編集] タイヤサイズ変更の基本
- 元のタイヤと外径が同じ、または近いものをカタログのサイズ表から探し、候補を見つける。外径差で±2%~3%程度は許容範囲とされているが、車検ではスピードメーターの誤差は-25%〜±0%(=メーター表示より実際の速度が速いことは許されない〈2007年1月1日以降製造された車〉)と定められているので、タイヤ外径が大きくなる場合は注意が必要である。
- 元のタイヤの耐荷重性能を、タイヤサイズに示されているロードインデックスから調べる。日本製のタイヤはJATMA規格、ヨーロッパ製のタイヤはETRTO規格の耐荷重性能表を参照する。ただし、耐荷重性能強化タイプ(サイズ表記にXLなどの表示あり)については別規格となる。候補のタイヤの中で、元のタイヤの耐荷重性能を満たすものを割り出す。最終的にここで調べた空気圧が、新しいタイヤの空気圧となる。
- 太いタイヤを選ぶ場合は、車体に干渉しない事に注意が必要である。
- ホイールのサイズは、タイヤの内径からリム径を、タイヤの許容リム幅の中からホイールリム幅を選ぶ。リム幅は特に目的がなければ標準リム幅を選ぶ。標準リム幅より狭いものは乗り心地が良くなり、広いものはハンドリングがシャープになるという特徴がある。ただし、許容リム幅の範囲を超えては選べない。(リム幅とタイヤの関係の項参照)
※ホイールが先に決まっている場合などは順序が異なるが、ホイール選びは基本的にタイヤとセットで実施する。また、ホイールにはオフセットの問題などもある。
[編集] 日本で普及した背景
かつては、スポーツカー、ラグジュアリーカーのオーナーなど一部の特殊な改造を指向するマニアが行っていた手法であった。目的は、大きなホイールを目立たせるといった、ごく他愛のないものであった。しかし、利幅の大きいタイヤの売れ行きを見て、ブリヂストン、ヨコハマタイヤなどのタイヤメーカーが「大人のインチアップ」と称して堂々とアピールを開始。カー用品店などでも、高価なアルミホイールがタイヤとセットで販売できるとあって一般客にも積極的に売り込みを行い始めた。この結果、2006年現在の日本では、ごく一般的にタイヤ交換の際の選択肢となっている。
[編集] メリット
- 操作に対する応答性が高まる
- 条件によっては、コーナリング性能が向上する
- ホイールによっては、ブレーキ冷却性が向上する
[編集] デメリット
- 車体への衝撃負荷が増加する(タイヤでの吸収分が減少するため=乗り心地が悪化する)
- ホイール・タイヤの合計重量の増加(これを防ぐには非常に高価なホイールが必要)
- ランニングコストの増加
- タイヤの摩耗が早くなる
- 車内へ伝わる走行音が大きくなる
- 燃費の悪化
- 路面追従性の悪化
- 加速が鈍る
- タイヤの空気圧低下が判断しづらい
- より厳しい空気圧管理を求められる(特に純正タイヤよりもロードインデックスが低下した場合)
- 足回り(特にショックアブソーバー)の寿命が短くなる(エアサス車も要注意)
- ハンドルが重くなる(パワーステアリング機構の寿命に影響)
- より厳しいアライメント管理を求められる
- ハンドリングが神経質になる(わだちでハンドルを取られるなど)
- 4ナンバー車両など、車検証に乗用以外の記載がされている車両の場合、ホイール[1]・タイヤ[2]の選定によっては保安基準不適合となる。つまり車検をパスできない(場合により公道走行中に保安基準違反で検挙対象となる)恐れがある。
[編集] リム幅
インチアップは、必ずしもタイヤを太くする事を意味しない。インチアップと幅広タイヤは全く別の事柄である。
[タイヤ幅225の例](ミシュラン/パイロットプレセダPP2より一部)
- 225/50 ZR16 92W 外径632mm → 225/45 ZR17 91W 外径634mm
- 225/45 ZR17 91W 外径634mm → 225/40 ZR18 92W XL 外径637mm
本来インチアップに「タイヤを太くする」という意味合いはないが、市場では以下のような理由から太いタイヤが用意されることが非常に多い。
- 太いタイヤのほうが高額である(売り手の都合)
- リム幅の広いホイールが多数を占めている(売り手の都合)
- 購入者が太さも同時に求めている
- 耐荷重性能が不足する場合(空気圧で対応する余地がない場合)
[編集] 干渉と計算方法
タイヤおよびホイールを太くする、またオフセットの変更を伴うサイズ変更では、タイヤ・ホイールの内側・外側の位置が移動する。その移動距離によっては
- 内側:車体との干渉
- 外側:車体からのはみ出し
が問題になる。リム幅およびタイヤ幅、オフセットを中心に、以下計算方法の一例。
- 変更前・・・「ホイール=15×6.0 J +45/タイヤ=195/55 R15」
- 変更後・・・「ホイール=17×7.0 J +37/タイヤ=205/40 R17」
このサイズ変更にて、例としてミシュラン Pilot Preceda PP2 のカタログデータhttp://www.michelin.co.jp/tires/pc/pilot_preceda_pp2/size.html
より、タイヤ195/55 R15 85V の断面幅が201mm であり、標準リム幅が6.0inch である事から、タイヤ幅の変化は無く
201÷2=100.5mm 100.5+45=145.5mm、内側 100.5-45=55.5mm、外側
となる。つまり基準となる位置は、ホイール取り付け面から見て、内側は145.5mm の距離、外側は55.5mm の距離となる。
同じくカタログデータから、タイヤ205/40 ZR17 84W XL の断面幅が212mm であり、標準リム幅が7.5inch である事から、用いるホイールのリム幅が0.5inch 狭くなる分を考慮し、タイヤ幅を5mm 減の207mm と修正。
207÷2=103.5mm 103.5+37=140.5mm、内側 103.5-37=66.5mm、外側
よって最初の基準位置に対し、内側は5mm 外へ、外側も11mm 外へ出る。車体内側の干渉はなし。(URL参照)
http://pics.livedoor.com/imsize/data3/007/9/4/9499b19e39a53ab7900f-1024.png
ここでの注意点は二つ。 一つ目は選ぶタイヤごとにカタログデータを見ること。サイズ表記が同じでも、銘柄が違えば寸法データは多少違う場合がある。
二つ目はホイールだけを見て計算した場合とは、計算結果が異なる点である。ホイールだけを見る(※)と、広がったリム幅に対してオフセットの変化が少なく、ホイール内側はより内へと移動、外側はより外へと移動する。今回のケースは、内側干渉の心配があるように誤解しやすいパターン。しかし、より太いのはタイヤであるため、図のように実は車体から離れる。
(※ホイールだけの計算では、以下のように「内側クリアランスが4.7mm 減る」といった誤解をしやすい。) 変更前。リム幅が6.0inch(1.0inchは25.4mm)、フランジ形状がJ(フランジ部の幅13mm)より、
(6×25.4)+(2×13)=178.4mm 178.4÷2=89.2mm 89.2+45=134.2mm、内側 89.2-45=44.2mm、外側
変更後。リム幅が7.0inch、フランジ形状がJ より、
(7×25.4)+(2×13)=203.8mm 203.8÷2=101.9mm 101.9+37=138.9mm、内側 101.9-37=64.9mm、外側
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2008.07.07】別添2(軽合金製ディスクホイールの技術基準)では、「専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車(乗用車)を除く普通自動車、小型自動車及び軽自動車」には「トラック及びバス用軽合金製ディスクホイールの技術基準に適合したホイール(所謂JWL-T規格)」が必要とされており、乗用車以外の車両のアルミホイールはJWL-T刻印が打刻されているものでなければ保安基準に適合せず、車検に通らない。但し4ナンバー車両のうち、最大積載重量が350kg以下のものについては、JWLのみの適合で良いという判断を行う陸運局や軽自動車検査協会も有る為、事前に地元の陸運局に確認を取っておく事が望ましい。
- ^ 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2008.02.01】別添4(トラック、バス及びトレーラ用空気入タイヤの技術基準)では、「専ら乗用の用に供する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車及び被牽けん引自動車を除く。)であって乗車定員10人以上の自動車(乗用車)、貨物の運送の用に供する自動車」には「トラック、バス及びトレーラ用空気入タイヤの技術基準に適合したタイヤ(軽及び小型トラック用の場合PR若しくはLT表記がされている)」が必要とされており、乗用車以外の車両のタイヤはPR表記(プライレーティング)かLT表記(ライトトラック)がされているものでなければ保安基準に適合せず、車検に通らない。但し4ナンバー車両のうち、乗用車用タイヤ(155SR12など、現在の80偏平に相当する旧SR表記タイヤ)で形式認定を受け、純正タイヤとして採用されたものについては、乗用車用タイヤでも継続審査を合格する判断を行う陸運局や軽自動車検査協会も有る為、こちらも事前に地元の陸運局に確認を取っておく事が望ましい。
最終更新 2009年11月16日 (月) 15:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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