ウェアリングの問題

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ウェアリングの問題(Waring's problem)は、1770年エドワード・ウェアリングによって提唱された問題で、全ての自然数k ≥ 2 に対して、「全ての自然数はs 個の非負のk 乗数の和で表される」という性質を満たす整数s が存在するかという問題である。ダフィット・ヒルベルトがこの問題を肯定的に解決した。その後各k に対して整数s の最小値 g (k) を与える公式が発見された。しかし、「全ての自然数」を「十分大きな自然数」に置き換えたときにはそのような整数s の最小値を与える公式は知られておらず、k が 2 または 4 のときにしか正確な値は知られておらず、数論における重要な未解決の問題の1つとなっている。現在単にウェアリングの問題と言えば、「十分大きな全ての自然数はs 個の非負のk 乗数の和で表される」を満足するs の最小値を評価・決定する問題を指すことが多い。また、負のk 乗数を許容した場合や、素数のk 乗に限定した場合などにも類似の問題を考えることができる。

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[編集] 歴史

ウェアリングは1770年にその著書Meditationes Algebraicaeにおいて"Omnis integer numerus vel est cubes vel e duobus, tribus, 4, 5, 6, 7, 8, vel novem cubus compositus, est eliam quadrato-quadratus vel e duobos, tribus &c. usque ad novemdecim compositus &sic deinceps."(「全ての整数は立方数であるか2, 3, 4, 5, 6, 7, 8または9個の立方数の和であり、平方数の平方であるか又は高々19個のそのような数の和であり、等々」)と書いている。同年にジョゼフ=ルイ・ラグランジュは全ての自然数は高々4個の平方数の和であることを示している(→四平方定理)。

1909年、ヒルベルトがこの問題を解決した。1943年にユーリ・リンニク(Yuri Vladimirovich Linnik)が加法的整数論に関するシュニレルマンの方法を用いた別の証明を与えた。

立方数については、アーサー・ウィーフリッチ(Arthur Wieferich)が1909年g (3)=9を証明したと主張したが、その証明は不完全だった。ケンプナー(Kempner)が1912年に完全な証明を得た。

ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディとジョン・エデンサー・リトルウッドはg (k)を改良する中で、むしろ「十分大きな全ての自然数はs個の非負のk乗数の和で表される」を満足する s の最小値 G (k) のほうが本質的であると考えた。彼らは円の方法と呼ばれる新しい方法を使い、 G(k)\le (k-2)2^{k-1}+5 を証明し、この問題に限らず解析的整数論全体に劇的な進歩をもたらした。イヴァン・ヴィノグラードフはこの方法を改良し、 G(k)\le k (3\log k +11) を証明した。

1939年にダーヴェンポートは G (4)=16を示した。これは今なお、ラグランジュの定理G (2)=4を別としてG (k)の正確な値が知られている唯一の場合である。

1936年から1944年にかけてDickson, Pillai, Rubugunday, Nivenの研究により、k \ge 7 のときにg (k)を与える公式が得られた。 3^k=q\times 2^k+r, 1\le r<2^k を満たす整数 q, k をとったとき、

g(k) = [(3 / 2)k] − 2 + 2k(r + q < 2k),

g(k) = [(3 / 2)k] − 2 + 2k + [(4 / 3)k](r + q > 2k,(q + 1)[(4 / 3)k] + q = 2k),

g(k) = [(3 / 2)k] − 3 + 2k + [(4 / 3)k](r + q > 2k,(q + 1)[(4 / 3)k] + q > 2k)

となる。常に第一の場合が成立すると予想されているが、これは未だに解決されていない。マーラーは有限個の例外を除き常に第一の場合が成立することを示したが、その証明にはディオファントス近似に関するリドゥの定理を用いており、計算可能性を備えていない。

1940年にPillaiはg (6)=73を、1964年陳景潤g (5)=37を示し、g (4)は長らく未解決問題として残っていたが、1986年にR. Balasubramanian, F. Dress, J.-M. Deshouillersの3人がg (4)=19を示した。これによって全てのk に対してg (k)が決定されたことになる。

[編集] 参考文献

J. M. Deshouillers and F. Dress, Sum of 19 biquadrates: on the representation of large integers, Anrc. Scuola Norm. Sup. Pisa, Cl. Sci., (4) 92(1992), 113-153.

W. J. Ellison, Waring's Problem, Amer. Math. Monthly 78(1971), 10-36. (ウェアリング問題に関する解説記事)

A. Y. Khinchine, Three pearls of number theory, Graylock Press, Rochester, 1952, Unabridged version, Dover, 1998, ISBN 0-486-40026-3. 日本語訳:蟹江 幸博 (翻訳), 数論の三つの真珠, 日本評論社, 2000, ISBN 4-535-60843-1.(リンニクの方法による証明が掲載されている)

K. Mahler, On the fractional parts of the powers of a rational number, II, Mathematika 4(1957), 122-124.

M. B. Nathanson, Additive Number Theory: The Classical Bases, GTM 164, Springer-Verlag, 1996, ISBN 0-387-94656-X.

R. C. Vaughan and T. D. Wooley, Waring's problem: a survey, Number Theory for the Millenium, Vol. III (Bennett et al., eds.), A. K. Peters, 2002, pp. 301-340. [1](ウェアリング問題に関するサーヴェイ)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年7月27日 (月) 17:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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