ウスターソース

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ウスターソースの一例(ブルドックソース)

ウスターソースウースターソース: Worcestershire sauce/Worcester sauce)は、野菜果実などのジュースピューレなどに食塩砂糖香辛料を加えて調整、熟成した液体調味料。日本語で単にソースと言った場合、一般にはウスターソース(広義のウスターソース。ウスターソース類[1])のことを指す[2]。日本のウスターソースの味は独特で、元来のウスターソースとブラウンソースの中間に位置する。

目次

[編集] 歴史

[編集] リーペリン・ソースの誕生

リーペリン・ソースの広告(1900年)

発祥地はイギリスウスターシャー州で、1835年頃、当地のサンズ卿が、イギリスの植民地であったインドからインド・ソースの作り方を持ち帰り、薬剤師であった二人の人物(ジョン・W・リーとウィリアム・ペリンズ)に依頼して作らせたものが始まりであるとされる。

アンチョビなどを使用したこのソースの作成は、失敗したと思われて樽に入れっぱなしのまま放置されていたが、数年間(数か月という説もある)放置された後に再発見され、再度味見をしたところ熟成された味に仕上がっており、それが好評を博し、「ウスターソース」の名称で製造・販売が始まった。この製造・販売者が現在もウスターシャーに本社を構えるリー&ペリン社 (Lea & Perrins) である。

なお、ウスターソースの背景にはケチャップの存在がある。ケチャップというとトマトで作るものを連想するが、本来のケチャップは魚醤が主原料であり、東南アジアから欧米に伝わってゆく過程で様々な材料を用いてアレンジされ、現在のトマトケチャップとウスターソースなどに分化したものである。

[編集] 世界への普及と展開

現在では、リー&ペリンブランドのウスターソース(リーペリン・ソース)が、イギリスのみならず世界各国で広く使われているとともに、日本や東南アジアでは独自の製法が生み出されている。ただし、リーペリン・ソースはその製法が現在でも社外秘とされている。

[編集] 利用法

一口に「ウスターソース」と言っても、日本で使用されているウスターソースは、イギリス産の物とは材料も異なり別物である。日本産は果実と野菜、スパイスが主原料であるのに対し、イギリス産はアンチョビも主原料として使われており、そのため魚醤に似た味がする。日本産が揚げ物などにかけて食べるのに対し、イギリス産は、シチュースープなどに数滴落として風味をつけたり隠し味として使用されることが多い。

このような事になった理由は、以下に見るようにウスターソースがたまたま日本の醤油に似ていた事から西洋風の「新味醤油」などとして一般化したためであると考えられている。日本ではその後、このウスターソースに派生する形で、とんかつソースや中濃ソースが考案され、広く普及するようになった。

[編集] 日本のウスターソース類

[編集] 歴史

日本にウスターソース類が登場したのは明治時代である。ヤマサ醤油の7代目濱口儀兵衛が米国遊学時代に独自のソース製造の構想が生まれ、8代目濱口儀兵衛が研究を重ね、1887年、米国で「ミカドソース」の名で販売を開始し、同時に、国内向けには「新味醤油」の名で発売された。しかし、一般の人びとには味が馴染まず、1年ほどで製造は中止された。また、現存する最古のソースメーカーである神戸の阪神ソースは、創業者である安井敬七郎が1885年に開発販売(一般ルートによる発売は1896年より)したソースを日本最初のものであるとしている。

時をほぼ同じくして、1894年に大阪では「三ツ矢ソース」が発売され、やはり「洋式醤油」(「洋醤」)と呼ばれた。さらに、1905年には関東地方で「犬印ソース」(現ブルドックソース)が、1908年には中部地方で「カゴメソース」が生まれ、明治後期になると全国的にソース製造業が勃興した。こうして、「ソースといえばウスターソース」という認識が日本において定着していくことになった。これらの初期のソースは、現在の狭義のウスターソース、つまり粘度が低いサラサラしたソースのみであった。

戦後まもなく粘度の高いとんかつソース(濃厚ソース)ができ、その中間の中濃ソースが昭和30年代に登場した。そして、この中濃ソースが誕生した頃から、日本の家庭の食卓が洋風化したのに伴い、消費量が拡大し、多くの家庭に常備されるようになった。家庭だけでなく、大衆食堂では、醤油とともに食卓上に常備されていることが多い。

[編集] 特徴

イギリスの元祖ウスターソースはアンチョビ・タマリンドエシャロットクローブニンニクなどを材料にしている。それに対し日本のウスターソース類は、トマトリンゴなどといった野菜・果実の搾り汁・煮出し汁・ピューレまたはそれらを濃縮したものに、糖類・食酢食塩香辛料でん粉カラメルなどを加え、貯蔵熟成させて作る。日本で最もポピュラーな調味料のひとつであり、茶褐色や黒色をしていて、塩辛さのほかにほのかな辛さと野菜や果実に由来する甘味・酸味に特徴のある、日本独自の調味料である。

ウスターソース類はJAS規格上、粘度の違いにより以下のように分けられる。

ウスターソース
最もさらっとしている
粘度0.2Pa・s未満
中濃ソース
ややとろみがある
粘度0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満
濃厚ソース
中濃ソースよりもさらに粘度が高い
粘度2.0Pa・s以上
「特濃ソース」などの商品名を付けているものを含む。

粘度はでんぷんを加えて高められることが多い。

[編集] ウスターソース類が決め手の料理

コロッケとキャベツの繊切りにソースをかけた盛りつけの一例
ウスターソースをかけたたこ焼きの一例

[編集] 地域性

調味料は、地域や個人により好みが分かれており、なかなか統一的ではない。ウスターソース類についても同様で、メーカーやタイプ(濃度や風味など)も、地域ごとに受け入れられ方が異なるため、各地域でメジャーに思われている商品のタイプやブランドも異なっている。

一説によると、関東地方以北では中濃ソースのみを使い、近畿地方、西日本などではウスターソースととんかつソースを分けて使うことが好まれる。これは西日本では中濃ソースの存在そのものが近年までほとんど一般に知られていなかったという事情に由来するもので、近畿地方に本部があるメーカーが中濃ソースを販売するようになった現在においても、この傾向はあまり変化していない。

また、とんかつソース(他に各種材料を配合して用途をフライ専用に特化している)以外にも、お好みソースやきそばソースたこやきソースなど、ウスターソースから派生し、商品名に用途を冠し、粘度や風味を調整したソースもある。多くは濃厚ソースに属する。中京圏では、こいくちソースと呼ばれる独特の濃厚ソースが好まれている。

さらには、地方でのみ、あるいは個別のメーカーのみが作っている風味や用途の異なるウスターソース類もある。例えば、長崎県では皿うどんには金蝶ウスターソース(チョーコー醤油製)をかけるのが定番である。近畿地方では辛味が強く、濃度の高い「どろソース」(オリバーソース製)の人気も高いほか、近年は大量生産された大手のソースにない味が評価され「地ソース」が静かなブームを呼んでいる。特に手作りの小規模な地ソースは人気が高く、メーカーによっては生産が注文に追いつかない状態となっている。また、戦後長らく米軍の施政下におかれた沖縄県においては、国産ソースはあまり普及せず、酸味が強くアメリカ人好みのA1ソースが今もスタンダードとなっている。

なお、商品名にソースと付いていても、必ずしもウスターソース類に入るとは限らない。例えば、オタフクソースは業務用のソースカツ丼ソース焼きうどんソースなども製造しているが、これらは醤油などを加えた合わせ調味料であって、ウスターソース類には当てはまらない。

[編集] 一部地方に限りウスターソースが常用される料理

  • カレーライス大阪府など)
  • 皿うどん長崎県など)
  • 天ぷら(主として西日本エリアに多い)
  • カツ丼(福井県福井市では薄く揚げたカツをソースにくぐらせ飯にのせ食べる。福島県はソースをかけて食べる会津地方。他にソース味の卵とじもある)長野県駒ヶ根市もソースカツで有名。卵とじのカツは煮カツと呼ばれる。山梨県でも見かける地域がある。

[編集] 主なソースメーカー

[編集] 中国のウスターソース

中国には、19世紀以降、香港上海を通じて伝来し、春巻や山竹牛肉球といった広東料理上海料理で使われるようになった。ただし、上海では、20世紀の後半より独自のウスターソースが生み出され、今日では、上海料理用に世界中に輸出されるようになっている。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ 日本の行政上では、狭義の「ウスターソース」とともに「中濃ソース」や「濃厚ソース」(とんかつソースなどを含む)もまたウスターソース類として扱われており、それぞれ粘度が定められている。
  2. ^ 仲尾 玲子、中川裕子『つくってみよう加工食品 第5版』(学文社、2008年)、61頁。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月22日 (日) 11:21 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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