エアバス A400M

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エアバス A400M

エアバス A400M (Airbus A400M) は、ヨーロッパ航空機メーカー・エアバスエアバス・ミリタリー)が開発しているターボプロップ4発の輸送機である。Mは軍事 (Military) を表す。

目次

[編集] 開発推移

A400M計画の発端は、欧州各国が使用しているC-130C-160といった輸送機の後継機として、アエロスパシアル)、ブリティッシュ・エアロスペース)、ロッキード)、MBB)が参加して1982年より国際協同開発が開始されたことが始まりである。1984年に機体案や事業方式など計画の基礎がまとめられ、1985年には積載量20~25トン、航続距離2000~2500海里に計画が拡大され、C-130や160より巨大化した。エンジンは当時、低騒音・低公害・低燃費と注目されていた新方式「プロップファン」を採用することが決定し、機体はFIMA (Future International Military Airlifter:将来国際軍用輸送機) と名づけられた。

ところが、ロッキードは新型のC-130Jを開発するために計画から脱退、基幹となる米国を欠いた欧州各国は体勢を立て直し、NATO欧州加盟国向けに特化した機体開発が目指されることとなった。米国に代わり、1988年アエリタリア)、1989年CASA西)が参加を決定、欧州5カ国による機体開発組織「ユーロフラッグ」を設立し、機体の名称もEFLA (European Future Large Aircraft:欧州将来大型航空機) に変更された。EFLAの基本構想は1988年までにまとめられたが、FIMAをほぼ踏襲したものとなったものの、実用化の目処の立たないプロップファンエンジンの採用は諦め、民間機が使用するターボファンエンジン4発に変更した。なお、後に機体名称は「欧州」の抜けたFLAに改称されている。

しかし、国際共同計画に付きものの各社・各国の思惑の違いによりユーロフラッグ設立は遅延し、1991年6月17日に5社が等分に出資することでようやく合意、翌1992年にはFLABEL(ベルギー)・OGMA()・TAI()の参加が決定し、計画は8カ国8社体制に拡大した。事業の進展と規模の拡大によって、効率的な組織運用が求められ、計画全体をエアバスの傘下に置くことが提案され、1994年9月に全社の合意を得て、1995年6月14日に、エアバス社内に軍用機専門部署「エアバス・ミリタリー」を開設し、ユーロフラッグの事業を引き継ぐことが発表された。このとき、機体名称はエアバス民間機のA300シリーズと分けたA400と、ミリタリーのMを組み合わせたA400Mに正式決定された。エアバス・ミリタリー1999年1月に独立事業体(分社化)となった。

2008年6月にロールアウトした試作機を囲む従業員

A400Mは冷戦後の新秩序への対応と国際貢献などの活動に寄与することが目的となり、冷戦末期に計画されたFLAとは大きく異なった機体となった。欧州域内の輸送能力では平和維持活動人道援助には不足であり、長大な航続距離と大搭載量を求められた。結果、最大積載量は37トン、積載20トンでの航続距離を3,450海里に設定し、機体規模はさらに一回り大型化した。エンジンもターボファンより効率の良いターボプロップエンジン4発のプロペラ機に変更された。

作業分担箇所の調整や各国の所要機体数の見直し、機体に対する要求の変更と調整が行われ、1996年5月に実機の開発が開始されたが、フランスが開発費の分担を拒否したことから、事業は早々と暗礁に乗り上げ、そのままずるずると開発は遅延してしまう。2000年5月にイギリス空軍が正式発注すると、加盟各国が追随して発注、2003年5月23日に欧州各国(仏・独・伊・西・英・土・ベルギー・ルクセンブルク)はOCCAR(共同兵器調達機構)を通じ、212機のA400Mの調達に同意して全ての調整が完了し、実機の製作・量産が許可された。

本機の採用状況は開発の遅延により決して良好なものではなく、イタリアは軍の人件費高騰によって新型機購入の目処が立たなくなり計画から撤退、イギリス空軍は米国よりC-17リースおよび後に5機の購入を決定するなどで、調達機数は欧州各国で180機に修正された。欧州以外については、南アフリカは8機(他にオプション6機)、マレーシアが4機の購入を決定しており、カナダ軍も検討を行っている。チリは3機購入する予定であったが、引き渡しが2018年から2022年と遅く、コストがかかりすぎ性能も過剰であるとしてキャンセルしている。

1機あたりの価格は1億ユーロ。初号機は2008年6月にロールアウトしている。2009年10月に量産機の納入が開始され、2010年から配備が開始される予定であったが、これは遅れており、EADS(エアバス親会社)は2009年中に初飛行を行い2012年から納入したいとしている。[1]

[編集] 機体

パリを中心としたエアバス 400Mの航続距離。ペイロード30tで4500km、ペイロード20tでは6600km飛行できる。

ペイロードは最大で約37tとC-130の約2倍と大きなものになり、大馬力のターボプロップエンジン4基と浅い後退角のついた主翼により、速度も向上する。また、STOL性も考慮されるなど、国際活動での長距離かつ迅速な展開に配慮している。

機体材質は複合材が主であり、操縦席はグラスコックピット、操縦系統もフライ・バイ・ワイヤと最新の旅客機並みである。強力なランディングギヤを装備し、途上国などの未舗装の滑走路で運用可能である。

高翼配置の主翼でT字尾翼を持ち、主脚は胴体にバルジを設けてそこに収容、胴体後部はそりあがってランプが取り付けられるなど、機体構成は軍用輸送機としては一般的なものである。空中給油ブローブが胴体上部より前方に突き出し、プローブアンドドローグ方式での空中給油が可能である。

輸送機以外にも空中給油機電子戦機といった特殊任務への派生も可能としている。

生産は、各社が特定の部位を受け持ち、スペインのEADS CASA・セヴィル工場で最終組み立てを行う。主要な生産担当部位は以下である。

  • フランス - 機首・翼胴フェアリング・後部貨物扉など
  • ドイツ - 中央胴体・後部胴体など
  • イギリス - 主翼など
  • スペイン - 水平安定版・エンジンナセルなど
  • ベルギー - 主翼の一部(動翼部分)
  • トルコ - 前部胴体

エンジンはP&Wカナダと、ロールス・ロイススネクマMTUアエロエンジンズの3社が出資した「ユーロプロップ インターナショナル」のものが提案されたが、ヨーロッパの輸送機を作るのだ、という政治的要因もあり、ユーロプロップのTP400-D6が採用された。TP400はSNECMA M88のコアをベースとした、旧西側ではかつてない大出力(7457~9694kw)のターボプロップエンジンである。初稼動は2006年4月。

プロペラはラティエ・フィジェクFH386で直径は5.33m、羽は8翅もあり、マッハ0.72の高速巡航を可能としている。

[編集] 発注

発注日 発注した国 受領年 機数
2003年5月27日 ドイツ 2010年 60
2003年5月27日 フランス 2009年 50
2003年5月27日 スペイン 2011年 27
2003年5月27日 イギリス 2010年 25
2003年5月27日 トルコ 2009年 10
2003年5月27日 ベルギー 2018年 7
2003年5月27日 ルクセンブルク 2017年 1
2004年12月15日 南アフリカ 2010年 8
2005年12月8日 マレーシア 2013年 4
合計: 192

[編集] 諸元

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ http://www.reuters.com/article/rbssAerospaceDefense/idUSL915166620090109

[編集] 参考文献

  • 『JWings』(イカロス出版)2007年7月号56・57ページ「世界航空研究所(ラボ)第47回」

最終更新 2009年11月7日 (土) 05:11 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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