エキゾーストマニホールド
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エキゾーストマニホールド(別名:排気マニホールド、排気集合管、タコ足、エキゾーストパイプ、英語:Exhaust manifold、略称:エキマニ、エキパイ)は、内燃機関(特に自動車用エンジン)において、複数の気筒からの排気ガスをまとめて排気管に渡すための部品。一般には鋳鉄やステンレスなどで作られており、社外品の高性能エキゾーストマニホールドの場合、英語圏ではヘッダー(Headers)と呼ばれる事もある。オーストラリアではエキストラクター(extractors)とも呼ばれる。
基本的には個々のシリンダーからの排気を受け取るヘッダーパイプと、コレクターと呼ばれる集合管部分で成り立っており、モータースポーツで限定的に用いられるコレクターを持たないエキゾーストマニホールド(いわゆる分離排気管)はZoomie Headerとも呼ばれる。
なお、オートバイのマフラーにもエキゾーストマニホールドに相当するヘッダーパイプが存在するが、通常はオートバイではこのヘッダーパイプはエキゾーストマニホールドとは呼ばず、エキゾーストパイプと呼ぶ事が多い。
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[編集] 概要
エキゾーストマニホールドは騒音や振動を抑える役割もしている。エキゾーストマニホールドを極端に短くすると、排圧が高まった状態で別のシリンダーの排気が開始するので排気の流れが悪くなるためにできるだけエキゾーストマニホールドを長くしている。
複数ある排気管をどのようなパターンで1本にまとめるか、各管どのような長さでまとめるかなどさまざまな収束パターンがあり、この違いによりエンジンのトルク特性やパワーバンドが変わることもある重要なパーツである。また、エンジン排気音もこれにより左右され、「ズドドド」という特徴的な排気音で有名なスバルの水平対向エンジンはインプレッサのマイナーチェンジによる仕様変更でエキゾーストマニホールドが非等長タイプから等長タイプへ変更されたことで排気音が小さくなった。
社外品の高性能エキゾーストマニホールドは排気の流動抵抗(en:Back_pressure)を減少させて、エンジンの体積効率を向上させ、より大きな出力を得る為に用いられる。基礎理論は気体の状態方程式や理想気体の状態方程式、ボイル=シャルルの法則等で成り立っている。よく「タコ足」と呼ばれるのは、各シリンダーよりの排気管を等長化した際に蛸の足のような形状になることに由来している。最も一般的なタイプの社外品のタコ足はセラミックかステンレスのどちらかで作られている。セラミック製のタコ足は比較的近年登場したもので、極端な高温にもよく耐え、ステンレスよりも軽量である。
[編集] 排気洗浄作用
エンジンが回転して排気行程を始めるとき、ピストンはシリンダー内で上昇して燃焼室の排気ガスを排気バルブからエキゾーストマニホールドのヘッダーへ押し出す。この時に排気ガスは「ヘッド」、「ボディ」、「テール」の3つから成る排気パルスを形成する。
排気パルスで最も高圧の「ヘッド」はマフラーの外で、燃焼室内の排気ガスと外気の大気圧の大きな圧力差によって形成される。ヘッドが大気に放出されるとマフラー内部の排気速度は減少して、「ボディ」と呼ばれる中程度の圧力のパルスに変化する。そしてエキゾーストマニホールドと燃焼室内に最後まで残った排気ガスは「テール」と呼ばれる比較的低圧のパルスを形成する。この低圧のテールパルスは始めは外気の大気圧と同じ位の圧力であるが、ヘッド及びボディパルスが排出される勢いで運動量が減少して大気圧よりも低圧となる。そしてテールパルスは吸気バルブと排気バルブが同時に開いているバルブオーバーラップの期間中、シリンダー内から全ての排気ガスをエキゾーストマニホールド側へ吸い出して、新たな混合気の吸入を補助する効果がある。この効果は排気洗浄作用(エキゾースト・スカベンジング)と呼ばれる。
排気洗浄作用の効率は、エキゾーストマニホールド自体の構造やヘッダーパイプの長さ、断面積及び排気ポートの形状などで大きく左右され、エンジン回転数によってもかなりの影響を受ける。排気洗浄作用の大きさ自体は排気パルスのうち高圧のヘッドパルス、中程度の圧力のボディパルスの排気速度である程度決定される為、タコ足に代表される社外品の高性能エキゾーストマニホールドは排気速度をできるだけ速めるように設計される。
その設計手法の一つが、各シリンダー毎にヘッダーパイプの長さが同じになるように設計された等長ヘッダーパイプと呼ばれる構造である。ヘッダーパイプを全てのシリンダーで同じ長さとする事で、一つのシリンダーの排気パルスが放出された後にも別のシリンダーが切れ目無く排気パルスをマフラー内部に形成できるようになる。先に排出された排気ガスの低圧テールパルスは、次に排気行程に入ったシリンダーから発生する排気パルスとの大きな圧力差を生み、より強力な高圧ヘッドパルスの形成を助ける効果がある。これが切れ目無く断続的に繰り返される事で、結果として排気速度が上昇して吸気効率の向上にも繋がるのである。
2つのシリンダーヘッドを持つV型6気筒やV型8気筒エンジンでは、両側のヘッドのエキゾーストマニホールドを一本に結合するパイプも、先に排出された排気パルスの低圧部分を利用して次の排気パルスの排気速度を上昇させる作用を果たしている。このようなパイプは結合後の排気経路が一本出しマフラーとなる場合はY-パイプ、一度二つのエキゾーストマニホールドを結び付けた後に二本出しマフラーに再び分岐するタイプのものはX-パイプと呼ばれる。70年代以前のオートバイではメーカーの製造技術とコストの兼ね合いから二気筒エンジンの場合は二本マフラー、四気筒エンジンの場合は四本マフラーを採用せざるを得なかった。そして社外品の集合管タイプのマフラーに交換して性能アップを図る事はある意味当然のように行われていたが、90年代以降は70年代以前の雰囲気を再現したオートバイが多数登場し、同時代の純正マフラーに似た左右出しマフラーが採用されたが、このような左右出しマフラーでも自動車のX-パイプに似た構造の結合パイプは用いられており、レトロな雰囲気と排気効率を両立する事に貢献している。
排気洗浄作用を実現する為のエキゾーストマニホールドを設計するには、ヘッダーパイプの長さと直径の選択に細心の注意を払わなければならない。エンジンはより高回転、高速度に回転する程多くの排気ガスを作り出す為、車両の用途に応じて最適なヘッダーパイプの径と長さを選択する必要がある。一般には太いヘッダーパイプほどより高回転域でピークパワーとトルクを生み出す。細いヘッダーパイプは背圧で高回転まで伸びにくい代わりに、低速域で扱いやすいトルクを発生させる傾向がある。しかし、余りにも太すぎるヘッダーパイプは排気パルスを減衰しすぎてしまい、排気ガスの速度も大きく低下させてしまう。結果的には超高回転高負荷の際にしか排気パルスが役に立たない排気システムとなってしまいかねない。逆に余りにも細すぎるヘッダーパイプはエンジンが燃焼室から排気ガスを排出する作用を阻害する背圧を発生させてしまう。極端に強すぎる背圧は吸気行程の際に排ガスの一部が燃焼室に残ってしまい、却ってエンジン出力を低下させる結果を招いてしまう。
また、多くのエキゾーストマニホールドは2ストロークエンジンのチャンバーと同様に排気パルスの反射波を利用して燃焼室の充填効率を増すようにも設計されている。この反射波は希薄パルスとも呼ばれる共鳴の一種で、各ヘッダーパイプの排気ガスがコレクターパイプで集合させられる時など、排気ガスの密度が急激に変化する際に発生する。この為、ヘッダーパイプの長さもただ長ければいいというのではなく、インテークマニホールドのヘルムホルツ共鳴を考慮したランナーパイプの長さの決定と同様に、コレクターパイプで発生した反射波がバルブオーバーラップと同時に正確に排気ポートに到達するように緻密な調整により決定されなければならない。排気洗浄作用による排気パルスでの排ガス吸い出し効果と、反射波による混合気の充填効率増加の両立には、極めて緻密な計算が必要な事は言うまでもない。ただし、ごく一般的な傾向としては長いヘッダーパイプ程、より低回転で反射波が作用しやすくなる。
なお、近年のエキゾーストマニホールドの中には外部にセラミックコーティングが施されたものも存在する。このコーティングは防錆効果の他、エンジンルーム内に排気熱を放射する事を防止する効果もある。排気熱放射の減少はインテークマニホールドへの熱の伝達を防ぎ、吸入空気温度を下げる事にも繋がる上、排気温度を安定化させて排気流速を一定に保ち、排気効率を高いレベルで維持する効果もある。かつてはセラミックコーティングの代わりに石綿製の耐熱バンテージを巻く事で、同様の効果を狙う改造が行われていた。
[編集] 可変排気システム
エキゾーストシステムと流体力学の関連性が深く理解されるようになった今日では、エキゾーストマニホールドにも様々な機械的改良をもたらした。その改良の一つが可変排気システムであり、その最も代表的なものとして認知されているのがヤマハ発動機のオートバイに採用された排気デバイスであるEXUP(エクザップ、Exhaust Ultimate Power-valve)である。EXUPは絶えずエンジンスピードを監視し、その回転数に応じてコレクターパイプ内のバタフライバルブを開閉する事で、排気パルスや反射波の形成を最適に調整する。それにより低回転から高回転まで安定した排気性能を発揮する事が可能となっている。
EXUPを装備したエキゾーストシステムは太く短いヘッダーパイプを採用している高回転型の設定である。その為低回転域ではマフラー内部の排気圧力は低く、通常の状態では排気パルスや反射波は排気バルブが閉じた後に発生する事になる。しかし、EXUPはコレクターパイプの低回転域ではバルブを閉じる事でコレクターパイプ内で擬似的に「大気による排気パルス生成」と同様の効果を生み出し、排気バルブのオーバーラップと同時に最適なタイミングで排気パルスや反射波を発生させる事が可能になる。これによって太く短いヘッダーパイプでも低速トルクの増大が実現出来る。そして、高回転域になると次第にバルブを開いていき、背圧による損失を防いで太く短いヘッダーパイプ本来の出力特性を発揮するのである。
なお、自動車においても今日ではEXUPと基本理論を同じくする可変排気システムは一般化している装備であり、代表的なものとしてサイレンサーからのデュアルマフラーカッターの片側や、二本出しマフラーの片側を回転数に応じて自動開閉するシステムが存在する。
社外品のマフラーにおいてもドライバーの任意でバタフライバルブを手動開閉する事で排気を制御するシステムが存在する。これも広義の可変排気システムといえる。
[編集] 関連項目
- インテークマニホールド(インマニ)
- マフラー (原動機)
- 排気デバイス
最終更新 2009年11月24日 (火) 11:15 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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