エネルギー準位
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エネルギー準位(―じゅんい、energy level)とは、束縛された(即ち空間的に閉じ込められた)量子力学的な系や粒子がとり得る離散的なエネルギーのことである。これは古典的な粒子が任意のエネルギーをとりうることとは対照的である。この用語は原子や分子中の電子(原子核の電場に束縛されている)のエネルギー準位に対してもっともよく用いられる。エネルギー準位をもった系のエネルギースペクトルは「量子化されている」とよばれる。
無限遠でのポテンシャルエネルギーをゼロと定める(これは一般的な慣習である)と、束縛された電子状態は負のポテンシャルエネルギーをもつ。
2以上の量子状態が等しいエネルギー準位をもっている場合、そのエネルギー準位は「縮退している」とよばれる。
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[編集] 説明
量子化されたエネルギー準位は、粒子のエネルギーとその波長の関係によって生じる。閉じ込められた粒子、例えば原子中の電子では、波動関数は定在波の形をとっている。そして波長が整数となるようなエネルギーをもつ定常状態のみが存在できる(ボーアの原子模型も参照)。その他の状態では波が干渉して破壊され、確率密度が0となってしまう。エネルギー準位が数学的にどのように形成されるのかを知る基本的な例としては、井戸型ポテンシャルや量子調和振動子があげられる。
以下の節では、原子や分子のエネルギー準位を決定する最も重要な要素についての概観を述べる。
[編集] 原子
[編集] 本来のエネルギー準位
[編集] 軌道状態のエネルギー準位
与えられた原子軌道中の電子を仮定する。電子状態のエネルギーは主にその(負の電荷の)電子と(正の電荷の)原子核との静電相互作用によって決定される。原子核の周りの原子のエネルギー準位は、次の式で与えられる。

ここで
はリュードベリ定数 , Z は原子番号, n は主量子数, h はプランク定数, c は光速。典型的なエネルギーの大きさは 1 eV ~ 103 eV である。
リュードベリ準位は主量子数nにのみ依存する。
[編集] 微細構造(分裂)
詳細は「微細構造 (原子物理学)」を参照
微細構造とは軌道状態のエネルギー準位に相対論的補正をすることにより、縮退したエネルギー準位が分裂すること。より具体的には、スピン軌道相互作用項とスピンに依存しない運動量補正項(質量-速度項)およびダーウィン項(Darwin項、主にs軌道に対して作用する)による補正からなる。典型的なエネルギーの大きさは 10 − 3 eV である。
[編集] 超微細構造(分裂)
詳細は「超微細構造」を参照
磁気双極子モーメントと核磁気モーメントが相互作用することにより、超微細構造分裂が引き起こされる。典型的な大きさは10 − 4 eV 程度である。
[編集] 電子と他の電子の静電相互作用
原子の周りに2つ以上の電子がある場合、電子-電子相互作用がエネルギー準位をもたらす。この相互作用は電子の波動関数の空間的重なりが小さい場合には無視されることが多い。
[編集] 外部場によるエネルギー準位
[編集] ゼーマン効果
詳細は「ゼーマン効果」を参照
相互作用のエネルギーは
U = − μB ただしμ = qL / 2m。
[編集] スピンを考慮したゼーマン効果
軌道角運動量による磁気双極子モーメントと電子スピンによる磁気モーメントの両方を考慮に入れる。
相対論的効果(ディラック方程式)により、電子スピンから生じる磁気モーメントはμ = − μBgsである(gは電子スピンのg因子でおよそ 2)。
μ = μl + gμs
よって相互作用のエネルギーはUB = − μB = μBB(ml + gms)となる。
[編集] シュタルク効果
詳細は「シュタルク効果」を参照
[編集] 分子
大まかに言えば、分子のエネルギー状態(即ち分子ハミルトニアンの固有状態)は電子、振動、回転、核、変換の成分の和である。即ち
E = Eelectronic + Evibrational + Erotational + Enuclear + Etranslational
ここで Eelectronic は分子の平衡構造での電子分子ハミルトニアンの固有値(ポテンシャルエネルギー面の値)。
分子のエネルギー準位は分子項記号によって分類される。
これらの成分の固有エネルギーは固有エネルギー状態と物質によって異なる。
分子物理学と量子化学において、エネルギー準位は束縛された量子力学状態の量子化されたエネルギーを指す。
[編集] 結晶性物質
結晶はエネルギー準位の代わりに、またはエネルギー準位に加えてエネルギーバンドをもっている。電子は満たされていないバンド中の任意のエネルギーをとることができる。当初、これはエネルギー準位の要件の例外だと考えられていた。しかしバンド理論で示されるように、実際にはエネルギーバンドは非常に近い離散的なエネルギー準位が数多く集まり、分解できなくなっている状態である。バンド中では、エネルギー準位の数は結晶中の原子数のオーダーとなり、従って電子は実際には離散的なエネルギーしか取れないものの、連続的な値をとることができるかのように見えるのである。
結晶でのエネルギー準位のうち重要なものは、価電子帯の上端と、伝導帯、フェルミエネルギー、真空準位の下端、そして欠陥準位や不純物準位である。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月5日 (木) 07:30 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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