エミッタ結合論理

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エミッタ結合論理(エミッタけつごうりろん、: Emitter-coupled logic, ECL)は、バイポーラトランジスタによって電流を制御することで論理回路機能を実現する集積回路の論理素子の一種である。ECL を 'current mode logic' と呼ぶこともある。

ECL の最大の特徴は、トランジスタを飽和させずに利用するため、状態変化が非常に高速に行える点である。従って、ECL で構成された回路は非常に高速に動作する。欠点は、トランジスタを常に駆動しているため、電力消費が大きくなる点である。その電力のほとんどは熱として浪費される。

目次

[編集] 歴史

ECL は1956年IBM の Hannon S. Yourke が発明した[1]。当初 current steering logic と呼ばれ、IBM 7090IBM 7030 で使われた。

モトローラは1962年、最初のデジタル集積回路シリーズ MECL I をリリースした[2]

[編集] 解説

TTLなどの論理素子は、トランジスタをデジタルスイッチとして使うので、電流が流れていないか、飽和しているかのどちらかの状態となる。ECL は入力段として差動増幅回路構成を使う。入力電圧の適当な論理関数がその増幅回路を制御して出力トランジスタのベースを制御するために、差動増幅回路の High レベルと Low レベルの中間の電圧をバイアスとして供給する。なお、出力トランジスタはコレクタ接地回路構成(エミッタフォロア)で使われる。スイッチングにかかる遅延時間は1ナノ秒未満であり、そのため長年に渡って ECL が最も高速な論理素子とされてきた。

[編集] 特徴

ECL のその他の特徴として、スイッチングの状態がどうであっても、電流のレベルがあまり変化しないという点が挙げられる。すなわち、ECL では他の電流のレベルの変化が激しい論理素子に比べてスイッチングノイズが比較的小さい。ALUではスイッチングが激しく発生するため、そういった意味でも ECL は CMOS などに比較して高速動作が可能となる。

[編集] 電力供給と論理レベル

一般に出回っている ECL 回路は負の電源電圧(-5.2V)を供給され、論理レベルも他の論理素子とは異なる。従って、他の TTL などと ECL を結合するには、インタフェース回路が必要となる。ECL では High レベルと Low レベルの差が他の素子よりも小さく、ノイズマージンが小さい。

IBMは、自社製の ECL を自社製品に使っており、その電力供給は一般市場に出回っているものとは定格が異なる[3]

[編集] 使用例

ECL の欠点(電力消費)から、その利用は性能の高さが最重要な用途に限定される。CMOSなどの進歩によって ECL の利用は減っており、メインフレームでさえ CMOS 化されている。しかし、専門家の中には、将来ガリウムヒ素などの半導体が広く使われるようになれば、ECL が再び使われるようになると予測する者もいる。しかし、ガリウムヒ素は、シリコンのように安価でかつ、格子欠陥の少ない結晶を製造することができないという問題がある。ガリウムヒ素が未来の半導体と長年言われながらなかなか普及しないのには、そういう原因もある。

メインフレームコンピュータ(例えば IBM の Enterprise System/9000 シリーズなど)はECLを使っていたが[3]、現在のメインフレームは CMOS を使っている。

エミッタ結合論理と等価な回路をFETで構成したものを ソース結合FET論理(source-coupled FET logic、SCFL)と呼ぶ。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ EARLY TRANSISTOR HISTORY AT IBM
  2. ^ William R. Blood Jr. (1972). MECL System Design Handbook 2nd ed. n.p.: Motorola Semiconductor Products Inc. vi.
  3. ^ A. E. Barish et al. (1992年). “Improved performance of IBM Enterprise System/9000 bipolar logic chips”. IBM J. of Research and Development 36 (5): 829–834.

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月2日 (金) 06:08 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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