エレベーター

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(名古屋港ポートビル)
シースルーエレベーター
倉吉パークスクエア

エレベーター(米:Elevator, 英: Lift)とはや荷物を載せた箱を垂直(または斜め・水平)に移動させる昇降機である。日本では、人が乗れない荷物専用のものはリフトと呼ぶことが多い(英語では英米ともリフトを dumbwaiter と呼ぶ。建築基準法でもかつてはそう記載されたが、dumb が卑語であるためか、small freight elevator[小荷物専用昇降機]に変更されている)。

目次

[編集] 歴史

エレベーターはすでに紀元前から存在し、アルキメデスロープ滑車で操作するものを開発していた。中世ヨーロッパでも、滑車を用いた巻上機があり、一部で利用されていた。17世紀に入ると、釣り合い錘(カウンターウェイト)を用いたものが発明された。

19世紀初頭には、水圧を利用したエレベーターがヨーロッパに登場し、工場などで実際に使用された。1835年蒸気機関動力として利用したものが現れた。ただし、水力や蒸気機関を用いたエレベーターは、非常に速度が遅く、安全性にも問題があった。

これに解決の糸口を与えたのは、アメリカエリシャ・オーチス(Elisha Graves Otis、1811-1861)である。彼は、1853年ニューヨーク万国博覧会において、逆転止め歯形による落下防止装置(調速機、ガバナマシン)を取り付けた蒸気エレベーターを発表した。オーチスは、来場客の面前で、吊り上げたエレベーターの綱を切ってみせ、その安全性をアピールした。

  • 1859年ニューヨークブロードウェイに建てられたホテルに、オーチスのエレベーターは初めて採用された。それまでホテルの上方階は、荷物の上げ下ろしが大変なので、不人気で料金も安かった。しかし実用的なエレベーターの登場以降、環境のよい上方階は宿泊客の人気を呼ぶようになった。
  • 1861年、オーチスは蒸気エレベーターの特許を取り、会社を設立した(オーチス・エレベータ、Otis Elevator Company)。
  • 1889年、オーチス・エレベータ社は、世界初の電動エレベーターを開発。ニューヨークのビルに採用された。以降、ニューヨークの摩天楼化に拍車がかかっていく。
  • 1890年11月10日東京浅草凌雲閣に、日本初の水圧式電動エレベーターが設置される。この日は「エレベータの日」になっている。
  • 1993年、当時世界最高速を誇る750m/min(=時速45km)のエレベーター(三菱電機製)を有する横浜ランドマークタワーが開業。
  • 2004年秋、1,010m/min(=時速60km)のエレベーター(東芝エレベータ製)が導入されている、世界一の高さ(508m)である台北国際金融センタ(通称TAIPEI101)が開業。これにより、ランドマークタワーの導入機は、世界第2位となった。ただし、1010m/minの速度が出るのは昇りのみで、降りではランドマークタワーが最速。

[編集] 用途種別

エレベーターには用途種別が定められており、通常はマンション公団住宅などで用いる「乗用」であるが、「乗用」以外にも以下の種別がある。

寝台用
主として病院で用いられ、ストレッチャーを横にしたまま乗せられるよう奥行きを広く取っており、また操作盤が側壁にある。
人荷用
その名のとおり乗用・荷物用の両用。非常用エレベーターなどに使われる。
荷物用
荷物の搬入用で、乗務員(運転士)・荷扱い者以外は乗れない(これは、保安基準が異なることと、乗用より大型で電気代がかかるためであるが、事業所によってこの規制は無視されていることが多い)、運転方法も異なる。乗用車1台分の荷重を受けられるものもある。大型の機種では上開きドアを採用しているものもある。
自動車
地下やビル屋上の駐車場に自動車を上げ下げする。人だけが乗ることは禁じられている。
緊急搬出兼遺体運搬用
マンションなどの集合住宅で住人が大怪我や死亡した場合は、怪我人や遺体を寝かせて運ぶ必要がある。そのためエレベーターのかご(籠)内にトランクと呼ばれる非常用の運搬設備が備わっている機種がある。トランクの使用によって身体を寝かせた状態で運ぶことが可能になる。通常トランクはかご内の背面に存在する。

[編集] 非常用エレベーター

建築基準法(第34条2項)により、地上からの高さが31m以上あるか、または地上11階以上の建築物には、一般用のエレベーターのほかに、非常用エレベーターの設置が義務付けられる。これは災害発生時に高層建築では消防隊が階段を上がって救出に向かうことが困難なためであり、専用運転に切り替えられる装備をもつ。

非常用エレベーターは、火災等で商用電源が遮断されても運転できるよう非常電源ディーゼル発電機など)から電気が受けられ、電線も普通の火災で焼けないよう耐火電線を用いて配線する。機械室なしタイプは認められていない。またかつては他の一般用エレベーターよりも速度が遅い仕様が多かったので(現在は60m/minが下限)、乗用として使用されることはほとんどなく、通常時は荷物輸送やビルメンテナンス要員・警備員の移動に用いられてきた。そのため用途種別はほとんどの場合「人荷用」となっており、最近の一部を除き一般客の目に触れないように設置されることが多い。

なお、非常用エレベーターは設置されている建物の全ての階に停止でき、かつ全階のエレベーターホールにはかご位置を知らせるインジケータを設置しなければならず、エレベーターホールも防火戸等によりを完全に遮断することができる構造が必要である。乗場には非常用エレベーターを示すプレート(赤文字で「非常用エレベータ」、その下に最大定員と積載荷重を記載する)を掲示しなければならない。定員は最低で17名(積載荷重1,150kg)と定められている。消防隊専用の装備としてかご呼び戻しボタン(主に1階か避難階に設置され、押すと他のかご内及び、乗場の呼びを全て解除し呼び戻しボタンのある階へ直行する)、一次消防・二次消防切り替えスイッチ(建物管理者や警備員から鍵を借り、このキースイッチを操作すると消防隊専用に切り替わる)がある。

一次消防運転では乗場呼びが無効になり、一種の専用運転となる。二次消防運転では乗場の戸閉検出装置が無効となり、かご又は乗場の扉が閉まらない状態であっても走行可能になる。

[編集] 様々なエレベーター

コモアしおつへ伸びる斜行エレベーター
成田空港に設置されているオーチス製水平エレベーター

オフィスビルといった高層の建築物には、エレベーターが必須である。日本などでは高齢化などのためバリアフリーの重要性も高い。また、近年における中国経済発展はめざましく、ビルなどの建設ラッシュであるため、エレベーターを製造するメーカーの競争は激しい。各メーカーでは差別化を図る意味で、さまざまな機能などが付けられたエレベーターが製造され存在する。

  • 時速60km(分速1,010メートル)まで加速する超高速エレベーター。
  • 縦向きにではなく、横向きに動くエレベーター。(要するに水平エレベーター)
  • 階間調整機能付ダブルデッキエレベーター。
かごが2階建てになっているダブルデッキ・タイプのエレベーターもある。多くの場合、かご自体は、建物の2階分に相当する単位で昇降し、1階部分は常に奇数階に、2階部分は常に偶数階に、それぞれ停止する仕組になっている。昇降路(シャフト)あたりの輸送力が、1.5倍から1.8倍程度に向上するというメリットがあり、建物のフロア面積を効率的に利用できる。一方で、奇数階・偶数階間の移動ができない、一方の階の利用者が他方の階の利用者の乗降を待つ必要がある、といったデメリットもある。昇降人口が多い大規模高層ビルで導入されることが多い。
近年の導入事例では、六本木ヒルズ森タワーミッドランドスクエアのエレベーターがこれに該当する。なお、森タワーのエレベーターは、建物の階高の違いを吸収するため、かごの上下階の間隔が可変であるという特徴をもつ。
  • 常に人の動きを感知し、激しい動きがあると注意を促すアナウンスが流れるもの。揺れがひどい場合は、ブザーがなり一番近い階に緊急停止するもの。(エレベーター内で争い等が起きたときや、防犯に有効。)
  • 自宅のトイレをエレベーターに設置する。(例えば1階にトイレがある複数階の家に住んでいて、2階で過ごす事が多い場合、用を済ますのに毎回1階に降りるのは面倒である。エレベーター内にトイレを設置すれば、その手間が省ける。)
  • 東芝エレベータは2006年1月17日に、磁石を使って姿勢を安定させるエレベーターを開発した。昇降路に取り付けられたガイドレールと籠が接触しないため振動騒音が抑えられる。
  • 日立製作所は2006年3月1日に、2列の昇降路を最上部と底部でつなぎ、複数のかごを循環運転させる循環型エレベーターの実証実験に成功したと発表した。
  • 暗証を入力しないと呼出しボタンが機能しないエレベーター。(認知症の入居者が不用意に外出してしまうのを防ぐため、特別養護階のある老人ホームに設置されているほか、建物所有者の自宅階や店舗・病院の従業員などといった、特定の人物以外の利用を制限したい場合にも用いられる。)
この逆パターンとして、かご内の操作盤で特定のコマンドを入力することによって着床を行う階が設定できるエレベーターもあり、やはり特定階への部外者の立入を制限したい場合に設定される。
  • 日本で初めて公道として整備されたエレベーターは、長崎市道相生町上田町2号線である。2003年に完成した。
  • 日本で初めて立体横断歩道橋に整備されたエレベーターは、川崎市にある川崎ハローブリッジである。1993年3月に完成した。
  • 航空母艦には、格納庫甲板から飛行甲板に航空機を上げる大きくて重いエレベーターがある。

[編集] 定員

日本では建築基準法の規定により、人間1人を65kgと見積もって定員を計算する。現在標準的にラインナップされる定員容量は以下のとおりであり、かごの大きさは、小型で(縦・横ともに)1m弱、大型では荷物用として2m以上のタイプもある。太字がレディーメイドで対応できる定員であり、それ以外はオーダーメイドとなる。

定員と積載量の記載例
銀座奥野ビル)
  • 2人 150kg(ホームエレベーターのみ)
  • 3人 200kg(ホームエレベーター・小規模建物用小型エレベーター)
  • 4人 280kg(ごく稀なタイプ/一部の古いエレベーター)
  • 4人 300kg
  • 4人 320kg(ごく稀なタイプ)
  • 6人 450kg(古いものでは400kgの場合あり)
  • 7人 500kg(基本的に古いエレベーターのみ)
  • 8人 550kg(基本的に古いエレベーターのみ)
  • 9人 600kg(マンションのエレベーターのほとんどがこの定員)
  • 10人 650kg(ごく稀なタイプ)
  • 11人 750kg(公共施設や駅のエレベーターのほとんどがこの定員。最も一般的な定員)
  • 12人 800kg(ごく稀なタイプ)
  • 13人 900kg(850kgの場合も有り)
  • 14人 950kg(基本的に古いエレベーターのみ)
  • 15人 1,000kg
  • 16人 1,100kg(1,050kgの場合あり)
  • 17人 1,150kg(非常用エレベーターの最低限で、ほとんどがこの定員)
  • 18人 1,200kg(ごく稀なタイプ)
  • 20人 1,300kg(1,350kgの場合あり)
  • 22人 1,450kg(ごく稀なタイプ。例としてJRセントラルタワーズのパノラマサロン直通エレベーターなど)
  • 23人 1,500kg(ごく稀なタイプ。例としてサンシャイン60のオフィス用など)
  • 24人 1,600Kg(大型スーパーやショッピングモールのエレベーターのほとんどがこの定員)
  • 25人 1,650kg(一部の百貨店エレベーターで採用)
  • 26人 1,700kg
  • 27人 1,800kg
  • 30人 2,000Kg(百貨店のエレベーターのほとんどがこの定員)
  • 40人 2,600Kg(シャトルエレベーターなど)

[編集] 構造

昇降路(シャフト)
昇降路は別名シャフトと呼ばれ、エレベーターが上下するための何らかの構造物で覆われた縦に長い空間のことである。シャフトを構成する材料は鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造が多い。その他シャフト一体型と呼ばれるシャフト部材と機器本体を一体で工場にて製作し現場に据付するタイプもある。シャフト一体型は小規模集合住宅に適しており、昇降行程が低く、小容量の後付用以外にはほとんど用いられない。
かご
人が乗るための箱状の構造物を、エレベーターにおいてはかご(籠)と呼ぶ。英語ではCARと呼ぶ(車の呼称と同じ)。これに人または荷物を乗せ上下させる。室内は乗客の安全を確保するためドアによって閉ざされている。なお、かごのドアの端部には挟まれを防ぐため、大きな棒状の安全スイッチが取り付けられている。このスイッチが押されると閉まりかけたドアが開く仕組みになっている。(時折り見かける光景として、エレベーターのドアを閉じさせまいとして手足をドアに挟む者がいるが、安全スイッチを押さない限り手足はドアに挟まれてしまうので注意したほうがよい。)
室内には目的フロアを指定するボタンとドアを開閉するボタンがある。天井には換気扇が取り付けられて、通気性が確保されている。エアコンや照明器具、シャンデリアが付いているものもある。高速エレベーターには風を切るためのカバーが付いているものもある。 エレベーターは密室なので、避難用のハッチや、隣の搬器から逃げられるような仕組みをもったものがある。
ガイドレール
ガイドレールとはエレベーターを導く軌道である。材質は鋼でできており、形状は鉄道のレールとよく似ている。それを垂直方向につなげてエレベーターの軌道を構成していく。ガイドレールの役目は、かごが落下した際の緊急停止構造であると同時に、各階に設置されたドアやカウンターウエイトなどの構造物とのクリアランス(すき間)を確保するためにある。また安定した乗り心地を生む役目もある。ガイドレールとかごが接触する部分にはガイドローラーやガイドシューと呼ばれる潤滑具などで摩擦や振動を低減させている。
釣り合い錘(おもり)
カウンターウェイトとも呼ばれ、つるべ式エレベーターで用いられる錘である。全体の形状は扁平で縦に長く、非常に重い鉄の塊である。つるべ式はトラクション式とも呼ばれ、ワイヤーロープの両端にかごと錘をぶら下げてバランスを取り、ワイヤーロープ折り返し中間地点に設置された電動機(モーター)と、それに連結された滑車(シーブ)に掛かる摩擦力によってかごとウェイトを上昇下降させる方式である。この方式ではロープ両端の重量バランスが良いので、比較的小さい力でロープに吊るされた物体を上昇下降させることができる。かごとカウンターウェイトのバランスが均等にとれている状態では、人の手でエレベーターを動かすこともできるほどにモーターに掛かる負担は小さくなる。カウンターウェイトの重さは無積載かご重量の1.5倍程の重さがあるが、かご側の乗客が満員状態になるとカウンターウェイト側はかご側の3/4程度の重量になるように設計されている。
ワイヤーロープ
ワイヤーロープはトラクション式エレベーターなどで用いられる巻上索である。材質は炭素鋼が用いられる。ロープの構造は、まずストランドと呼ばれる細い線を撚り合わせたものがあり、さらにそのストランドを8本ほど撚り合わせてできている。柔軟性を保つためにロープの中心部にはマニラサイザルなどの硬質繊維芯が入っている。太さは直径10ミリ、12ミリ、16ミリなどがあり、かご積載量に応じて使用する本数が増えたり、より太いものが使われる。トラクション式ではロープの両端にかごとカウンターウェイトが吊るされていて、それらの連結部にはソケットと呼ばれる器具にバビットメタルを注入するという末端処理が施されていて、連結強度を確保している。
高層ビルのエレベーターでは使用するワイヤーの量が多く、そのままの状態では最上下階近辺ではかご側とカウンターウェイト側の重量がワイヤーロープの自重によってアンバランスになり、巻上機のシーブから滑り落ちてしまう恐れがある。そのアンバランスを解消するために、かご底部とカウンターウェイト底部との間にはコンペンセーティングロープ(或いはチェーン)と呼ばれる重量バランス調整用のワイヤーロープが渡されている。
調速機
調速機はガバナー又は非常止め装置とも呼ばれ、万一、主ロープが切断された場合でもかごを緊急停止させる機能をもつ。通常、調速機は機械室やピットに設置されることが多い。
調速機の仕組み:調速機はかごとロープ(主ロープとは別)を伝って連動しており、かごが動くと調速機のプーリーが従動して回転する。調速機ロープの終端部はかご側に位置し、その終端部に鋭いクサビ型の金属片が装着してある。万一、主ロープの切断などによってある速度(建築基準法の規定では定格速度の1.4倍)でかごが落下すると、調速機が遠心力によって機能し調速機ロープをロックさせる。ロープがロックされるとクサビ型の金属片はかごとレールの隙間に挟まり込み、かごを停止させる仕組みになっている。
緩衝器
サスペンションとも。最下階のさらに下部および最上階の上部(ピットと呼ぶ)には緩衝器(バネ油圧ダンパー等)が付いており、非常止め装置を使用しても減速しきれない場合の衝撃をやわらげる仕組みになっている。
ドア
ドアはかご側と乗場側とにあり、乗場側はインターロックと呼ばれる装置で施錠され、外部からの解錠は専用の器具を使用しない限りできない。その上、かご側及び全階の乗場側に戸閉めを検出するスイッチがあり、全ての扉が閉じていなければ起動できないように回路が構成されている。縦開き式など特殊なエレベーターを除き、かご側のドアだけに駆動装置がある。停止階に到着したエレベーターは、かごドア側の解錠装置と乗場ドアのインターロックがかみ合い、乗場のドアはかごドアの力によりインターロックによる施錠が解放され、開閉する。また、外観としては横方向に動くサイドスライドドアが主流となっている。サイドスライドドアにはサイドオープン式(片開き)とセンターオープン式(真中開き)がある。なお、ドアを開かせるには昇降路面積が余分に必要になるので、マンションなどの小型機種では小面積で済むサイドオープン式が好まれており、デパートや大規模施設などでは見た目の良さや、乗り降りのし易さなどからセンターオープン式が好まれているようである。特大貨物用にはドアが上下方向に動くアップスライド式ドアが採用されている場合がある。その他のドアとしては、円形のかごに対応する円弧状ドアや、格子状の折りたたみ式ドアなどがある。
地震感知器
エレベーターの地震感知器には、検出する地震波の種類によって大別して3種類がある。
  1. 初期微動(P波:たて揺れ)あるいは低レベルの本震を検知して最寄階に停止後、震度4以上(目安)の大きな横揺れがなければ一定時間後に自動復旧するもの。
  2. 震度4以上の揺れを検知して、最寄階に停止し運転を休止するもの(この場合保守会社の作業員が機器の安全を確認後地震感知器を復旧する)。
  3. 更に大きな揺れ(震度5クラス)を検知した場合でなおかつ最寄りの階まで数階離れている場合(急行ゾーン)は、途中で急停止させる(保守会社またはビルの技術者の指示により釣り合い錘と反対方向の最寄階まで極低速で運転する)。
ただし、いずれも地震の揺れにより機器が損傷し地震感知器とは別の安全装置が働いた場合(乗場側の戸閉検出装置がかごの接触により誤動作する場合が大半)は、閉じ込められることもある。この場合には途中で急停止するので、かご内に閉じ込められることになる。一度この状態になると、エレベーターの保守会社が現地に出向かないと復旧することができないので、救出(主に保守会社か消防レスキュー隊による)に数時間から丸一日以上を要することもあり、地震が発生する度に大きな問題になっている。
しかし、天井の救出口から自力で出ようとするべきではない。この救出口は中から脱出するためではなく、外から引き上げるためのものなので、外からボルトで固定してあったり施錠がされてあったりすることもある。むやみに自力で外部へ出ようとすると、停電復旧などで突如エレベーターが動き出すこともあるので大変危険である。このため、もしそのような状況になった場合にはエレベーターに備え付けられているインターホンを使用して外部との連絡を行った上で、救出を待つのが最善である。
乗務員

詳細は「エレベーターガール」を参照

主に一昔前の百貨店等のエレベーターは、女性のオペレーター(エレベーターガールと呼ばれる。男性エレベーターボーイもいる。)がかご内に乗り込んで、行き先階を聞いて操作していたが、最近は一般のビルと同じ無人式(自動式)が多くなった。ただし、一部の百貨店や東京タワー等では自動式でも乗務員がいる場合がある。
防犯対策
防犯のため、エレベーターのかご内の状況が外部から見えるよう、ドア(通称:防犯窓)を装着し、内部に防犯カメラが設置されているエレベーターもある。この形式のエレベーターの場合、外部からかご内の様子が見えることで犯罪いたずらを未然に防ぎ、安心してエレベーターを利用できるといった長所がある。窓付きドアのエレベーターは、主にマンション団地などの集合住宅鉄道駅・一部の商業施設などで見かける。また、深夜になると各階へ昇降する際、途中階全てに停止するエレベーターもある(たとえば1階から5階へ向かう際、2階・3階・4階で停止しドアを開ける手順を経過することになるので防犯の効果は高くなるが、昇降に時間がかかり効率を悪化させるという欠点がある)。

[編集] 駆動方式

主な駆動方式として、ロープ式と油圧式がある。

ロープ式
昇降路の直上や昇降路内に設置された巻上機の駆動力を用い、ロープで接続されたかごと釣り合い錘をガイドレールに沿って上下させるトラクション式が主流だが、ホームエレベーターなど小型のエレベータではロープをドラムに巻き取る巻胴式もある。
油圧式
荷物用や構造上建物の上部に電動機やその制御装置などを設置するための機械室を設けることができないところに置かれるエレベーターには、油圧ジャッキで持ち上げるものもある。油圧式は、電動ポンプを駆動させ、油圧ジャッキに作動油を送り込んでかごを持ち上げる方式である。直接油圧ジャッキで持ち上げる直接油圧式は荷物用に多く、油圧ジャッキでカウンターウェイトを上下させてかごを上下させる間接油圧式は乗用に多い。なお、ジャッキでかごを持ち上げる油圧式や水圧式エレベーターには間接タイプを除きカウンターウェイトは存在しない。油圧式は機械室なしエレベーターの登場により、乗用油圧式の需要は減っている。

珍しいものではスクリュー式(かごに取り付けられたナットを高速回転させて昇降路に取り付けられたボルトを利用し、昇降する。)、リニアモーター式や、かごに取付けたタイヤを電動機で駆動させる自走式などがある。工事用の仮設エレベーターには、ピニオンラック方式と呼ばれる歯車式もある。

[編集] 制御方式

昭和40年代頃までは半導体技術が現在のように発展していなかったために、エレベーターの制御回路にはリレー式回路が採用されていた。今では到底考えられないが、速度制御、ドア開閉制御、呼び出し制御、混雑回避制御などありとあらゆる制御回路が数百個から数千個にも及ぶ大量のリレースイッチ群とタイマーリレー、その他機械式接点によって構成されていた。リレー式回路は主に手作業で制御回路を構築するので、回路設計、回路変更に多大な費用と労力が掛かるものが多かった。さらに接点焼き付きなどの動作不良も多く、メンテナンスマンを大いに悩ませた。

昭和50年代に入ると半導体産業やコンピューターテクノロジーが盛隆し、エレベーターの制御回路にもマイコン方式が取り入れられた。これによって機器設置、回路設計における負担が減り、高品質で多彩な運転制御が可能になった。特にモーター制御においては加減速制御の品質が一段と飛躍した。巻上げ電動機には1980年代前半まで、高速のものには直流電動機が、低速のものには誘導電動機が用いられ、速度制御方式はそれぞれワードレオナード方式極数切替法、次いでパワーエレクトロニクスの発展によりサイリスタなどによる電動機入力電圧制御に移り変わった。1983年交流電力の可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)を行うインバータがエレベータ向けにも実用化された。それ以降、高速低速ともにインバータによる誘導電動機駆動を経て、現在では永久磁石同期電動機駆動の巻上機が主流となった。

一方、油圧式エレベーターでは、流量制御バルブによる制御が多かったが、1980年代後半からマイコン制御化が進み、1990年代に入ると規格型エレベーターを中心にVVVFインバータ制御方式が広く普及し、乗り心地向上や省エネ、走行時間短縮を実現している。

これらの技術革新によって、現在では各階への停止位置をミリ単位で微調整することが可能とされている。

なお、半導体制御化が進んでいるが、重要な箇所にはリレースイッチが残っている。リレースイッチは信号側と動作側が電気的に絶縁されているので大電流に強いこと、電磁波ノイズに強いこと、昔に比べ動作の信頼性が高くなっていることもあいまって、現在でもモーター制御回路、ドア制御回路などの重要な箇所にリレースイッチを部分的に使用しているメーカーは多い。

停止階制御
1つの建物で複数のエレベーターが並んでいる場合、それらを同じように各階に止めていくのは効率が悪い。特に、デパートなど、特定のフロアなどに客が集中する場合には、その階へ優先的に輸送することが望ましい。そのため、エレベーターの制御の単独化や、特定階の不停止制御(フロアカット)を行い、一部の階だけに停止させる急行運転(あるいは直通運転)を行なうこともしばしば見受けられる。
また、事務所ビルでは、最終退館者が防犯機器を操作した時点でその階を通過し、最初の出勤者が入館手続きを取ると停止するというシステムを採用するケースもある。最近では当たり前になった屋上階には停止しないというシステムも、防犯上の事情から実行されている。
乗り心地
エレベーターに乗ると、身体に押し付けられたり上に引っ張られたりするような感覚がある。これはエレベーターの速度の変化によって生ずる加速度が搭乗者に働くからである。速さが激しく変わるようなエレベーターは搭乗者にとって不快である。また、かごをガイドするガイドレールの取り付け方によっては横方向の揺れが発生し、乗り心地は大きく変化する。超高層ビルで運用されるエレベーター(最下階から最上階まで直通するような速度の速いエレベーター)ではレールの歪みやレール取り付け方法、加速度のコントロールに細心の注意が払われている。日本最高のビルディングである横浜ランドマークタワーのエレベーターは床面に立てた硬貨が倒れないほどに乗り心地がよいといわれる[1]。これは、加速制御の巧みさだけでなくガイドレールの配置や歪みにまで丹念に作りこまれているからである。

[編集] バリアフリー構造

通常のエレベーターに車椅子で乗り込むと、降りるときは後進で降りなければならないが、降りるときも前進で降りられるように出入り口をかごの前後に配置した形式を「ウォークスルー式」または貫通2方向型という。(ウォークスルー式でない通常ドアの機種では後方が確認できるように室内(かご内)に大きながついている。)他には手摺を付けて車椅子で移動しやすくしたり、通常より低い位置に車椅子利用者用の呼びボタンや行き先階ボタンが設けられていたりしている。車椅子利用者用ボタンを押すとドアの開いている時間が通常より長くなるように設定されている。また建物の構造上、貫通2方向型が設置できない場合などのために、前面と側面の2方向にドアが配置された直角2方向型の機種もある。駅舎やペデストリアンデッキのエレベーターに多い(小田原駅など)。しかし、乗客には降り口が判別し難い場合があるので、目的階に到着すると「後ろのドアが開きます」や「こちらのドアが開きます」などと親切に音声によって降り口が案内される。その他、近年製造されたエレベーターのボタンは、ほとんどに凸文字ボタンや視覚障害者用の点字が採用され、さらに人に優しいエレベーターへと進化している。また近年、老朽化したエレベーターをリニューアルする際に、車いす仕様の追加を行う例が増えている。

また、貫通2方向型の機種は、大規模病院や事業所などでストレッチャーや貨物搬送の都合から採用するケースがある。

[編集] 製造メーカー

三菱電機の世界一高い試験塔「ソラエ」

日本におけるエレベーターの主な製造メーカーは以下の会社である。

海外の主なメーカーは以下のとおり。

また、主要な会社ではエスカレータも製造している。

[編集] 日本でのシェア

2007年現在、日本国内での総据付台数ベースでのシェアは以下のとおりとなっている。

1位 三菱電機
2位 日立製作所
3位 東芝エレベータ

以上の3社(総合電機メーカー御三家)で約8割を占め、日本オーチス・エレベータフジテックシンドラーエレベータ、中央エレベータ工業等がその他を占める。

メーカーの選定に際しては、建物所有者の資本系列や融資金融機関の系列が絡むことが多い。例えば、三菱地所が所有する建物(丸の内ビルディング横浜ランドマークタワーなど)では、必然的に三菱電機製が採用されることになる(ただし横浜ランドマークタワーのプラザ棟のように、メーカー名が伏せられているがパネル形状から明らかに日立製とわかるなど例外がある)。逆に大手スーパーマーケットチェーンなどでは、店舗によって様々である。下位メーカーは官公庁発注の一般入札物件で、安値で応札して採用されることが多い。

上位2社の三菱電機と日立製作所は、ホームエレベーター事業を両社の合弁会社三菱日立ホームエレベーター」による共同事業としている。

[編集] 開発環境

エレベーターを開発する際には、テストする際に実際のビルと同じ高さの建設物が必要となる。そのため、各社ではテスト塔とよばれる高い建設物を作り、製品の安全性、機能性などをテストしている。

[編集] 安全と寿命

よく映画等の一場面において、エレベーターのワイヤーが切れて高速で落下するシーンが登場するが、これには誤りが多い。エレベーターのかごを吊り下げるワイヤーの強度は定員の約10倍の重さに耐えられる強度を有することが義務づけられているため、その全てが切断すること自体が極めてまれである(ワイヤーの使用本数3本以上)。万一、切断してかごが落下に転じても、定格速度の1.4倍で非常止め装置が作動して急停止する(参照:構造)。(ただし、調速機ロープが同時に切断された場合は例外である。)つまり、映画『マトリックス』のワンシーンのように爆破されたり、主ロープと調速機ロープが同時に破断されない限り、落下事故は起き得ない。

以前は「非常止め装置が調速機ロープを切断されるなどして作動しなくても、エレベーターはエレベーターシャフト周壁との間隙が小さいことにより、かごにかかる空気抵抗が大きいため、ある程度の減速効果を有する」と言われていたが、東芝エレベーターテスト塔での落下事故で、減速効果はほとんどないと証明された。このような効果を得るには、シャフト内の空気量が不変でなければならない。

エレベーターの寿命は機器全体として考えた場合は長く、25年前後使用されることが多い(法定償却耐用年数は17年と定められている)。ただし、電子部品やワイヤー、軸受などはほぼ10年など、個々の部品の寿命は一般的な物理的寿命と大差ない。寿命を迎えた場合には、一式取り替える撤去新設工事だけでなく、リニューアル・延命工事も広く施工され、巻上機やかご・レールはそのまま使用するが、電動機や制御機器を最新型のものに取り替えて最新型と同等の性能を発揮できるようにする。

2008年現在、稼働中のものとして日本最古のエレベータは、京都市に店を構える東華菜館に設置されているもので、1926年大正15年)から稼動している。

[編集] メンテナンス

エレベーターは可動や経年変化によって消耗する部品があり、定期的なメンテナンスを必要とする。メンテナンスを行わないエレベーターは重大な事故を招きかねない。メンテナンスはメーカー自身、もしくは系列のメンテナンス会社が行うケースがほとんどである。一方、メーカー系列に属さない独立系メンテナンス会社もある。1980年代に独立系メンテナンス会社に対するメーカーの部品売り渋りが問題となり、独立系メンテナンス会社がメーカーを相手取って裁判を起こし、10年がかりで勝訴した。しかし、メーカーと独立系メンテナンス会社との関係が険悪なのは現在も変わらず、2009年に国土交通省が行った実態調査でこれが浮き彫りになった[1]

[編集] 日本での保守契約形態

  • FM(フルメンテナンス)
  • POG(パーツ・オイル・グリース)

[編集] 日本でのメンテナンス形態

メーカー直轄

メーカーの子会社

独立系

[編集] 主な事故

[編集] 名称の表記

この機器の名称は、「エレベーター」と表記されたり「エレベータ」と表記されたり、表記が一貫していない。しかし、JIS(日本工業規格)では「エレベータ」と表記している。

JISの中には、用語や記述記号についての定めもある。
JIS Z 8301 「規格票の様式及び作成方法」附属書G(規定)文章の書き方,用字,用語,記述符号及び数字 6.2 c) および表G.3。
一般には、外来語で英語の語尾が「-er」「-or」「-ar」の場合、長音符号で表記するので、「エレベーター」となる。しかし、JISでは、学術用語や別の規格がある場合以外は、その言葉が3音節以上であれば、長音符号を省くのが原則となっている。したがって、JISでは、エレベーターを「エレベータ」と表記する。これらは、どちらが正しくてどちらが誤りというわけではない。ただし、製造メーカーは、JISに従い「エレベータ」と表記することが多い。
これは、「エスカレーター/エスカレータ」「プリンター/プリンタ」なども同様である。

JISにおける一般的な表記方法はJIS独自のものではなく、国語審議会が審議して内閣が定めた内閣告示に基づいている。外来語の表記は『内閣告示第二号』(平成3年6月28日)によって定められており、その「用例集」には、「エレベーター/エレベータ」の両方が記載されている。JIS C 3408「エレベータ用ケーブル」などのJIS規格では、「エレベータ」を採用している。

[編集] その他

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリーエレベーターの項目があります。

[編集] 脚注

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月19日 (木) 05:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【エレベーター】変更履歴

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