オフショア

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曖昧さ回避 この項目では、金融用語について記述しています。その他の用法については「オフショア (曖昧さ回避)」をご覧ください。

オフショア(offshore, offshoring)とは、金融用語では、外国の投資家や企業の資産管理を受け入れる金融機関や市場を指す。おおむね『タックス・ヘイヴン』(租税回避地)と同義語として使用される。

目次

[編集] 語源

タックスヘイブンとして利用される地域は、法律の適用状態が緩やかで、資産や投資活動に対する課税がないか、少額である必要がある。こういった条件を満たす代表的な地域として、イギリスのマン島など本土の海岸から少し離れた島(マン島はグレートブリテン島とアイルランド島の中間くらいの位置にある)が挙げられる。このことから「国または本土の沿岸から遠く離れた地域」を意味する「オフショア」という言葉[1]が、租税回避地という意味を持つようになった。

金融用語としてのオフショアは必ずしも地域を指すわけではなく、同等の機能を果たす金融機関などを指す場合もある。

[編集] オンショア

オンショア(onshore)』は原義ではオフショアの反対語だが、金融用語ではオフショアに準じる経済自由地帯の意味で使用されることが多い。具体的には外国の投資家や企業の資産管理を受け入れるものの、比較的低額であるが税金はかかる地域を指す。

日本を例に取ると、オフショアとしては香港シンガポールマン島ベルギールクセンブルク、 オンショアとしてはハワイオーストラリアニュージーランドスイスなどが挙げられる。

節税の方法としては「ゆるいオフショア」とも言えるオンショアとオフショアを組み合わせた形態(スキーム)や、あるいは、オフショアとして全く認知されていない国を使うスキームもある。


[編集] オフショアの特徴・制限

オフショアの条件としては、上に述べた税金が安かったり規制が緩やかであったりすることのほかに、政治的に安定した場所であることが必須である。国際的な紛争に巻き込まれたり、施政者の気分次第でそこにある資産が他へ移動できなくなったり、あるいは最悪没収されたりするような可能性のある所は、オフショアやオンショアの条件を満たさない。

近年のマネーロンダリングに対する国際金融上の厳しい規制によりスイスやオーストリアやリヒテンシュタインで番号口座(いわゆる秘密口座)が発行されなくなったこともあり、オフショアでの個人での銀行口座開設は個人情報保護・プライバシー保護上まったく無意味である(SWIFT等の国際送金の際の送金データに口座名義人の個人名が必ず含まれる)ため、オフショアを利用する際には事実上オフショア法人設立が欠かせないが、その際にも各オフショアの様々な特徴や制限を知っておく必要がある。(日本の居住者で、個人名義でスイスなどのプライベートバンクに口座を開設している方はその旨よく理解し、これで節税対策はバッチリだとか、日本の国税当局が口座の存在を知らないとはゆめゆめ思わないこと。ある日突然「お尋ね」と称する郵便が税務署から届くことが予想されます。送金日、送金先、送金金額をずばり指摘し、送金目的やその後の状況を問い合わせる内容が一般的です。日本の法律上、税当局からの質問に黙秘権は行使できませんので、正直に回答しないと罪になってしまいますのでご注意を。)

[編集] ネガティブ・ファクター

ネットワークにおけるセキュリティでは全てのポートを閉じてから必要なポートだけを開けていく。それと同様に、オフショアのセキュリティ確保においても、ネガティブな要素をまず全回避するのが常套手段であるといえる。そのためまずネガティブファクターを記載する。

[編集] OECDの租税情報交換協定(Tax Information Exchange Agreements: TIEAS)締結国

2000年12月6日~2009年9月10日現在までの締結国

  • Anguilla
  • Antigua & Barbuda
  • Aruba
  • Bahamas
  • Bermuda
  • British Virgin Islands
  • Cayman Islands
  • Cook Islands
  • Guernsey
  • Gibraltar
  • Isle of Man
  • Jersey
  • Liechtenstein
  • Monaco
  • Netherlands Antilles
  • San Marino
  • St Kitts & Nevis
  • St Vincent & the Grenadines
  • Turks & Caicos Islands

[編集] 法人格否認の法理(Piercing the Corporate Veil)を採用している国

法人格否認の法理(Piercing the Corporate Veil)とは、一般に法人は構成員(株主等)とは別個の法的な人格が与えられ独立して権利・義務の主体となると考えられている。しかし、一定の場合には法人の形式的独立性を認めることが正義・衡平に反する結果をもたらすことがある。そのようなときに法人とその背後の者(支配株主や経営責任者、等)とを同一視することを法人格の否認という。要は、法人とそれを支配する人間(自然人)は共犯関係である、という法律理論。

  • 日本/Japan・・・日本はオフショアではないが、参考までに。)
  • 中華人民共和国/People's Republic of China
  • 香港/Hong Kong・・・特別な規定・判例は見当たらないが中国の特別行政管理地区であるため)

[編集] ポジティブ・ファクター

オフショア選択の際のポジティブ・ファクターを以下列記する。ただし、見かけの条件が良かったり、大勢の人々が利用しているからといって「赤信号皆で渡れば怖くない」というわけでは必ずしもないケースもあるので注意。

[編集] ポピュラリティ

世界のオフショアにおける法人設立数では、香港が1位(約40万社)、パナマが2位(約35万社)である。

[編集] ノミニー ディレクター/Nominee Director(名目上の取締役)が可能な国・地域(アルファベット順)

著名なオフショアはほとんどノミニーディレクター/Nominee Director(名目上の取締役)が可能である。設立者の個人名が登記簿等に出なくする効果がある。

[編集] ノミニー シェアホルダー/Nominee Shareholder(名目上の株主)が可能な国・地域(アルファベット順)

著名なオフショアはほとんどノミニーシェアホルダー/Nominee Shareholder(名目上の株主)が可能である。設立者の個人名が登記簿等に出なくする効果がある。

[編集] コーポレート ディレクター/Corporate Director(法人取締役)が可能な国・地域(アルファベット順)

自然人(普通の人間)ではなく法人(法的実体/Legal Entity)が取締役に就任できる制度のこと。法人が取締役に就任できれば個人情報・プライバシー情報の保護上都合が良い。ただし、銀行口座の開設や実際のビジネスの際に不都合が発生する可能性もあるため注意。

[編集] コーポレート シェアホルダー/Corporate Shareholder(法人株主)が可能な国・地域(アルファベット順)

自然人(普通の人間)ではなく法人(法的実体/Legal Entity)が株主になれる制度のこと。オフショアに限らず一般的に可能である。

[編集] 無記名株券/白紙株券の発行が可能な国・地域(アルファベット順)

無記名株券/白紙株券は、英語で「Bearer Shares」と呼ばれ、その株券を現に所有している者が株主であるという形態の株券。 一見個人情報保護/プライバシー保護上、非常に有効に思えるかもしれないが、無記名株券/白紙株券で設立されたオフショア法人は銀行口座開設が非常に困難である場合がほとんどであるため注意する必要がある。

[編集] 登録不要型

登録不要型とは、登録型とは異なり一切の登録が不要なタイプである。そのため英語では「Real Bearer Shares」や「True Bearer Shares」とも呼ばれる。株券の譲渡や相続の際に当該国の政府当局・機関を含めて誰にも登録・報告をする必要が一切ない。極端な話、当局に事情聴取を受けるため出発する直前に、奥さんや子供にポンと株券を渡してから出かければ、「あなたはこの法人の所有者または株主ですか?」と質問されても、「いいえ」と堂々と答えることが可能となる。

  • パナマ/Panama・・・パナマでは無記名株券での設立は特殊ではなく普通の慣習なので、パナマ国内の銀行で口座開設が普通にできる。ただし、パナマ国外の銀行での口座開設は一般に非常に困難。

[編集] 登録型

登録型とは、英語で「Registered Bearer Shares」と呼ばれ、当該オフショア国・地域に所在地のある登記業者や銀行等への株券所有者の氏名や住所等の個人情報の登録が必要なタイプである。そのため株券の譲渡や相続の際には当該国の政府当局・機関への更新登録が必要である。要は「なんちゃって無記名株券」であり、プライバシー保護上ほぼ無意味といえる。

[編集] 財団法人(foundation)の設立が可能な国・地域(アルファベット順)

財団法人は、トラスト(信託)と通常法人の両方の性質を持つ法的実体(Legal Entity)であり、所有者というものが法的に存在しないため、真に個人情報やプライバシー情報を保護してオフショアを活用するには必須のツールである。 おおまかに、準拠する法体系に応じて、Common law(英米法)とCivil law(大陸法)に分類される。

[編集] Common law(英米法)

[編集] Civil law(大陸法)

[編集] 法人所在地

世界のどこに法人所在地・オフィスを置いてもよい、あるいは置かなくても良い。そもそも法人所在地・オフィスを登録する必要が一切ない国。

[編集] 会計・決算

香港は既にオフショアとして全く無意味であるが、プライバシーや税の問題よりも、会計・決算が非常に厳しく求められそのコストがかなり負担なのも大きな原因のひとつである。会計・決算が一切不要で、かつその報告も一切不要なオフショアは次の通り。

[編集] 株主総会・取締役会

世界のどこで・どのように開催してもかまわないし、開催しなくてもよい国。

[編集] ビジネスを現地国で行っても良いオフショア法人が設立可能な国・地域(アルファベット順)

一般にオフショア法人はいわゆるIBC(International Business Company/Corporation)であり、当該国の国外では自由にビジネスができるが、当該国の国内でのビジネスは一切禁じられていることが一般的である。しかしながら、それはそれで非常に不都合なことが発生するケースもあるため、当該国の内外で自由にビジネスできるオフショアは一考に価する。

  • パナマ/Panama・・・パナマには国内法人と海外法人(国際事業法人)=IBC(International Business Corporation)の区別は存在せず、内外とも同じ制度のもとで設立される。このことは意外と重要で、どれが国内法人で、どれが海外からオフショア目的で設立された法人かは、パナマ政府を含めて誰にも区別がつかないという結果をもたらす。また、パナマ法人の税制はシンプルで、パナマ国外源泉の収入は一切非課税であり、パナマ国内源泉の収入は課税される、というものである。
  • セントビンセント・グレナディーン/Saint Vincent and the Grenadines・・・・いわゆるハイブリッド型のIBCである。当該国の内外で自由にビジネスしてもよく、かつ、内外双方における収入に対して当該国の政府から25年間無税の証明書が発行される。

[編集] 法人格否認の法理(Piercing the Corporate Veil)を採用しない国

要約すると「法人は法人、個人は個人と明確に法的に切り分けて扱う法制度を持つ国」ということ。オフショア選択には実は隠れた必須の条件といえる。

[編集] 他国と「租税条約」を一切締結していない国・地域(アルファベット順)

[編集] 他国と「刑事共助条約(Mutual Legal Assistance Treaty: 略称MLAT)」を一切締結していない国・地域(アルファベット順)

[編集] 他国と「犯罪人引渡し条約」を一切締結していない国・地域(アルファベット順)

[編集] 他国での脱税行為を裁判所で犯罪として扱うことがほとんどない国・地域(アルファベット順)

[編集] マネーロンダリングを裁判所で犯罪として扱うことがほとんどない国・地域(アルファベット順)

  • グァテマラ/Guatemala・・・・・ただし、この国に法人設立や銀行口座開設するのは治安上かなりの勇気が。。

[編集] 香港で法人の銀行口座を開設するのが可能な国・地域(アルファベット順)

香港は、中国の特別行政地区であることによるカントリーリスクや、独特な中華的商習慣の存在、厳格な決算報告が要求されること(決算報告しない法人は翌年からの営業が禁止される!)、香港に日本の国税当局の連絡事務所が存在し法人や銀行口座の真の所有者の個人情報を日本の国税当局が簡単に入手することができるなど、特に日本の居住者には全くオフショアとして機能しないことが業界関係者のうちではよく知られている。 香港はアジア周辺諸国よりも欧米諸国に居住する人々に好適なオフショアであるといえる。 それでも中国とのビジネスのゲートウェイとして香港に勝る立地はなく、ペーパーカンパニーではなく実際にビジネスを行う場合に、香港に銀行口座を有するオフショア法人には一定の価値がある場合も多い。

以下はオフショアではなくオンショアだが、参考までに。

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  1. ^ 原義としては「沖合い」「沖に向かう(風など)」を意味し、転じて「国または本土の沿岸から遠く離れた地域」「海外」という意味にも用いられる。

[編集] 関連項目

用例

  • オフショア銀行、オフショア投資銀行: Offshore bank
  • オフショア金融:offshore banking
  • オフショア勘定、オフショア口座:offshore account
  • オフショア投資 Offshore investment
  • オフショア・ファンド、国際投資信託、在外投資信託:Offshore fund
  • オフショア市場:offshore market cf.東京オフショア市場(JOM:Japan Offshore Market)
  • オフショア金融センター Offshore Financial Centre
  • オフショア・アウトソーシング Offshore outsourcing

その他関連項目

[編集] 外部リンク

財務省 我が国の租税条約ネットワーク(45条約、56カ国適用/平成21年4月現在)

OECD 租税情報交換協定

最終更新 2009年9月23日 (水) 00:38 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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