オールウェザー (競馬)
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オールウェザー(All Weather)は、競馬などで使用される馬場(走路)の一種、および、その馬場を構成する素材の総称。合成馬場や人工馬場ともいう。
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[編集] 概説
競馬で主に使用されている馬場の種類には芝とダートがあるが、芝は使用しているうちに馬の蹄によって掘られて表面が荒れてしまい、競走馬の故障の原因となったり、見栄えも悪くなるといった欠点がある。また、荒れた馬場を修復するためには多くの手間と費用がかかる。
一方、砂や土を使っているダートは表面をならすだけで修復できるが、乾くと人馬の健康上の被害や環境面での影響が懸念されている砂埃が発生したり、雨が降ると水溜りができたり流れたりしてしまう。
コースコンディションの維持は競馬の開催を行うためには不可欠であり、表面をならすのが容易でクッション性も高く、砂埃の発生が少なく、水はけも良いといった理想的なコンディションを維持できる馬場の開発は長年の研究課題とされ、様々な素材が開発された。このような人工素材を使用した馬場をオールウェザートラックやオールウェザーコースと呼ぶ。その他に合成馬場(Synthetic surface =シンセティックサーフェイス)や人工馬場(Artificial surface =アーティフィシャルサーフェイス)などとも呼ばれる。また、製品名をそのままオールウェザーと同様の意味で使用する場合もある。オールウェザーは競馬場や競走馬のトレーニングセンターの他、乗馬用の馬場などにも導入されている。
2009年1月に発表されたワールド・サラブレッド・ランキングから、馬場の区分に従来の芝(Tと表記。Turfの略)とダート(Dと表記。Dirtの略)に加え、人工馬場(Aと表記。Artificial surfaceの略)が追加された。
[編集] 各国の導入状況
イギリスでは20世紀末にポリトラックを使用した馬場がリングフィールド競馬場に設けられ、現在同国の4つの競馬場がポリトラックの馬場を有している。また同国の調教師の多くがポリトラックの馬場を調教に利用している。
アメリカでは2000年代初頭から従来のダートに替わってオールウェザーの馬場で競走を行うべきだとする主張が有力になり、馬場の転換を図る競馬場が増加している。2006年にはカリフォルニア州競馬委員会が、2007年末までに同州の主要競馬場へのオールウェザー導入を義務付けた。2008年、2009年のブリーダーズカップは、オールウェザーが導入されている同州のサンタアニタパーク競馬場で行われた(ブリーダーズカップが同一競馬場で2年連続開催されたのは初)。
[編集] 日本の導入状況
日本では一部のトレーニングセンター、 あるいは牧場のトレーニング施設などで使用されている程度であったが、日本中央競馬会(JRA)は以前より、日本の高温多湿な天候が品質に及ぼす影響や、雨が降った場合にワックスなどがどの程度流れ出すかなどの環境面での影響を調査していた。
そして2007年11月16日、美浦トレーニングセンターに総工費約9億円をかけたニューポリトラックによる調教コースが開場した。南馬場Cコース(芝コース)において外柵(ラチ)側を約5メートル拡張し、幅員25メートルのうち外側の15メートル部分に敷設された。2007年朝日杯フューチュリティステークスの勝ち馬ゴスホークケンは、蹄が弱くウッドチップコースでは強い調教が出来なかったが、このニューポリトラックコースによって万全の仕上げができたと言われ、開場早々顕著な成果を挙げた。 また、ポリトラックの調教コースには、調教時間中に馬場整備をする車が入り調教を中断することがないため、混雑する時間がなく、神経質な馬でも順調に調教がこなせる利点もある[1]。美浦に続いて、栗東トレーニングセンターでも従来のウッドチップによる調教コースを改修してニューポリトラックを導入[2]、2009年10月2日に開場した。
地方競馬では、大井競馬場を運営する特別区競馬組合が2009年秋の完成を目指して、千葉県の小林牧場(小林トレーニングセンター)内にコース全長1100メートル、坂路部分400メートルのポリトラック坂路導入を決定。また、大井競馬場の本コースをポリトラック馬場に変更する計画も進めており、実現すれば日本初のオールウェザーレースコース誕生となる。
[編集] 素材の種類
オールウェザーとして使用される素材には、その配合や製造するメーカーによって様々な名称がある。
- エクイトラック
- 砂にワックスを混合した素材。冬季に凍結することはないが、馬の足に油が付いて汚れたり、塊になって蹄の裏に付着するなどの欠点があったため、使用されなくなった。
- ファイバーサンド
- 人工の繊維と砂を混合した素材。繊維と砂の比重が違うため、使用しているうちに分離してしまう欠点があった。エポキシ樹脂を混合することによって均一にすることが可能だが、樹脂に費用がかかる。現在、英国のサゾル競馬場で使用されている。
- また、繊維を固めた状態で砂を入れることによってクッション性と水はけを両立した改良型である「ファイバーマット」が、東京競馬場のダートコースの水はけの悪い部分の路盤として使用されている。
- ポリトラック
- 砂に、海底ケーブルの廃材として出る電線の被覆材、合成ゴムの破片等とワックスを混合した素材。イギリスのポリトラック社が製造している。ポリトラック開発のきっかけは障害馬術の馬場の改良で、障害馬術選手のマーティン・コリンズがはじめ電話線に被覆するポリ素材を使用したポリトラックを考案した。
- ポリトラックを使用した競馬場では悪天候による開催中止が少なく、馬の故障も減少。芝やダートのように定期的に入れ替える必要がほとんど無く、コストダウンが可能といった様々な利点から、オールウェザーの導入が進むきっかけとなった素材。
- しかし、電線の被覆材の長さやワックスの配合によっては塊になって馬の蹄の裏に付いたり、競馬の際に馬が蹴り上げる量が多くなるなどの欠点があったため、その後改良が加えられて「ニューポリトラック」となった。
- ニューポリトラック
- ポリトラックの欠点を解消するため、電線の被覆材の長さを短くしたり、ワックスの混合比率を変えるなどの改良を行ってできた素材。現在ポリトラックと言えばこのニューポリトラックを指す場合が多い。イギリスのリングフィールド競馬場や、アメリカのアーリントンパーク競馬場、キーンランド競馬場などで使用されている。
- エコトラック
- ポリトラックやニューポリトラックで使用されていた電線の被覆材が足りなくなったため、絨毯のくずなどを使用して作られた素材。実際にはエコトラックであっても、ポリトラックと呼ばれている場合もある。カナダのウッドバイン競馬場やアメリカのデルマー競馬場で使用されている。
- クッショントラック
- 二酸化ケイ素を主成分とする砂に、ゴムのくず、化学繊維、特殊なワックスを混合した素材。クッショントラック・フッティングス社が製造している。ハリウッドパーク競馬場などで使用されている。サンタアニタパーク競馬場も一時期導入していた。
- タペタ
- 調教師のマイケル・ディッキンソンが考案した素材。アメリカのタペタ・フッティングス社が製造している。アメリカのゴールデンゲートフィールズ競馬場や、ドバイのメイダン競馬場などで使用されている。「タペタ」はラテン語でカーペットの意味。
- スタロック
- アメリカのスタビライザー・レーシングサーフェイシズ社が製造している素材。フランスやトルコなどで使用されている。
- プロライド
- プロライド社が製造している。サンタアニタパーク競馬場が2008年にクッショントラックからプロライドに切り替えた。
[編集] 画像
[編集] 関連項目
[編集] 参考
- 「オールウェザートラックを検証する」『RIDE ON 22』2007年3月7日放送、グリーンチャンネル。
[編集] 出典
- ^ 『優駿』(日本中央競馬会)2008年2月号
- ^ 平成21年度事業計画書 日本中央競馬会
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年11月17日 (火) 05:57 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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