カインド・オブ・ブルー

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Kind Of Blue
マイルス・デイヴィススタジオ・アルバム
リリース 1959年8月17日
録音 1959年3月2日4月22日
ジャンル ジャズモード・ジャズ
時間 55分16秒
レーベル コロムビア・レコード
プロデュース テオ・マセロ、アーヴィング・タウンゼント
専門評論家によるレビュー
マイルス・デイヴィス 年表
ポーギー&ベス
(1958年)
カインド・オブ・ブルー
(1959年)
スケッチ・オブ・スペイン
(1960年)

カインド・オブ・ブルーKind Of Blue)は、ジャズトランペット奏者のマイルス・デイヴィスが、自らのバンドで1959年に録音し、同年コロムビア・レコードから発表したアルバム。モード・ジャズを代表する作品の一つ。

モダン・ジャズの歴史上でも屈指の傑作アルバムとされ、そのコンセプトは以後のジャズ界に大きな影響を与えた。世界的にも広く愛聴されており、発表後半世紀近くを経ながらミリオンセラーを達成、現代までジャズ・アルバムとしては異例のセールス記録を伸ばし続けている。2003年、ローリング・ストーン誌が選出したオールタイム・グレイテスト・アルバム500で、ジャズのアルバム、50年代以前に発表されたアルバムとして最高位の12位にランク・イン[1]

1997年の再発CDで、「フラメンコ・スケッチ」の別テイクがボーナス・トラックとして収録された。

2008年には発売50周年を記念して「50th Anniversary Collector's Edition」(50周年記念コレクターズエディション)が限定ボックスセットとして発売された。オリジナル音源に完全未発表テイクやレア音源を収録した2枚組CDに加え、DVDと本作のアナログ盤(180グラム青盤カラーLP)、ブックレット、写真、ポスターが豪華特典として含まれている。2009年にはボックスセットの2枚組CDが単体で「50th Anniversary Edition」として、そしてその2枚組CDにDVDを加えたものが「50th Anniversary Legacy Edition」として発売された。後者には国内盤とEU盤の2種類があるが、EU盤のDVDは日本語字幕を表示可能(前述のコレクターズエディションに収蔵のDVDも同様)。

目次

[編集] 解説

マイルスのバンドは、『マイルストーンズ』(1958年)でキャノンボール・アダレイアルト・サックス)を加えて6人編成となり、従前のハード・バップ・スタイルに留まらない、「モード・ジャズ」と呼ばれる新たな演奏手法に挑むようになった。

1958年中期からは短期間ながらビル・エヴァンスピアノ)も加え、更にモード・ジャズを発展させた。エヴァンス、そして本作にも参加しているジョン・コルトレーンも、マイルスの後を追うようにモード・ジャズを世に広めていった。マイルス本人は、この時期はモーリス・ラヴェルなどクラシックの作曲家を研究しており、本作にもそうした要素がどこかに入っていると語っている。

「ソー・ホワット」は、マイルスの口癖をタイトルにした曲で、後にビル・エヴァンスもジェレミー・スタイグとの共演盤『ホワッツ・ニュー』で再演した。

[編集] 収録曲

クレジット上では全曲マイルス・デイヴィス作曲。ただし、「ブルー・イン・グリーン」は実際はビル・エヴァンスの作品である。

「フラメンコ・スケッチ」もエヴァンスのアイディアに基づく。レナード・バーンスタインが1944年に作曲したナンバー「サム・アザー・タイム」の冒頭モチーフを元に、1958年12月にエヴァンスのソロピアノによる即興演奏で録音され、翌年発売のアルバム「エヴリバディ・ディグス・ビル・エヴァンス」に収録された「ピース・ピース」が、その原型である。

  • A面
  1. ソー・ホワット - So What
  2. フレディ・フリーローダー - Freddie Freeloader
  3. ブルー・イン・グリーン - Blue In Green
  • B面
  1. オール・ブルース - All Blues
  2. フラメンコ・スケッチ - Flamenco Sketches
  • 正規CD追加収録
    • フラメンコ・スケッチ(別テイク)

[編集] 演奏メンバー

[編集] エピソード

  • 録音当時、既にビル・エヴァンスはマイルスのバンドから脱退しており、新人のウィントン・ケリーがピアノの後任となっていたが、マイルスは本作録音のため、ハード・バップ系のプレイヤーであるケリーを差し置いて、敢えてモード手法への造詣が深いエヴァンスを一時的に招いた。マイルスの思惑を伝えられていなかったケリーが、録音当日のスタジオでエヴァンスに出くわし、出番がないと知らされ拗ねてしまった、という逸話が残る。ケリーはアルバム中で唯一の軽快なブルースナンバーである「フレディ・フリーローダー」1曲のみに参加している。
  • エヴァンスは音楽面のみならず、文才を活かして本アルバムのライナーノーツまで執筆した。彼は文中で日本の水墨画の筆遣いを例えにあげながら、バンドが取り組んだ新しいジャズの即興性について語っている。
  • 「ブルー・イン・グリーン」は、1958年末頃、マイルスがエヴァンスにGマイナーとAオーギュメントという2つの和音を提示するなり「さあ、どうする?」と問うたことが、作曲のきっかけとなった。エヴァンスは即座に答えることができず、時間をかけた熟慮の末に曲を完成させた。和音の循環の中から幽玄な世界を紡ぎ出したこのナンバーは、モダン・ジャズの歴史の中でも群を抜いて美しい曲の一つとされ、ミニマル・ミュージックの先駆とも言われるが、理不尽にもマイルスの名義で著作権登録されたため、作曲者であるエヴァンスは生涯にわたってこれを不満に感じていたという(作風から、客観的にもエヴァンスの作品であることが明白であった)。その後、エヴァンスのアルバムで幾度かこの曲が演奏された際には、作曲者はエヴァンス単独か、マイルスとの共作という形で表記された。
    • ちなみに、当初この曲はコルトレーンとキャノンボールを外し、マイルス一人のワン・ホーンで録音される予定だったようだが、マスターテープの音声には演奏開始直前、コルトレーンに「おまえも演れ」と誘うマイルスの声が記録されていることから、休憩予定のコルトレーンが飛び入り参加した模様である。コルトレーンはここで短いながら硬質で重厚なソロを披露している。
  • 1959年8月に発売されたアルバムジャケットおよびレーベルでは、なぜか「オール・ブルース」と「フラメンコ・スケッチズ」が、曲とタイトルを入れ違えた形で記載されており、(おそらくは曲名については未定段階で書かれ、符号のみで記されていたと思われる)ビル・エヴァンス自筆の解説文においても、この2曲は入れ違って表記されていた。レーベル面のミスは同年10月の追加プレス以降は訂正されたが、ジャケット裏側の曲名記載ミスは1990年代のCD時代まで続いていて、混乱を招いた。このアルバムと同年にベツレヘム・レーベルで録音されたアルバム「The Soft Land of Make Believes」で歌手のフランク・ミニオンは、ビル・エヴァンスの参加を得ているにも関わらず、「オール・ブルース」を「フラメンコ・スケッチズ」の題名で、フラメンコにちなむ内容の自作歌詞を付けて歌った。取り違えもここまで行くと甚だしい。
  • 録音時のスタジオではアンペックス製の3トラックステレオ録音機300-3を2台使って、メインとサブの2組のテープデッキが作動していたが、オリジナル・アルバムのA面に収録されていた「ソー・ホワット」「フレディ・フリーローダー」「ブルー・イン・グリーン」の3曲の録音の際には、メインデッキの駆動が不調だった模様で、規定より僅かに遅いスピードでテープが回っていた。このためレコード化の際に正常なデッキで再生されたメインテープ音源は、ピッチが原音から僅かに高く狂った状態になっていた。発売後30年以上の間、音感の鋭いミュージシャン等の間でこれを不思議に思う者はあったようだが、1992年、A面の曲が録音されたオリジナルの3トラックのセッション・テープがようやく発見され(それもメインとサブと同時)、この際、2つのオリジナル・テープの聞き比べによってメインデッキのトラブルによるピッチ狂いが判明し、3曲の音源がサブテープに切り替えられて市販CDのピッチ是正が実現したのは、実に1993年のことであった。ちなみにこのピッチを是正した初出CDは、20ビットマスタリングでSBM処理が施され、日米共に24KゴールドCD仕様で発売され、生産数も非常に僅かだったこともあり、日本盤は発売と同時に売り切れた為、非常に貴重なレア・アイテムとなっている。このCDは日本ではソニー・ミュージックから、SRCS6681という規格番号にて発売された。[2]

[編集] 脚注

  1. ^ The RS 500 Greatest Albums of All Time : Rolling Stone
  2. ^ 参考文献:1993年発売の同アルバムCD SRCS6681のブックレットより

最終更新 2009年6月27日 (土) 21:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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