カジキ
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![]() シロカジキ Istiompax indica |
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| カジキ(梶木・舵木・旗魚) | ||||||||||||||||||
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カジキ(梶木・舵木・旗魚)は、魚類スズキ目カジキ亜目 Xiphioidei の総称。メカジキ科 Xiphiidae とマカジキ科 Istiophoridae からなり、分類によってはサバ亜目に含めたり、カジキ上科 Xiphioidea としたりもする。
温暖な海を高速で遊泳する大型肉食魚で、いずれも上顎が剣のように長く鋭く伸びて「吻」(ふん)を形成する。
食用や、トローリングによるスポーツフィッシングの対象魚として重要な魚種の一つである。生態や肉質がマグロに似ることからカジキマグロという俗称もあるが、マグロとはまた異なる分類群である。
10~12種が生息し、日本近海にはメカジキ・マカジキ・バショウカジキ・フウライカジキ・シロカジキ・クロカジキの6種が生息する。
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[編集] 呼び名
「カジキ」という和名は、その吻で舵木(船の舵をとる硬い木板)を突き通すことから舵木通し(カジキドオシ)と呼ばれ、それを略したものとする説が有力である。
英語ではビルフィッシュ billfish と呼ぶ (Collette et al. 2006) が、マカジキ科のみを billfish とすることもある (Nelson 2006; Hebrank et al. 1990)。
また、メカジキはソードフィッシュ swordfish、バショウカジキ類はセイルフィッシュ sailfish、マカジキ・クロカジキ類はマーリン Marlin、フウライカジキ類はスピアフィッシュ spearfish と呼ばれている。
[編集] 形態
大型種では全長4 m 以上・体重700 kg に達する。小型種でも成熟すると全長1mを超える。
頭部の吻が長いので、他の魚とはすぐ見分けがつく。吻の形状は、メカジキ科では上下にやや扁平な剣型、マカジキ科では円錐形の槍型である。餌の魚などを捕食する際は吻を振り回して獲物を打ちのめし、気絶したり、あるいは致命傷を負って瀕死の状態になった獲物を捕食する。吻はまた、より大型のサメ類から身を守るのにも用いられる。成魚の一突きを食らえば、サメといえど死に至ることもある。
カジキ類は水中における最速のスプリンターである。水中ゆえに最高遊泳速度を正確に測定することは難しいが、種によっては時速100km 以上に達すると考えられている。バショウカジキのトップスピードなら、25m プールを1 秒以内で駆け抜ける速さに相当する。水中で最も速く泳ぐことのできる動物として、ギネスブックにも記載されている。その体には高速遊泳に適応した構造や機能がいくつか見られる。
- 多くの高速遊泳魚に共通することであるが、体は流線型(紡錘形)をしており水の抵抗を受けにくい。
- 筋肉に奇網という熱交換器官を備え、周りの海水よりも体温を高く保つことができる。これは水温が低いと筋肉の動きが鈍くなるという、変温動物である魚の短所を克服している。
- 第一背鰭(せびれ)と臀鰭(しりびれ)には、鰭を格納するための溝がある。高速遊泳時にはこの溝に鰭を収納し、ブレーキをかける時に鰭を大きく広げる。
- 腹鰭はマカジキ科では2 本の細い帯状になっている。メカジキには腹鰭が無い。
- 鎌のような三日月型の尾鰭(おびれ)は、長時間の持続的遊泳と短時間の爆発的遊泳の両方に適した形状である。
- 尾鰭のつけ根(尾柄 : びへい)には水平隆起線があり、遊泳時には小さな翼となって水から揚力を得ると同時に、横揺れを防ぐ効果もある。マカジキ科には2 対、メカジキ科には1 対の水平隆起線がある。
- 体の後半部には強靭な筋肉が発達し、これと柔軟な背骨を左右にしならせて推進力を得る。
[編集] 生態
世界中の海に広く分布する。通常は暖海域の外洋表層部を泳ぎ、餌を追って回遊する。1 匹か数匹の群で行動し、つがいの絆が強いことが知られている。肉食性で食物連鎖の上位に位置し、イワシ・ニシン・トビウオ・アジ・サバなどの小魚やカツオ・マグロ類、頭足類、甲殻類などを食べる。メカジキはより冷たい海域にも進出し、深海海底付近でメヌケ類を捕食することがある。
産卵期は5 月-9 月で、分離浮性卵を産卵する。産卵期には普段沖合にいるカジキが沿岸にやってくるので、この時期に合わせてカジキ釣り大会が催される。
カジキ類は時折船と衝突することがあり、イギリスの軍艦が浸水の原因を調べたら、船底にメカジキの吻が突き刺さっていた、という逸話がある。メカジキは気性が荒く、船を攻撃する事すらある、ということの証明とされているが、これらに関してはカジキ類がその高速遊泳能力ゆえに船を避けきる事ができずに「衝突」したに過ぎない、という考察もある。
[編集] 人との関わり
カジキ類は各国で食用にされ、とくにマカジキとメカジキが水産上重要である。漁業市場では吻を切り落とされたカジキが横たわる場面も見られる。マグロ延縄(はえなわ)で捕られることが多いが、伝統的な突きん棒漁も行われている。これは船の見張り台でカジキの魚影を探し、水面近くで遊泳しているカジキを銛(もり)で突くというものである。近年では銛に電流を流せるようになっており、殺傷力が格段に高まっている。アメリカの小説家、アーネスト・ヘミングウェイの名著「老人と海」(1952年)では、年老いた漁師サンチャゴと巨大カジキの3 日間に及ぶ死闘が描かれている。
スーパーなどでは切り身にして売られることが多いが、新鮮なものは刺身にして賞味される。家庭ではソテーや照り焼きもしくはフライにして食べるのが一般的。台湾では粥に入れたり、スープにしたりもする。カジキは食物連鎖の上位にいることから、その体内には有害な化学物質が蓄積しやすく、マグロと同様に水銀の蓄積が問題視されている。
多くはスポーツ・フィッシングの対象魚となっており、針にかかったときの強烈な引きと豪快なジャンプが釣り人を魅了する。日本近海では太平洋・インド洋産のカジキ類6種が全て見られることから、Japan Game Fish Association (JGFA) による大会や、カジキを狙ったトローリングが盛んである。
[編集] 分類
- マカジキ科 Istiophoridae
- シロカジキ属 Istiompax Whitley, 1931
- バショウカジキ属 Istiophorus Lacepède, 1801
- ニシバショウカジキ Atlantic-Pacific sailfish Istiophorus albicans (Latreille, 1804)
- バショウカジキ Indo-Pacific sailfish Istiophorus platypterus (Shaw, 1792)
- マカジキ属 Kajikia Hirasaka and Nakamura, 1947
- クロカジキ属 Makaira Lacepède, 1802
- クロカジキ Indo-Pacific blue marlin Makaira mazara (Jordan & Snyder, 1901)
- ニシクロカジキ Atlantic blue marlin Makaira nigricans (Lacepède, 1802)
- フウライカジキ属 Tetrapturus Rafinesque, 1810
- フウライカジキ shortbill spearfish Tetrapturus angustirostris (Tanaka, 1915)
- クチナガフウライ longbill spearfish Tetrapturus pfluegeri (Robins & de Sylva, 1963)
- チチュウカイカジキ Mediterranean marlin Tetrapturus belone (Rafinesque, 1810)
- ラウンドスケール・スピアフィッシュ roundscale spearfish Tetrapturus georgii (Lowe, 1841)
- メカジキ科 Xiphiidae
- † Protosphyraena
- メカジキ属 Xiphias
- メカジキ sword fish Xiphias gladius (Linnaeus, 1758)
カジキ類をサバ亜目 Scombroidei に含める (Nelson 2006) こともあるが、2科が姉妹群でサバ亜目の他の科より離れていることから、独立したカジキ亜目 Xiphioidei にする (Collette et al. 2006) ことが多くなった。
Collette et al. は従来のフウライカジキ属(マカジキ属とも) Tetrapturus とクロカジキ属 Makaira が単系統ではないことを示し、フウライカジキ属からマカジキ属 Kajikia を、クロカジキ属からシロカジキ属 Istiompax を分離した。共に、以前はシノニムとされていた属名である。ITISはこの属分類を採用しており、ここでもそれにならった。従来の属分類での種名はシノニムとして添えた。
種分類については、Collette et al. やITISは現生10種を認めているが、ここでは12種に分けた。10種とする場合、クロジカジキ属とバショウカジキ属について、大西洋の種と太平洋インド洋の種を分けず、世界中に1種のみを認める。クロカジキ属はクロカジキ blue marlin Makaira nigricans、バショウカジキ属はバショウカジキ sailfish Istiophorus platypterus のみとなる。特にバショウカジキは1種とされることが多い。
[編集] 日本産6種
- マカジキ striped marlin Kajikia audax
- 体長4m 。青い縞模様が特徴。古来より日本の食文化になじみ深く、カジキの中で最も美味とされている。旬は冬。
- フウライカジキ shortbill spearfish Tetrapturus angustirostris
- 体長2m 。小型で、カジキ類中で最も吻が短い。
- バショウカジキ Indo-Pacific sailfish (sailfish) Istiophorus platypterus
- 体長3m 。帆のような大きな背鰭を持つ。全魚類中、最も速く泳げる魚である。
- クロカジキ Indo-Pacific blue marlin Makaira mazara (blue marlin Makaira nigricans)
- 体長4.5m 。クロカワとも。マカジキと同様、青いストライプが入る。
- シロカジキ black marlin Istiompax indica
- 体長4m 。別名カツオクイ。体色の捉え方が和名と英名で正反対である。カジキ類中最重量を誇る。
- メカジキ sword fish Xiphias gladius
- 体長4m 。全世界の海洋に分布。気性が荒く、自分より大きいクジラや船を攻撃することもある。他のカジキと異なり、腹鰭が無い、第一背鰭が短い、尾柄の水平隆起線が 1 対しかない、吻が扁平などの特徴がある。1種のみで1科1属を構成する。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 岩井保『魚学入門』恒星社厚生閣 ISBN 4-7699-1012-6
- 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』旺文社 ISBN 4-01-072424-2
- 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0042-7
- 井田齋他『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
- 蒲原稔治著・岡村収補訂『魚』保育社 エコロン自然シリーズ 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4-586-32109-1
- Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008. FishBase. World Wide Web electronic publication., version (07/2008)
- Collette, B. B., J. R. McDowell, and J. E. Graves. 2006. 2006.pdf Phylogeny of recent billfishes (Xiphioidei). Bulletin of Marine Science 79(3): 455-468. Retrieved December 27, 2008.
- Hebrank, J. H., M. R. Hebrank, J. H. Long, B. A. Block, and S. A. Wainwright. 1990. Backbone mechanics of the blue marlin Makaira nigricans (Pisces, Istiophoridae). J. Exp. Biol 148: 449-459. Retrieved December 27, 2008.
- Nelson, J. S. 2006. Fishes of the World, 4th edition. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. ISBN 0471250317






