カドミウムイエロー

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カドミウムイエロー(cadmium yellow)は、黄色の無機顔料のひとつ。組成は硫化カドミウム(CdS、Colour Index Generic Name、Pigment Yellow 37)もしくは硫化カドミウム-硫化亜鉛である。硫化カドミウムは天然には硫カドミウム鉱として存在する。カドミウム黄[1]とも呼ばれる。絵具などを作った場合、その絵具はカドミウムイエローと呼ばれる。顔料と絵具を区別する必要がある場合、絵具がカタカナ表記で顔料が漢字表記というのが原則[2]であり、この場合絵具をカドミウムイエロー、顔料をカドミウム黄と区別する[3]

目次

[編集] 概説

硫化カドミウムを主成分とするものは橙黄色~鮮黄色を呈し、硫化カドミウム-硫化亜鉛(硫化カドミウムと硫化亜鉛固溶体)を主成分とするものは鮮黄色~淡黄色。着色力が大きく、耐アルカリ性・耐性・耐性に優れているが、耐性が低く、カドミウムを含んでいるため有毒で高価である。かつては優れた耐熱性を利用してプラスチックの着色に多く使われてきたことでも知られている。アゾ系の黄色有機顔料が登場してからも、鮮明性に優れている為、塗料インクプラスチックゴムガラス陶磁器の着色に使用されてきたが、カドミウムイエローと同等の堅牢性を持つ比較的鮮やかな黄色無機顔料のビスマスバナジウム黄が登場してからはビスマスバナジウムイエローに置き換えられ、2007年現在カドミウムイエローは絵具やプラスチックの着色に使われるのみとなっている。カドミウムイエローは淡色のものは淡色のビスマスバナジウム黄にも似た色合いであるが、濃色のカドミウム黄は濃色のビスマスバナジウム黄では到底及ばない、高彩度で不透明性の高い無機顔料である。

黄色絵具に使用される顔料としてアゾ系有機顔料はポピュラーであるが、有毒なカドミウムイエローも未だ使用されている。カドミウムイエローは不透明性が高く高彩度な為に描画効率がよく、堅牢性が高いから、多くの画家に愛用されている。これは無機顔料信仰ではない。カドミウムイエローはその原料であるカドミウムが貴重な上有害である為、日本以外の国では純粋な硫化カドミウムからなるカドミウム黄及びカドミウムイエロー(PY37)は既に製造が中止されている。従って日本以外の国で製造・供給されているカドミウムイエローは全て、硫化カドミウム-硫化亜鉛からなるカドミウム黄である。特にヨーロッパでは低公害化の動きが活発で、同じカドミウムイエローでも毒性の高いPY37を生産を中止し、PY37よりは毒性が弱いPY35に代替されている。しかしながら日本では2009年現在PY37、PY35ともに流通しており、絵具も販売されている。絵具においては、先述の性質から人気が高く、カドミウム黄の優れた特性を全面的に具えた代替物は存在しない[4]。したがって、代替顔料はカドミウム顔料が持つ優れた特性を必要としない場合にこそ勧められる。また、世間ではカドミウム化合物が環境に及ぼす影響を懸念する声が一部存在するが、絵具メーカーが使用するカドミウム顔料は、実用において他の物質に溶け出すことは無い。

[編集] カドモポンイエロー

硫化カドミウム或いは硫化亜鉛カドミウムと硫酸バリウム(BaSO4)の混合物をカドモポン黄(cadmopone yellow)若しくはカドモポンイエローと呼ぶ。Colour Index Generic Nameは、Pigment Yellow 35)一般的なカドモポンイエローは硫酸バリウムを約60%含んでいる。カドモポンイエローは純粋なカドミウムイエローと比べると着色力やは劣る。但し、カドモポンイエローのほうが純粋なカドミウムイエローより安価であるため、高価なカドミウムイエローの代用品として使われる事がある。アメリカ合衆国でカドミウムイエローの生産が始まった時、生産されたカドミウムイエローは全てカドモポンイエローだったが、後にアメリカでも純粋なカドミウムイエローが生産されるようになった。

[編集] カドミウムイエローと関連するもの

[編集] カドミウムオレンジ、カドミウムレッド

カドミウム橙(Colour Index Generic Name Pigment Orange 20)・カドミウム赤(Colour Index Generic Name Pigment Red 108)は橙色のカドミウム黄と同様硫化セレン化カドミウムであり、単にセレン化カドミウムの比率が大きいもののことである。色としては赤橙、黄味赤辺りが最も高彩度である。

[編集] カドミウムグリーン

カドミウムイエロー(カドミウム黄)は、「カドミウム緑」の原料にもなる。詳しくはカドミウムグリーンを参照。

[編集] その他

無毒な代用品(類似した顔料)としてはビスマスバナジウム黄がある。「ビスマスイエロー」、「プライムイエローレモン」等の名称で絵具として販売されているがあまり普及していない。

硫化カドミウムをジルコン(ZrSiO4)でコーティングしたものはセラミック顔料として使われている。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 『顔料の事典』 伊藤 征司郎(編集) 朝倉書店 2000/10 ISBN 4254252439 ISBN 978-4254252439
  • 『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994/5(新装普及版) ISBN 480550286x
  • 『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878
  • 『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533
  • 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999/6 ISBN 4254252439
  • 『広辞苑 第五版』新村 出 岩波書店 1998/11 ISBN 4000801120 ISBN 978-4000801126
  • 『漢字源』漢字源 藤堂 明保,竹田 晃,松本 昭,加納 喜光 学習研究社 改訂第四版版 (2006/12) ISBN 4053018285 ISBN 978-4053018281
  • 『漢字源』藤堂 明保,竹田 晃,松本 昭,加納 喜光 学習研究社 改訂新版版 2001/11 ISBN 4053008891 ISBN 978-4053008893
  • 『ジーニアス英和辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第3版版 2001/11 ISBN 4469041580 ISBN 978-4469041583
  • 『ジーニアス和英辞典』 小西 友七,南出 康世(編集) 大修館書店 第2版版 2003/11 ISBN 4469041653 ISBN 978-4469041651

[編集] 注釈

  1. ^ 『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878
  2. ^ 『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994/5(新装普及版) ISBN 480550286x
  3. ^ 『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878
  4. ^ 「WINSOR&NEWTON Artist's Water Colour Perfecting the Fine Art of Water Colours ― パーフェクトな水彩絵具を目指して ―」Winsor & Newton

最終更新 2009年6月22日 (月) 14:36 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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