カルボン酸

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カルボン酸の空間充填モデル

カルボン酸(カルボンさん)とはカルボン酸構造 (R−COOH) を酸成分とする化合物である。カルボン酸構造の特性基の名称はカルボキシル基(親水性)であり、置換基としての総称はアシル基である。また、カルボン酸は有機酸あるいは英名でalkanoic acid(s)と呼ばれることもある。「カルボキシル酸」と記されることもある。アルコールと結合してエステル化する。なお、ヒドロキシ基を併せ持つカルボン酸のことを特に、ヒドロキシ酸という。カルボン酸がプロトンを放出した共役塩基 (R−COO) は カルボキシラート (carboxylate) と呼ばれる。

目次

[編集] カルボキシル基

カルボキシル基

カルボキシル基 (carboxyl group、−COOH) は、炭素原子にヒドロキシ基一つと酸素原子が二重結合した官能基で親水性。カルボキシ基 (carboxy group) とも言う。ヒドロキシ基から水素電離することで、この官能基を持つ物質は酸性を示す。還元されるとアルデヒド基となる。ヒドロキシ基と脱水縮合してエステル結合を作り、チオール基とともにチオエステル結合を作る。アミノ基と縮合して作るアミド結合は、ペプチドナイロンの部分構造となっている。

[編集] アシル基

アシル基

カルボン酸からヒドロキシ基OHをのぞいた形 (R−CO−) の原子団のことを総称して カルボン酸アシル基、あるいは単に アシル基 (acyl group) と呼ぶ[1]。それぞれのカルボン酸の語尾の「ic acid」を「yl」または「oyl」にして命名する。

[編集] 命名法

生物が作りだすカルボン酸、およびその塩は自然界に普遍的に見出すことができるので、物質としては有史以来親しまれてきた。錬金術の時代以来、単離・命名されて来たので酢酸のような慣用名を持つものが少なくない。IUPAC命名法では、カルボキシル基をメチル基に置換した炭化水素の語尾を「oic acid」とし命名する。

[編集] 物性

極性溶媒中ではカルボキシル基のプロトンが電離して酸性を示すため、塩基との塩を作りやすい。共役塩基 (R-CO2) はカルボキシラートアニオンと呼ばれ、陰電荷が2個の酸素上に非局在化して安定化する。

カルボキシラートアニオンの非局在化

カルボニル基の水素受容性とヒドロキシ基の水素供与性から、相補的な自己会合を行い二量体を形成する。

カルボン酸の自己会合

[編集] 生体とカルボン酸

生体において、炭素数4以上の直鎖カルボン酸は脂肪の成分であるため脂肪酸と呼ばれる。言い換えると、脂肪は脂肪酸のトリグリセリドである。生体での脂肪酸生合成はAcetyl CoAを起点として、Malonyl CoA由来のC2ユニットが導入されてαケト酸・CoAとなり、NADPH2等でαケト基が還元が繰り返されてより長鎖の脂肪酸・CoA となり生合成される。したがって、炭素数が偶数の脂肪酸は普通に見られるが、炭素数が5(吉草酸)以上の奇数の脂肪酸は自然界では少数である。またαケト酸はアミノ酸生合成の出発物質でもある。

また多種のカルボン酸から形成されるTCAサイクルは、糖由来のピルビン酸をCO2に分解しながらNADPH2等を酸化的リン酸化経路に供給することで、生物のエネルギー代謝(内呼吸)の中核を担っている。

[編集] 合成法

一級カルボン酸は第一級アルコールアルデヒドを強い酸化剤クロム酸カリウムなど)で酸化することによって得られる。アルデヒドを基質とする場合には、亜塩素酸ナトリウムを用いる手法もとられる。(酸化に安定な)芳香族カルボン酸の場合、ベンゼン置換のメチル基過マンガン酸カリウムで直接カルボキシル基に酸化する方法がある。

エステルやアミド、ニトリル、酸無水物や酸ハロゲン化物を加水分解してカルボン酸を得ることもできる。

二級あるいは三級カルボン酸をシステマテックに合成する方法として、カルボキシル基の幹部分に相当するグリニャール試薬に二酸化炭素を吹き込む方法がある(ドライアイスは昇華した粉体のCO2を固める為に相当量の水を含むのでこの目的では収率が劣る)。あるいは特殊な場合はオレフィンの酸化解裂(オゾン分解)によって生じるアルデヒド酸化することでも生成できる。不飽和脂肪酸のオレフィンが空気酸化で酸化解裂する現象は油脂の酸敗と呼ばれる。電子豊富なベンゼン環は、四酸化ルテニウム (RuO4) 触媒による酸化反応で直接カルボン酸に変換できる。

コルベ・シュミット反応ストレッカー合成ハロホルム反応などは、カルボン酸を与える反応である。

[編集] 反応

カルボン酸は縮合反応等により

などの種々のカルボン酸誘導体を形成し、ポリマーを初めとする産業上重要な鍵物質となっている。

また、脂肪酸トリグリセリドのアルカリ加水分解は石鹸(脂肪酸アルカリ金属塩)の製法であることからけん化と呼ばれる。

β位のオキソ基など、カルボキシル基の近傍に適切な官能基が存在する場合、酸などの処理で脱炭酸できる場合がある。

[編集] カルボン酸の一覧

[編集] 脂式カルボン酸

飽和脂肪酸
炭素数 慣用名 IUPAC名 化学式 備考
1 ギ酸 メタン酸 HCOOH アリハチの毒
2 酢酸 エタン酸 CH3COOH
3 プロピオン酸 プロパン酸 CH3CH2COOH
4 酪酸 ブタン酸 CH3(CH2)2COOH 油脂が腐敗した臭い
5 吉草酸 ペンタン酸 CH3(CH2)3COOH
6 カプロン酸 ヘキサン酸 CH3(CH2)4COOH
7 エナント酸 ヘプタン酸 CH3(CH2)5COOH
8 カプリル酸 オクタン酸 CH3(CH2)6COOH
9 ペラルゴン酸 ノナン酸 CH3(CH2)7COOH
10 カプリン酸 デカン酸 CH3(CH2)8COOH
12 ラウリン酸 ドデカン酸 CH3(CH2)10COOH ココナッツ油
14 ミリスチン酸 テトラデカン酸 CH3(CH2)12COOH
16 パルミチン酸 ヘキサデカン酸 CH3(CH2)14COOH
17 マルガリン酸 ヘプタデカン酸 CH3(CH2)15COOH
18 ステアリン酸 オクタデカン酸 CH3(CH2)16COOH

[編集] 脂式ジカルボン酸

[編集] 芳香族カルボン酸

[編集] オキソカルボン酸

[編集] その他のカルボン酸

[編集] 脚注

  1. ^ IUPAC Gold Book - acyl groups

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年10月18日 (日) 20:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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