カーディー
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カーディー(アラビア語: قاضي)とは、シャーリアにおける裁判官である。
カーディーには伝統的にイスラム教が関係しているすべての法律問題に対する司法権がある。 カーディーはイスラム法(シャーリア)に従って裁決する義務があり、ムフティーが発行したファトワーやイスラーム法学者であるファキーフによる合意(イジュマー)と類推(キヤース)に従った判決を出す。 カーディーにはウラマーなど宗教学に秀でた人間から選ばれていた。 ファトワーや合意(イジュマー)、類推(キヤース)の内容はスンナ派とシーア派ではかなり異なるためカーディーも宗派ごとに異なる。 国によってはスンナ派とシーア派で別々のカーディーと裁判所が存在する場合もある。
その起源は古く、カーディーはムハンマドが存命だった時代から始まっているとされ、アッバース朝時代には全国に裁判所が作られていた。
カーディーはあくまでもイスラム法(シャーリア)に関する問題を扱う裁判官であり、普通法(欧米法)の問題は扱わない。 このため、司法の世俗化が進み普通裁判とシャーリア裁判の複合制度化した国では普通の裁判官はカーディとは呼ばないことがあり、アラビア語が母国語でないマレーシアやブルネイなどではイスラム教教義関連の問題について判断するシャーリアの裁判官のみをカーディと呼び普通の裁判官と区別している。 また、イスラム教教義関連の問題を扱う専門の裁判所をカーディ裁判所と呼んでいる場合がある。 シャーリアはムスリムにしか適用されないためカーディ裁判は被告か原告の両方か片方がムスリムでなければ訴状を受け付けない。
カーディ裁判はシャーリアに関する問題を扱う裁判なのでシャーリアに規定が無い法律問題は扱わない。 たとえば、著作権や特許などはシャーリアに規定が無いのでカーディ裁判で訴えることが出来ないためムスリム同士であっても普通裁判で争う。 カーディ裁判所しか存在しないサウジアラビアの場合には著作権や特許の問題は裁判所ではなく所轄省庁に訴えて監視委員会が処理するシステムになっている。
[編集] カーディ裁判の問題
イスラム教教義関連の問題について取り扱うカーディ裁判で起きている深刻な問題にイスラム教における棄教がある。 マレーシアのリナ・ジョイやエジプトのムハンマド・ベショーイ・ヘガーズィーなどイスラム教からの宗教の変更を訴えた事例が世界中にあり、 多くのイスラム教国ではカーディ裁判のみが離脱や改宗を含むイスラームに関連した事項を処理できるとされ、 シャーリアでは改宗は絶対に認めないため、国によっては改宗の訴えを起こした者に対して死刑を含む刑事罰が課されることがある。 通常の法制度との複合型法律制度を採用しているマレーシアやエジプトなど多くのイスラム教国ではカーディ裁判のイスラームから他宗教への改宗に関する管轄権について議論が絶えない。 サウジアラビア、イラン、アフガニスタンなど原理主義の強い国では改宗を訴え出れば死刑が課される。
[編集] 現代のカーディー
現代社会におけるカーディー裁判所の状況は国によって異なり、全ての法的判決の権利があり死刑判決の決定権まで持つところもあれば、極めて権限が制限されている国もある。
- サウジアラビア
- 現代でもサウジアラビアの裁判はシャーリアに基づく宗教裁判でありカーディーが裁判を行っている。しかし2009年2月14日から新設された普通裁判所が業務を開始して宗教裁判以外の裁判も始まっている。
- サウジアラビアではカーディーは宗教学部の卒業生が就く職業であり、日本や欧米のように法学部卒の人間は裁判官にはならない。法学部卒の人間は弁護士など世俗法の専門職に就いている。
- ブルネイ
- 現代でもイスラム教教義関連の問題についてはカーディ裁判所で取り扱われる。
- エジプト
- シャーリアと世俗法の複合型法律制度を採用しており、現代でもカーディ裁判が行われている。
- パキスタン
- 普通法廷とシャーリア法廷の二重法律制度が行われ、現代でもカーディ裁判が行われている。
- マレーシア
- 通常の法律に違反しない範囲で各州ごとにシャーリアに基づく法令を整備することが認められている。国民の60%前後がイスラム教徒であり、イスラム法に違反したイスラム教徒はカーディー裁判で裁かれる。
- 現代ではイスラム教徒であってもあまり厳しくは取り締まらなくなっており、飲酒や男女交際程度で起訴されることは稀である。
- インドネシア
- 通常の法律に違反しない範囲で各州ごとにシャーリアに基づく法令を整備することが認められている。元アチェ王国であったアチェ州では特に厳しいイスラム法が施行されている。
最終更新 2009年11月13日 (金) 03:34 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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