キャパシター・ディスチャージド・イグニッション
キャパシター・ディスチャージド・イグニッションの最新ニュースをまとめて検索!
キャパシター・ディスチャージド・イグニッション(Capacitor discharge ignition) とは、主にオートバイで広く使用されるサイリスタを利用した電子制御点火装置である。一般的には「CDI」(Capacitor Discharge Ignition)というアクロニムで略される事が多い為、以降はCDIと表記する。
CDIはオートバイの他に草刈機やチェーンソー、小型の汎用エンジン、レシプロ機関の航空機、およびいくつかの自動車で使用される。
CDIはスパークプラグを点火する為に、高容量コンデンサ(キャパシタ)による放電を使用する。元々は、ディストリビューター式点火に代表される「インダクティブ・イグニション・システム」において使用される高いインダクタンスを持つイグニッションコイルを効率よく作動させる為に開発された。CDIには高度に電子制御された進角装置も後に内蔵され、こうした高性能CDIの開発により、インダクティブ・イグニション・システムは1万回転を超える超高回転エンジン[1]にも対応できるようになった。
目次 |
[編集] 歴史
CDIは1950年代に他の様々な形式の電子制御点火装置の研究開発の中で開発された。CDIによる点火システムを世界で最初に採用したオートバイは、1969年のカワサキ・マッハであった。
1960年代の終わりまでには、米国政府は自国で販売される内燃機関に厳しい排ガス基準を課した。その結果、ますます多くの電子制御点火装置が開発され、1970年代からはCDIはホンダ・カブ等も含めたほぼ全ての小型エンジンにおいて、従来のコンタクトポイントを置き換えるためにCDIが採用された。
[編集] 基本原理
自動車で使用されるほとんどの点火装置が、インダクティブ・イグニション・システム[2]である。
CDIによる点火システムは高電圧をコンデンサに充電する。そしてパルシングローターなどで検出された点火時期の間、CDIの電子回路はコンデンサを充電するのを止め、イグニッションコイルの電圧を増幅させてスパークプラグへ放電を行う。
典型的なCDIモジュールは、小型の変圧器と充電回路、コンデンサへの電流を断続する回路(イグナイターと同様の役割を果たす)、および大容量のメインコンデンサ(キャパシタ)で構成される。まず最初に、システム電圧はCDIモジュール内部の変圧器によって400-600Vまで昇圧される。次に電流は充電回路を経由してメインコンデンサを充電する。充電回路の中の整流器は点火時期以外でのコンデンサの放電を防止する。CDIがパルシングローターからの信号を受信すると、コンデンサへの電流を断続する回路は充電回路の操作を止める事でイグニッションコイルの電圧を増幅させ、コンデンサからの放電をイグニッションコイルに伝える事で点火電流を発生させる。
CDIが点火のために格納できるエネルギー量は使用されるコンデンサの電圧と容量に依存しているが、通常は約50mJ程度とされる。
一般的にCDIは下記の2種類の形式に分類される。
- AC-CDI - AC-CDIモジュールはオルタネーターによって発電された交流電流から直接駆動電源を入手する。AC-CDIは原動機付自転車クラスの小型エンジンで広く使用される、最も基本的なCDIシステムである。日本においては「マグネトー式[3]」と呼ばれる事もある。この形式は点火電圧を全てオルタネーターに依存する為、バッテリー容量が無い状態でも始動が可能である。
- DC-CDI - DC-CDIモジュールはバッテリー電圧によって駆動されるCDIである。従って、この形式のCDIにはバッテリー電圧である直流12/24Vを交流400-600Vに変換する為のDC/ACインバータが内蔵されており、AC-CDIよりも少し回路が大きくなる。DC-CDIはAC-CDIに比較してより正確な点火時期判定が可能であり、冷間時の始動性に優れている。日本においては「バッテリー点火」と呼ばれる事もある。但しこの形式は点火電圧を全てバッテリーに依存する為、バッテリー容量が無い状態では始動が不可能である。
[編集] CDIのその他の役割
CDIには回転数を検出し、点火時期を進角・遅角させる機能も持ち合わせている為、オートバイの純正CDIには回転/スピードリミッターが設けられている事が多い。この為、原付車両の改造に耽る一部の間では、CDIを速度リミッター装置やECUだと誤解している向きも少なくない。[4]
[編集] 自動車における社外CDI
永井電子や和光テクニカル等の点火装置メーカーは、自動車向けの後付けCDIを独自に販売している事がある。これは主にポイント式やセミトラ式ディストリビューター等を用いた旧車の点火装置強化の為に用いられるもので、配電機能は純正ディストリビューター[5]、コンデンサへの電流断続機能は純正イグナイターに分担させる事により、従来の点火システムを大きく変更することなく点火装置全体の性能強化と信頼性向上が行える。
機能を電圧増幅機能と放電機能に絞り込んでいる分、通常のCDIよりも遙かに大きなコンデンサや、複雑な点火アルゴリズムを持った点火回路を備えている事が多く、イグニッションコイルもそのCDI専用の強力な物が用いられる事が多い。
社外CDIを販売するメーカーが設定している高級な同時点火式CDIになると、ディストリビューターをカム角検出機構のみを残して除去してしまい、CDI本体が配電を行うシステムを構築することが出来る。
[編集] 脚注
- ^ 主にオートバイ・レーシングカー用多気筒エンジンやロータリーエンジンなどである。
- ^ インダクティブ・イグニション・システムは、イグニッションコイルへの電流がディストリビューター等に内蔵されたコンタクトポイント(断続器)で開閉される時に電圧を増幅し、スパークプラグへの高電圧の電気を発生させる。
- ^ 通常、オートバイの場合クランクシャフトに取り付けられたフライホイールにマグネトーを装備する事が多い事から、「フライホイールマグネトー式(フラマグ式)」と呼ばれる事が多い。マグネトー式の中にはカワサキ・ゼファーのようにフライホイールから独立したパルシングローターを持つものや、ホンダ・CT110などのようにマグネトーをカムシャフト側に取り付けてあるものもある。
- ^ 社外パーツメーカーも、主に速度リミッター解除を目的に謳い、社外CDIを販売している事が多い。
- ^ ポイント・セミトラ式の場合は電圧増幅に使用する内部接点を除去し、配電機能のみ受け持たせる。
[編集] 関連項目
[編集] 参考資料
- Bosch Automotive Handbook, 5th Edition
- http://www.mclarenelectronics.com/Products/All/App_Act_Ign.asp
- An open-source CDI circuit based on 12V DC power supply
最終更新 2009年11月11日 (水) 10:47 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【キャパシター・ディスチャージド・イグニッション】変更履歴

