キャンプ (様式)
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キャンプ(Camp)とは、映画・音楽・文学・視覚芸術・ファッション・メーキャップなどあらゆるカルチャーにおいて、その悪趣味あるいは皮肉な価値のために、その中で何かが魅力を持っている美学のこと。
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[編集] 概要
1909年に最初にこの語が現れた時には、けばけばしい・仰々しい・気取った・芝居がかった・なよなよした・同性愛的な行動を指した。しかし1970年代中頃になると、「ひねくれてインテリ受けするほど極端な、陳腐さ・工夫・月並みさ・見せびらかし」と定義されるようになった[1]。アメリカの作家スーザン・ソンタグの1964年のエッセイ『キャンプについてのノート(Notes on "Camp")』では、キャンプのキーとなる要素として「人工」「失敗した真面目さ」「通俗性」「愛情」「二重の意味」「ダンディズム」などが挙げられている。
1960年代の大衆文化の反アカデミックな弁明の一部として、1980年代に、キャンプは芸術・文化におけるポストモダン観を広く取り入れて、大衆性を得るにいたった。キャンプ映画を大衆化した人物に、映画『ヘアスプレー』『ポリエステル』を撮ったジョン・ウォーターズがいる。
LGBTカルチャー(LGBT culture。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのカルチャー)においては、「キャンプ」を連想させる有名人として、デイム・エドナ・エバレッジ、ディヴァイン、ル・ポール(RuPaul)、ボーイ・ジョージ、リベラーチェといった、ドラァグ・クイーンやパフォーマーたちが挙げられる。
キッチュとよく同義語的に使われるが、キッチュは決して皮肉ではない。
[編集] 起源と発展
「キャンプ(Camp)」という語は、フランス語の俗語「se camper」(誇張されたファッションでポーズをとること)から派生した語である。『オックスフォード英語辞典(OED)』に最初に出てきたのは1909年版で、「けばけばしい・仰々しい・気取った・芝居がかった・なよなよした・同性愛的なもの。同性愛の特徴と関連がある。名詞として、キャンプなふるまい、マニエリスム、など。そのような行動を示す男性」とある。なお『OED』ではキャンプの語源は曖昧である。
作家・評論家のサミュエル・R・ディレイニーによると、「キャンプ」という語は、野営地で兵士たちに性的奉仕をする女性・売春婦の物真似の習慣から発展したという。後に、それは労働者階級の同性愛男性の審美的な選択・行動を指すようになり、最終的に、スーザン・ソンタグの『キャンプについてのノート』によってメインストリームになった。
ポストモダンの台頭は「キャンプ」を、同性愛者など特定の集団のものでない一般的な美学観に変えた。そのアティチュードは本来、ストーンウォールの反乱以前のゲイ社会特有の要素だった。本来、キャンプのキーとなる2つの要素は女性的なパフォーマンス、つまり、男性が見るからに女性らしい特徴を持つ「スウィッシュ(Swish)」と、女性らしさを誇張して真似る「ドラァグ(Drag)」だった。そこからあらゆる「常軌を逸したもの」に拡大され、たとえば、カルメン・ミランダ(Carmen Miranda)のような女性による女性の誇張した物真似もキャンプに含まれるようになった。文芸評論家・美術評論家たちにも適用され、60年代カルチャーの一連のコンセプチャルなものの1つとなった。
[編集] 構成要素
[編集] アティテュード
キャンプは当初から、見捨てられた様式を擁護するために、反アカデミックな理論で固めた皮肉なアティチュードを持っていた。その正当性の主張は、現状維持への反感に依存していた。キャンプは永遠に生きることを目的とせず、むしろ支配的なカルチャーの偽善の上で生きる。それは根本的な価値を示すのではなく、どのようにして基準が社会的に作られていくかを示すために、その矛盾だとわかるものとともにカルチャーと向かい合う。
[編集] ユーモアと引喩
キャンプは、批評的な分析であると同時に、冗談である。キャンプは「あるもの」(通常は社会基準、オブジェ、フレーズ、様式)をとりあげ、「あるもの」であるものを鋭く分析し、それから「あるもの」をユーモラスに表現する。パフォーマンスとして、キャンプは引喩でなければならない。キャンピーである人は意図的に物笑いの種にしている、あるいは操作しているという一般概念を持っている。キャンプは冗談だが、冗談から進んでその言い分を立証する人々によってなされた非常にシリアスな分析でもある。
キャンプの別の部分は、痛烈な反駁、不道徳なへこませ、および/または悪意あるゴシップ、不敬を含む会話形式の「dishing」(美しい人、とくに魅力的な女性を罵ること)で、娯楽産業に関連し、「世間話」とも呼ばれる。
[編集] ドラァグ
キャンプの一部として、ドラァグは時々女性の衣服から成っている。ちょっとしたメイキャップと2、3の女性の衣服(一般的に帽子、手袋、ハイヒール)から、かつら、ガウン、宝石、完全なメイキャップなどで完璧に装ったものまで、幅がある。ドラァグ・キング(Drag king)、つまり女性による男性の物真似の場合、反対は真なりで、しばしば伝統的な男性の性的特質を誇張して見せることを含んでいる。
[編集] スーザン・ソンタグが挙げるキャンプの例
スーザン・ソンタグはエッセイ『キャンプについてのノート』の中で、以下のようなものをキャンプの例としてあげている。
- ジャン・コクトーの人柄と作品。しかし、アンドレ・ジッドはキャンプでない。
- リヒャルト・シュトラウスのオペラ。しかし、リヒャルト・ワーグナーのオペラはキャンプでない。
- ティン・パン・アレーやリヴァプールの音楽。しかし、ジャズはキャンプではない。
- ジェーン・マンスフィールド、ジーナ・ロロブリジーダ、ジェーン・ラッセル、ヴァージニア・メイヨの「わざとらしくどぎつい女らしさ」。
- スティーヴ・リーヴス(Steve Reeves)、ヴィクター・マチュアなどの「誇張された男らしさ」。
- 映画『極楽特急(Trouble in Paradise)』、『マルタの鷹』、それに『スペイン狂想曲(The Devil Is a Woman)』をはじめとした6本のジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、マレーネ・ディートリッヒ主演作。しかし、『イヴの総て』、『悪魔をやっつけろ(Beat the Devil)』はキャンプでなく、キャンプを狙った「似非キャンプ」映画である。
- イタリアのマチステ・シリーズ、日本の『空の大怪獣ラドン』、『地球防衛軍』『美女と液体人間』。しかし、『渚にて(On the Beach)』はキャンプでない。
[編集] 脚注
- ^ Webster's New World Dictionary of the American Language, 1976 edition, definition for camp, sense 6, [Slang, orig., homosexual jargon, Americanism] banality, mediocrity, artifice, ostentation, etc. so extreme as to amuse or have a perversely sophisticated appeal
[編集] 参考文献
- スーザン・ソンタグ『<キャンプ>についてのノート』訳:喜志哲雄(ちくま学芸文庫『反解釈』収録)
- Core, Philip (1984/1994). CAMP, The Lie That Tells the Truth, foreword by George Melly. London: Plexus Publishing Limited. ISBN 0-85965-044-8
- Cleto, Fabio, editor (1999). Camp: Queer Aesthetics and the Performing Subject. Ann Arbor: University of Michigan Press. ISBN 0-472-06722-2.
- Meyer, Moe, editor (1993). The Politics and Poetics of Camp. Routledge. ISBN 0-415-08248-X.
- Levine, Martin P. (1998). Gay Macho. New York: New York University Press. ISBN 0-8147-4694-2.
[編集] 外部リンク
- Why I hate 'Queer Eye for the Straight Guy': And how camp became outdated by Johann Hari
- http://www.alicecamp.org/camp.html by Alice Camp
最終更新 2009年11月23日 (月) 11:59 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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