クライマーズ・ハイ

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クライマーズ・ハイ』は、横山秀夫による日本小説NHKテレビドラマ化され、東映ギャガ・コミュニケーションズの共同配給で映画化された。

目次

[編集] 概要

2003年1月、『別冊文藝春秋』に掲載され、8月に文藝春秋から単行本が刊行された。週刊文春ミステリーベストテン2003年第1位、2004年本屋大賞第2位受賞。著者が上毛新聞記者時代に遭遇した日本航空123便墜落事故を題材としており、群馬県の架空の地方新聞社を舞台に未曾有の大事故を取材する新聞記者の奮闘を描く。「クライマーズ・ハイ」とは、登山者の興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態のことである。


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[編集] あらすじ

1985年8月12日群馬県地方紙・北関東新聞社の遊軍記者で、社内の登山サークル「登ろう会」メンバーの悠木和雅は、販売部の安西耿一郎とともに、県内最大の難関である谷川岳衝立岩登攀へ向かう予定だった。帰宅の準備をしているとき、社会部記者の佐山から「ジャンボが消えた」との連絡が入る。悠木は粕谷編集局長から事故関連の紙面編集を担う日航全権デスクを命ぜられる。同新聞社にとって、「大久保連赤」以来となる大事件を抱えた悠木は、次々と重大かつ繊細な決断を迫られる。

[編集] 登場人物

[編集] 北関東新聞社

悠木和雅(遊軍記者・日航全権デスク)
部下を交通事故で失って以来、自分には部下を統べる資格も力量もないとして管理職に就くことを拒み続けており、あらゆる分野の記事を執筆する遊軍記者という立場を貫いている。社内の登山サークル「登ろう会」に所属しており、翌日に谷川岳衝立岩正面壁への登攀を控えていた8月12日、日航機墜落事故が発生、事故関連の紙面編集を一手に担う日航全権デスクを命ぜられる。自分の手に余る大事故に忙殺されながら、墜落地点が群馬ではないことを望んでいる自分がいることに気づく。気持ちの整理がつかぬまま佐山の現場雑感を生かすべく奔走するが、「大久保・連赤」世代である上司の妨害工作に遭う。事故を報道する目的と意味を失いかけていた悠木は、新聞を買い求めに来た事故遺族の姿を目にし、ようやく自分がやるべき仕事を見出すのだった。
粕谷(編集局長)
社内では穏健派で通っており、意見調整に長けた「調停屋」である。悠木を飼い殺しにしているという社内の批判的空気を一掃すべく、これを好機とばかりに悠木を日航全権デスクに任じる。「大久保・連赤」では社会部デスクだった。
追村(編集局次長)
社内では武闘派で通っており、「癇癪玉」の異名をとる。事故記事の取扱いや取材方針を巡ってしばしば悠木と対立する。佐山の現場雑感を自衛隊の宣伝だとして二社面に追いやるなど、若手記者が未曾有の大事故の現場を踏むことを善しとしていない。社内派閥は社長派。「大久保・連赤」では県警キャップ。
等々力(社会部長)
「大久保・連赤」世代の華々しい実績が霞んでしまう大事故に直面し、もっとも陰湿に佐山の現場雑感を潰しにかかる。等々力が悠木に輪転機の故障を伝えなかった結果、佐山の現場雑感は締切に間に合わなかった。翌日には追村が仕向けた現場雑感の二社面落ちを悠木が等々力の仕業と勘違いし、ふたりの関係はいよいよ険悪となる。岸が企図した酒席で悠木の自社を貶める言葉に激昂するが、激論の中で地方新聞社の事件屋としてのプライドを思い出し、以後、悠木の方針を擁護する言動に変わる。「大久保・連赤」では県警サブキャップ。
守屋(政治部長)
中曽根首相靖国神社公式参拝の記事の取扱いにあっては、一面トップを強硬に主張した。悠木は、福田・中曽根両者が献じた花輪が写っている遺体安置所の写真を持ち出し、福田・中曽根のバランスに配慮した上に事故関連記事の一面トップを堅持することに成功した。
亀嶋(整理部長)
整理部一筋の経歴を持つ。通称カクさん。編集会議では常に悠木の意見を支持する立場をとる。事故を一面で報じ続けることが地元紙の意地だと悠木を励ます。
岸(政治部デスク)
悠木とは同期入社で、互いに気心が知れている同僚である。2児の父で反抗期の子供との関係に悩んでいる。悠木と等々力の関係修復のため酒席を設けるが、思わぬ論争を生んでしまう。
田沢(社会部デスク)
悠木とは同期入社だが、折り合いはよくない。悠木とともに取材したネタで悠木だけが局長賞を手にしたことを未だに根に持っている。悠木が上席の日航全権デスクに就いたことで悠木に対する当たりをさらに強くする。
佐山(社会部記者・県警キャップ)
悠木が最も信頼を寄せる中堅の記者。悠木を尊敬しており、望月の事故死にあっては社内の望月同情論を一掃し、悠木の立場を守るべく奔走した。日航機事故の第一報を悠木に伝え、事故現場を踏むことを懇願する。佐山の気持ちを汲んだ悠木は、地元紙の存在意義とも言える現場雑感の執筆を託す。「事故原因」の取材では事故調査官に対するネタの裏取りを任され、悠木にはほぼ間違いないと伝えるが、相手は「(普段取材している)サツカン」ではないことを言い添える。事故取材を通じて名実ともに北関中核の記者へと成長していく。
神沢(社会部記者)
佐山とともに御巣鷹山に登り、事故翌日の惨憺たる現場を目撃する。現場を踏んだことで調子づき、目にしたありのままを表現した現場雑感を書くが、悠木の怒りを買い、精神状態が不安定となる。気持ちの整理をつけた神沢はそれ以後毎日、御巣鷹山へ登って黙々と取材を続けようになる。
玉置(地域部記者)
工学部出身の若手記者で、事故原因にいち早く着目し、「隔壁破壊」という情報を得る。自らの手柄に逸り、ネタの裏取りまでひとりでやろうとするが、このネタを確実にモノにしたい悠木は裏取りを佐山に任せ、玉置は渋々サポートに廻る。
稲岡(文芸部)
読者投稿欄を担当。悠木の熱意に負け、望月彩子の投書掲載に協力する。
吉井(整理部)
一面の見出しや紙面構成を担当する整理部のエース。事故原因というヌキネタの存在を悠木から知らされており、密かに2版体制の紙面を組む。
依田千鶴子(編集庶務)
事故取材による人手不足から、念願の記者として支局に配属される。たった10行の記事もうまく書けずに根を詰め、苛立っているところを悠木にたしなめられる。佐山に憧れている。
伊東(販売局長)
販売店勤務だった安西を本社に引き抜き、連夜の販売店の接待などで酷使した上、社内の派閥争いに絡む裏の仕事も担当させる。締切時間を巡ってしばしば悠木と対立する。悠木が幼少の頃、近所に住んでいたことがあり、社内でただひとり悠木の生い立ちを知っている。悠木はそんな伊東の存在に怯えているが、伊東自身も決して明るい幼少時代だったわけではないのだと思い始める。社内派閥は専務派。
安西耿一郎(販売部)
本社に引っ張ってくれた伊東に恩義を感じている。生粋の山男で「登ろう会」の中心メンバー。悠木に山に登る理由を問われると「下りるために登るんさ」という深長な言葉を残す。悠木との谷川岳登攀を控えた前夜、繁華街で倒れて病院に運ばれ、植物状態となる。悠木は山に行くはずだった安西が繁華街にいた理由を突き止めようとする中で安西が残した言葉の意味に思い当たる。
暮坂(広告局長)
編集畑を歩んでいたが、出世というエサにつられて広告局長となった。取引先に土産話を持ち帰る目的で墜落現場に赴く。記念撮影をするなどの目に余る行為を神沢に咎められ、殴打される。
飯倉(専務)
白河社長の追い落としを狙っており、社内の権力争いに余念がない。
白河(社長)
家で生まれた子犬を部下に与えることで派閥を拡大させ、社長の座に就いた。

[編集] その他

望月亮太
元社会部記者。悠木が県警キャップだった頃の部下のひとりで、交通事故被害者の写真を入手する「面取り」を命じられるが、死者の顔写真を新聞に掲載する意味について悠木に食って掛かる。事件屋としてはあまりにも繊細な性格が災いし、仕事を放棄した上に交通事故に遭遇し、自殺ともとれる死を遂げる。
望月彩子
望月亮太の従姉妹で、大学ではマスコミ学を専攻している。悠木のせいで従兄弟が死んだと思っている。日航機事故の報道にあっては520名の事故被害者の命の重さと従兄弟の命の重さの扱われ方の落差に疑念を持ち、両者にはいかなる差もないことを訴える文章を悠木に託す。望月亮太に想いを寄せていたことを悠木に告白する。
悠木弓子
悠木の妻。悠木と子供たちとの関係を心配している。悠木は妻にも自分の生い立ちを明かしていない。
悠木淳
悠木の息子。父親を知らない悠木は息子との接し方に苦心し、手を上げてしまう。父親を尊敬できずにいる。
安西小百合
安西の妻。駆け落ち同然で結婚した。安西が倒れたことに動転するが、仕事漬けで家を空けていた安西と四六時中一緒にいられるようになったことに前向きな気持ちを見出す。
安西燐太郎
安西の息子。安西が倒れてからは悠木が淳とともに山へ連れ出すようになる。悠木は淳との関係修復のために燐太郎をダシに使っていることに負い目を感じる。日航機事故から20年後、悠木とともに谷川岳衝立岩にアタックし、そこで悠木は息子との邂逅を果たす。
末次
安西の登山仲間。悠木は安西が残した言葉の意味を知るために見舞いに来た末次に会い、安西がかつては一流の登山家で、谷川岳衝立岩でザイルパートナーを失って以来、本格的な登山を止めたという事実を知る。それ以来となる衝立岩登攀に安西が自分を誘った意味と安西が残した言葉の意味が悠木の中で繋がる。

以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


[編集] 書誌情報

[編集] テレビドラマ

クライマーズ・ハイ
ジャンル ドラマ
放送時間 土曜 19:30 - 20:45(75分)
放送期間 2005年12月10日 - 12月17日(2回)
放送国 日本
制作局 NHK
演出 清水一彦
井上剛
原作 横山秀夫
脚本 大森寿美男
プロデューサー 若泉久朗
出演者 佐藤浩市
大森南朋
松重豊
光石研
岸部一徳
杉浦直樹
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[編集] 概要

NHK総合デジタル総合土曜ドラマの枠内で2部構成の特別番組として放送されたテレビドラマである。2005年12月10日と17日に両日とも19時30分から20時45分(JST)に放送された。2006年9月30日と10月7日に再放送されている。また、DVDが発売・レンタルされている。

[編集] キャスト

[編集] 北関東新聞社

[編集] その他

[編集] スタッフ

[編集] 受賞

[編集] 時代考証

  • 悠木和雅(佐藤浩市)が劇中で乗っている初代ホンダ・トゥデイは、1985年9月発売であり、ドラマ中の8月時点ではまだ発売されていない。
  • 悠木が末次(伊武雅刀)を訪ねて行った先の図書館に、やはり1985年8月には刊行されていない『名探偵コナン』のコミックスが並んでいる。
  • 劇中登場したテレビニュースは制作したNHKの事故発生当時の特番映像を多数使用している。

[編集] 映画

クライマーズ・ハイ
The Climber's High
監督 原田眞人
製作 若杉正明
久保理茎
脚本 加藤正人
成島出
原田眞人
出演者 堤真一
堺雅人
尾野真千子
高嶋政宏
山崎努
音楽 村松崇継
主題歌 元ちとせ「蛍星」(イメージソング)
撮影 小林元
編集 須永弘志
原田遊人
配給 東映
ギャガ・コミュニケーションズ
公開 日本の旗2008年7月5日
上映時間 145分
製作国 日本
言語 日本語
興行収入 11.9億円
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キネマ旬報
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IMDb
  

2007年10月に製作が発表され、2008年7月5日公開。事故現場となった上野村において特別試写会がおこなわれ、多くの村民が鑑賞した。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

[編集] 受賞

  • 第32回日本アカデミー賞
    • 優秀作品賞
    • 優秀監督賞(原田眞人)
    • 優秀脚本賞(加藤正人、成島出、原田眞人)
    • 優秀主演男優賞(堤真一)
    • 優秀助演男優賞(堺雅人)
    • 優秀撮影賞(小林元)
    • 優秀照明賞(堀直之)
    • 優秀美術賞(福澤勝広)
    • 優秀録音賞(矢野正人)
    • 優秀編集賞(須永弘志、原田遊人)


[編集] その他

  • 北関東新聞社のビルは前橋市内の空きビルをそのまま利用したもので、社名ロゴが入った看板も掲げられた。
  • 北関東新聞社は群馬県を拠点とする架空の地方新聞社の設定だが、実際に埼玉県さいたま市(旧岩槻市)に同名の会社が存在する。月刊・季刊の情報誌発行がメインであり、日刊新聞の発行は行っていない。劇中の北関東新聞社とたまたま同名であるだけで、モデルになった訳ではなく、設定に影響も及ぼしていない。同社は別社名で1970年に設立され、1989年に現社名の株式会社北関東新聞社に社名変更をしており、原作の「別冊文藝春秋」掲載よりも早い。
  • 再現された墜落事故現場は、群馬県高崎市近郊の倉渕ダム残土捨場の山林斜面に造られ、機体残骸の位置も忠実に再現された。

[編集] 時代考証について

本作品は比較的忠実に1985年当時の時代考証されているが、若干当時には存在しない物や言葉が使用された箇所がある。

  • 背景の小物に時刻表があり、「JR」の文字が見えるが、国鉄が分割民営化しJRとなったのは1987年である。
  • 墜落現場を取材する報道陣がBETACAM-SP方式の一体型VCRソニー製BVV-5)を装着したビデオカメラを使用しているカットがあるが、BVV-5が発売されたのは事故後の1987年である。当時はカメラとVCRが分離した形式での取材が多かったが、本作品ではそのシーンは無い。また、BVV-5の一世代前に当たるBVV-1が報道現場で使われることも多い時代で、劇中、比較的多く登場するテレビカメラマンが利用していたのも当機である。
  • 劇中に登場する自動車はおおむね舞台当時前後に発売された車種が多いが、群馬県警パトカーとして走っていたトヨタ・クラウンは1991年発売のS140型である。

[編集] DVD

  • クライマーズ・ハイ(テレビドラマ)ASIN:B000EPFPBK
  • クライマーズ・ハイ(映画)ASIN:B002MTS3VU

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月22日 (日) 18:42 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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