クラ (交易)
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クラ(Kula)は、パプア・ニューギニアのトロブリアンド諸島、ルイジアード諸島、ウッドラーク島、ダントルカストー諸島などの民族によって行われる交易である。
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[編集] クラの規則
- 参加者
クラは言語や文化が異なる部族にまたがって広範に行なわれ、部族ごとに複数の男性が参加する。一度クラに入った人間や品物は、終生を通してクラに属することになる。クラには一村または多数の村による共同体の単位があり、属する者たちは一体となってクラを行なう。
- 品物
クラの品物はヴァイグア(キリウィナ語)と呼ばれ、2種類がある。赤い貝から作るソクラヴァという首飾りと、白い貝から作るムワリという腕輪である。いずれも大規模な儀式的舞踊や祝祭などの重要行事で身につけられ、日常の装飾には使われない。ソクラヴァはクラの交易圏内を時計回りに動き、ムワリは反時計回りに動く。品物が1周をするまでに、2年から10年ほどを要する。
- 種類
クラ共同体内や隣接する共同体との小さな内部的取引と、遠洋航海による外部との取引がある。また、競合的で大規模なウヴァラクというクラと、普通のクラである小規模なクラ・ワラに分かれる。ウヴァラクは、多くのヴァイグアが集まったときや、食料の欠乏、重要人物の死亡などをきっかけとして行なわれる。
- 取引の方法
クラに関係する人間は、ソクラヴァかムワリを自分の取引相手へ贈り、相手から反対の品物を返礼として受けとる。例えばソクラヴァを受け取った場合は、ムワリを返礼せねばならない。はじめに贈る品物はヴァガ、返礼の品物はヨティレと呼ぶ。
取引においては議論、競り、その場で相互に交換することなどは禁じられる。返礼までには1年以上かかることもある。クラで贈り物を受けた人間は、同等の品物を返すことを期待されるが、品物の評価は贈る者にまかされている。返礼にもらった品物が不満足であっても、取り消す方法はない。クラは物々交換とは区別されており、物々交換にはギムワリといった名称がついている。クラの作法を守らなかったときは、「ギムワリのようにクラを行なった」などと非難される。
遠洋航海のクラには航海カヌー(ワガ)を用いるため、遠征隊の準備や、これに結びつく呪術がともなう。カヌー建造の呪術、航海を安全にする呪術、ムワシラ(クラにおける美容、安全、説得の呪術)などである。
[編集] クラの機能
クラの関係は、贈り物と奉仕の相互交換を2人の間に生み出し、何百キロも離れた人間を直接または間接的に結びつけ、義務のやりとりで複雑な規則を守らせる。これにより、部族間に網目状の関係が作られる。また、クラによって、他の品物や習慣、歌などの芸術も伝えられる。クラの品物は一時的にしか所有されないが、この所有によって名声を得られ、クラにまつわる功績や逸話が共有される。そのため競争心、所有欲、名誉欲と結びついている。
クラにともなって副次的交易が行なわれ、天然資源の確保がなされる。クラの相手が欲しがる品物を積んで贈り物としたあと、故郷へ持ち帰る品物を手に入れて運ぶ。遠征の途中で品物を調達する場合もある。
ヴァイグアほど重要ではないが、他にもクラに関係する贈り物が多数存在する。食物の贈り物であるポカラやクワイポル、クラの対象とならない宝物であるカリブトゥ、小さな宝であるコロトムナ、返礼できない場合に中継ぎとして使われるバシなどがある。
遠洋航海のクラにあたっては、カヌーの建造をはじめクラ共同体をあげて準備が行なわれ、船大工への支払いや、サガリという食物の再配分などが活発に行なわれる。
[編集] 研究
クラは人類学者のブロニスワフ・マリノフスキによって詳細に研究され、彼が『西太平洋の遠洋航海者』という著作を発表して以来、多くの研究者の注目を集めている。マルセル・モースは、クラについて『贈与論』で研究し、贈与経済としてクラを位置づけている。カール・ポランニーは、『大転換』(1944)などでクラを互酬関係のひとつとして論じた。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
最終更新 2009年9月15日 (火) 23:18 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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