クリノメーター
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クリノメーター(clinometer)とは、地質調査(地表踏査)を行う際に用いる地層面や断層面などの走向・傾斜を測るための道具である。 ルーペ、ハンマーと共に、地質調査の三種の神器とも呼ばれる。 間縄測量などの簡単な測量にも使える。
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[編集] 概要
クリノメーターは主に傾斜計(振り子)、コンパス(磁石)、および水準器から構成される。 日本で使われているクリノメーターの特徴は、コンパスが読み取りの便宜上、通常の東西南北表示と違って、東と西の表示が逆になっている点と、方位角度が360度表示でなく90度表示になっている点の2点である。 また、日本国内においては、本体の材質は、従来は木、もしくはアルミ合金だったが、近年ではプラスチック製のものも登場、振り子と磁針がオイルダンプされたカプセルに封入されているのも特徴である。 また最近になってデジタル式のクリノメーターも実用化された。
[編集] 測定方法
[編集] 走向の測定
走向の測定は、測定面にクリノメーターの長辺を水平に当てて、磁針の示す方位角を読み取る。
[編集] 傾斜の測定
傾斜の測定は測定面の最大傾斜方向、つまり走向方向に対して90度の方向にクリノメーターの長辺側の側面を当てて、傾斜計(振り子)の示す傾斜角を読み取る。
[編集] 補助走向板の活用
クリノメーターを当てるだけの広さの適当な面が無い、あるいは測定面に近寄れないなどの場合に、適当な板を測定面と平行に固定し、その板の面を測定することもよくある。 実際上、測定面が理想的な平面であることは稀で、大抵、凸凹していたり、うねっていたりするので、測定面全体としての平均的走向・傾斜を正確に測定するためには、むしろ補助走向板を常時、活用することが望ましい。
[編集] 東西逆表示のルーツ
1650年頃長崎に来たオランダ人医師カスパル (Caspal) によって、当時のヨーロッパの測量技術が伝えられた。 それはその後、規矩(きく)術として伝承、実用化された。 そしてその一人、金沢清左衛門が航海用に世界初となる東西が逆さまの磁石逆盤を考案した。 そのうち、当時振矩師(ふりがねし)と呼ばれた鉱山の測量家達がその方式を取り入れ使い始めた方位測定器が、現在のクリノメーターの前身であるらしい[1]。
[編集] 日本最古のクリノメーターを発見
岩松暉(1989)によると、日本最古と思われるクリノメーターは岩松暉によって島津斉彬の収集物で有名な尚古集成館にて発見された。 以下は[2]の引用である。
名票には単なる測量器械とあった。 しかし,東西が逆に刻印されているし,何よりも振子が付いている。 おまけに90゜までの目盛も打ってある。 明らかに傾斜を測定する道具である。 方位を狙う折り畳み式のアリダードまであり,鏡がないだけでブラントンコンパスそっくり,ただ,水準器がない。 裏にネジ山が切ってあるところをみると,平板など別なものに付けて使ったものらしい。 恐らくそれに水準器が付いていたのであろう。 そのためか,本体には製造会社名や国名など一切書かれていない。 どうしてこんなものが尚古集成館にあるのだろうか。
地質学者ならではの発見であった。
[編集] クリノメーターの分類
[編集] 従来よりあるクリノメーター
木、またはアルミ合金製で、磁針と傾斜計(振り子)は、ガラス板で覆われている。 多くの地質学生、研究者、地質技術者などが長年、慣れ親しんでいるモデルである。
[編集] プラスチック製のクリノメーター
プラスチック製で、磁針と傾斜計(振り子)は、オイルダンプされたカプセルに封入されている。 当初は山岳用品店などで販売されているシルバ社やスント社の、傾斜計の装備された高級コンパスを個人が購入して、クリノメーターとして使いやすいように水準器を貼り付けるなどの工夫をしていた。 現在では複数の国内メーカーがシルバ社製のコンパスを改造してクリノコンパスとして市販している。 最大の利点はオイルダンプであることで、磁針が静止したままほとんど振れず、読み取りが一瞬ですみ、しかも正確に読み取れる。 しかも、水に強く、壊れにくく、磁針の磨耗もほとんど無く、メンテナンスフリーであるのもオイルダンプの利点である。 本体がプラスチックなので非常に軽い(水には沈む)点も見逃せない。
[編集] デジタルクリノメーター
内蔵されたセンサーが測定するデジタル式のクリノメーターで、最近発売され話題を呼んでいる。 読み取りが一瞬ですむのはもちろん、メモリー機能や、パソコンとの接続機能も標準装備、さらにGPS搭載モデルは位置情報も記録できる。 さらに見逃せないのは測定・解析に手間隙がかかる厄介な線構造の方向も一瞬ですむことである。 また比較的に安価なのも魅力的で、従来の高価な外国製デジタルクリノメーターとちがい、実用的である。 とくに処理能力を生かしての膨大なデータを扱う構造地質関係の分野や、GPSを活用しての地形図の使いにくい地域での地質調査に魅力的である。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 羽田忍 『地質図の読み方・書き方』 共立出版〈地学ワンポイント〉、1990年。ISBN 4-320-04626-9。
- 天野一男・秋山雅彦 『フィールドジオロジー入門』 日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会編、共立出版〈フィールドジオロジー〉、2004年。ISBN 4-320-04681-1。
- 坂幸恭 『地質調査と地質図』 朝倉書店、1993年。ISBN 4-254-16234-0。
- 地学団体研究会新版地学事典編集委員会編 『地学事典』 平凡社、1996年、新版。ISBN 4-582-11506-3。
- 清水大吉郎「日本の"クリノメーター"の歴史」 (PDF) 、『日本地質学会学術大会講演要旨』第91巻、日本地質学会、1984年、576頁。
[編集] 外部リンク
最終更新 2009年10月1日 (木) 13:37 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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