クレイ
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クレイ・インコーポレイテッド (Cray Inc.) は、アメリカワシントン州シアトルのスーパーコンピュータ製造企業。
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[編集] 略史
クレイ・リサーチ (Cray Research Inc. = CRI) は1972年にコンピュータ設計者シーモア・クレイによって設立された。クレイは1976年にCray-1ベクターコンピュータをリリースし、業界を騒然とさせた。
クレイ氏は自身の会社クレイ・コンピュータ (Cray Computer Corporation = CCC) を別に設立したが、1995年に倒産。翌年に、クレイ・リサーチはSGIに買収された。
現在の会社となったのは2000年で、テラ・コンピュータがSGIからクレイ・リサーチを買い受けて、合併してクレイ・インコーポレイテッドとした。
[編集] クレイリサーチ時代
シーモア・クレイは1950年にコンピュータ業界で働き始めた(このあたりの経緯についてはコントロール・データ・コーポレーションの項も参照されたい)。ERA (Engineering Research Associates) で ERA 1103 の開発に携わった。このときの仲間が後にコントロール・データ・コーポレーション (CDC) を設立し、クレイも協力していた(基本的にCDCから設計開発を請け負っていた)。その後、1972年に自身の会社クレイ・リサーチを設立した。
円筒形のデザインが印象的なCray-1は大きな成功を収め、ILLIAC IVに次いで世界二位の高性能を誇った。リリース後、1ヶ月で880万USドルを売り上げた。これにより、このときから日本企業に追い越されるまでの間、クレイはスーパーコンピュータの代名詞となる。その後、シーモア・クレイはさらにCray-2を開発したが、出来上がってみると社内の別チームが設計したCray X-MPより若干高速という程度であった。
彼は即座にCEOを辞し、独立した契約技術者という立場になる。Cray-2のための新たなソフトウェア研究所Cray Labsを1980年代に設立した。この研究所はいったん廃止されたが、1989年にクレイ・リサーチからスピンオフし、クレイ・コンピュータ (Cray Computer Corporation、CCC) となった。 シーモア・クレイはそこでCray-3プロジェクトに携わる。初めてガリウム砒素 (GaAs) 半導体をコンピュータに使用する計画だった。しかし政治情勢が変わり(ワルシャワ条約機構が崩壊し、冷戦が終わったため)、Cray-3はほとんど売れなかった(実際に納入されたのは1台だけである)。クレイ・コンピュータは急激に傾き、1995年に倒産した。クレイ・コンピュータの残されたものからクレイ氏最後の会社SRC Computerが設立され、こちらは現在も残っている。
クレイ・リサーチはX-MPから始まったシリーズを開発し続け、Cray Y-MP、Cray C90、Cray T90とリリースしていった。 これらのマシンは基本的にCray-1を複数台内蔵しているようなアーキテクチャである。X-MPは2~4台、後のマシンでは最高32台である。 Cray-2プロジェクトが頼りない結果で終わったため、Crayの命令セットを利用した低価格な擬似Crayを作る企業が出てきた。 Scientific Computer Systems (SCS)、American Supercomputer、Supertekなどがそれである。これらはクレイと対抗するという類のものではなく、もっと安価で低性能なCMOSを使ったX-MP互換マシンを作っていたのである。
1980年代終盤、高性能マシンの市場は超並列コンピュータに席巻される。シンキング・マシンズ、ケンドール・スクエア・リサーチ、 nCUBE、MasPar、Meiko Scientificなどである。 当初、クレイ・リサーチはこの手法を全く相手にしていなかった。超並列マシンを効率的に使うソフトウェアを作るのは困難と考えていたのである。これはILLIAC IVの時代には正しかったが、その頃には必ずしも真ではなかった。ついにクレイ社もそれが進化の唯一の道であると理解し、5年をかけた研究プロジェクトを開始し、追いつこうとした。 その結果はAlphaベースのCray T3DとT3Eのシリーズで、皮肉なことにこれによってクレイは2000年のアメリカの市場で唯一のスーパーコンピュータメーカーとなっていた。
1980年代終盤から1990年代初期にかけて、新しいベンダーから小さなスーパーコンピュータが登場した。ミニスーパーコンピュータと呼ばれたこれらのマシンはクレイ社のローエンドマシンの市場を侵食しはじめた。特に人気を博したのはコンベックス・コンピュータシリーズで、他にも小規模の並列マシンがピラミッド・テクノロジーやアライアント・コンピュータといった企業からリリースされていた。そのような企業のひとつとして SuperTek がある。SuperTekのS-1は空冷のCMOS実装のX-MP互換プロセッサを使用していた。クレイ社はSuperTekを買収し、S-1 を Cray XMS として販売したが、このマシンは故障しやすかった。 次いで未完成だった(Y-MP互換の)S-2は Cray Y-MP/EL として1991年2月にリリースされ、それなりの販売台数を記録した。これらのマシンは小規模な企業、特に石油探査を起こっている会社に売れた。このシリーズは後に Cray J90、そして Cray SV-1 へとつながっていく。
クレイ社はもうひとつのミニスーパーコンピュータ会社Floating Point Systemsの資産を買収した。この会社はSPARCベースのマシンでファイルサーバ市場に移行していた。このマシンはサン・マイクロシステムズのSolarisを改造したOSが動作しており、64台のマシンでクラスターを構成してひとつのシステムに見せる機能があった。クレイはこれを Cray SMP スーパーサーバと名づけて販売した。後に高速なSuperSPARCを使った Cray CS6400、UltraSPARCを使った Cray CS64000をリリースしている。設計はこの市場向けとしては最高レベルだったが、クレイはこの方面では成功したとは言い難い。クレイのこれまでのニッチな市場とは勝手が違いすぎたためと思われる。
[編集] SGI時代
クレイ・リサーチは1996年2月、SGIに吸収合併された。当時、市場も技術も違う2社の合併に業界は批判的だった。
SGIは即座にSuperserverシリーズをサンに売却した。サンはその技術を使って大成功を収めることになるE10000Starfireサーバを開発した。現在もそのシリーズは販売されている。
SGIはいくつかのクレイの技術を使い、グラフィックワークステーションからスーパーコンピュータへと移行を開始した。 ここで鍵となったのはクレイの開発したHIPPIデータバスとT3シリーズでのノード間接続の技術である。
技術を吸収したSGIはクレイ・リサーチ部門を1999年8月に分離し、売却準備に入った。2000年3月2日、その部門はテラ・コンピュータに売却された。テラ・コンピュータは取引完了後の2000年4月4日、クレイ (Cray Inc.) と名称を変えた。
[編集] クレイ社の現状
2009年11月、同社のJaguarはTOP500で世界最速のスーパーコンピューターとされた。
[編集] 豆知識
- クレイのコンピュータは(汎用コンピュータと比べても)極めて高価であるため、ごく少数しか売れなかった。そのため、クレイのマシンを導入することは極めて名誉なことという風潮があった。これは国についても当てはまる。その風潮を強化して利用するため、クレイ・リサーチの営業マンはクレイを導入した国の国旗が並ぶデザインの宣伝用のネクタイを作った。
- クレイの従業員はCrayons(クレヨン)と呼ばれることがある。
- 1970年代から1980年代、IBMとクレイは世界最高速のコンピュータを作る競争を繰り広げたが、常にクレイが勝っていた。クレイの記録を破ったのはクレイだった。
- 1986年にアップルがCray X-MPを購入し、次のMacintoshの設計に使用すると発表したとき、シーモア・クレイはこういった。「そりゃ面白い。私はMacintoshで Cray-2 を設計したんだから」
- アップルにマシンが納入されたときのアップル社従業員のパーティでは、ザリガニ (crayfish) 料理が出された。
- Cray1は本体回りに電源を納めた背の低い筐体部分があり人が腰を下ろすのにちょうどよかったため、最も高価な椅子と言われた。
[編集] 製品
クレイリサーチ (1972年–2000年; 1996年–2000年の間はSGIの一部)
クレイコンピュータ (1989年–1995年)
クレイ (2000年–現在; テラ・コンピュータとクレイリサーチの合併により設立)
- Cray SX-6 NECのスーパーコンピュータSXシリーズのOEM供給
- Cray MTA-2
- Cray SV1
- Cray Red Storm
- Cray X1
- Cray X1E
- Cray XT3
- Cray XD1
[編集] 外部リンク
- Cray Japan. Inc.
- Cray Research と Cray Inc. の歴史(英語)
- Top 500 Supercomputers(英語) 開発メーカーの値ではなく、納入先で測定した性能の比較による(業界では有名な)ランキング。TOP500。

