グラム陽性菌

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脳脊髄液検体のグラム陽性の炭疽菌(紫色の桿状構造物)。他の細胞は白血球。

グラム陽性菌(: Gram-positive bacteria)とはグラム染色により紺青色あるいは紫色に染色される細菌の総称。グラム陰性菌(en:Gram-negative bacteria)はクリスタルバイオレットによる染色が脱色され、サフラニン(en:Safranin)による対比染色(en:Counterstain)により赤色あるいは桃色に染色される。グラム陽性菌は細胞壁の多量のペプチドグリカンのためクリスタルバイオレットの染色が脱色されない。グラム陽性菌の細胞壁では一般的にグラム陰性菌で認められる外膜を欠く。

目次

[編集] 特徴

ペプチドグリカンの構造

一般的にグラム陽性菌には下記の特徴が存在する。[1]

  1. 細胞質性の脂質膜
  2. 厚いペプチドグリカン層
  3. 多糖類の被膜(いくつかの種のみ)
  4. 鞭毛(いくつかの種のみ)

[編集] 分類

グラム陽性菌はファーミキューテス門(en:Firmicutes)と放線菌門(アクチノバクテリア門)に分類される。グラム陽性菌に属する細菌の属としてバシラス属、リステリア属(en:Listeria)、スタフィロコッカス属(en:Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(en:Streptococcus)、エンテロコッカス属(en:Enterococcus)、クロストリジウム属などの属がよく知られている。広義にはマイコプラズマのような細胞壁を持たないためにグラム染色できないMollicutes綱の細菌もグラム陽性菌に分類される。放線菌グアノシンシトシン含有量が多いがグラム陽性菌に分類される。対照的にファーミキューテス門の細菌はグアノシン、シトシンの含有量が少ない。

これらグラム陽性菌は外膜を持たないという点で古細菌と共通しており、グプタらはより祖先的な細菌と位置付けている。一方でトーマス・キャバリエ=スミスらは逆の見解を示している。系統樹上では、初期の16S rRNA等を基にした解析では多系統とされていたが、近年の研究ではグラム陰性菌に対して側系統ないし単系統になることが支持されつつある。

グラム陽性菌、グラム陰性菌ともにS層(en:S-layer)と呼ばれる膜を持つことがある。グラム陰性菌ではS層は外膜(en:Outer membrane)に直接接触する。グラム陽性菌ではS層はペプチドグリカン層に接触する。グラム陽性菌の特徴として細胞壁にタイコ酸が存在する。特殊なタイコ酸であるリポタイコ酸は脂質成分を含み、脂質成分を膜に埋没させることによりペプチドグリカンの支持を補助する。

[編集] 例外

Deinococcus-Thermus(en:Deinococcus-Thermus)はグラム陽性として染色されるが構造的にはグラム陰性菌に類似する。

細菌ほどグラム染色は重要ではないが、古細菌に対してもグラム染色は行われる。グラム陽性に染色されるのは、メタノバクテリウム綱とこれに近縁なメタノパイラス綱である。この他メタノミクロビウム綱に含まれるMethanosarcina高度好塩菌に含まれるHalococcusもグラム陽性に染まりうる。それぞれシュードムレイン、メタノコンドロイチン、グルタミニルグリカンを細胞表面に持つ。何れも細菌のペプチドグリカンとは構造や合成系が異なるため、ペニシリンリゾチームの作用は一切受けない。

[編集] 発病機序

ヒトの病原細菌の多くはグラム陰性菌である。古典的には6つのグラム陽性菌がヒトの典型的な病原体である。

球菌 ストレプトコッカス属とスタフィロコッカス属の2つである。

桿菌 このうち、コリネバクテリウム属とリステリア属は芽胞を形成しないが、バシラス属とクロストリジウム属は芽胞を形成する。 [2] 芽胞形成細菌は呼吸様式によりさらに細分することができ、バシラス属は通性嫌気性であり、クロストリジウム属は偏性嫌気性である。

[編集] References

  1. ^ Madigan M; Martinko J (editors). (2005). Brock Biology of Microorganisms, 11th ed., Prentice Hall. ISBN 0131443291. 
  2. ^ Gladwin, Mark; Bill Trattler (2007). Clinical Microbiology made ridiculously simple. Miami, FL: MedMaster, Inc, 4-5. ISBN 978-0-940780-81-1. 

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月30日 (金) 01:25 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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