ココア

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ココアCocoa、英語ではコゥコゥと発音する Cocoa.ogg 聞くヘルプファイル)は、カカオの種子(カカオ豆)を主原料とした飲料である。またはココア飲料の原料となるココアパウダーの略称として用いられる。ココア飲料は、カカオ豆を発酵焙煎させた後、種皮と胚芽を取り除いてすり潰したカカオマスや、カカオマスを脱脂して得られるココアパウダーに、湯・砂糖牛乳などを加えて作るのが一般的である。温かいココアはホット・チョコレートとも呼ばれる。メキシコヨーロッパなどで愛飲される。夏季には冷やして供されることもある(アイス・ココア)。ちなみに、ネスレ・ミロは、ココアではない。

カカオの実の中のカカオ豆
焙煎前のカカオ豆

カカオの実は、厚さおよそ3cm(実の種類による)の荒い革のような種皮を持つ。南米で「baba de cacao(カカオのラム酒ケーキ)」と呼ばれる甘い粘質でパルプ質の実の中に、30から50個の大きなアーモンドに似た柔らかくピンクまたは紫色の種子(豆)が包まれている。カカオ色素 (Cacao colour)はフラボノイドの一種で、ココア色素とも言う。

目次

[編集] ココアの飲み方

純ココア(ココアパウダー)を用いる場合はココアパウダーと砂糖、少量の熱湯(または牛乳)を混ぜ、弱火でペースト状になるまでよく練る。これを牛乳で伸ばして飲み、さらに生クリームやシナモンを添えることもある。

飲む際の手間を省くため「ミルクココア」「アーモンドココア」「フレーバーココア」などといった名前で牛乳や湯を注ぐだけで飲める粉末のものや「練ココア」としてペースト状になったものも販売されている。こうしたものは「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」では「調整ココア」に分類され、同規約では「ココアパウダーに糖類、乳製品、麦芽、ナッツなどを加えて飲みやすくしたもの」と定められている[1]

[編集] 歴史

カカオは米国に自生している。カカオは、今日の南米のアマゾン川流域、アンデス山脈山麓およびオリノコ川流域が起源といわれる。しかしながら、スペイン人到来のはるか以前にも、その後同様にこれらの地域で栽培されていたため、過去においてどれだけ広域であったかはについては不明瞭である。カカオは、古代マヤ族によって中米に伝わり、オルメカトルテカ帝国アステカによりメキシコで栽培された。カカオは、スペイン征服前には、メソアメリカとカリブでの共通通貨であった。

カカオが育つ地域は、赤道の南北緯度20度の範囲に限定される。全世界の70%は西アフリカ地域の生産である。

カカオは、15世紀のメソアメリカでの重要な商品であった。エルナン・コルテスによるスペインのメキシコ征服の年代記にて、アステカの皇帝モクテスマ2世が金のゴブレット(酒杯)で給仕され金のスプーンで飲むチョコレート以外何も飲まなかったことが記されている。チョコレートは、バニラ香辛料で風味付けされ、口で溶けるようにホイップされていた。モクテスマ2世は、日常で50杯、貴族会議では200杯以上飲んでいたといわれている。

チョコレートは、スペイン人により欧州へ伝わり、17世紀中期に一般的な飲み物となった。スペイン人はまた、カカオ栽培を西インド諸島およびフィリピンに伝えた。

カカオは、スウェーデンの自然科学者カール・フォン・リンネの植物分類学により初めて植物学名が与えられ、Theobroma(神の食物)cacaoと呼ばれた。

1828年にオランダのカスパルス・ヴァン・ホーテン (1770-1858) が、カカオマスから油脂を分離し粉末化する手法を開発した。(バンホーテン参照[2]

[編集] 生産

[編集] 世界生産

2004年ココア生産量
(単位:100万トン)
コートジボワールの旗 コートジボワール 1.33
ガーナ 0.74
Template:IDN 0.43
ナイジェリア 0.37
ブラジル 0.17
カンボジア 0.13
エクアドル 0.09
世界生産 3.6
出典:国際連合食糧農業機関

毎年3,000,000トンのココアが生産されている。生産量の推移は次のとおり。

1,556,484トン(1974年)
1,810,611トン(1984年)
2,672,173トン(1994年)
3,607,052トン(2004年)

この30年間で131.7%増加しており、年平均成長率は2.8%である。

カカオには、フォラステロ種クリオロ種トリニタリオ種の大きく3種類がある。フォラステロ種が、カカオ全生産の95%を占め、最も広く使われている。総合的に最高級にカカオ豆はクリオロ種で、美味といわれている。クリオロ種はファラステロ種よりも収穫量が少なく、またココアに対するいくつかの病害虫への抵抗力が低い傾向があり、生産する国は僅かである。クリオロ種の生産量が多い国のひとつはベネズエラ(チュアオとポルセラーナ)である。トリニタリオ種は、クリオロ種とフォラステロ種を交配したものである。フォラステロ種よりはるかに高い品質、高い収穫量と病害虫への耐性を持つ。

オランダが世界一のココア加工国であり、米国が続く。

ココアとその製品(チョコレートを含む)は世界中に広まっている。一人当たり消費量については、多数の国が最大と主張している:様々なレポートではスイスベルギー、および英国の消費量を最大としているが、国内の消費と旅行者の消費を明確に区別する仕組みがないため推論にすぎない。

カカオ豆の最大生産国は次の通りである。表は国際ココア機関(ICCO)2006〜2007年シーズンの生産見積もりである[3]。パーセントは、期間中の世界生産総計である347万トンに対する割合である。

国名 生産量 パーセント
コートジボワール 130万トン 37.4%
ガーナ 72万トン 20.7%
インドネシア 44万トン 12.7%
カメルーン 17.5万トン 5.0%
ナイジェリア 16万トン 4.6%
ブラジル 15.5万トン 4.5%
エクアドル 11.8万トン 3.4%
ドミニカ共和国 4.7万トン 1.4%
マレーシア 3万トン 0.9%

[編集] 収穫

熟したカカオの実

カカオの実(カカオ・ボッド)が熟すと、長い棒の先端の曲がった刃でカカオの幹や枝から収穫する。収穫時、カカオの実自体は赤やオレンジではなく緑色である。通常、赤やオレンジの実は風味や香りが劣るため低品質とされ、工業用チョコレートに使用される。カカオの実は、農園で割られて種を取り出し発酵されるか、実全体を発酵させる。

[編集] 加工

収穫された実は、鉈で開けられ、パルプとカカオの種を取り出して皮が捨てられる。パルプと種子は数日間、山積みされるか、容器に入れられるか、また格子に広げられる。この間、種子とパルプには、厚いパルプが発酵して液化する「sweating」が起こる。発酵したパルプは流れ落ち、カカオ種子が残る。この発酵工程は、元来強い苦みを持つ豆の品質のために重要である。発酵工程が中断され場合、カカオは台無しになる;発酵が不十分なカカオ種子は生のジャガイモのような風味で白カビを生じやすい。

ココア産出国のいくつかでは、液化したパルプを用してアルコールを蒸留している。

発酵した種子は平面に広げられ、絶えず掻きならされながら乾燥される。大規模プランテーションでは、この工程は巨大な浅箱を日光にさらすか、人工的な熱で行われる。小規模農場では、小さな浅箱または牛皮の上で収穫物を乾燥させる。最後に、豆は(しばしば素足で)踏みつぶされ混ぜられる。この工程で時折、より良い色とつやを得るため、また米国、オランダ、英国および他国の工場出荷に向けた保護のために、水に溶いた赤色の粘土が撒かれる。人工的な乾燥で煙や油の異質な風味がついたり、風味を損ねたりしないすることが無いため、天日乾燥が望ましい。

ココアパウダー(ピュアココア)はカカオマスをある程度脱脂した後、粉末にしたもので、約300粒のカカオ豆からおよそ1kgのココアパウダーが取れる。ピュアココアにもココアバター含有量は11~24%残っている[4][5]

[編集] チョコレートの生産

チョコレート

1kgのチョコレートを作るには、必要に応じて通常300から600gのカカオ豆を原料とする。工場では、カカオ豆は洗浄され[要出典]焙煎された後、粉砕されて外皮がふるい分けられる。残った胚乳部はカカオニブと呼ばれ、これを磨砕してペースト状にしたカカオマスをベースとし様々な方法で、チョコレートリカーまたはココアペーストと呼ばれる、厚いクリーム状のペーストを作る。チョコレートリカーは、更に(多くの)ココアバターと砂糖(場合により乳化剤としてのレチシンとバニラ)を加え、次に精製(微粉砕)、練り上げ(コンチング)、調温(テンパリング)を行いチョコレートに加工される。または、水圧機かブロマプロセスを使用して[要出典]ココアパウダーココアバターに分離する。この工程ではカカオマスを約50%のココアバターと50%のココアパウダーへと分離する。標準的なココアパウダーには約11〜24%の脂肪分が含まれる。ココアバターは、チョコレートチョコバー、他の菓子石鹸、および化粧品の製造に使用される。

アルカリを加えることで、酸性が低く、世界のほとんどで一般のものより濃く、まろやかな風味のダッチ・プロセス・ココアパウダーが作られる。通常の(アルカリ化しない)ココアは酸性であり、ベーキングソーダのようなアルカリ性成分が加えられると反応して副産物が残される。

[編集] ココア消費による健康の影響

チョコレートおよびココアは、多くのフラボノイド、特に循環器に有益な健康の影響を与えるカテキンを含んでいる。フラボノイドが豊富なココアの食物摂取は一酸化窒素循環の急激な上昇、循環器を介した血管拡張および微小循環系の増大と相関する。

フラボノイドが豊富なココアの長期摂取は循環器系に有益な健康の影響を与えるが、これは純粋なココアとブラックチョコレートを示すことに注意すべきである。ミルクチョコレートでの牛乳の添加は単位あたりのココアの量を減らし、不飽和脂肪を増加させ、場合によってはココアの心臓への健康の利益を否定する可能性がある。それでもやはり、研究では引き続き、ブラックチョコレート消費による短期間のLDLコレステロール値の改善が発見されている。

ハーバード大学医学部のホレンバーグらは、ココアの摂取量が非常に多いパナマのクナ族のココアとフラボノイドの影響を研究した。研究では、島に住むクナ族が、島の住民ほどココアを飲まない本土の人と比べて、心臓病や癌の率が有為に低いことが分かった。フラボノイドが豊富なココアの消費により改善された血液循環が、心臓や他の臓器の健康に有益な影響を与えたと信じられている。特に、有益な影響は脳に達し、学習と記憶に重要な好影響をもたらす可能性がある[6]

アメリカの医学専門誌であるArchives of Internal Medicine(JAMAアーカイブジャーナルのひとつ)の2007年4月9日号で発表された研究「血圧に対するココアとお茶の影響:メタアナリシス(Effect of Cocoa and Tea Intake on Blood Pressure: A Meta-analysis)」によると、ココアに富んだ食事は血圧を下げるようであるが、緑茶や紅茶ではそのような結果は認められなかった。

[編集] 人間以外の動物の消費

チョコレートは、人間だけでなく、他の数多くの動物も惹き付ける食物である。しかしながら、チョコレートおよびココアには多くのキサンチン、特にテオブロミン、およびより少ない範囲であるがカフェインが含まれ、犬と猫を含む多くの動物の健康に有害である。これらの成分は人間には望ましい効果を与えるが、多くの動物では効率的に代謝できず、心臓と神経系に問題を引き起こし、多量に消費した場合は死に至る。しかしながら、2000年代の中期にキサンチンの濃度が低いココアの派生物が、ペットの消費に適するよう専門の産業により設計され、ペットフード産業は動物に安全なチョコレートとココア風味製品を提供することが可能となった。これにより、食物繊維とタンパク質を多く含み、砂糖と他の炭水化物を控えた製品となった。その結果、ココアの健康的で機能的なペット製品の作成が可能となった。

[編集] 商品としてのココアの問題

多くの国で、ココア農業者は、生活を改善させるために役立つ生産と販売活動に関する情報を欠いている。世界ココア財団のようなチャリティーが、コアが増大する地域での国際熱帯農業研究所(IITA)による持続可能な栽培プログラム(STCP)のような官民協力を通じて、継続的なココアの活動を支援している。このような官民協力プロジェクトの例には、カメルーンのUpcocoaプロジェクトがある。

自然受粉はユスリカのみが行うが、農薬の影響を受ける。受粉はまた手動で行われる。

多くのココア農業者が、生産物を安値で取引している。これにより、いくつかの国でココアとチョコレートがフェアトレードの対象品目となった。しかしながら、公正な取引は、貿易総量の僅かな割合に留まっている。

[編集] 児童労働

児童がココア産業で働いている。国際労働機関の報告によると、2002年に109,000人以上の児童がコートジボワールのココア農場で働いており、そのいくつかは「最も悪い児童労働農場」であった。国際動労機関は後に、2005年に20万人の児童がコートジボワールのココア産業で働いていたと報告した。

児童労働虐待がココア生産で行われていることは、1998年に最初の主張された。2005年の国際労働機関の報告では完全にこの問題を述べてはいないが、ココア生産に関係する20万人の子供のうち最大6%が、人身売買または奴隷の犠牲者であると推定している。

これらの習慣を終わらせる取り組みとしてカカオ・プロトコルが作られ署名された。カカオ・プロトコルは、国際労働権利基金を含む多くの団体から、産業主体で不足していると批判された。

[編集] ココア市場

カカオ豆、ココアバターおよびココアバターは、ロンドンとニューヨークの2カ所の商品取引所で取引されている。ロンドン市場は西アフリカのココアを基盤とし、ニューヨーク市場は東南アジアからの支配的に扱う。ココアは世界最小の商品市場である。ココアバターとココアパウダーの先物価格は、豆の価格に比率を掛けることで決定する。バターとパウダー合算の比率はおよそ3.5の傾向であった。合算比率が3.2を下回る場合、生産は経済的に実行可能であることを停止し、いくつかの工場ではバターとパウダーの抽出を停止し、カカオリカーのみを排他的に取引する。

[編集] ココア・ブーム

1995年に第8回チョコレート・ココア国際栄養シンポジウムでココアの健康効果についての学術発表がなされ、それをもとにみのもんたが司会をしている日本テレビの番組「おもいッきりテレビ」で、 『ココアはポリフェノールを含む健康飲料であり、ピュアココア(後述)に入っているリグニン食物繊維の一種)が腸管の掃除に役立つ(朝に飲むと効果的)』 として紹介され、1996年冬に一時社会現象にまでなりスーパーマーケット等小売店では関連商品の売切れ及び品薄が相次いだ[7]健康ブームを参照)。

[編集] 成分

[編集] 脚注

  1. ^ http://www.chocolate-cocoa.com/statistics/rules/product.html
  2. ^ カカオマスからカカオバターを分離する手法を開発したのは、息子のコンラート・ヨハネス・バンホーテン(1800-1887)であるとする解説が多いが、特許申請はカスパルスによる
  3. ^ Annual forecasts of production and consumption - September 2007(英語PDF
  4. ^ 明治製菓Van Houtenなどの製品包装
  5. ^ 製菓用ローファットココアの製品包装
  6. ^ http://www.pubmedcentral.nih.gov/picrender.fcgi?artid=1796954&blobtype=pdf Bayard V, Chamorro F, Motta J, Hollenberg NK (2007). Does flavanol intake influence mortality from nitric oxide-dependent processes? Ischemic heart disease, stroke, diabetes mellitus, and cancer in Panama. Int J Med Sci.4(1): 53–8.
  7. ^ http://www.meiji.co.jp/etc/ishoku/200310/oa4.html 明治製菓:テレビ「医食同源」ダイジェスト 2003年10月

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献


[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年10月1日 (木) 18:48 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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