シャーロック・ホームズシリーズ

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シャーロック・ホームズの帽子とパイプと虫メガネ

シャーロック・ホームズシリーズは、アーサー・コナン・ドイルの作品のひとつで、シャーロック・ホームズと、友人で書き手のジョン・H・ワトスンの織り成す、冒険小説の要素を含む推理小説である。

1887年から1927年にかけて60編(長編4、短編56)が発表された。長編として発表した第1作、第2作はあまり人気が出なかったが、イギリスの月刊小説誌ストランド・マガジンに依頼されて短編を連載したところ大変な人気となった。それ以降の作品は、長編も含めてすべて同誌に発表された。

物語は基本的に、事件の当事者あるいは捜査に行き詰まった警察が、ホームズに助けを求めて訪ねて来ることが多い。ホームズが現場に調査に行き、警察の見過ごした証拠を発見し、推理を働かせて事件の謎を解き[1]物語は終わる。ほとんどの作品がワトスンによる事件記録という形で書かれている。変人の探偵と常識人の相棒をコンビにして、相棒を物語の書き手とするスタイルは、史上初の推理小説といわれる『モルグ街の殺人』(エドガー・アラン・ポー1841年)を踏襲している。

目次

[編集] 作品リスト

ドイルが書いた60編の事件は、熱狂的なファン(シャーロキアン)から「正典」<The Canon>(コナンConan・ドイルのアナグラムでもある)と呼ばれている。日本では「聖典」ともいわれる。

シリーズのほとんどの作品がワトスンの一人称で記述されているが、「最後の挨拶」と「マザリンの宝石」は三人称、「白面の兵士」と「ライオンのたてがみ」はホームズの一人称で記述されている。「グロリア・スコット号事件」と「マスグレーヴ家の儀式」は、ホームズがワトスンと知り合う以前の体験を語って聞かせるという体裁をとり、実質ホームズの一人称での記述になっている。また『緋色の研究』と『恐怖の谷』の後半に、かなり長く三人称で過去の出来事を語った部分がある。

以下の邦題は新潮文庫版のものである。TV化された作品など、異なる邦題は多数存在し、原典の直訳とは全く違う内容に即した題名が充てられているものもある。かっこ内は、それらのうち大きく異なっているものである。

[編集] 正典

[編集] 長編

[編集] 短編集

The Adventures of Sherlock Holmes - シャーロック・ホームズの冒険
The Memoirs of Sherlock Holmes - シャーロック・ホームズの思い出(シャーロック・ホームズの回想)
The Return of Sherlock Holmes - シャーロック・ホームズの帰還(シャーロック・ホームズの生還)
His Last Bow - シャーロック・ホームズ最後の挨拶
The Case-Book of Sherlock Holmes - シャーロック・ホームズの事件簿

[編集] 外典

ホームズの名前は出てこないが、彼らしき人物が登場するドイル作品
  • 消えた臨急
  • 時計だらけの男
ドイル自身によるホームズもののパロディ
ドイルの手による戯曲(関連作品 - 舞台の項を参照)
ドイルの手によらないホームズ作品

[編集] 主な登場人物

[編集] 日本での出版

[編集] 前史

日本は英語圏以外で、もっとも早くホームズものが紹介された国のひとつである。

明治32年(1899年)には「血染の壁」の邦題で、毎日新聞に『緋色の研究』が連載されている。ホームズは本間、ワトスンは和田と日本人にされ、舞台はベルリンに変えられた(翻訳者は「無名氏」とされ、誰であったかは不詳)。

同じ年には水田南陽が「冒険」のいくつかを中央新聞で翻訳している。外遊した際にホームズものの人気を聞きつけ、帰国後にこれを訳したという。「冒険」の出版が1892年なので、わずか7年で持ち込まれたことになる。「赤毛組合」を「銀行盗賊」としてしまうなど、題名でネタを割ってしまっている珍訳も目立つ。明治末期(1907年)辺りから続々と作品が刊行され始めた。

昭和5年に平凡社「世界探偵小説全集」全6巻で江戸川乱歩三上於莵吉、東健而、延原謙訳が、昭和11年~13年には岩波文庫で菊池武一訳『ホームズの冒険』、『ホームズの回想』、『ホームズの帰還』が刊行された。なお延原謙は大正末期からドイル作品を訳し、昭和6年には『ドイル全集』が刊行開始している。(訳者の一人、改造社全8巻)

[編集] 近年のシリーズ出版

[編集] 新潮文庫

  • 訳者 - 延原謙、全10巻 (改版(1990年代)にあたり、嗣子の延原展が修正を加えた)

戦後新たに訳し直し、最初の全篇訳を<月曜書房>全13巻で出した。なお文庫版は、ページ数制約のため各短編集から計8編が割愛されており、これらを補うため1955年に、独自の短編集『シャーロック・ホームズの叡智』を出している。『~の叡智』という題名は、<正典>にはない。他に『ドイル傑作集』全3巻がある。前史にも記されているが、「ドイル作品」の主要な訳者で、訳著は戦前すでに一部文庫化されていた。

また同文庫には延原が、ドイル著作で最後に訳した『わが思い出と冒険 コナン・ドイル自伝』がある、品切れ。

[編集] ハヤカワ文庫

加島祥造訳で『失われた世界 ロスト・ワールド』があるが、品切れ。

また大久保訳で ジョン・ディクスン・カー『コナン・ドイル』(ハヤカワポケットミステリ)があるが、品切れ。

[編集] 創元推理文庫

他の訳者でドイル傑作集全4巻と、冒険小説『勇将ジェラール』、SF小説等が計全10巻ある。ホームズも含め一部品切れ。

また深町訳で、ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』があるが、品切れ。

[編集] 講談社版(シャーロック・ホームズ大全)

シリーズ全60話のうち47話を1冊に収録。有名なシドニー・パジェットによる挿絵200点を掲載。小林司、東山あかねによる解説つき。鮎川が急逝する直前の1986(昭和61)年9月刊。品切れ

また90年代に講談社インターナショナルで原書『シャーロック・ホームズ全集』全14巻を刊行していた。全点品切れ 

[編集] ちくま文庫版(詳注版シャーロック・ホームズ全集)

別巻に『シャーロック・ホームズ事典』 1997-98年、全巻品切れ。

全作品を年代順に再編成(「グロリア・スコット号事件」~「最後の挨拶」)され、ウィリアム・ベアリング=グールドによる詳解な解説と注釈をつける。元版は東京図書全21巻、1982-83年。  

[編集] 河出書房新社版(シャーロック・ホームズ全集)

  • 訳者 - 小林司、東山あかね 全9巻、1999-2002年、一部品切れ。原典はオックスフォード大学出版局版で「注釈・解説」も訳し、さらに初版本シドニー・パジェットの挿絵全点を入れ、大部である。

小林・東山は夫婦で、「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」を主宰している。編著『シャーロック・ホームズ大事典』(東京堂出版、2001年)を刊行しているほか、約30年間で「ホームズ」関連著作を(共編著・訳書・児童書・再刊も入れると)七十冊以上刊行している。近刊はガイドブック再刊で『シャーロック・ホームズの謎を解く』(宝島社文庫、2009年6月)

なお河出書房では、<ふくろうの本>『図説シャーロック・ホームズ』(増訂版、2005年)や、『シャーロック・ホームズの推理博物館』(河出文庫、2001年)、他にサミュエル・ローゼンバーク『シャーロック・ホームズの死と復活 ヨーロッパ文学のなかのコナン・ドイル』(小林司、柳沢礼子訳、1982年、品切れ)など計9冊を刊行しているが、半数が品切れである。

[編集] 光文社文庫版(新訳シャーロック・ホームズ全集)

  • 訳者 - 日暮雅通、全9巻

2006年1月から2008年1月に刊行された新訳文庫版。

日暮訳では、ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』(河出書房新社、2002年)や、ダニエル・スタシャワー『コナン・ドイル伝』(東洋書林、2009年秋刊行予定)ほか、「ホームズ」が主人公になった小説作品を主に、他に「ガイダンス」や「事典」など、数十冊の関連本を訳している。

[編集] 関連作品

[編集] 舞台

ホームズが登場する最初の舞台。
  • シャーロック・ホームズ(1899年
ウィリアム・ジレット脚色、主演のもっとも成功した舞台。
  • シャーロック・ホームズの苦境(1905年
ジレットの脚色、主演。
ドイル自身の脚色による舞台化。
  • 王冠のダイアモンド――シャーロックホームズとの一夜(1921年
ドイルの脚本。「マザリンの宝石」の原型。
  • コンク・シングルトン卿文書事件(1948年
ジョン・ディクスン・カーの脚本。
  • バラドール・チェンバーの怪事件(1949年
カーの脚本。
  • シャーロック・ホームズ(1953年
ベイジル・ラスボーンが最後にホームズを演じた舞台。
  • シャーロック・ホームズ(1976年
ジレットのリバイバル。レナード・ニモイ主演。
  • ミュージカル シャーロック・ホームズの不思議な冒険(1977年
  • シャーロック・ホームズの不思議のできごと―子供のためのミュージカル・ミステリ(1977年)
  • 血の十字架(1980年チャールトン・ヘストン主演。

[編集] 映画

DVDのタイトルでは『バスカヴィル家の獣犬』となっているが、2007年1月にNHKにて放映された際の日本語タイトルは『バスカヴィル家の犬』となっていた。

[編集] テレビ

  • シャーロック・ホームズとワトソン博士 (テレビ放映用劇映画)(ソ連、レンフィルム、1979年 - 1986年)
ワシーリー・リヴァーノフのホームズ、ヴィタリー・ソローミンのワトソンを始め、ハドソン夫人やレストレード警部も常連キャラクターとして扱った5本のテレビ放映用長編劇映画の連作。通常のテレビシリーズとは異なり、当初は単発で制作されたが、視聴者からの強い要望によって同じ主要スタッフとキャストにより連作化された。80年代前半にはイギリスBBCでも一部が放映され、サッチャー首相の賞賛が紹介されるなど新聞でも評判になった。
日本ではNHKで1985年4月から1995年2月にかけて放送されたドラマシリーズ。全41話。グラナダTVの原題では"The Adventure of Sherlock Holmes"、"The Return of Sherlock Holmes"、"The Casebook of Sherlock Holmes"、"The Memoirs of Sherlock Holmes"と4つのシリーズ名を用いて放映されたがシリーズの順序、内容はドイルの原作とは一致していない。シャーロック・ホームズ役はジェレミー・ブレット (Jeremy Brett)、日本語吹替の声優は露口茂。
テレビ朝日系で放送されたアニメ。登場人物は全て擬人化された犬のキャラクターで描かれた。

[編集] カセットブック

ボヘミアの醜聞・高名の依頼人 / 赤髪連盟・青いガーネット/ 唇のねじれた男・まだらの紐 / バスカヴィル家の犬(長編・一話収録) / 銀星号事件・最後の事件 / 四つの署名(長編・一話収録) / 空家の冒険・美しき自転車乗り / アベ農園・ソア橋 / 這う人・悪魔の足 / ブルースパテリントン設計書・最後の挨拶

[編集] 朗読CD

緋色の研究 / 四つの署名 / ボヘミアの醜聞 / 赤髪組合 / 唇の捩れた男 / 青いガーネット / まだらの紐 / バスカヴィル家の犬 / 六つのナポレオン
  • パンローリングから下記の10作品の朗読がCD販売・データ配信されている。声の出演は佐々木健(ホームズ、ワトソン)。
赤毛連盟 / 踊る人形 / ボヘミアの醜聞 / まだらのひも / 蒼炎石 / 土色の顔 / 瀕死の探偵 / 患者兼同居人 / グローリア・スコット号 / 唇のねじれた男

[編集] ドラマCD

アクトワンレコーズから下記の作品のオーディオドラマが発売されている。声の出演は小杉十郎太(ホームズ)、堀内賢雄(ワトソン)、椿基之(レストレード警部)他。

  • 『緋色の研究』

[編集] 講談化

明治時代に流行した「探偵講談」を復興させている、上方講談師旭堂南湖が、ホームズ物を講談化している。

  • 『探偵講談・ルパン対ホームズ』原作:白雲斎楽山
  • 『探偵講談・唇のねじれた男』
  • 『探偵講談・まだらの紐』
  • 『探偵講談・六つのナポレオン』
  • 『探偵講談・禿頭倶楽部』

[編集] コンピュータ・ゲーム

シャーロック・ホームズシリーズはその内容と知名度から、度々推理アドベンチャーゲームの題材とされた。

  • シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件』(1986年
    トーワチキから発売されたファミリーコンピュータ用アクションアドベンチャーゲーム。後継作品に『名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件』(1988年)、『名探偵ホームズ Mからの挑戦状』(1989年)がある。いずれもアニメの名探偵ホームズとは一切関係ない。
  • 『ロレッタの肖像』(1987年
    セガから発売されたアドベンチャーゲーム。SG-1000セガ・マークIIIなど当時のセガ家庭用ゲーム機全機種に対応。
  • 『シャーロック・ホームズの探偵講座』(1991年
    ICOM Simulations社開発のパソコンゲーム。日本ではPCエンジン版がビクター音楽産業より、FM TOWNS版が富士通より発売された。続編に『シャーロック・ホームズの探偵講座II』(1993年)がある。
  • 『ディジタル・ホームズ』(2001年
    アークシステムワークス社開発のPS2用ゲーム。現代のイギリスを舞台にホームズとワトソンの子孫が活躍する。プレイヤーキャラクターが探偵(ホームズ)ではなく、助手(ワトソン)という所が珍しいかもしれない。ちなみに、他の登場人物も原作に登場したキャラクターの子孫という設定。

[編集] ゲームブック

  • 『シャーロック・ホームズ 10の怪事件』 :探偵ゲーム第1弾
    ゲイリー・グレイディ, 各務三郎翻訳:二見書房 1985年12月
  • 『シャーロック・ホームズ 呪われた館』:探偵ゲーム第2弾
    著者:ゲイリー・グレイディ/スーザン・ゴールドバーグ/レイモンド・エドワーズ/各務三郎・田村源二訳:二見書房:1988・再版:1950円:付属品:折り込みの屋敷見取り図・「ロンドン市街地図」、「ロンドン住所録」、「タイムズ」、「捜査の情報源・一覧」:「ベーガー街探偵団」の一員となって、〈地図〉と〈新聞〉を駆使して犯罪捜査。
  • 『シャーロック・ホームズ 死者からの手紙』:探偵ゲーム第3弾
    著者:ゲイリー・グレイディ/スーザン・ゴールドバーグ/レイモンド・エドワーズ/各務三郎・田村源二訳:二見書房:1988・初版:1950円:付属品「ロンドン市街地図」、「クイーンズ・パーク地図」、「ロンドン住所録」、「新聞4紙」、「捜査の情報源・一覧」:スポーツ記者失踪の背景に渦巻く謎に挑戦。

[編集] ライバルたち

ホームズもののヒットで掲載誌ストランド・マガジンが売り上げ部数を伸ばすと、ライバル各誌はこぞって個性的な名探偵の登場する推理小説を掲載し、その中からいわゆる「シャーロック・ホームズのライバルたち」(創元推理文庫で、同名の翻訳シリーズが刊行された)が生まれた。

アルセーヌ・ルパンは、厳密な定義ではこの「ライバルたち」に含まれないが、現在ではほぼ同列に扱われている。

[編集] パロディまたはパスティーシュ

探偵の代名詞的存在となったホームズは、非常に人気があり、他の有名推理作家やファンの手によってホームズを登場させる小説が多く書かれている。これらは風刺であるパロディではなくファンとしてのものがほとんどであるためパスティーシュと呼ばれる。同時代の有名人(架空の人物を含む)との登場・共演や宇宙戦争事件などとの遭遇がある。

ホームズ物のパロディは歴史が古く1892年にドイルの親友で大衆作家のロバート・バーによって発表されたものが最も古い。マーク・トゥエインやオー・ヘンリーもパロディを手がけている。パスティーシュはドイルがホームズ物を書かなくなってから人気がでてきた。

『シャーロック・ホームズの功績』(1954年
アーサー・コナン・ドイルの次男、アドリアン・コナン・ドイルとジョン・ディクスン・カー共著の短編集。「語られざる事件」に取材した12編を収録。
『ソーラー・ポンズの事件簿』

オーガスト・ダーレス作の短編集。探偵名こそホームズではないが、舞台、登場人物とも共通しており、ホームズのパスティーシュ作品とみなされている。

『シャルロット・ホームズの冒険』
角川書店の小説誌「ザ・スニーカー」に連載されていた吉岡平の小説。現代のイギリスを舞台にホームズの曾孫のパンク娘と日本人の古生物学者がコンビを組んで事件を解決する。「T・レックスの瞳」「暗殺者(マーダラー)のヒモ」「踊る人魚」の3編がありエンターブレインから出版されているファミ通文庫「シャルロット・リーグ」(全3巻)に収録されている(生涯独身だったはずのホームズになぜ子孫がいるのかについては触れられていない)。
『シャーリー・ホームズの冒険』
イギリス製のテレビドラマ。現代のイギリスを舞台にホームズの子孫の天才少女が活躍する。『シャルロット・ホームズの冒険』と違い、生涯独身だったはずのホームズになぜ子孫がいるのかについて一応納得のいくの回答がなされている(主人公はシャーロック・ホームズではなくマイクロフト・ホームズの子孫という設定になっている)。
『バスカヴィル家の宇宙犬』(1957年)
ゴードン・R・ディクスンポール・アンダースン合作の短編小説集『地球人のお荷物』の中の一編。「バスカヴィル家の犬」が元。ワトソン役以外の登場人物が殆ど宇宙人に置き換わっている。
『シュロック・ホームズ』シリーズ(1960年-1981年)
ロバート・L・フィッシュ(Robert L. Fish)作のパロディ短編集、作品はすべてエラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジンに登載されたもの。日本では『シュロック・ホームズの冒険』『シュロック・ホームズ回想』(ハヤカワ文庫)、『シュロック・ホームズの迷推理』(光文社文庫)が出版され、全32編が翻訳されている。なお作者のフィッシュはMWA(アメリカ探偵作家クラブ)の1978年度の会長。
『恐怖の研究』(1966年
エラリー・クイーン作とよく言われているが、実際は映画『A Study in Terror』(1965年)のノベライゼーション
(作中の)推理作家エラリーのもとに、ワトスンの未発表手記と称するノートが届けられる。切り裂きジャック事件を追うホームズと、誰が何のためにそのノートを自分に送ったのかを探るエラリーの二重構造で進行し、やがてホームズがワトスンにも語らなかった真相が解き明かされる。
また、エラリーが登場する章はクイーンが書き、ホームズが登場する章はポール・W・フェアマンが書いたと言われている。
『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』(1975年
マンリー・W・ウェルマン&ウェイド・ウェルマン作。H・G・ウェルズの『宇宙戦争』に、ホームズとワトスン、『失われた世界』のチャレンジャー教授(他)が巻き込まれる。
  • 『宇宙戦争』の前日談『水晶の卵』を導入部に採用している。
  • 1902年の事件に変更している(天文学上の理由)。
  • マローン(『失われた世界』に登場した記者)の描くハドスン夫人は、従来のイメージとは異なっている。
『ホック氏の異郷の冒険』(1983年)『ホック氏・紫禁城の対決』(1990年)
加納一朗作。「ライヘンバッハの滝」以降、東洋を放浪していた「ホック氏」ことホームズが、日本及び中国で難事件を解決する。
『漱石と倫敦ミイラ事件』(1984年)
島田荘司作。ロンドン留学中の夏目漱石とホームズの出会いと、彼らが巻き込まれた密室殺人事件の顛末を描く。漱石とワトスンのふたりの視点からの文章が交錯するスタイルをとっている。なお、山田風太郎の短編「黄色い下宿人」でもホームズと漱石は出会っている。
『銭形平次ロンドン捕物帖』(1987年)
北杜夫作。銭形平次とホームズが(時代を超越して!)共演し、事件を解決する。『大日本帝国スーパーマン』(新潮文庫)に収録。
『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』(1991年)
ジューン・トムスン作。「語られざる事件」に材をとった短編シリーズ。
『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』(2004年
柄刀一作。御手洗潔もの2本、ホームズもの2本、両者の対決編1本を収録した短編集。推理合戦はやや御手洗に分があるような描写がなされている。
『吾輩はシャーロック・ホームズである』(2005年
柳広司作。イギリス留学中の夏目漱石が精神に支障を来した結果、自分がホームズだと思い込んでしまう。その後ワトソンの元に送られた漱石が、不在のホームズに代わって事件解決に挑む。『漱石と倫敦ミイラ事件』とは違い、ワトソンの一人称のみで語られている。
『シャーロック・ホームズの愛弟子』シリ-ズ(1997年~)
ローリー・キング作。老境のホームズと、その弟子、メアリ・ラッセルの活躍を描く。集英社文庫から発売。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子』。(1997年)シリーズ第1作。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子 女たちの闇』(1999年)シリーズ第2作。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子 マリアの手紙』(2000年)シリーズ第3作。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子 バスカヴィルの謎』(2002年)シリーズ第4作。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子 エルサレムへの道』(2004年)シリーズ第5作。
  • 『シャーロック・ホームズの愛弟子 公爵家の相続人』(2006年)シリーズ第6作。
『シャーロック・ホームズの息子』(2005年)
ブライアン・フリーマントル作。ホームズの息子、セバスチャンの活躍を描いたパロディ。新潮文庫から上・下巻で発売。
『ホームズ二世のロシア秘録』(2006年)
ブライアン・フリーマントル作。ホームズの息子、セバスチャンの活躍を描いたパロディ第二作。新潮文庫から発売。
『患者の眼 シャーロック・ホームズ誕生秘史1』(2005年)
デイヴィッド・ピリー作。ホームズのモデルとなった医学博士ベルが、若きコナン・ドイルと共に怪事件を解決するシリーズ第一作。TVドラマ「コナン・ドイルの事件簿」原作。
『クリスティ・ハイテンション』 (2007年-)
新谷かおる作の漫画。シャーロック・ホームズの姪クリスティを主人公とし、クリスティの視点から原典を描く。「ソア橋」「赤毛組合」なども描かれている。
『ホームズ・ツインズ!』 (2007年)
作画:辻野よしてる、原作:シナリオ工房 による漫画。マイクロフトの子供(双子の姉弟)を主人公とし、シャーロックの失踪中の年代を舞台とする。
『エノーラ・ホームズの事件簿-消えた公爵家の子息』
ナンシー・スプリンガー作。日本語訳は小学館から。シャーロックの歳の離れた妹エノーラを主人公とする。
『京城探偵録』(2009年)
ハン・ドンジン作。1930年代の韓国京城を舞台に、名探偵ソル・ホンジュが漢方医ワン・ドソンとともに事件の謎を解く。ほかにレイシチ警部やホ・ドスン夫人も登場する。

[編集] 共演した同時代の有名人

[編集] ルパン対ホームズ

ホームズは、ほぼ同時期に人気を博していた小説『アルセーヌ・ルパン』シリーズへの登場も有名である。しかし、ルパンの作者モーリス・ルブランが『遅かりしシャーロック・ホームズ』にてホームズを登場させたことについて、ドイルがルブランに抗議を行ったこともあり、それ以降の作品(前記『遅かりし-』の再録版も含む)では、ホームズは「Herlock Sholmès(フランス語の発音エルロック・ショルメ、日本では慣例的にエルロック・ショルメスと呼ばれることもある)」というアナグラム名、ワトスンはウィルソンという、名前と設定の異なる別人に変えられた。

日本語訳では翻訳者がエルロック・ショルメという名前をホームズと変えることが慣習的に行われている(但し、慣例によりワトスンはウィルソンのままである)ため、そこに描かれるエルロック・ショルメの卑怯ぶりや、銃で人質を殺してしまうといった行為がホームズのキャラクターと決定的に異なってしまっている。両者の設定の違いについてはルパン対ホームズ#ショルメとホームズの関係も参照。

ルパンシリーズに登場するエルロック・ショルメは1901年に最初にルパンと対決し(最も有力な説に従うと、エルロック・ショルメは推定46-47歳、ルパンは推定27-28歳)、1903年にレイモンド=サン=ベランを結果的に銃殺してしまう。エルロック・ショルメ(日本語訳ではホームズ)が登場する作品には、『遅かりしシャーロック・ホームズ』、『ルパン対ホームズ』、『奇岩城』などがある。

近年では日本の探偵作家芦辺拓が名探偵と大怪盗の本当の出会いとして『真説ルパン対ホームズ』を発表した。

[編集] その他

  • 「シャーロック・ホームズの私生活」(1933年
    ヴィンセント・スタリット著。ホームズ研究書の古典。
  • 「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」(1962年
    ウィリアム・ベアリング=グールドの(仮想)ホームズ伝。
  • 「シャーロック・ホームズの謎 モリアーティ教授と空白の三年間」(1984年)
    マイケル・ハードウィック著。ホームズの(仮想)自叙伝。
  • 「空からこぼれたStory」「テムズ川のダンス」
    上述のテレビアニメ「名探偵ホームズ」の主題歌。ホームズと、おそらくはハドスン夫人のロマンスがほのめかされる歌詞になっている。歌ったのはダ・カーポ
  • 三毛猫ホームズシリーズ
    赤川次郎原作の推理小説。

注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


[編集] ホームズシリーズから生まれたミステリ用語

  • ワトスン役
名探偵の相棒、もしくはその活動の記録者。
  • 赤毛トリック
赤毛組合」に由来。ミスディレクション、はぐらかし、の一種。ドイル自身もいくつかの同工異曲作をものしているほか、鮎川哲也島田荘司に同趣向の作品がある。
  • 鳴かなかった犬の推理
白銀号事件」に由来。事件当夜の犬の「とても奇妙な行動」からホームズは犯人を特定した。現在では一種の禁じ手にされている。転じて「一見何の不自然もないことが、実はとても奇妙であること」。時に誤解されるが、「あの夜犬は何もしなかった」はホームズの台詞ではない。
  • バールストン・トリック
恐怖の谷』の舞台となった邸の名に由来。トリックの概要自体は、ディケンズらに先駆がある。現実の捜査技術の発達で次第に姿を消した。
  • ソア橋のトリック
ソア橋のなぞ」に由来。S・S・ヴァン=ダイン横溝正史らが後に同様のトリックを盛り込んだ作品を著している。また、ドイルの遺品がオークションにかけられようとした時、殺人事件が起こるが捜査は難航し迷宮入りと思われた。しかし、このトリックを利用して英国から流出するのを阻止しようとした自殺ではないかと警察に助言が齎されたことにより、この事件は殺人事件を偽装した自殺だと判明した。

[編集] 脚注

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  1. ^ なお、ホームズ自ら、待ち伏せ、追跡等で犯人をつかまえることも多い。
  2. ^ イギリス版ではシャーロック・ホームズの思い出に、アメリカ版ではシャーロック・ホームズ最後の挨拶に収録されている。
  3. ^ ストランド・マガジンでの題名。Squireの部分が、『シャーロック・ホームズの思い出』収録時にはSquires、アメリカ版ではPuzzleと改題された。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月26日 (月) 23:21 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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