ジャイロ効果
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ジャイロ効果とは、一般には物体が回転運動をすると(回転が高速なほど)姿勢を乱されにくくなる現象を指す。
厳密には、自転回転する物体について次の性質を指す。
- 外部からモーメントが加わらないかぎり回転軸の方向を保つ性質
- スピンの角運動量が大きいほど姿勢を変えにくい性質
- 回転軸に外部からモーメントを加えると、加えたモーメントの軸及び自転軸と直交する軸について振れ回り運動をする性質
自転車やオートバイなどの二輪車では転ばずに安定して走ることに寄与し、またジャンプを行う際は空中での姿勢変化に現れる。 ヘリコプターのローターや円盤のこぎり、草刈り機などでもこの効果が顕著に現れる。転がるコインやヨーヨー、独楽などの挙動にも見られる。
[編集] 回転軸保存性
この性質は角運動量保存の法則(下式)の一環で説明される。外力のモーメントが加わらないかぎり回転軸が傾かないということは、例えば北極星に軸を向けて一度回転させた物体は物体の移動や地球の運動の影響を受けず、常に天空の北極点を向いて回り続けるということである。
モーメントを加えずに回転物体を支えるには重心を通る3つ(スピン軸を含む)の自由回転軸を与える必要がある。一般に、スピン軸に加え1つ以上の自由回転軸を持ち、振り回りが可能な機構をジャイロスコープという。

[編集] ジャイロモーメント
回転軸の傾き難さは回転体の「自転速度」と「自転軸回りの慣性モーメント」との積、即ち角運動量に比例する。この「回転が高速なほど姿勢を変えにくい性質」をジャイロ効果と呼んでいることも多いが、厳密な意味でのジャイロ効果は、「外力モーメントを与えるとモーメント軸、スピン軸のいずれとも異なる軸で振れ回りする性質」を指す。
振れ回り運動(自転する物体が自転軸とは別な方向を軸に自転軸を振る回転運動)をする物体にはスピン軸と振れ回り軸それぞれに直交する軸のモーメントが働いている。これをジャイロモーメントと呼ぶ。

Ωは振れ回りの回転速度、Lはスピン軸角運動量、Tがジャイロモーメントである。ジャイロモーメントと振れ回り速度が対をなす点に注意(外力モーメントによって単純に自転角速度を増すだけのときはモーメントと釣り合うのは角加速度である)。
この力は転向力(コリオリ力、運動量を旋回させるために要請される力)を角運動量の旋回に拡張したものである(コリオリ力は2ω×pで与えられる)。
ここでは直感的に把握し易いよう、質点の動きについてみたときの原理を述べる。
壁掛用の時計で、針の先端に大質量の錘が付いたものを想定する。(針の回転は連続的で針は運動に影響しない程度に微小変形する。その他諸部品の重量は無視できるとする)。正常な姿勢で作動中の時計を上空から見て時計回りに一定速度で振れ回りさせる(したがって振れ回りの角速度ベクトル及び軸は掛時計の中心から6時を向く)。
錘の運動は盤面に沿うのでその運動量の水平方向成分に応じてコリオリ力が働く。 針が12時から3時へ向かうとき,錘は振回軸から遠ざかるため運動量(ただし盤面直交方向の成分)の増加を要請する。これは振回を遅らせる力となり針は盤面へ向けて僅かに変形する。 3時から6時へ向かう間は逆に錘が振回り軸へと近づくため余剰となる運動量を吐き出し振れ回りを速める力を生み、針は盤面から遠ざかる方へ変形する。 6時から9時の間は12-3時と同様に振回を遅らせる力だが変形は盤面から遠ざかる方向。 9時から12時の間は3-6時と同様に振回を速める力で変形は盤面へ近づく方向となる。 整理すると9時から3時の間(盤面の上半分)では針が盤に近づき、3時から6時(下半分)では盤から遠ざかる力が生まれる。 これは即ち盤中心から9時を向く方向のモーメントの発生である。
前述のベクトル式は、振回を維持する間は、このモーメントと釣り合う逆方向(3時方向)のモーメントが外部から加わっていることを示す。 外部からのモーメントが失われると、自己のモーメントにより新たな振れ回り(この例では振れ回りする掛時計の9時方向)が発生し、これは最初の振回(6時方向)を止める向きのモーメントを生み平衡状態に至る結果、振れ回り運動は消失する。従って、ジャイロに外部から自転軸以外の軸についてのモーメント=ジャイロモーメントを与えることは、他の2軸についての振回-直交モーメントの平衡を崩すことに等しい。
また、現実の回転体はかならずスピン軸方向の厚みがあるため遠心力の不均衡によるモーメントも同時に発生する。 これは、自転と振回りそれぞれの周速度が相殺する部分と相和する部分があるためで、 上記のコリオリ力によるモーメントと同じ方向のモーメントとなる。旋回半径が十分大きい場合は大きさも同水準となる。
[編集] 二輪車
二輪車の安定性を「ジャイロ効果」という言葉を交えて説明されることは多いが必ずしも厳密な定義に基づいているわけではない。漠然と、車輪の回転により得られる安定感を指していうときもある。
ダートジャンプなどでは空中で車体や前輪をヨー軸方向に回そうとするとロール軸にも回転するためバイクが横倒しになる現象がみられる。初心者が不用意に空中姿勢を変えようとすると挙動が予測できないため危険である。
車輪の角運動量が大きくなる(即ち車速が大きく車輪が重い)ほど安定感が増すのは言うまでもないことだが、旋回中の二輪車にはジャイロモーメントによって車体を起こす方向の力が働いている。したがって車輪の慣性モーメントが相対的に大きいほど車体のリーン角を大きくしてコーナリングすることとなる。
また、横風を受けた瞬間など車体を傾ける外力モーメントが働くときは、ジャイロ効果によって前輪が転倒しない方向に自己操舵し安定性に寄与する。ただし自己操舵の要因はジャイロ効果だけではない。
最終更新 2009年9月7日 (月) 15:29 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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