スイーツ(笑)

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菓子やデザートは、女性向けメディアではしばしば「スイーツ」と言い換えられる

スイーツ(笑)(スイーツかっこわらい)とは、菓子デザートなどの甘味を英語で「スイーツsweets)」と呼称するような日本人女性のことを意味する[1][2]日本のインターネットスラング。通常は揶揄皮肉の意味を込めて使われる[1][2]。スィーツ(笑)、あるいは単にスイーツ[3]と称する場合もある。また、そのような人物の思考形態を指してスイーツ脳と称することもある。

目次

[編集] 概要

このスラングが発祥した当時、日本のマスメディアの発する女性向けグルメ特集では、洋菓子和菓子果物などの甘味全般を英語の「スイーツ」という単語に言い換えることが盛んに行われており[1][注 1]、和菓子を「和スイーツ」と言い換える造語なども登場した[4]。このような商品に新たなイメージを付与するための言い換えや[注 2]キャッチコピーによって消費を煽ることは[1]、商売上の理由からしばしば行われるものだが、こうした雑誌やテレビ番組によって仕掛けられた言葉に踊らされ[1]、そのような流行を追うことをお洒落なものとして享受しているような日本人女性たちが、決まって「デザート」を「スイーツ」と言い換えて呼んでいるような現象を男性側がからかい[2]、皮肉の意味で「(笑)[1]をつけて呼んだことが、このスラングの由来であると言われている[1][2]

あくまで俗語の類であり厳密な定義はなく、このスラングを用いる者や受け取る者の解釈や文脈、その時の気分によって意味や微妙なニュアンスが異なる場合もあるが、報道媒体などで紹介される場合には、

  • “(雑誌の)コピーを鵜呑みにし、メディアに躍らされている女性たち[1]
  • “ケーキやお菓子といえばいいのに、あえてオシャレな感じを装ってそれらを「スイーツ」とよぶ女性たち[5]
  • “女性誌に出てくることばを実践する女性[6]
  • “雑誌やテレビ番組が仕掛ける流行を追うことがオシャレだと思いこんでいる女性[2]
  • “テレビや雑誌などの流行に影響されやすい若い女性[7]

を意味する単語であり、軽いからかいや冷笑[2]、冷やかし[4]、蔑み[7]、あるいは馬鹿にするような[3]意味を込めたスラングであると解説される。

このスラングはネット流行語大賞2007において銀賞に選ばれ[5][8]、その後2009年に発表されたアイシェアの調査でも高い認知度を証明するなど[9]、ネットでは広く浸透した表現となった(詳細は#反響を参照)。このような反響の大きさの分析として、日本経済新聞は2008年1月19日の夕刊に掲載されたコラムで「スイーツ(笑)」を紹介した際、かつてアニメゲームに熱中する男性がマスメディアから「おたく」のレッテルを貼られて冷遇されてきた経緯と、若い女性たちが「メディアのお得意様」という特権的な地位にあることを比較した上で、このスラングを「そんな状況にいらだつ男性が放った辛らつなカウンターパンチ」であるという解釈を掲載している[2]

この表現が流行した当時には「スイーツ」に限らず、「自分にご褒美」や「ホットヨガ」といった、同様に女性が使いそうな単語やキャッチコピーに対して逐次的に「(笑)」をつけて揶揄の対象とするような用例も流行した[4]。一方、こうした風潮に対して、SANKEI EXPRESSは2007年12月10日付の紙面で、「スイーツ(笑)」というスラングに込められた揶揄に対して一定の理解を示しつつも、「言葉を狩って均質化してしまっては、多様でユニークな文化は生まれてこない」という批判も加えている[1]

[編集] 用例

[編集] 広義の用法や意図

2ちゃんねる[8]などのインターネット掲示板はてな[10]などのコミュニティの中で使われているスラングであり、「(笑)」のように目で読む表現を用いたインターネットスラング特有の表現が使用されている。稀に女性自身が開き直って使う例もあるものの[11]、批判の対象が主に女性であることから、このスラングの使用者は主に男性であると理解されており[2]、またPCユーザーがモバイルサイトの利用者層を見下して使うスラングとして解釈されることもある[7]

このスラングは、マスメディアやマーケティング戦略に対する受動性と高い自己肯定感に対する、女性への皮肉として使われる。具体的には、うわべの言葉を飾って何でもおしゃれに表現しようとする発想に対して向けられるとされる[12]。広義には、女性の奔放で能天気な言動、メディア・リテラシーの無さ、男性は女性の機嫌をとるのが当たり前だという価値観や[6]、常識・道徳・教養の欠如した人物といった、「客観的に不快を呈する言動をふるまう、流行に敏感な女性」を総合的に指すこともある。

更には、単におしゃれすることそのものを指すスラングとして解釈される例[13]もある。対象を女性に限らず、そのような価値観に同調する男性を指す場合もある。罵倒に近い意味で使われることもあれば、ごく軽い冷やかしの意味で使われることもある。

[編集] 「スイーツ(笑)的」であるとされるもの

モバイルサイト利用者層はPCサイトの利用者層と大きく異なっており[7][14]、その多くは若い女性であるが[15]、PCユーザーはこういったモバイルサイトの利用者層を見下し[7]、自分たちとは異質な女性向けインターネットコミュニティで流行している事柄に対して「スイーツ(笑)」であるというレッテルを貼ることがある。例えば2007年に発表されたケータイ小説恋空』は、モバイルサイトの利用者から大きな反響を受けベストセラーになった作品だが、その内容については批判的な意見も少なくなかった(詳細は「恋空#作品への批判など」を参照)。「スイーツ(笑)」というスラングの流行は、このような作品を絶賛しているモバイルサイト利用者層に対する、PCユーザーの優越意識が引き金になったとも言われ[7]、実際日本のインターネットでこのようなスラングが流行し始めた時期と[16][17]、『恋空』がブレイクした時期は重なっている。また、このようなケータイ小説で多用される文章表現や[18]、携帯メールなどで濫用されているものと認知されている小文字ギャル文字絵文字といった独自の日本語表現[注 3]、可愛らしく飾りつけたデコレーション携帯電話(デコ電)や[注 4]などについても、「スイーツ(笑)」的であると見なされる場合がある。

他に、mixiのようなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)において「読み逃げ」「踏み逃げ」などと呼ばれる、友人のページを見た後にコメントを残さず去ることを嫌うような価値観も、「スイーツ(笑)」的なコミュニティに属するものであると受け取られている[19]。しかし実際に調査を行ったところ、そのような価値観は若い女性よりも社会人の既婚男性や専業主婦に多い価値観であるという統計もあり[20]ITmedia Newsではこの統計を取り上げ、ネットに流布する「スイーツ(笑)」的なイメージとは乖離があることを指摘している[19]

「スイーツ(笑)」な女性は、菓子やデザートをスイーツと言い換えるような女性向け雑誌を読み、そのような雑誌に書かれているキャッチコピーに沿った価値観を実践しているとされる。そのような女性が雑誌に影響され、おしゃれな言葉として用いるフレーズは、「スイーツ(笑)」のようなスラングを用いる男性にとっては失笑の対象となり[12]、「スイーツ」に限らず「(笑)」をつけて面白おかしく冷やかす対象とされた[4]。しかし「スイーツ(笑)」的であるとされる価値観を広めているとされる「女性誌」については、具体的なファッション雑誌や情報誌の誌名が挙げられることもあるが[1][6][17]、具体的にどの雑誌がどの程度「スイーツ(笑)」と見られているかについては諸説がある。このスラングは男性が女性に対して漠然として抱く女性不信や、女性誌への警戒感を言い表す表現であって、具体的な実態についてはあまり問題視されていないのだと理解される場合もある[13]

[編集] 英語"sweets"の意味

外国の駄菓子「ロリポップ

スイート(sweet)は甘いものを指す形容詞として英語圏全域で使われるが、食後に出される甘味類を指す名詞としてスイーツ(sweets)を用いるのは、主にイギリス英語British English)の言い回しである[21][22]イギリスでは食後に出されるプディングパイ[21]ゼリーアイスクリーム[23]などを スイーツ(the sweet(s))、果物類をデザート: dessert)と呼んで区別する[21][24]。一方でアメリカ英語の場合、食後に出される菓子や果物はいずれもデザートとして総称される[21][24]

また、イギリス英語の「sweets」は砂糖菓子やボンボン菓子の類を意味することもあり[21][25]、アメリカ英語におけるキャンディ: candy)に近い文脈で使用される[26]かつてイギリスでは、デザートの意味で「sweets」を使うものは、いくらか「lower class」(下層階級や労働者階級など大衆的な存在)と見なされていたが[要出典]、現代の英語圏ではイギリス英語に限らず、"sweets"はデザートの意で日常的に幅広く使われている[注 5]

また形容詞のsweetには「かわいい、すてき」のような肯定的な意味合いがある一方、「感傷的な、うんざりさせる、非現実的な」という否定的な意味もある[25]。しかしこれが「スイーツ(笑)」と語源的な関係があるかどうかははっきりしない。

[編集] 反響

2007年12月14日には、インターネット上のウェブサイト2ちゃんねる検索を運営する未来検索ブラジルが主催するネット流行語大賞2007において、「スイーツ(笑)」が銀賞に選ばれており[5]、この時期には産経新聞関連紙や日本経済新聞といった新聞でも紹介された[1][2][8]。2008年9月gooが集計、発表した印象に残るネットの「ガイドライン」ランキングでも「スイーツ(笑)」は7位に選ばれ[27]、2009年3月にアイシェアがインターネットの利用者を対象に行ったアンケート調査では全体で45.6%(男性42.6%、女性49.4%)がこの単語を知っていると回答した[9]

一方で、2009年9月にNTTレゾナントが発表した、gooリサーチの登録者を対象として集計した「よく見かけるけど意味がわからないインターネット用語ランキング」では、第7位に「スイーツ(笑)」が選ばれている[28]

[編集] 脚注

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[編集] 注釈

  1. ^ 洋菓子などを「スイーツ」と言い表すこと自体は、1990年代後半頃から一般に使われるようになったと言われている。
    [[1]], 大辞泉Yahoo!辞書, 小学館, ISBN ISBN 978-4095012124 .
  2. ^ こういった新しい言葉の再発明は他分野でも広く行われており、特別な事例ではない。
  3. ^ カタカナは半角表示、語尾は派手派手しい絵文字顔文字を豪勢に装飾させるなどの特徴がある。例:「ぁたしゎ、しぁゎせだったょ¨*:..o○☆*¨(*´艸`)*:..o○☆*¨ 」(私はすごく幸せでした)。
  4. ^ デコレーション携帯電話とは異なるが、ラインストーンを用いた装飾によるカスタマイズを施したRX-78ガンダムガンプラに対して、インターネットユーザーから「スイーツ(笑)」的であるという感想が寄せられたことがアメーバニュースで紹介されている。
    “[[2]]”. アメーバニュース (サイバーエージェント). (2009年6月30日). http://news.ameba.jp/weblog/2009/06/40875.html 2009-07-25 閲覧。 
  5. ^ 英語版のen:Sweet(曖昧さ回避)の項目や、TheFreeDictionary.comにおけるsweet(s) の定義も参照。

[編集] 出典

  1. ^ 猪谷千香 (2007年12月10日). “[[3]]”. SANKEI EXPRESS (産業経済新聞社). [[4]]の2007-12-12時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20071212043246/http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/books/breview/108753/ 2008-11-25 閲覧。 
  2. ^ 周 (2008年1月19日). “さぶかるウォッチング スイーツ(笑)”. 日本経済新聞夕刊 (日本経済新聞社) 
  3. ^ “[ATフィールド解除から始めよう]”. ZAKZAK (産経デジタル). (2009年4月6日). http://www.zakzak.co.jp/gei/200904/g2009040628_all.html 2009-07-25 閲覧。 
  4. ^ "【トレビアン】お菓子じゃ無い!? “スイーツ(笑)”ってなに?". livedoorトレビアンニュース. ライブドア (2008年1月23日). 2009-09-19 閲覧。
  5. ^ "ネット流行語大賞は朝日新聞社の「アサヒる」に決定!". livedoorトレビアンニュース. ライブドア (2007年12月14日). 2009-07-26 閲覧。
  6. ^ “[[5]]”. 日刊アメーバニュース (サイバーエージェント). (2007年12月26日). http://news.ameba.jp/domestic/2007/12/9765.html 2009-07-25 閲覧。 
  7. ^ 佐野正弘 (2009年6月30日). "iPhoneよりギャル誌に学べ! モバイルサイトに取り組むための心得とは?". MarkeZine. 翔泳社. 2009-07-25 閲覧。
  8. ^ "ネット流行語大賞、金賞は「アサヒる」". MSN産経ニュース. 産業経済新聞社 (2007年12月14日). 2007-12-15 時点のオリジナルよりアーカイブ。2008-11-25 閲覧。
  9. ^ "「ぐぐる」「DQN」いくつ知ってる?ネットスラングランキング". rTYPE アイシェアオンラインリサーチサービス 市場調査公開. アイシェア (2009年3月26日). 2009-07-25 閲覧。
    増田覚 (2009年3月26日). “[[6]]”. INTERNET Watch (Impress Watch). http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/26/22924.html 2009-07-25 閲覧。 
  10. ^ 山崎一幸 (2008年4月21日). “[[7]]”. やじうまWatch (Impress Watch). http://internet.watch.impress.co.jp/static/yajiuma/2008/04/21/ 2009-08-05 閲覧。 
  11. ^ エルモ (2008-12-23). "【スイーツ(笑)ガジェット vol.1】リップサイズなのに本気仕様!ライカM3のミニチュアカメラ". ガジェット通信. 東京産業新聞社. 2009-09-19 閲覧。
    トレンドGyaO編集部 (2009-02-27). “[[8]]”. トレンドニュース (GyaO). http://www.trend-news.jp/life/entry-12042.html 2009-09-19 閲覧。 
  12. ^ "【トレビアン】女たちが使う言葉に男たちが失笑(笑)". livedoorトレビアンニュース. ライブドア (2007年9月5日). 2009-09-19 閲覧。
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  15. ^ 土井博貴 (2007年9月26日). "第9回 モバイル・サイト(前編) 若年層・女性には楽しさとクチコミで訴求". 日経ビジネスオンライン. 日経BP社. 2009-07-26 閲覧。
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  17. ^ Elastic (2008年3月19日). “[[10]]”. livedoorニュース (ライブドア). http://news.livedoor.com/article/detail/3559966/ 2009-08-04 閲覧。 
  18. ^ 山崎一幸 (2008年1月29日). “[[11]]”. やじうまWatch (Impress Watch). http://internet.watch.impress.co.jp/static/yajiuma/2008/01/29/ 2009-08-05 閲覧。 
  19. ^ “[[12]]”. ITmedia news (ITmedia). (2008年10月28日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/09/news058.html 2009-08-03 閲覧。 
  20. ^ "「踏み逃げ」を許せない既婚ビジネスマンと「内輪」重視の専業主婦". HOME'Sリサーチ. ネクスト. 2009-08-03 閲覧。
  21. ^ 柴田徹士, ed. (1988-01-20), “sweet”, ニュー・アンカー和英辞典, 学習研究社, pp. 1376頁 
  22. ^ [[13]], Yahoo!辞書プログレッシブ和英中辞典, 小学館, http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E8%8F%93%E5%AD%90&enc=UTF-8&stype=0&dtype=3 2009-09-19 閲覧。 
  23. ^ “sweet”, 新英和中辞典 (第4版), 研究社, (1977年), pp. 1560頁 
  24. ^ 柴田徹士, ed. (1988-01-20), “dessert”, ニュー・アンカー和英辞典 (第8刷版), 学習研究社, pp. 353頁 
    [[14]], Yahoo!辞書プログレッシブ英和中辞典, 小学館, http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=dessert&dtype=1 2009-09-12 閲覧。 
  25. ^ [[15]], Yahoo!辞書プログレッシブ英和中辞典, 小学館, http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=sweet&dtype=1 2009-09-12 閲覧。 
  26. ^ [[16]], Yahoo!辞書プログレッシブ英和中辞典, 小学館, http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=candy&dtype=1 2009-09-12 閲覧。 
    [[17]], Yahoo!辞書(新グローバル英和辞典), 三省堂, http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=sweet&dtype=1&dname=1ss&index=411840 2009-09-12 閲覧。 
  27. ^ "「いいえ、ケフィアです」「○○はわしが育てた」--印象に残るネットの「ガイドライン」ベスト30". CNET Japan. CNET (2008年9月2日). 2008-11-25 閲覧。
  28. ^ "よく見かけるけど意味がわからないインターネット用語ランキング". gooランキング. NTTレゾナント. 2009-09-19 閲覧。
    増田覚 (2009-09-15). “[[18]]”. INTERNET Watch (Impress Watch). http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090915_315661.html 2009-09-19 閲覧。 

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月21日 (土) 17:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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