スカイ・クロラシリーズ

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スカイ・クロラシリーズ』は森博嗣小説『スカイ・クロラ』を初めとする小説シリーズである。

『スカイ・クロラ』を原作とするアニメーション映画作品『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』、アニメーション映画と『爽快情報バラエティー スッキリ!!』のコラボレーションアニメ作品『スッキリ!!・クロラ The Sukkiri Crawlers』、ゲーム作品『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』についても記載する。

目次

[編集] シリーズ概要

現実とはやや違う世界を舞台に、PMCの戦闘機パイロットをする人間が主人公の作品。物語の背景に戦争がありながら政治背景や戦況に関する説明はほとんど無く、終始淡々とした「僕」を語り部として物語は進んでいく。『クレィドゥ・ザ・スカイ』では最後まで語り部の正体は明言されない。戦争と並んで「キルドレ」と呼ばれる存在が物語に大きく関わるが、こちらについても登場人物の意見が断片的に提示されるだけである。

シリーズは短編集を含め全6巻。ハードカバー、ノベルス、文庫が中央公論新社より刊行されている。ノベルス版の挿絵鶴田謙二

刊行順での1作目は『スカイ・クロラ』だが、作中の時系列では最後にあたる内容であり時系列順に並べ替えると『ナ・バ・テア』、『ダウン・ツ・ヘヴン』、『フラッタ・リンツ・ライフ』、『クレィドゥ・ザ・スカイ』、『スカイ・クロラ』となっている。文庫にかかる帯もこの順番でスカイ・クロラシリーズを紹介している。筆者によれば、「第1巻は「ナ・バ・テア」ですので、これから読むのが普通」[1]と言う事だが、「どの巻から読んでも差し支えは無い」[2]とも語っている。

[編集] 用語

戦争請負会社
この世界で戦争を代行する会社で、主人公もここに所属している。いわゆるPMCだが、多数の航空部隊と自社専用の基地を運用し、直接戦闘以外に偵察行為も行うなど、かなりの規模を持っている。一方で現実のPMCの様に人員の引き抜きも行われており、正規軍とPMCの中間の様な存在である。部隊は人種ごとに編成されているようである。航空戦力以外を保持しているかは不明。
原作では「戦争法人」という名称だけだったが、映画では「ロストック」や「ラウテルン」など社名が登場した。
原作・映画ともに「国家が編成する正規軍」は登場せず、戦争請負会社同士の戦闘に終始している。
キルドレ
思春期を過ぎてから成長が止まり、永遠に生き続ける存在。原作では新薬の実験で偶然誕生したとされるが、それ以上の医学的な説明はなく、映画中でも殆ど言及されていなかった。肉体的には普通の人間との性交・妊娠も可能であり、寿命以外では人間と差がない生物のようである。
彼らの大半は戦争請負会社に就職するか、宗教団体(宗教法人)に入団するという。
病気や怪我がなければ寿命がないとされるが、通常の人間とは違う時間感覚や記憶を持ち、心理的に不安定な状態に陥る者もいるようである。
「プッシャ」と「トラクタ」
実際に使われている航空機用語で、プッシャは推進式プロペラ機、トラクタは牽引式プロペラ機とも言う。前者はエンジンの後方に、後者は前方にプロペラを配置した航空機である。利点などの詳細はリンク先を参照。
現実世界ではわずかな例を除くと大多数が牽引式であるが、作品世界では逆に推進式が主流になっている(作中でも言及されている他、原作者はプッシャの利点ついてブログやエッセイに何度か書いている)。
主人公たちの搭乗機として「散香」など多数の推進式戦闘機が登場する一方で、ティーチャのように、作中では少数派になりつつある牽引式に愛着を示す人間も存在するようである。

[編集] 各巻概要

  • スカイ・クロラ The Sky Crawlers
    新しい基地から移って来た主人公が、何度か出撃を重ねながらも淡々と日々を過ごしていく様子が描かれる。
  • ナ・バ・テア None But Air
    作中の時系列では最も古い作品。クサナギとティーチャの出会いが描かれる。
  • ダウン・ツ・ヘヴン Down to Heaven
    ティーチャが去った後、その優秀な戦績から次第に「会社」の広告塔へと祭り上げられていく中、あくまで空に留まりたいと、苦悩するクサナギの姿と、ティーチャへの想いが描かれる。
  • フラッタ・リンツ・ライフ Flutter into Life
    淡々と日々を過ごしながらも、あるきっかけで「キルドレ」と草薙の秘密を知ってしまう主人公をめぐる物語。
  • クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky
    病院から脱走した「僕」の逃避行と、「僕」をかくまう女達を描く。キルドレという存在について初めて詳しく描写されている。
  • スカイ・イクリプス Sky Eclipse
    短編集。主人公や時系列に統一性はない。シリーズを側面から補完するストーリーが展開される。

[編集] 登場人物

[編集] スカイ・クロラ

函南 優一(カンナミ・ユーヒチ)
本作の語り部であるエースパイロット。一人称は「僕」。
欠員した栗田仁郎の補充要員として転属してきた。
原作では無駄弾を撃たないという現実的な対応の一方、ドッグファイト時の決め手として、頻繁にストールターンを使うなど両極端な戦闘スタイルのようである。(ストールターンは本来曲芸飛行の技であり、作中のように一瞬で仕留めなければ逆に自分が危機に陥る行為であるが、これを成功させる異常な技量の高さと冷静が「キルドレ」の恐ろしさを物語っている)
映画版では転属以前の記憶がほとんど無いが、原作では転属前の任務内容や仲間など若干記憶が残っている。
草薙 水素(クサナギ・スイト)
かつてエースパイロットとして高名だった基地の女性指揮官。一人称は「私」だが過去編だけは「僕」。
原作ではショートヘアであるが、映画版ではおかっぱ頭に変更された。
また結末が原作と映画版で大きく異なる。
土岐野 尚史(トキノ・ナホフミ)
優一の同僚のパイロット。同室で寝泊まりしている。
湯田川 亜伊豆(ユダガワ・アイズ)
優一の同僚のパイロット。髪の毛が異様に白く、小さなレンズの眼鏡をかけている。
映画版では読み終わった新聞を丁寧に折り畳む癖がある。
篠田 虚雪(シノダ・ウロユキ)
優一の同僚のパイロット。基地にいる4人のパイロットの内、最古参。口数は少なく暗い風貌、いつも長袖の黒服を着ている。
笹倉(ササクラ)
整備士。腕がよく、機体にいろんな改良を施す。草薙水素と古くから交友がある。
原作では男性だったが、映画では中年の女性に変更されている。
クスミ、フーコ
町の郊外にある娼館でパイロット達をもてなす娼婦。その娼館は宗教法人の施設ではないかと優一は推測している。
フーコはピンク色の短髪で胸にフクロウの入れ墨がある。ハスキィな声が特徴。
草薙 瑞季(クサナギ・ミズキ)
水素の妹だが、パイロット達の間では「水素の子供」だと噂されている。
三ツ矢 碧(ミツヤ・ミドリ)
水素の部隊が移動した基地にいる女性のエースパイロット。
キルドレである事について悩んだり、文献を読んで調査をしている。
山極 麦朗(ヤマギワ・ムギロウ)
水素の部隊が移動した基地の男性司令官。
鯉目兄弟
新技(アラギ)と彩雅(サイガ)。どちらが兄かなどは書かれていない。
本田(ホンダ)
海沿いにある観測所の所員。草薙とは面識があり、基地へ向かう爆撃機を見逃した事で抗議に来た草薙を制止しようとする。

[編集] ナ・バ・テア

草薙 水素(クサナギ・スイト)
キルドレである女性パイロット。自分を「僕」と呼ぶ。口調は『スカイ・クロラ』と比べるとやや激しい。コールサインブーメラン。地上では笑うことは無く、空を自由に飛ぶことに執着している。
感情に乏しいが、他のパイロットと同様にティーチャを尊敬・敬愛しており、彼と同じ部隊に配属されたことを純粋に喜んだ。彼女の乗る「散香」を担当しているササクラとは、存外に親しい。作中で妊娠した。
ティーチャ
キルドレではない「大人」の男性パイロット。本名は作中に紹介されておらず、コールサインで呼ばれているが、本来のコールサインは「チータ」だった。優れた空戦技術を持ち、函南のようにストールターンを得意とする。会社において永らくエースとして名をはせている。クサナギのある種の敬意に気づいているが、人付き合いを好まない傾向がある。
笹倉 永久(ササクラ・トワ)
基地の整備士。腕が良い。クサナギの乗機を担当し、後にティーチャの翠芽の担当に抜擢される。クサナギとは以前に所属していた基地以来の知り合いで同時に転属してきた。
比嘉澤(ヒカザワ)
女性パイロット。作戦後の欠員を補充するため、栗田と共にクサナギのいる基地に配属になった。コールサインは「クリスマス」。ティーチャに強い敬愛の念を覗かせていたため、クサナギは軽い懸念を覚える。戦闘中に受けた傷が元で絶命。基地に帰投する前に墜落した。後に、名が無位(ムイ)と紹介されている。非喫煙者。
甲斐(カイ)
会社の上司。女性。本部の人間だが明確な所属は不明。女性であり、キルドレでもあるクサナギがエースとして頭角を現した事について、指揮官の地位を用意すると話す。クサナギを「兵器」と呼んだ。
薬田(クスリダ)
クサナギのパイロット。同僚。キルドレであるかは不明。他のパイロット等と同様にクサナギに関心をみせる面がある。戦死した。
合田(ゴウダ)
クサナギの所属する基地の司令官。
辻間(ツジマ)
パイロット。クサナギの同僚。キルドレであるかは不明。比嘉澤と栗田が来る前の戦闘で戦死した。クサナギはインテリ風と感じていた。
栗田(クリタ)
辻間の戦死後、比嘉澤と共に赴任してきた。名前のみの登場。下の名は不明。『スカイ・クロラ』に名前のみ登場するクリタ・ジンロウと同一人物かは明記されていない。
相良(サガラ)
クサナギが堕胎のため訪れた病院の医者。サガラアオイの親戚かは不明。クサナギがキルドレであることを知っている。

[編集] ダウン・ツ・ヘヴン

草薙 水素(クサナギ・スイト)
空を自由に飛ぶことに執着しており、それ以外の事には基本的に関心を持たない。ある戦闘で負傷し、甲斐に促されるまま、一時パイロットの育成のため講師の真似事をする。その後、本社で甲斐の上司であるカヤバと面会し、ティーチャとの再会を敵として果たす。
ティーチャ
キルドレではない大人のパイロット。クサナギの元上司で、草薙と1対1の空戦を演じる。
笹倉 永久(ササクラ・トワ)
腕が良い基地の整備士。ティーチャとの空戦のために、基地から出向いてくる。
甲斐(カイ)
会社の上司。本社の情報部に所属する女性。エースパイロットであるクサナギを会社の広告塔として活動させる。
函南(カンナミ)
クサナギが入院した病院で出合った、入院していた少年。キルドレである。頭部に包帯をしていて、記憶がほとんど無い。飛行機をまた操縦できるかを心配していた。後に、クサナギが講師をした部屋に彼もいた。その晩、カンナミはクサナギに、自分がよく見る夢を聞いてもらえる事を望む。その夢の内容は、『スカイ・クロラ』冒頭において、カンナミが見る夢と、ほぼ同一のものだった。
比嘉澤(ヒカザワ)
甲斐の部下。戦死した、ヒガサワ・ムイの弟。クサナギに会うために、転職し情報部へ志願した。
杣中(ソマナカ)
YA新聞社の記者。キルドレの取材をしている。クサナギのファンを自称する。
萱場(カヤバ)
甲斐の上司。ティーチャの古くからの友人で、ティーチャの依頼によりクサナギと会う場所を用意した。

[編集] フラッタ・リンツ・ライフ

栗田 仁郎(クリタ・ジンロウ)
クサナギの部下でキルドレのパイロット。自分を「僕」と呼ぶ。コールサインは『デッドアイ』。記憶力が若干乏しい描写がある。土岐野と共に作戦に出ることが多く、敵機を撃墜した日はフーコの元へ出かける。些細な縁から、サガラの家へ訪問することがあり、クサナギからは会わないよう言われる。しかし、偶然サガラと会った際に、クサナギとキルドレの秘密を知る。
草薙 水素(クサナギ・スイト)
女性エースパイロット。自分を「私」と呼ぶ。階級は大尉。サガラの幼馴染妊娠経験により、キルドレではなくなったと、クリタに告げる。
草薙 瑞季(クサナギ・ミズキ)
クサナギの妹。クサナギの母親の葬儀で、クリタと出会う。
土岐野 尚史(トキノ・ナホフミ)
パイロット。クリタの同僚で、同室で寝泊まりしている。クスミと仲が良い。
笹倉 永久(ササクラ・トワ)
基地の整備士。腕が良い。会社に内緒で新しいエンジンを開発したり、無断で改造を施す。喫煙者。
ティーチャ
クサナギの元上司。機体のボンネットに黒猫マークがある。
甲斐(カイ)
会社の上司。本社の情報部に所属する女性。クサナギの元を度々訪ねる。
杣中(ソマナカ)
YA新聞社の記者。キルドレの取材をしている。クサナギのファンを自称し、クリタに接触する。
フーコ
娼婦。クリタが度々通っている。クリタを優しいと言う。
クスミ
娼婦。フーコと同じ娼館の女性。トキノのお気に入り。

[編集] クレィドゥ・ザ・スカイ

『僕』
本作の語り部であり、具体的に誰であるかの明言は存在しない。パイロットであり、自分を『僕』と呼ぶ。ラフな場外着陸により怪我をして入院していたが、脱出してフーコの元へ、次いでサガラの元へ行く。記憶の一部を喪失しているが、特定の人物は記憶している。頻繁にクサナギの幻覚を見る。幻覚のクサナギに殺されるのを幸せと感じた。物語の進行と共に、記憶が薄れてゆく。
草薙 水素(クサナギ・スイト)
女性指揮官。エースパイロットとして高名。キルドレである。『僕』の幻覚のみに現れる。ソマナカの談では戦死したとされた後、復帰している。
相良 亜緒衣(サガラ・アオイ)
生物医学学者。クサナギの幼馴染。キルドレのある秘密を知り、それが原因で父と兄は連行され行方不明になった。『僕』の入院中に連絡先を教え、何かを注射した。病院へ戻らず逃亡している『僕』を匿い、味方の下へ導く。『僕』へ、「あなたはキルドレに戻った」と告げる。
フーコ
娼婦。病院を脱走した『僕』から連絡をもらい、しばらく行動を共にする。
杣中(ソマナカ)
YA新聞社の記者。復帰したクサナギ大尉を別人と断定し、エピローグに登場する『僕』をクサナギに似ていると言った。彼は、『僕』をカンナミと呼んだ。
甲斐(カイ)
会社の上司。本社の情報部に所属する女性。サガラの仲間の下で空戦に至った『僕』の下に現れる。
ハヤセ
心理学者。サガラの知人。『僕』にいくつかの質問をする。

[編集] 登場兵器

小型のジェットエンジンターボチャージャーの開発が難航しているという設定なので、機体はすべてレシプロ機であるが、推進式の機体が多く、アビオニクスは(現実にレシプロ機が活躍していた)第二次大戦時よりも進化している(無線の感度が良好など)など、すべての技術開発が停滞しているわけではない。

[編集] ロストック

命名規則は漢字(振り仮名は全てカタカナ)二文字の後に「Mk-B」など改良を表す英数字。映画版の機体デザインには、第二次大戦中の旧ドイツ軍機的な要素が散見される。

  • 散香(サンカ)
主人公らが乗る推進式の軽量戦闘機。シリーズを通して細かな改良が継続されており、ロストック側の新たな主力戦闘機。武装は機銃一門のみだが、ロール性能が良好らしくテストパイロットから「風車」と表された。
映画では合計六枚の2重反転プロペラと、フォッケウルフ Fw190を思わせる角張った形状の風防になっている(ノベルスの表紙イラストでは曲線で構成された風防で、プロペラは六枚だが反転式かは不明)。
設定資料集によれば、実際に飛びそうな単発単座のプッシャ機を模索した結果、外観が旧日本軍の「震電」似てしまったとのこと(ただしプロペラなどに違いがある)。
  • 染赤(ソメアカ)
三ツ矢らが所属していた基地に配備されていた攻撃機。
双発の推移式に加え前進翼という珍しい型。
映画内では内回転三枚ペラで、同距離でも増槽を必要としないことから航続距離が散花より長い様子がうかがえる。
  • 泉流(センリュウ)
タンデム翼型で、二人乗りの旧式偵察機。
映画版では夜間哨戒機として登場。二重反転プロペラに加え、機体の前方下部に多数のFuG202らしきアンテナを設置、もう一人の搭乗員(レーダー手?)はパイロットと背中合わせに座るなど、染赤以上に個性的な機体。
  • 鈴城(スズシロ)
「ナ・バ・テア」で名前のみ登場した爆撃機。
  • 紫目(ムラサキメ)
双胴の大型爆撃機。
  • 翠芽(スイガ)
空冷エンジンを搭載した牽引式の戦闘機。
散香が配備されるまでの主力だったようである。プッシャを嫌いトラクタをこよなく愛するテーチャが乗った。
  • 填鷲
超大型の六発爆撃機。YB-35のようなデザイン。
  • 空中給油機(名称不明)

[編集] ラウテルン

命名規則は英単語の後に「J2」など改良を表す英数字。映画版の機体デザインには、第二次大戦中の米英戦闘機的な要素が散見される。

  • スカイリイ J2
ティーチャが搭乗する緩い逆ガル翼の戦闘機。作中では既に旧式になりつつある。
強力な空冷エンジンを搭載した牽引式で、武装は大型のモーターカノンと主翼に配置された小銃という重武装の機体。
映画版ではターボチャージャーがコックピット前方左側面にかけて装備されている様子がうかがえる。テーチャに固執する三ツ矢の双発機染赤を水平飛行で振り切る速度性能を見せつけた。
  • レインボウ
スカイ・クロラで最初に登場した敵機。双発の戦闘機。
  • フォーチュン
主人公の所属する基地を空爆した爆撃機。

[編集] 既刊一覧

単行本
すべて中央公論新社より出版。
ノベルス
すべてC★NOVELSより出版。
  • スカイ・クロラ The Sky Crawlers (2002年、ISBN 4125007810
  • ナ・バ・テア None But Air (2004年、ISBN 412500871X
  • ダウン・ツ・ヘヴン Down to Heaven (2005年、ISBN 412500921X
  • フラッタ・リンツ・ライフ Flutter into Life (2007年、ISBN 4125009864
  • クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky (2007年、ISBN 412501003X
  • スカイ・イクリプス Sky Eclipse (2008年、ISBN 4125010579
文庫
すべて中公文庫より出版。

[編集] 映画

スカイ・クロラ The Sky Crawlers
監督 押井守
製作総指揮 奥田誠治石川光久
製作 石井朋彦 
脚本 伊藤ちひろ
出演者 加瀬亮菊地凛子谷原章介栗山千明
音楽 川井憲次
主題歌 絢香今夜も星に抱かれて…
編集 植松淳一
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開 日本の旗 2008年8月2日
中華民国の旗 2008年12月5日
上映時間 121分
製作国 日本
言語 日本語
興行収入 7億円[3]
allcinema
キネマ旬報
  

スカイ・クロラ The Sky Crawlers』のタイトルで、2008年8月2日アニメーション映画として公開された。監督は押井守で、制作はProduction I.G

戦争請負会社の日本人部隊で、戦闘機に乗って戦う若者の物語。「若い人に、生きることの意味を伝えたい」という[4]。押井は、本作が成功しなかったら辞めると語る[5]

[編集] 概要

2004年の『イノセンス』以来4年ぶりの押井のアニメ作品。原作者の森には3年以上前からオファーがあり映像化は困難だと考えていたが、飛行機が綺麗な空を飛び回る映像だけでも観たいという思いから映画化が決定した。押井に監督のオファーが来た経緯は原作者の森が好きな映画に(押井作品と知らずに)『アヴァロン』を挙げたことによる。押井は自分に可能な仕事かと疑問を抱いてオファーを一旦断ったが、少し考えて気が変わり監督を引き受けた。

近年つちかってきた演出手法を封じ、『イノセンス』とはまったく違うシナリオ・演出法を持ってこの映画を若者へ向けたエンターテインメント作品として作ろうと決意したという[6]

脚本作業に入った当初、原作がシリーズ最終巻『スカイ・クロラ』(2001年)とシリーズ1巻『ナ・バ・テア』(2004年)の2冊までしか刊行されていなかったこともあり、映画では『スカイ・クロラ』と『ナ・バ・テア』の一部のエピソードを中心に描かれている。 おおまかなストーリーや世界観は原作に準拠しているが、ラストも含めて原作と異なる設定も多い。細かな所では函南の下の名前が「ユーイチ」に変更されたり、笹倉が女性として描かれている。

主要なキャラクターの声優は1人に対し、60〜70人のオーディションを行っている。草薙水素の声も同様にオーディションを行ったが決め手を欠き、最後まで決まらなかったが、別件で監督が菊地凛子と対談し、オーディションの候補に入っていなかったが、その印象からその場で出演を打診した。 また、三ツ矢碧の声は脚本段階から栗山千明を想定していた。

ノベルス版の挿絵では草薙水素はショートヘアーだが、監督の強い要望でおかっぱ頭に変更された。これについて監督はスタッフからの反論を覚悟しており、「風になびく髪で心情を表現する」などの演出的な理論武装をしていたとのこと。しかし理由は第一に「おかっぱが好きだから」である。基本的にキャラクターデザインは西尾鉄也がゼロから担当しているが、自身が担当した『NARUTO』の絵柄に酷似しており、一部観客からはそれを指摘され、本人も否定はしていない[7]

舞台はどこか日本とよく似た国で、作中では『讀賣新聞』などが登場する。実際に読売のスタッフがデータ製作した。また、『讀賣新聞』2008年7月30日付朝刊の折込「スカイ・クロラ新聞」に、実際の紙面として作中に登場している(架空の)新聞記事が掲載された。小説での舞台設定は日本であるが、映画ではヨーロッパとして舞台設定し、アイルランドとポーランドでロケハンを行っている。

作品のテーマでもある「終わらない繰り返しの物語」を象徴するように、前後にいくつも繰り返しの演出が見られる。

GyaOで配信された予告編映像は庵野秀明樋口真嗣行定勲がそれぞれ手がけた。

エンディング曲は当初、川井憲次が手がけていたが、監督がイメージソングだった絢香の『今夜も星に抱かれて…』(映画の書き下ろし曲ではない)を映像と合わせて聴いたところ、より映画に力を与えると判断した為、そのまま主題歌として採用される。

劇中、少年少女の容貌を持った「キルドレ」であるキャラクターがタバコを吸う場面が複数存在する。これに関して、NPO法人の日本禁煙学会は制作関係会社に対する質問状を送付した[8]

原作では明記されていなかったが、函南らが所属するのは「ロストック社」、「相手方」は「ラウテルン社」と言う名称になり、機体のデザインもオリジナル要素が加えられている。 作中で画面に映る計器パネルの針は、すべて正確な位置を指しているという。

当初監督は交信中の英語の会話はたどたどしい方がリアルだと考えていだが、声優が英語に堪能であるとわかり流暢な英語に変更されている[9]。ヘルメットの英語はコードネームで、犬の名前からきている[10]

本作はヴェネチア国際映画祭で反響があり多くの海内メディアから取材を受けたが、主な質問は物語そのものではなく、「現実に少年少女が兵士として徴用され、命を散らしているのに、「生を実感するため」などという空虚な理由のために戦うなどという作品は、フィクションであるとしてもどうか」など世界観についてであった。[要出典]

ソニー・ピクチャーズが、アメリカ、カナダ、ラテンアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、オセアニアでも配給を予定している。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

[編集] スッキリ!!・クロラ The Sukkiri Crawlers

NTV系『爽快情報バラエティー スッキリ!!』1分劇場『スッキリ・クロラ』(OA 2008.7.7~8.1)

[編集] 概要

映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』公開の宣伝として日本テレビ系列の情報番組『爽快情報バラエティー スッキリ!!』とコラボレートしたアニメーション作品。番組内の1分間、公開日前日まで放送された。

番組出演者の加藤浩次テリー伊藤葉山エレーヌを模したキャラクター達が映画の世界に迷い込み、世界観やキャラクターの紹介をするといったガイド的内容となっている。また、公開日までの日数と寺山修司押井守などの格言が提示される。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

  • 監修:押井守
  • 脚本:川崎良
  • 絵コンテ・演出・作画:西尾鉄也
  • 仕上げ:中田祐美子、泉津井陽一
  • 撮影:泉津井陽一
  • 編集:奥野英俊
  • 制作進行:安達悠子、崔
  • 音響:西村了
  • 音響助手:菊間潤子
  • 効果:金子寛史
  • 整音:和田修
  • 協力:秋山健一、小岩井佑樹、竹内敦志、石井朋彦、川口徹、飯島幸子
  • プロデューサー:黒澤亘
  • ポストプロダクション:日テレアックスオン
  • アニメーション制作:Production I.G
  • 製作:『スッキリ!!』×バップ×『スカイ・クロラ』製作委員会

[編集] ゲーム

スカイ・クロラ イノセン・テイセス
ジャンル ドラマチックフライトシューティング
対応機種 Wii
開発元 バンダイナムコゲームス
発売元 バンダイナムコゲームス
メディア Wii用12cm光ディスク
発売日 日本の旗 2008年10月16日
アメリカ合衆国の旗 欧州連合の旗 発売未定
価格 日本の旗 7,140円(税込)
対象年齢 日本の旗 CERO:A(全年齢対象)
デバイス ヌンチャク
クラシックコントロ-ラ
ゲームキューブコントローラ対応
  

スカイ・クロラ イノセン・テイセス』とは、原作や映画版『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』とは違った視点から描かれたWiiフライトシューティングゲームである。キャッチコピーは『僕の手がトリガを引く。そして、僕は空を舞う。』。開発はエースコンバットシリーズ開発チームであるPROJECT ACESが担当する。ゲームプレイヤーのターゲットとしては押井自身が言っているように若い頃から戦闘機にあこがれていて、最近ではゲームをしなくなった中年層[14]

当ゲームに採用された独特のシステムとしては、ボタン1つで簡単に敵の背後に付くことが出来るTMC(タクティカル・マヌーヴァ・コマンド)、2P専用の照準が表示されて戦闘のアシストが出来る2Pアシスト等が搭載されている。

月刊コミックブレイド2008年11月号よりゲーム版を元にしたコミックが連載中。上地優歩作。

[編集] キャスト

[編集] スタッフ

  • プロデューサ:内山大輔
  • 特別監修:森博嗣押井守
  • ディレクタ:加藤正規
  • アートディレクタ:和田太一
  • サウンドディレクタ:高田龍一
  • アニメーション監督:羽原信義
  • ゲーム制作:アクセスゲームズ
  • ミュージック制作:モナカ
  • アニメーション制作:XEBEC

[編集] 脚注

  1. ^ 森博嗣. "浮遊工作室 近況報告(期間限定公開)". 2008年11月30日 閲覧。
  2. ^ 森博嗣. "MORI LOG ACADEMY 2007年6月17日付け記事". 2008年5月27日 閲覧。
  3. ^ バラエティ・ジャパン
  4. ^ "鬼才・押井守、次回作を熱く語る". 朝日新聞社 (2007年6月20日). 同日 閲覧。
  5. ^ 「この映画は生まれ変わったつもりで作りました。この作品が成功しなかったら、今度こそ辞めます。」との公開初日の舞台挨拶の監督の発言。マスコミによって監督を引退するかのように記事にされているが、発言の真意は2007年6月20日(水)東京・内幸町、ワーナー・ブラザース映画試写室においての「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」押井守監督記者会見での発言「ダメだったら辞めようと、ダメだったら元の自分に戻って、相変わらずペダントリーとうんちくと、シニカルに偏った戦争映画しか作らない監督になろうとか、意固地に考えてもいます(笑)。」にある模様である
  6. ^ "『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(監督:押井 守)製作決定のお知らせ". 株式会社プロダクション・アイジー (2007年6月20日). 同日 閲覧。
  7. ^ 「WEBアニメスタイル」スカイクロラについての西尾鉄也のインタビュー
  8. ^ スカイ・クロラの喫煙シーンについて
  9. ^ 劇場パンフレットの解説より
  10. ^ 同上
  11. ^ 世界から応募された長編映画は2429本に及び、最終審査を通過した21本中、3本が日本の作品という快挙であった
  12. ^ ヴェネチア国際映画祭の協賛団体フューチャー・フィルム・フェスティバルが優れたデジタル技術を使った作品に贈る賞
  13. ^ シッチェス・カタロニア国際映画祭には独立したアニメーション部門がある中での出品
  14. ^ "押井守監督の最新劇場映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』がWiiで登場 『スカイ・クロラ(仮題)』映像インタビューつき". ファミ通.com (2008年3月21日). 同日 閲覧。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年11月16日 (月) 12:38 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
【スカイ・クロラシリーズ】変更履歴

ご利用上の注意