セイラ・マス
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セイラ・マス (Sayla Mass) は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の人物。声優は井上瑤。本名(あるいは旧名)は、アルテイシア・ソム・ダイクン (Artesia Som Deikun) 。第2話から第43話まで登場。その後の作品にも、何度か登場している。
総監督の富野由悠季によれば、命名の由来は「テレビコードに引っかかるので説明できない」とのことである(NHK・BSアニメ夜話)。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 人物
宇宙世紀0062年9月12日生まれ。ジオニズムの提唱者ジオン・ズム・ダイクンの娘であり、シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンの実妹である。
幼少の頃に父ジオンが死去し、当時ダイクン派だったジンバ・ラルの元へ兄と共に引き取られる。それと同時に、ジオン共和国の独裁化を目論むザビ家の迫害から逃れるべくマス家の養女となり、アルテイシア・ソム・ダイクンからセイラ・マスに名を改め、素性を隠しながら地球で過ごすこととなる。その後、兄がサイド3(ジオン公国)へ向けて旅立ったと同時に、自らはサイド7へ移住していった。父の死に際しては、幼少で未だよく事情を理解できなかったことに加え、早々に逃げ出した兄とは違い、マス家で健やかに優しく成長した経緯もあって、「ザビ家への復讐」といった負の感情は全く持ち合わせていなかった。
小説版『機動戦士ガンダム』では、原作者であり小説作者の富野由悠季(発表当時は“富野喜幸”名義)によって、別の表現を施されている。セイラは同作品でアムロ・レイと肉体関係を結ぶ上、彼にシャア殺害計画を明かし、それを託すという過激な一面が“娼婦的性格”と結合されて表現されている。富野は小説版で、セイラのヌードに対するアムロの印象や彼女の性的な嗜好についてなどをも(セックスを終えると早々に寝てしまうなど)、つぶさに描出している。そのラストも、全裸で海に飛び込むセイラの姿で締めくくられている。
安彦良和の漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、アニメ版では不明瞭であったセイラの幼少期も詳細に描かれている。父の死を経て地球へ亡命後、養父テアボロ・マスと共にサイド5のテキサスへ移住するが、兄「エドワウ・マス」は友人の「シャア・アズナブル」と共にサイド3へ向かう途中に、「事故死」。一年戦争開戦時に、マス家を暴徒が襲撃した際には使用人らを率いてこれを撃退するが、病床にあったテアボロはその間に息を引き取る、というものであった。また、本作では独断専行も辞さない積極的な行動力、危機の際に毅然と周囲を引っ張る姿勢、尋問など逆境にあっても浮かべる不敵な笑み、親しい者と居る時や自分だけの時のみに初めてを表出する感情など、全般的に兄を彷彿させる対位的な描写が追加された。
[編集] 劇中での活躍
[編集] 機動戦士ガンダム
第2話で、ホワイトベースの避難民の1人として登場。避難民の収容に手を貸そうともせず自分勝手な言動しかしないカイ・シデンをいきなり平手打ちし、「軟弱者!」と叱責したシーンは有名であり、セイラの気高く凛としたキャラクターを決定付ける名場面の1つである。サイド7に潜入していたジオン将兵(シャア)には毅然と拳銃を突き付けるが、マスクを外した彼の素顔に生き別れの兄キャスバルの面影を見出し、動揺する。この際、シャアもまた相手が妹アルテイシアであることを悟っており、以後ホワイトベースへの攻撃時にその面影を思い浮かべては、「あの優しいアルテイシアが連邦軍の軍艦に乗っているはずがない」と弁解めいた独白をする場面が度々見られた。
ホワイトベースでは、ブライト・ノアから「さん」付けで呼ばれた唯一の乗員。元は医者の卵であったことから、人手不足の中、医療スタッフの補助や通信士(オペレーター)の役を任される。特に後者については、臨時担当であるにもかかわらずパイロットのプライドをくすぐって一気にモチベーションを高める巧みな面を見せており、第23話ではカイから「おだてのセイラさん」などと揶揄されていた。また、ミライ・ヤシマとは年齢や立場が近いことから、しばしば行動を共にしている。
第16話では、兄と思われるシャアの動向を知りたい一心でガンダムに勝手に乗り、ジオン兵と接触しようと目論む。しかし、戦闘経験の無いセイラはノーマルスーツを着用していなかったために加速Gの凄さで嘔吐した上、敵モビルスーツに翻弄されて危うくガンダムを捕獲されそうになってしまう失態を演じ、独房入りとなった。なお、アムロ以外で戦闘においてガンダムを操縦したのは、TV版ではセイラだけである(第14話で、ガンダムに仕掛けられた時限爆弾をアムロが外す際にのみ、ハヤト・コバヤシが機体を起こす程度の操縦を行っている。また、劇場版『哀・戦士編』では1シーンだけリュウ・ホセイが操縦している)。この際、逆に捕虜となったコズンからシャアが左遷の身で生きて戦場を離れていたことを聞き、兄を想いながら自室で涙していた(『THE ORIGIN』では、この件の露呈によりスパイの嫌疑を受けて拘禁されるが、直後にランバ・ラル隊が侵攻してきたため、うやむやになってしまっている)。
第20話では、ランバ・ラル隊がホワイトベースに白兵戦を挑んできた際、第2ブリッジ付近でランバと偶然出会ってしまう。ランバは父の忠臣ジンバ・ラルの息子であり、幼少時によく可愛がってもらった仲だった。お互いに素性を知った2人が気を取られていた隙に、リュウが銃撃。負傷したランバに、セイラは退却するよう叫ぶことしかできなかった。しかし、ランバはセイラの眼前で第2ブリッジから飛び降り、自爆する。思わずセイラは、ジオン・ダイクンの遺児としての重い運命を呪うのだった。
その後、中盤ではパイロットとして第24話からGファイター(劇場版ではコア・ブースター)に搭乗し、戦場へ出撃していくようになる。当初は慣れずにとまどう面もあったが、ガンダム(アムロ)との連係プレーなどで、次々と戦果を上げていく。
ホワイトベースがジャブローに寄港した第30話では、潜入工作を行っていたシャアと再会。兄キャスバルが今も復讐に生きていることを察して諭すが、彼はセイラに地球連邦軍を辞めるよう言い残して立ち去る。また、ホワイトベースがテキサスコロニー近くに移動した第38話でも、シャアと再会。しかし歩み寄ることはなく、決別が決定的になり、泣き崩れる。その後、シャアからセイラへの手紙を添えた金塊がホワイトベースに回収された際、ブライトに尋ねられた彼女は自らの素性を明かし、ホワイトベースのクルーで分けるようにと金塊を差し出している(『THE ORIGIN』では、テキサスコロニーでのシャアとの一部始終を目撃したカイがホワイトベースに報告したため、セイラがシャアの妹だった事実はクルー全員に知れ渡ることとなり、直後のソロモン戦では出撃禁止となっている)。
最終話(第43話)では、ア・バオア・クー戦にて生身で決闘を繰り広げるアムロとシャアを制止に入った際に爆発に巻き込まれるが、シャアに助けられる。その後、キシリア・ザビへの復讐を遂げに向かうシャアと別れ、アムロの誘導を受けてホワイトベースのクルーと共にア・バオア・クーより脱出。生還を果たしたが、これが兄との今生の別れとなった。
セイラも一応、ニュータイプの片鱗を見せてはいたが、最後までアムロのような超絶的な覚醒や高いニュータイプ能力は見られなかった。明確に描写された最初のシーンは第39話と遅く、それもララァ・スンの乗るエルメスのサイコミュに、微かに反応した程度のものである。第41話ではアムロとララァの共振を感知するが、ただそれだけに終わっており、兄妹共々ニュータイプ能力では彼らに完全に抜き去られている。最終話ではアムロの声を聞いて脱出に成功しているが、他のクルーもアムロの声を聞いており、セイラだけが特別というわけではない。何より、爆発するア・バオア・クーからコアファイターで脱出するアムロをテレパシー誘導したのはセイラではなく、幼いカツ、レツ、キッカだったことからも、彼女のニュータイプ能力の限界が推察できる。アムロ、ララァ、シャアの三角関係については、ララァを殺したアムロに対して敵意と恨みを剥き出しにするシャアに対し、「それはお互い様」としている。
アムロとは前述のように小説版のような懇ろな関係になることも無く、戦闘でのパートナーシップ以上の親密な恋愛感情を匂わせる描写は特に無かった。しかし、セイラ役の井上はアムロ役の古谷徹と、「あの2人は絶対に陰で付き合っているはず」とTV放映中のアフレコ時によく話し合っていたという。また、劇中でシャアがア・バオア・クーでの別れ際にセイラに対し、「アムロ君が呼んでいる」と発言したり、『機動戦士Zガンダム』でフラウがアムロに、「まだセイラさんのことが忘れられないんでしょ」とからかうシーンなどは、小説版の設定を踏まえたものとも受け取れる。
[編集] 機動戦士Ζガンダム
TV版では第37話「ダカールの日」に2シーンのみ、台詞無しで登場。クワトロ・バジーナ(=キャスバル)がダカールで自らの素性を明かしてまで行った演説のテレビ中継を、どこかの別荘で憂いを帯びた表情で見入っていた。台詞が無かったのは、井上が当時インドへ長期旅行中で日本を離れており、連絡が付かず声を収録出来なかったためと言われている。また、それに遡って第10話でのシャアの自室には、幼少時のシャアとセイラの写真が飾られている(後に発売されたPS用ゲーム『機動戦士Ζガンダム』では、このシーンに台詞が付いている)。
小説版では、“株式投資で生計を立てながら、地中海岸の街で一人暮らし。シャアのダカール演説の偽善を見抜き、殺意に近い思いさえ抱いている”という主旨の記述が成されている。
なお、劇場版『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』では、上記とは異なるシーンに登場。井上は既に逝去していたが、過去の『機動戦士ガンダム』出演時の台詞を抽出・編集することで、“声の出演”も果たした(劇場版エンドロールでは“ライブラリ出演”と表記されている)。
[編集] 機動戦士ガンダムΖΖ
第28話で、ジュドー・アーシタの妹リィナ・アーシタは戦闘に巻き込まれて死んだと思われたが、実はセイラに助けられていた。第46話で、セイラはリィナと共にブライトの前に登場。投資家として暮らしていることがブライトによって語られ、また兄・シャアの死を望む発言をしており、兄との再会を望むリィナとは対照的に描かれている。最終話(第47話)では、ブライトを介してリィナとジュドーを再会させた。
小説版では、リィナを助けたのはネオ・ジオンの現地徴用兵であり、セイラは彼の協力要請に応じてリィナをブライトの下へ送り届けたと描かれている。
[編集] 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
直接の登場は無かったが、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』のラストでシャアが懐からセイラの写真入りのロケットを取り出し、地球に住んでいる妹を手に掛けずに済んだことについて安堵する描写がある。また、挿絵では幼少時のセイラの笑顔写真が描かれている。
また、メディアワークス刊『データコレクション7 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』の挿絵では、ネオ・ジオン総帥となったシャアの演説を放映中の街頭から立ち去ろうとするセイラらしき人物が描かれている。こちらは背景などから、スペースコロニーに滞在していたことが窺える。
[編集] 搭乗機
[編集] 備考
- 月刊OUTの1980年3月号には、「悩ましのアルテイシア」と題してセイラの全裸ヌードが掲載された。後日これに対するOUT紙面での編集者発表では富野氏のコメントは「どうせ出すなら…。」だった。
- ガンプラブーム絶頂期の1981年にバンダイから発売された、1/20スケールでメインキャラを立体化したフィギュアプラモデル「キャラクターコレクション」の中で、特にセイラは「原型師入魂の出来」と高評価を受けた。また、別冊宝島の「このアニメがすごい!」で同作を改造したフィギュア版「悩ましのアルテイシア」が発表されて反響を呼び、後のフィギュア魔改造の走りになったと言われている。
- 劇場版『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』では、入浴シーンの露出度がTV版より上がっている。また、上映中の映画館ではこの入浴シーンに対し、フラッシュを焚いてカメラ撮影する者が多数出現した。この事実を知ったアニメ製作者側が、アニメについてもそのベクトルの需要があることに気付き、『くりいむレモン』などのアダルトアニメが製作されるきっかけとなった、とする説もある。
- 『機動戦士Ζガンダム』終了直前の月刊OUT(1986年3月号)に掲載された嘘企画『機動戦士Oガンダム 光のニュータイプ』(『機動戦士ガンダムΖΖ』のパロディ)では、ハマーン・カーンの弟カーン・ジュニアが率いる「スーパー・ジオン」に参加してアルテイシア少佐を名乗り、兄のシャア・アズナブルと戦うという設定になっていた。
[編集] 関連項目
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最終更新 2009年11月19日 (木) 16:09 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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