タガログ語

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タガログ語
Tagalog
話される国 フィリピン
地域 東南アジア
話者数 2,200万(第一言語)
5,000万(第二言語)
話者数の順位 58位
言語系統 オーストロネシア語
 西オーストロネシア語派
  中央フィリピン諸語
   タガログ語
公的地位
公用語 フィリピン
統制機関 フィリピン語委員会
Komisyon sa Wikang Filipino
言語コード
ISO 639-1 tl
ISO 639-2 tgl
ISO 639-3 -
SIL TGL

タガログ語 (Tagalog) はフィリピン言語の一つ。フィリピンのうち首都マニラを含むルソン島南部を中心に用いられている言語で、英語とともにフィリピンの公用語として採用されている。オーストロネシア語族に属する。

フィリピン語(Filipino)は憲法に定められた国語としての名称であり、実質的にタガログ語とほぼ同じと考えてよい。タガログ語がfとpの区別を持たないため、この言語は「ピリピノ」語(Pilipino)と名づけられたが、1972年憲法で「フィリピノ」語(Filipino)に改称された。

目次

[編集] 音韻・文字

アリバタ文字一覧
同じ子音の字の表記例

かつてはインド起源の音節文字アリバタ)やアラビア文字を用いていたが、現在はもっぱらラテン文字(ローマ字)を用いる。母音はa, e, i, o, uの5個。子音はp, t, k, '声門閉鎖音), b, d, g, m, n, ng, s, h, l, r, w, yの16個がある。ただし、(スペイン語、英語に由来する)人名地名などの固有名詞には c , f , j , q , v , x , z も用いられる。タガログ語のローマ字は「アバカダ」と呼ばれ、1987年に制定されたものである。「アバカダ」という名前の由来は、英語のABCD(エイ・ビー・シー・ディー)にあたる先頭の4文字がABKD(ア・バ・カ・ダ)であることによる。表記はほぼ発音通りであるが、ngが単独の子音であることに注意してほしい。また、スペイン語、英語に由来する固有名詞は、タガログ語本来のつづり字の発音と異なる場合がある。

アクセントの区別があるが、辞書などを除いて表記されない。たとえばasoは、aにアクセントを置くと「犬」、oにアクセントを置くと「煙」を意味する。また、スペイン語に由来する固有名詞で、スペイン語の原つづりにアクセント記号がつく場合でも省略されることが多い。例:San Jose(←San José), Corazon(←Corazón) Aquino。

[編集] 母音

  • a
  • e
  • i
  • o
  • u

二重母音

スペイン語からの借用語における二重母音は次のような特徴がある。
  • 弱母音+強母音はその音節にストレスがある場合は半母音字 "w","y" を挿入する。ストレスのない場合は弱母音字"i","u"を"y","w"に変える。発音もタガログ語のつづりに従う。そのため、ストレスがある場合原語より一音節増える。
  • [-i]はスペイン語において語中では"-i"、語末では"-y"とつづるのが原則だが、タガログ語では語中でも"-y"とつづることがある。

[編集] 子音

2字下げは外来語のみに用いられる文字。

  • b /b/
    • c (+i,e /s/), (+a,o,u /k/)
  • d /d/
    • f /f/(/p/で代用されることも)
  • g /g/: "ge" [ge] "gi" [gi]、但しスペイン語由来の固有名詞では"ge" [he] "gi" [hi], "gue" [ge] "gui" [gi]
  • h /h/
    • j /h/(スペイン語由来),/d3/(英語由来)
  • k /k/
  • l /l/
  • m /m/
  • n /n/
  • p /p/
    • q:que [ke],qui [ki](スペイン語由来)、qu- /kw-/(英語由来)
  • r /r/歯茎ふるえ音または歯茎はじき音。スペイン語からの借用語の場合、スペイン語の規則が踏襲される。
  • s /s/
  • t /t/: ts /tʃ/
    • v /b/: 英語由来の語では /v/ とも発音される
  • w /w/
    • x /s/ または /ks/ または /h/
  • y /j/
    • z /s/

スペイン語つづりのタガログ化

  • ca,co,ku→ka,ko,ku
  • j→h *que,qui→ke,ki,
  • v→b 
  • z→s 
  • ñ→ny
  • ll→ly
  • ch→ts

[編集] 文法

タガログ語は動詞が先頭にくるVSO型の語順を持つ。

[編集] マーカー

主(格)語目的語などのは、マーカー(標識)と呼ばれる語を前に伴って、動詞の後ろに置かれる。マーカーには、話題を示すang日本語の「は」に相当)、主(格)語や目的語を表すng(「が」「を」などに相当)、場所などを表すsa(「に」などに相当)がある。マーカーのngはnangと発音する。文には話題を示すangが含まれるのが普通であり、タガログ語は話題卓越性言語に含められる。

これらのマーカーの形は一般名詞か人名かによって、また数に応じて変化する。また、代名詞にはマーカーが付かず、マーカーの区別に応じて代名詞自体の形が変化する。変化は以下の通りである。なお、複数を表すmgaはmangaと発音する。

マーカーの変化
ang形 ng形 sa形
一般名詞(単数)の前 ang ng sa
一般名詞(複数)の前 ang mga ng mga sa mga
人名(単数)の前 si ni kay
人名(複数)の前 sina nina kina
人称代名詞
ang形 ng形 sa形
一人称単数 ako ko (sa) akin
二人称単数 ka
(文頭ではikaw)
mo (sa) iyo
三人称単数 siya niya (sa) kaniya
一人称複数
除外形(聞き手を含まない)
kami namin (sa) amin
一人称複数
包括形(聞き手を含む)
tayo natin (sa) atin
二人称複数 kayo ninyo (sa) inyo
三人称複数 sila nila (sa) kanila

二人称複数は1人に対する敬称として目上の人や老人に対して使われることもある。

指示代名詞
ang形 ng形 sa形
近称(「これ」に相当) ito nito dito
中称(「それ」に相当) iyan niyan diyan
遠称(「あれ」に相当) iyon niyon/noon doon

[編集] 焦点

動詞には焦点接辞と呼ばれる要素が付く。これはang形のついた話題の要素が主(格)語、目的語などのどれにあたるのかを示す働きがある。ng形のついた要素の役割もこれによって間接的に決まる。焦点には行為者焦点、目標焦点、場所焦点などがある。行為者焦点を能動態、目標焦点を受動態という場合もある。

焦点
行為者焦点 mag-; -um-; ma-
目標焦点 -in; -an; i-
場所焦点 -an; pag- -an
恩恵焦点 i-; ipag-
道具焦点 ipang-

ang形を話題マーカーとすれば、目標焦点は日本語の「あのケーキ花子が食べた」のような言い方に当たる。

なお、ang形を話題マーカーでなく格マーカーと見る考えも存在する。タガログ語では行為者焦点よりも目標焦点の方が一般的な表現法で、この点から「受動態が頻繁に用いられる」といわれてきた。ところがang形を格マーカーと見れば、これを絶対格と見、またng形を能格と見て、タガログ語を能格言語と見ることも可能である。英語版Tagalog grammarはこの見方を採っている。

[編集] アスペクト

動詞はこのほか、完了や継続などのアスペクトに応じて、それぞれの焦点の区別ごとに4通りに変化する。なお、単純に過去や未来を表す時制はない。

アスペクト
不定相 完了相
未然相 未完了相
不定相
不定詞や命令として用いる。
完了相
開始され、完了している出来事。
未然相
まだ開始していない出来事。
未完了相
開始され、まだ完了していない出来事。例えば習慣や継続中の出来事を表す。

[編集] リンカー

名詞修飾には、リンカー(繋辞)と呼ばれる要素を修飾語と被修飾語のあいだに置くことで示す(どちらを左に、どちらを右に置くかは必ずしも一定しない)。リンカーは母音のあとではng、子音のあとではnaである。

[編集] 語彙

語彙はタガログ語固有のもの以外に、歴史的事情からスペイン語および近年では英語からの外来語が多い。綴りはタガログ語風に改められるのが普通で、発音も原語と多少異なる場合がある。ただし、スペイン語や英語に由来する地名や人名に限っては、スペイン語や英語本来のつづりが用いられる。このほか、福建語マレー語の影響を強く受けている。

[編集] 基本表現

タガログ語の主な挨拶表現と数詞を紹介する。目上や年上の人との会話には「po」を文章の最後に付ける。「po」をつけた敬語表現では相手が1人でも必ず二人称を複数形にする。

  • Magandang umaga. - おはよう。
    • Magandang umaga po. - おはようございます。
  • Magandang tanghali. - こんにちは。(正午頃)
    • Magandang tanghali po. - 上に同じ
  • Magandang hapon. - こんにちは。(午後)
    • Magandang hapon po. - 上に同じ
  • Magandang gabi. - こんばんは。
    • Magadang gabi po. - 上に同じ
  • Kumusta ka? - お元気ですか?
  • Paalam. - さようなら。
  • Salamat. - ありがとう。
    • Maraming salamat po. - どうもありがとうございます(した)。
  • Walang anuman. - どういたしまして。
  • Pasensya ka na. - ごめんなさい。
    • Pasensya na po kayo. - どうもすみません。
  • Sino po sila? - どちら様ですか?(電話の応答で使う)
  • Tao po. - ごめんください。
  • Nandito na ako. - ただいま。


数詞:( )内はスペイン語からの借用語で、時刻を言うときなどに用いる。

  • isa (uno/una) - 1 (1時は『ala una』)
  • dalawa (dos) - 2 (2時は『alas dos』)
  • tatlo (tres) - 3 (3時は『alas tres』)
  • apat (kuwatro) - 4 (4時は『alas kuwatro』)
  • lima (singko) - 5 (5時は『alas singko』)
  • anim (seis) - 6 (6時は『alas seis』)
  • pito (siyete) - 7 (7時は『alas siyete』)
  • walo (otso) - 8 (8時は『alas otso』)
  • siyam (nuwebe) - 9 (9時は『alas nuwebe』)
  • sampu (diyes) - 10 (10時は『alas diyes』)
  • labing-isa (onse) - 11 (11時は『alas onse』)
  • labing-dalawa (dose) - 12 (12時は『alas dose』)


時刻表現の例:

  • 「朝5時」は「alas singko ng umaga」
  • 「朝8時半」は「alas otso y medya ng umaga」(『y medya』は半分)
  • 「正午」は「alas dose ng tanghali」または「alas dose en punto」
  • 「昼の3時」は「alas tres ng hapon」
  • 「夜6時45分」は「alas seis kuwarenta y singko ng gabi」(『kuwarenta y singko』は45)
  • 「深夜12時」は「alas dose ng hatinggabi」
  • 「深夜3時」は「alas tres ng madaling-araw」(『madaling-araw』は早朝を意味する)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月1日 (木) 04:10 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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