ターボチャージャー
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ターボチャージャー (turbo charger) は、内燃機関において、より高出力を得るために利用される過給機の一方式。
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[編集] 概要
排気管から廃棄されていた排気ガスのエネルギー(運動エネルギー・圧力)を利用しタービンを高速回転させ、その回転力で遠心式圧縮機を駆動することにより圧縮した空気をエンジン内に送り込む。これにより、内燃機関本来の吸気量を超える混合気を吸入・燃焼させることで、見かけの排気量を超える出力を得る仕組みである。
多くのターボチャージャーは排気ガスの運動エネルギーを主に使う動圧過給であるが、舶用の2ストロークディーゼルエンジンでは、排気ガスの圧力変動をなくし一定圧にしてその圧力を利用して過給する静圧過給が用いられる。
過給器としての効率は良く、船舶や発電機など一定速で運転されるものでは、インペラやコンプレッサー、A/R比の設定が楽になるため、特に向いている。
タービンの回転速度は、自動車用ガソリンエンジンなど、小型のものの場合200,000rpm(毎分20万回転)を超えるものもある。高温の排気ガス(8〜900℃)を直接受けるため、その熱によりタービンやハウジングが赤く発光するほどである。
タービンの軸受けにはボールベアリングが使われるものもあるが、通常はエンジンオイルの圧送によるフローティングメタル式軸受けである。エンジンオイルは、高温の排気にさらされるタービンからの熱伝導によって加熱される軸受けの潤滑と冷却を行う。そのため自然吸気エンジンやスーパーチャージャー付きエンジンに比べ使用環境が苛酷であり、高性能または専用のオイルを使用したり交換周期を短くするなど、管理を厳密にする必要がある。また高負荷運転後すぐにエンジンを停止してしまうとエンジン内のポンプによるオイル循環が止まってしまうため、高温のタービン軸と軸受けメタルが直接接し焼き付きに至る場合や、高温の軸受け周辺に滞留したオイルによりスラッジが発生してしまう原因となるため、ある程度無負荷運転(クールダウン/アフターアイドル)をした後にエンジンを止める事が取扱説明書などでも推奨されている。主に純正装着のターボにおいては軸受け周辺のオイルギャラリーが水冷化されている場合が多く、前述の運転後のケアは特に不要であると言われているがクールダウンの励行は怠らないほうがよい。
詳細は「エンジンオイル#一般」を参照
[編集] 歴史
スイスの蒸気タービン技術者であるアルフレッド・ビュッヒによって発明され[1]、1905年に特許が取得された。1912年にはドイツのルドルフ・ディーゼルがディーゼル機関車の低回転域のトルクを向上させるために、ビュッヒの在籍していたズルツァーと提携し、ターボチャージャーを導入しようと試みた[2]。ディーゼルエンジンには、1940年代に導入され、従来の機械式過給機に代わって効率向上に著しく寄与した。
ディーゼルエンジン以外での最初の適用例のひとつはゼネラル・エレクトリックの技術者であるサンフォード・モスがV型12気筒エンジンの航空機用エンジン「リバティ」に搭載したものである。高度4,300mのコロラド州パイクスピークで試験され、高度の上昇によりもたらされる内燃機関の出力低下を低減することが確認された。
航空機用の高高度性能の向上のための手段として発想自体は古くから存在したが、この分野ではアメリカが他国よりも先行しており、ボーイング社が開発したB-17爆撃機に1938年に搭載された、カーチス・ライト社製の星形空冷式1000ps級エンジン「ライト・サイクロンR-1820系」が史上初の実用例である。アメリカが他国に先行してターボチャージャーを実用化できたのは、頻繁に交換する消耗品と割り切って設計した事によるものであり、経済的に豊かな国だからこそできたと言える。
他国の高高度性能向上のための手段としてはスーパーチャージャーの採用が中心であったが、第二次世界大戦中には、アメリカの他にソ連、ドイツ等でも軍用機エンジンに採用された。
戦時中の日本でも航空機用ターボチャージャー開発は進められていたが、試作レベルのものが三菱 局地戦闘機雷電に装着されて使われたケースはあるが、実装に問題があり実用化は出来なかった[3]。特に高温に耐える特殊金属の欠乏(代替金属の使用)は、排気タービンのみならず小型高出力エンジン(誉)やジェットエンジン(ネ20)の開発・生産にも影響を及ぼした。ようやく一〇〇式司令部偵察機四型において実用化がなされたものの、程なくして終戦となった。
市販のガソリン自動車用としては1962年にアメリカのゼネラルモーターズ(GM)が「オールズモビルF85」と「シボレー・コルベア」にオプションで設定したのが最初となる。ただしコルベア自体の操縦安定性に難があったため、短期間で市場から消え、一般化するまでに至っていない。欧州車では1973年のBMW・2002Turboに初採用された。
1978年にはB&Wが舶用2ストロークディーゼルエンジンに静圧過給方式のターボチャージャーを導入し、熱効率が一気に上昇した[4]。
日本車では1979年の日産・セドリック / グロリアに初採用された。
[編集] 種類 (主に自動車用語)
- シングルターボ - ターボチャージャーを1基搭載
- ロープレッシャーターボ(ライトプレッシャーターボ/低圧ターボ)
- ビッグシングルターボ(ハイプレッシャーターボ/俗に言うドッカンターボ)
- ツインスクロールターボ
- ツインターボ - ターボチャージャーを2基搭載
- 常時ツインターボ
- シーケンシャルツインターボ
- 2ステージターボ
- 可変ノズル(VG)ターボ
- 電動アシストターボ
- 静圧過給
- 動圧過給
[編集] メリット
- ターボチャージャーは高温高圧の排気ガスの運動エネルギー、つまり本来なら大気中に廃棄される部分をタービンを介して利用するため、熱効率が上がる。このため小排気量エンジンでも大排気量エンジンと同等の出力を確保しやすくなり、「小型軽量のエンジンで大出力を得る」という相反する条件を満たし得る。
- 同じ過給器でも、エンジンの出力を直接に使うスーパーチャージャーと比較した場合でも、先述したように排出されるエネルギーを使用するため効率が良い。例えば自然吸気状態の出力を100%、過給器による追加出力を30%とした場合、スーパーチャージャーではコンプレッサーを稼動させるためにクランクからエネルギーが取り分けられるため、最終的な出力は130%を下回るが、ターボチャージャーにはそのエネルギーロスがない(厳密に言うと、ターボチャージャー内の機械的な摩擦や排気抵抗の増大などのために少しだけ低くなる)。
- 航空機の場合は、エンジン出力のロスが少なく過給が可能なため、気圧の低い相当な高々度に至っても性能を維持することが可能となる。航空機の場合ターボチャージャーと言われるより、排気タービン式過給器と呼ばれる事が多い。
- 排気ガスが一度ターボチャージャーのタービンに当たり、それから(マフラー等の)出口へ排気されるため自然吸気エンジンに比べると排気音が小さい。 ただし現在の自然吸気エンジンでも消音器等で十分消音されている事、ターボチャージャー搭載のエンジン自動車はマフラー交換によりそのメリットが生かされていない傾向がある。
[編集] デメリット
- 大量の混合気を強制的に送り込み燃焼させるため、エンジン温度が高くなりがちで十分な冷却対策が必要である。エンジン温度の高温化はエンジン内部での異常燃焼(ノッキング)を誘発しやすくなるため、過給圧と共に圧縮比や点火時期の設定を厳密に行う必要がある。理論空燃比・パワー空燃比と比較してリッチな(燃料を濃くした)混合気を送り、気化熱による冷却を期待していることもあり、ターボ=燃費が悪いという要因にもなっている。
- 構造上スロットル(アクセル)操作に対するエンジン反応に遅れが生じる(「ターボラグ」という)。ターボラグはエンジンの回転と、その排気によりタービンの回転数が増し、同軸上のコンプレッサーによる過給圧が上昇するまでの時間差により発生するもので、スロットルの開度に若干遅れてエンジン出力が上昇するという形で現われる。このレスポンスを向上させる努力が各メーカで続けられている。
- 一般的なターボエンジンは同形式・同排気量の自然吸気エンジンと比較すると、前述の異常燃焼対策のために圧縮比を低く設定するため、過給効果が出ない低回転域は馬力・トルク共に劣る事となり、自然吸気エンジンと比べてもドライバビリティーは悪い。これを嫌い、敢えて過給レスポンスに優れるクランクシャフト駆動のスーパーチャージャーを用いる自動車メーカーもある。
- 排気系の取り回しに自由度の高い自然吸気エンジンと比べ、エキゾーストマニホールド直後に配置されるターボチャージャーが排気の障害物となるため、排気系による出力効率の向上が期待できない。
- 自然吸気エンジンをベースにすることが多いが、その場合、増加する燃焼圧力に耐えられるようにヘッドガスケット強度やシリンダーヘッド、シリンダーブロック剛性を充分に保つことと、ピストン頭部の熱対策が必要となる。多くの場合はボアを縮小したり、アルミブロックではなくあえて鋳鉄ブロックを用いる、またはアルミブロックに鋳鉄スリーブを用いるなどの対策を行う。大型車のディーゼルエンジンではCVダクタイル鋳鉄も用いられる。
- 排気エネルギーを利用して吸気タービンを回すため、排気温度が上がりにくくタービン後に配置されている排気触媒が有効温度に達するまで自然吸気エンジンより時間がかかる。従って特にエンジン冷間時は有害ガスの未燃焼燃料(HC)や一酸化炭素(CO)が排気として排出されやすい欠点がある。ターボ車のアイドリング時に排気がガソリン臭くなるのは、暖機のために混合気を濃くしているためHCやcoが発生しやすい状態なのに、排気触媒が機能していないためである。
- ターボチャージャーのタービンは毎分数万回転(ガソリンターボ)から二十万回転(ディーゼルターボ)に達するため、オイル管理がシビアになりやすい。タービン軸の軸受となるフローティングベアリングの潤滑及びその冷却をエンジンオイルと共用で行っている車種は高温、高負荷に曝されるためエンジンオイル劣化が進みやすい。そしてオイルが劣化しタービン軸が焼きつくと、極端にエンジン性能が低下する。特に日本の軽自動車のターボ車の場合は出力を極度にターボに依存しているため、ターボが利かなくなると緩い坂すら登れなくなることもある。また軸受けのシールが破れるとタービン軸からオイルが漏れだして排気が白煙となり、最悪エンジンオイル量が不足してエンジンが焼きつく。従って、同車種でもターボチャージャーの有無でオイル交換距離が倍以上異なることもあり、オイル専用の冷却装置を装備している車種もある。
コンプレッサーによる圧縮やタービンからの熱伝導により吸気温度が高くなる問題に対応するため、インタークーラーを併用して圧縮後の吸気を冷却し、効率向上を図っている例も多い。
[編集] 用途
上述の通り、過去、航空機において空気の薄い高空での出力維持のためにターボが用いられてきたが、現在、高空を飛行する航空機用のエンジンとしては、ジェットエンジン・ターボプロップエンジンが用いられる為、使用される事は無い。
自動車では大出力を得やすいため、過去からモータースポーツ用エンジンやスポーツカー向けの高出力エンジンなどでよく用いられてきた。
F1では、かつてターボエンジンが全盛だった時代に、BMWが1,500cc 直列4気筒エンジンにターボチャージャーを組み合わせることによって1,500ps以上の出力を発生したと言われた。またホンダがウィリアムズに供給していたエンジン(RA166E)でも1,500cc V型6気筒ツインターボの構成により常用1,000ps以上、予選用セッティングで1,500ps以上を発生したと言われている。[5](はっきりとしないのは当時それだけの大馬力を正確に測定できる機器が無かったことや、レース車両に関わるデータは機密事項となるために詳細を公式に発表しないためである。)その後、安全性を理由にレギュレーションが変更。1987年から過給圧制限が加えられ(1987年は最大4バール、1988年は最大2.5バール)、1988年シーズンを最後に以降、ターボを含めた過給器の使用が全面的に禁止されている。
ディーゼルエンジンは、空気のみをシリンダー内に吸入し圧縮を行う為、ガソリンエンジンのような異常燃焼問題を伴わないことから、ターボチャージャーなどによる過給に適しており、自動車(乗用車、トラック、バスなど)をはじめ、鉄道車両(気動車・ディーゼル機関車)、船舶、建設機械などの高速ディーゼル機関はもとより、大型船舶用の超大型低速ディーゼル機関にまでターボチャージャーが広範に用いられている。
近年、ガソリン直噴エンジンの登場により、ターボチャージャーを含めた過給器の搭載が増えつつある。特に元々ディーゼル車の普及率が高かった、欧州の自動車会社での採用が増加している。
日本国内においては、軽自動車でターボチャージャーが採用されるケースが多い。また、かつては、自動車税の税額が3ナンバーと5ナンバーで大きく異なっていた為、5ナンバーボディに排気量が2000cc(厳密には数cc少ない)のエンジンにターボチャージャー利用されるケースが多かった。
[編集] その他
- ブーストコントローラー - 過給圧制御装置。
[編集] 主要メーカー
- IHI(旧「石川島播磨重工業」)
- 三菱重工業
- 日立製作所
- ギャレット - ハネウェル
- ボルグワーナー
- 独KKK社(Kühnle Kopp und Kausch)
- ターボネティクス(Turbonetics)
[編集] 注釈・出典
[編集] 関連項目
- スーパーチャージャー
- インタークーラー
- ウェイストゲートバルブ
- ブローオフバルブ
- ブースト計
- ツインチャージャー(スーパーターボ)
- ターボチューン
- ポン付けタービン、ボルトオンターボ
- ビッグシングルターボ、ツインターボ
最終更新 2009年11月20日 (金) 23:45 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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