チオ硫酸ナトリウム

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チオ硫酸ナトリウム
IUPAC名
別称 ハイポ
識別情報
CAS登録番号 7772-98-7
特性
化学式 Na2S2O3
モル質量 158.09774 g/mol
外観 白色結晶
密度 1.667 g/cm3, 固体
融点

48.3 °C

沸点

(分解)

への溶解度 易溶
塩基解離定数 pKb N/A
構造
配位幾何構造 四面体アニオン
危険性
MSDS External MSDS
EU分類 無し
NFPA 704
1
Rフレーズ R35
Sフレーズ (S1/2) S26 S37/39 S45
特記なき場合、データは常温(25 ℃)・常圧(100 kPa)におけるものである。

チオ硫酸ナトリウム(チオりゅうさんナトリウム、Sodium thiosulfate)は、化学式 Na2S2O3 であらわされるチオ硫酸ナトリウム塩である。CAS登録番号は [7772-98-7](無水塩)、[10102-17-7](五水和物)。「チオ硫酸」という呼称は、硫酸が持つ酸素がひとつ硫黄に置き換わっていることを示している。工業的には、多硫化ナトリウムの酸化によって作られる。

目次

[編集] 性質

には溶けやすい。また、液体アンモニアにも溶けやすい。ただし、温かい飽和水溶液を冷やしても、過飽和により、結晶析出しないこともある。普通に市販されているものは五水和物 (Na2S2O3・5H2O) の無色透明のややゆがんだ直方体の結晶で、ハイポ (hypo) と呼ばれる。水溶液はハロゲン化銀(銀塩写真の感光剤)の結晶を溶解するので、写真定着剤として使用される。この性質は、イギリスジョン・ハーシェルによって発見された。

水道水中の塩素などハロゲン元素単体を除く作用があるので、金魚熱帯魚など水生生物の飼育において、換水に際して塩素消毒の施された新鮮な水道水を水槽に入れざるを得ないときに、あらかじめ少量添加して使用される。またこの性質は、医療においてポビドンヨードのようなヨウ素製剤を用いて消毒をした後に、ヨウ素による着色を脱色するのにも使われ、このときにはエタノール溶液(ハイポアルコール)の形で用いる。また還元力を持つ。

写真材料店、熱帯魚店などで入手可能だが、と反応させると分解して単体硫黄と有毒な二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を発生させるため、チオ硫酸ナトリウムは酸と混合、あるいは接触させないよう取り扱いに注意を要する。

他に医療の分野ではシアン化物青酸カリなど)中毒の解毒剤としてシアンを一旦メトヘモグロビンに結合させ徐々に解毒するために、チオ硫酸ナトリウム水溶液の連続静脈注射と亜硝酸化合物を併用する。この際、チオ硫酸ナトリウムはシアン化物をチオシアン化物へ変化させる。チオシアン酸も毒性を持つがシアンよりも弱い。亜硝酸塩は血液中のヘモグロビンと反応してメトヘモグロビンとなる。メトヘモグロビンはヘム鉄やチトクロームの鉄よりもシアンと強く結合するのでシアンの中毒症状の発現を遅らせる働きがある。

チオ硫酸イオンも金属への強い配位性を示す。例えば、銀イオンと錯体を作る(下記参照)ため、本来難溶性である各種ハロゲン化銀を水溶液中に溶解させることが出来る。

[編集] 主な反応

水中の塩素はチオ硫酸ナトリウムと反応して塩化ナトリウム塩酸といった毒性の少ない化合物になり、副産物として硫酸を発生させる。

Na2S2O3 + 4Cl2 + 5H2O → 2NaCl + 2H2SO4 + 6HCl

発生する塩酸や硫酸は強酸ではあるが、水道水に含まれる程度の量の塩素から生成される量はごく微量のため、水の pH に及ぼす影響はごくわずかなので、水生生物にはほとんど悪影響はみられない。

また、水道水中の塩素による水生生物への急性中毒防止そのものよりも、塩素と水生生物の排泄物などが反応して生成される可能性のあるクロラミン (NH2Cl, NHCl2) などの魚には有毒とされる物質の発生を防ぐ効果の方が大きいともされる。

ヨウ素による着色の脱色反応は、上記の反応式の塩素をヨウ素に置き換えればよい。

Na2S2O3 + 4HClO + H2O → 2NaCl + 2H2SO4 + 2HCl
  • シアン化物の分解反応
Na2S2O3 + CN- → NaSCN + NaSO3-
  • ハロゲン化銀との反応
2Na2S2O3 + AgX → Na3[Ag(S2O3)2] + NaX
  • 酸との二酸化硫黄発生反応
Na2S2O3 + 2HCl → 2NaCl + S + SO2 + H2O

[編集] ハイポ

写真材料や、熱帯魚用の塩素中和剤として市販される水和物は、一般にハイポと称される[1]。この名称は、次亜硫酸ナトリウムという誤称が定着し、その英名がSodium hyposulfiteであることに由来する。本来、次亜硫酸ナトリウムは亜ジチオン酸ナトリウムの別名であり、まったく別の物質である。

[編集] 脚注

  1. ^ 関連:日本薬剤師会, ed. (2008), 調剤指針 (第12改訂増補版), 薬事日報社, p. 62, ISBN 9784840810517 

最終更新 2009年11月23日 (月) 10:22 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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