ツキノワグマ

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ツキノワグマ

ツキノワグマ Ursus thibetanus
保全状態評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
ファイル:Status iucn2.3 VU.svg U. t. gedrosianus
CRITICALLY ENDANGEREDIUCN Red List Ver.2.3(1994)
ファイル:Status iucn2.3 CR.svg


U. t. japonicus ニホンツキノワグマ
絶滅のおそれのある地域個体群環境省レッドリスト

分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 食肉目 Carnivora
亜目 : イヌ亜目 Caniformia
下目 : クマ下目 Arctoidea
小目 : クマ小目 Ursida
上科 : クマ上科 Ursoidea
: クマ科 Ursidae
亜科 : クマ亜科 Ursinae
: クマ属 Ursus
: ツキノワグマ U. thibetanus
学名
Ursus thibetanus
G. Cuvier1823
和名
ツキノワグマ
英名
Asian Black Bear
ツキノワグマの分布(日本国内)

ツキノワグマ(月輪熊、Ursus thibetanus)は、哺乳綱食肉目クマ科クマ属に分類されるクマ。特定動物

目次

[編集] 分布

分布図

ユーラシア大陸東部、台湾

  • U. t. japonicus ニホンツキノワグマ

日本本州四国固有亜種

[編集] 形態

体長110-150cm。体重40-150kg。全身は黒い体毛で覆われる。咽頭部の毛は白く、三日月状に見えることが和名の由来となっている。この白い斑紋は個体により変異があり、見られない個体もおりまたクマ科の別種でも見られることがあり本種固有の形態ではない。

[編集] 亜種

  • Ursus thibetanus gedrosianus Blanford, 1877
  • Ursus thibetanus japonicus  ニホンツキノワグマ
  • Ursus thibetanus thibetanus G. Cuvier, 1823

[編集] 生態

[編集] 生息場所

森林に生息する。夏には標高の高い場所で生活し、冬になると標高の低い場所へ移動することもある。地域によっては冬季に樹洞や洞窟等で冬ごもりを行う。冬ごもりを行う際は人間の活動の影響から遠い場所を選ぶ傾向がある。

 一個体当たりの行動範囲は最大100km²を超える事もあるが個体差が大きい。行動圏サイズには性差がみられ、雌個体の行動圏は雄個体のそれと比較して小さい場合が多い。また、個体ごとの行動圏は重複し、排他性は弱いものと考えられる。

[編集] 食性

食性は植物食傾向の強い雑食で、春はブナなどの新芽を、夏は主にアリハチなどの昆虫類アザミなどの草本類、ウワミズザクラなどの液果類、秋は主にドングリクリなどの堅果類やアケビヤマブドウなどの漿果類を食べる。

[編集] 繁殖形態

繁殖形態は胎生で、メスは2-3年に一度、冬に1-3頭(多くは2頭)の幼獣を産む。ツキノワグマは着床遅延と呼ばれる妊娠メカニズムを持つ。初夏に受精した卵子はある段階で成長を停止し、冬眠前に母体の栄養状態が良い場合は着床し成長するが栄養状態が悪い場合は流産する。

[編集] 寿命

飼育環境下では30歳を超えた記録がある。また、野生では28歳での捕獲記録がある。 しかし、近年捕獲されるものでは最高でも6~7歳程度となっており、駆除圧・狩猟圧が高い事が原因ではないかといわれている。

[編集] 樹皮剥ぎ

ツキノワグマには、樹皮を根元から2-3mにわたり剥ぎ取り縦方向に爪痕や歯痕を残す、樹皮剥ぎ(クマ剥ぎ)という習性がある。

樹皮剥ぎは、主に5月から7月頃に行われる。樹皮剥ぎの理由はよく分かっておらず、樹液による栄養補給、餌であるニホンミツバチの巣となる樹洞の形成の為、縄張りのマーキング、繁殖行動のためのメスの誘引などの説がある。

樹皮を剥ぎ取られた樹木は被害面から腐朽菌が侵入して材としての価値が損なわれる他、全周を剥皮された場合枯死するためツキノワグマによる樹皮剥ぎは林業上の大きな問題の1つとなっている。樹皮剥ぎの被害は、従来は西日本の太平洋側が中心といわれてきたが、近年では西日本の日本海側や東北地方でも深刻なことが確認されている。 参考 - ツキノワグマによる林木剥皮被害(森林総合研究所関西支所年報 第38号)

また、未だ多数の支持を得るには至ってはいないが、多く植えられたスギの木を、森の生態復元のために減らそうとしている[要出典]、冬眠穴になる樹洞を形成する為に行っている、などという説もある。

[編集] 人間との関係

[編集] 日本における本種と人間の関係

上記の樹皮剥ぎをスギヒノキ等造成林で行うことによって発生する林業被害や果樹に登りその実を食べる、農作物を食い荒らす、などによって発生する農業被害が存在する。また個体そのものに遭遇し危害を加えられるケースもある。そのため日本では本種は危険動物として認識されている。出没は森林内はもとより、森林と人間の居住エリアとの境界付近で、出会い頭であることが多い。こうした場所に行くときは、聴覚が鋭いクマの特性を利用して、よく鳴る笛や鈴を必ず携行するなど、人間の存在をクマに知らせることが重要である[1]。また、クマは背中を見せて逃げるものを追う習性があるため、出会ってしまったときは、静かに後ずさりすべきである。 なお、熊にあったときに死んだふりをするというのは、イソップの「熊と旅人」の話の一部であり、自殺行為である。

近年でのクマの異常出没の原因、要因として、 短期的(直接・至近)要因では、堅果類の大凶作、ナラ枯れ等によるナラ枯損面積の拡大が挙げられる。 また、長期的背景として、生息数の回復・増加(?)、奥山林の変化、拡大造林地の成熟と生息地シフト、里山地域の放棄と生息変化、誘引要因の増加(カキなど放置果樹、果樹の大量放棄、残飯、ゴミ)、新世代グマの登場などが挙げられる。

行政からは廃棄果樹、ゴミなどの撤去を強く指導しているほか、カキなどの誘引果樹の早期除去、追い払い体制の整備(煙火弾、轟音弾)、警戒と捕獲体制の整備(ワナ、駆除隊)が今後の行政の課題となっている。中期的対応課題としては、ハザードマップの作成と警戒地区の指定、ベアドッグの訓練と解禁(地区、期間限定の放し飼い)、里山の整備、回廊状構造の整備が挙げられる。

また、進入防止用の電気牧柵の設置や樹皮剥ぎ防止用資材の設置といった非致死的防除手法が導入されるケースもあるが、こう言った非致死的防除手法は設置や維持の手間がかかる事、導入のコストが高いなどの理由もあって普及は進んでいない。

現在のところ、捕獲しても9割は殺処分されており一部の地域では絶滅が危惧されてきている。日本国内における生息数は、2004年および2006年の堅果類の大凶作に端を発する大量捕殺以前は10,000頭前後と推定されていた。しかし最近では、平均生息密度が1平方km当たり1頭以下と極めて低い事などの理由もあり正確な頭数の推定は困難である。個体数の推定には区画法、ラインセンサス法、ヘアートラップ法などが用いられている。

[編集] 参考文献

  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、68項
  • 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、52項
  • ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)によるクマハギの発生原因の検討 Analysis of Causes of Bark Stripping by the Japanese Black Bear (Ursus thibetanus japonicus)、哺乳類科学 Vol.42, No.1 (20020630) pp. 35-43
  • 『クマは警告する』、ほおずき書籍、1999年、282項

[編集] 脚注

  1. ^ 但し、一度人間を襲ってその味を覚え、かつ人間の無防備さを学習した個体が存在する場合、却って熊に人間の位置を知らせてしまう危険があり、これがあらゆる状況において有効ではないことに留意する必要がある。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年10月29日 (木) 04:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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