ツーリング (オートバイ)

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曖昧さ回避
この項目では、オートバイのツーリングについて説明しています。自転車のツーリングについては「自転車旅行」、「ツーリング (自転車競技)」をご覧ください。

ツーリング(touring)とは、オートバイで風光明媚な海岸線やカーブの多い山道などを走行し、運転や移動そのものを楽しむ周遊旅行を指す。四輪車(自動車)で行われる同様の行為は、ドライブ (drive) と呼ばれる。通勤や通学の単なる移動は、ツーリングとは区別される。

目次

[編集] 概要

日本国内には観光地や景勝地、またオートバイで走るという行為そのものを楽しむのに適した山岳地や海岸沿いなど変化に富んだ道路等が数多く存在することから、全国各地でツーリングを楽しむライダーの姿が見られる。

また、かつては難しいとされた海外ツーリングについても、業者による通訳などのサポートが付いた東南アジアモンゴルアメリカオーストラリア等でのツーリング企画により、簡易なものになりつつある。

[編集] 実施形態による呼び方の違い

ツーリングには様々な実施の形態があり、下記の呼び方がツーリング愛好家たちの間で使用されている。

距離や日程による呼び方の違い
日帰りもしくは半日程度で行われる比較的短距離のツーリングをショートツーリングプチツーリングあるいは日帰りツーリングなどと呼び、1泊かそれ以上の宿泊が伴なう比較的長距離のツーリングをロングツーリングと呼ばれている。また、キャンプを宿泊手段とする場合キャンプツーリングと称することがある。
通行する道路や目的地による呼び方の違い
高速道路を利用したツーリングを高速ツーリングと呼ばれることがある。また、林道そのものを目的地としたりこれを走破するのを目的としたツーリングを林道ツーリングと呼ばれていることがある。
参加人数などによる呼び方の違い
複数のライダーが集団でツーリングを行なうことをグループツーリングマスツーリングと呼ばれているが、何人以上からそう呼ばれているのかは明確ではない。対して、単数(1人)のライダーで行なうツーリングをソロツーリングと呼ばれている。また、一台のオートバイに二人乗りで行なうツーリングをタンデムツーリングと呼ばれている。なおタンデムツーリングは、以前は日本の高速道路がオートバイでの二人乗り通行を一律禁止していたせいもあってあまり一般的でなかったが、道路交通法の改正により2005年4月1日からほとんどの高速道路で二人乗りが条件付きで解禁となった為に[1]高速道路を使った長距離タンデムツーリングが可能になり、タンデムツーリングを実施する者も増加している。

[編集] 各地の傾向

[編集] 北海道

北海道は、日本離れした広大な風景の中を伸びる長大な道路構成、信号機や渋滞の少なさ、冷涼で湿度の低い夏の気候、現地で得られる味覚、安価な宿泊施設(無料ないしは低額のキャンプ場、ライダーハウスユースホステルなど)の様々な要素に加え、国内最北端で海に隔てられた場所という中々にして訪れにくい地理的条件などがプレミアム性として加味され、日本国内の多くのライダーにとって憧れのツーリング地域となっているようである。このようなライダーの要求に応える形で、1986年から一時期、上野駅大阪駅から北海道の玄関口である函館駅に向けて、オートバイとライダーを一緒に輸送する列車「モトとレール・MOTOトレイン」が運行されたことがあった。

しかし、かつては夏休みを利用して北海道に渡っていたライダーの大半を占めていた若年層(主に大学生などの学生)のバイク離れや、他の土地へ目を向けるライダーが増えた事もあり、1990年代前半をピークとして訪れるライダーの数は減少傾向にある。先の「モトとレール・MOTOトレイン」も、1998年の夏季をもって運行を中止している。2008年現在、ライダーと車両が共に渡道する手段として、旅客フェリー以外に全日空による航空便輸送(商品名「スカイツーリング」)がある。

かつて、北海道ツーリングライダーが「ミツバチ族」と呼ばれていた1970年代1980年代の頃から、荷物満載で道内を駆け巡るライダーの姿は北海道の短い夏を彩る風物詩となっており、「オートバイは邪魔者」という認識がまだ一部で強く残る日本国内の他地域と比較すると、北海道民はライダーに対し大らか、かつ歓迎ムードも高いようである。

また、大手企業により北海道ツーリングのキャンペーンが行われており、ホクレン農業協同組合連合会(正確にはホクレン油機サービス)や本田技研工業により、夏季には毎年「セーフティーサマー北海道」が展開されている。その一環として、ホクレンのガソリンスタンドでは同キャンペーンに賛同する署名を行うことで、「ホクレンフラッグ」と呼ばれる小旗が2007年まで無料配布されていた。

北海道は本州以南と比較して、ツーリングを行う上で特に注意すべき点が幾つか挙げられる。真夏の日中でも頻繁に20度を大きく下回るほどの冷涼な気候や、長大な都市間距離、道路上を横断するエゾシカなどの大型動物との衝突事故の危険性や林道内でのヒグマとの遭遇の危険性などである。

以下に、オートバイでのツーリングという観点にて北海道各地域の特徴を述べる。

道南
昔から北海道と本州を結ぶフェリー航路の寄港地は、そのほとんどが道南とその周辺地域に偏っており、ライダーにとっての道南は「北海道の玄関口」という認識は高いようである。道南地域の地形や景勝、気候や風土は、その地理的条件や歴史から本州に酷似しており、一般的に認知されている広大な北海道のイメージを求めて渡道するライダーが多数を占める中で、道南を目的地として訪れるライダーは少ないようである。90年代に湧き上がった競馬ブームに伴って、引退した名馬に会う為にライダーが集中した時期があった。
道央
北海道の人口の8割ほどが集積している道内最大の人口密集地帯であり、北海道の他の地域と比較しても「都市部」という印象が強い。道央内の西部は札幌とその周辺の千歳恵庭などのベッドタウンや、苫小牧室蘭といった工業港湾都市が集積しており、特にその印象が強い。翻って道央内の東部は、富良野美瑛などの日高山脈西麗の丘陵地を耕地開拓した起伏ある直線路や、パッチワーク様の雄大な畑作地帯などの風景も多く見られる。
道東
手つかずの自然が比較的残存しており、多くの国立公園や国定公園、そして世界自然遺産知床ラムサール条約指定湿地の釧路湿原などの有名景勝地や観光地が数多い。人口希薄地帯であり、郊外にほとんど信号や交差点や住宅地が無く、ライダーにとっては非常に走りやすいようである。
道東内西部の十勝地方は、広大な平野部を利用した畑作地帯を貫く人工的かつ計画的に区分けされた見通しの良い直線路が多く、道東内東部は山がちで阿寒や知床といった山岳地帯に抱かれた道路や、起伏のある広大な丘陵地に作られた酪農地帯の中を貫く直線路が多いようである。沿岸部には小さな漁港が点在する。
摩周湖阿寒湖屈斜路湖知床半島納沙布岬などの数多くの一般的定番観光地に加えて、キャンプ場(開陽台など)、温泉(熊の湯など)、ワインディングロード(美幌峠など)、直線路(北19号など)、グルメ(海産物など)、珍味(トド肉など)といった要素が数多く存在する。
道北
道東と並び日本有数の人口希薄地帯となっていることや、宗谷丘陵に代表されるような周氷河地形によって緩やかな丘陵帯が地形の大半を占めている。前述の地形的特長により、やや変化に乏しい地域・道路構成となっているが、日本の最北端である宗谷岬などを擁している。
何もない広大なサロベツ原野と日本海との間をただひたすらに真っ直ぐ最北の地へ向かう日本海オロロンラインは、ライダーに非常に人気が高いようである(日本海オロロンラインは、正確には石狩〜天塩間の国道231号・国道232号の愛称であるが、広義に稚内までを指す場合もあり、天塩〜稚内間の北海道道106号稚内天塩線も含めてこの名称で呼ぶことがある)。また、利尻島礼文島などの離島に渡るライダーも多く見られる。
最近では、風通しのよい丘陵地を有効利用した風力発電施設が数多く道路脇に点在する。

[編集] 東北地方

かつては北海道へ渡る長距離フェリーなどが押さえられなかったライダーが自走する際の経由地としての認識が多かったが、各地に点在する景勝地や数多くの温泉の存在が認識された事もあって、最初から東北を目指すツーリングライダーも増加しているようである。

アクセスの核となるのは、東北地方のほぼ中心を貫く東北自動車道である。縦(南北)に長い地方である為に、北海道と同様に全域を短期で網羅するのは困難である。よって、東北自動車道とそれに接続される高速道路網を効率良く利用するライダーが多いようである。

[編集] 関東地方

首都圏在住のライダーにとっては、ほぼ全方角にツーリング地が点在している。代表的な目的地としては、群馬県榛名山赤城山栃木県日光山東京都奥多摩埼玉県秩父地方千葉県房総半島神奈川県静岡県にまたがる箱根山周辺や伊豆半島、などが挙げられる。

また首都圏からは東名高速道路中央自動車道関越自動車道東北自動車道などの主要高速道路網や、それらを結ぶ首都高速道路首都圏中央連絡自動車道北関東自動車道などが縦横に伸びている為に、これらを効率良く利用するツーリングライダーも多いようである。

また、伊豆諸島の三宅島では、噴火災害の復興策の一環として観光客としてのライダーを誘致するため、2007年からチャレンジ三宅島モーターサイクルフェスティバルが開催されている。

[編集] 中部地方

甲信地方は、中京圏首都圏などの大都市圏からのアクセスや、観光のための設備(観光用道路や飲食・宿泊施設など)の条件でメリットが多く、長野県を中心にライダーに人気が高いようである。

[編集] 関西地方

関西地方は京都奈良等の日本有数の観光スポットが揃っており、長期に渡って観光を楽しめる。また各名所には駐車場が完備されている場合が多い為、古都巡りに関してはオートバイの利点が生きる。兵庫方面も景勝地や有名な有馬温泉が存在し、ツーリングスポットとしての人気は高い。

[編集] 四国地方

四国地方は、東京や大阪、神戸などとを結ぶフェリーを使って簡単に上陸出来る上、比較的短期間で一周出来ることから、ツーリングスポットとして人気が高いようである。また、道路が海沿いを走ることが多く、名所や旧跡、讃岐うどんをはじめとする郷土料理などが多いことから、ただ走るだけではなく観光的要素も多く含まれた地域であると言えよう。また四国八十八箇所巡りを目的としたツーリングを行うものもいる。

[編集] 中国地方

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中国地方は九州・四国と比べ、豪快なワィンディングに恵まれていないものの、 瀬戸内海の島々を巡るルート、日本海の雄大な風景を楽しむ日本海ルートなど 様々な面が楽しめる。 もちろん、海だけではなく中国山地沿いには山並みを楽しむルートも多い。 比較的、道の駅の整備も進んでいるため、ツーリング中の休憩に利用しやすいポイントが多い。

[編集] 九州地方

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 九州地方は元来、景勝地や温泉等の観光地が多く、ツーリング好適地として海岸線では西海国立公園及び雲仙天草国立公園並びに玄海国定公園、日豊海岸国定公園及び日南海岸国定公園、また、山間地では阿蘇くじゅう国立公園及び霧島屋久国立公園並びに耶馬日田英彦山国定公園等がある。  特に阿蘇くじゅう国立公園内にある通称「やまなみハイウェー」や阿蘇外輪山周辺は、九州ツーリングのメッカと言っても過言ではないほどに休日は、九州各地のみならず本州方面からのツーリング客でにぎわっている。  そのほか、福岡県北部の海岸線や福岡市東区の海の中道、福岡県西北部の糸島半島や佐賀県北部の唐津市や松浦半島は、弓なりの長大な砂浜海岸と松原が多く、人口密集地である福岡市や北九州市に近いこともあって、両市からのライダーの手近なコースともなっている。  また、国道3号線と10号線を利用した九州一周コースは、観光を省略すれば一泊二日の簡便なコースである。このコースに大分県の国東半島、鹿児島県の大隅半島や薩摩半島、長崎県島原市からフェリーで熊本市へ渡り、天草五橋を経て天草市本渡へ、さらに同市牛深から鹿児島県の長島へのフェリーを利用する天草縦断コース、佐賀県と長崎県を巡るコース等を加えれば、二泊三日から三泊四日のさまざまな変化に富んだツーリングが楽しめる。  このほか、北九州市から福岡市、熊本市、阿蘇市、延岡市、宮崎市を経由し、鹿児島市までの九州S字コース等も楽しめる。

[編集] 沖縄地方

沖縄県でのツーリングは、離島かつ本州から遠方であるという地理的条件から、自分のバイクのみをフェリーで輸送、または現地でバイクをレンタルするケースが見られる。

[編集] 日本国外

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[編集] ツーリングにおけるオートバイのジャンル別特徴

使用目的によって向き不向きはあるが、基本的にどのジャンルの車種でもツーリングは可能である。それぞれのユーザーのスタイルに合わせて、各自が工夫している場合が多い。ここではそれぞれのジャンルについて、ツーリング用途に対する特徴や傾向などを述べる。

ツアラー
その名の通り、快適なツーリングを楽しむことを目的に開発された車種を指すジャンルである。高速走行時に空気抵抗によるライダーの疲労を軽減させるための大型の風防(カウル)を持ち、走行安定性や荷物の積載性をも考慮した大きめの車体、乗りやすさ重視の乗車姿勢やタンデムライダーのための大型タンデムシートやタンデム用グリップ、積荷の積載を考慮した使い勝手の良い荷掛けフックの装備などを持つことが多い。車種によっては、販売時から標準装備として大型パニアケース(荷物入れ)、運転者を過度の緊張から遠ざけるABSトラクションコントロールシステムを装着されているものも存在する。また、基本的にはツアラーの車体構成を持ちながら、スポーツライディングも可能な乗車姿勢や動力性能とした車種も存在し、そのような車種の中には優れた空力特性や高出力のエンジンも相まって、時速300km近い最高速性能を持つものも存在する。オートバイの使用目的が長距離のツーリングを主とするライダーに人気が高い車種である。
スーパースポーツ(レーサーレプリカ)
「(舗装路を)速く走ること」を目的に、加速や旋回そして高速走行といった運動性能を追求し、レースでの技術を還元して開発された車種のジャンルである。そもそもレースやサーキット走行を考慮して開発されたような車種が多く、近年のこのジャンルの車種は時速300kmに迫る最高速性能を持つものも多い。だがその性能はどちらかといえば短時間や短距離を速く走るためのものであり、振動や走行安定性の面ではツアラーほど快適ではない。ツアラーと同様にカウルを装備しているが、ツアラーのそれと比べると小さめで、高速走行時はライダーが深く伏せなければ高い防風効果は得られないことが多い。乗車姿勢は運動性能を引き出すために極端な前傾姿勢であり、長距離や長時間の走行では疲れやすい。また高い運動性能確保のために徹底して軽量化および小型化した造りもあって、タンデムシートは小さいか元々設定されず、荷掛けフックもないことが多いために荷物の積載性もお世辞にも良いとはいえない。このような短距離ランナー的な性能を持つこのジャンルの車種をツーリングに使用した場合には短所となる面も多いが、ひとたび曲がりくねった山岳路等に入ればその高い運動性能を武器にライダーに爽快感を提供する。ツーリングにおいてはワンポイント的な長所であるが、初めからこのような性格であることを充分に承知したライダーがツーリングに使用している。
ネイキッド
オーソドックスな外観や装備を持つ車種が多いジャンルである。カウルの付いたツアラーやスーパースポーツと対比して(裸の意の)「ネイキッド」と呼ばれているが、近年では極小型のカウル(ビキニカウル)が付く車種もこのジャンルに含める傾向がある。オートバイとしての普遍的な外観や装備、スーパースポーツほどではないがツアラー等に比べるとそこそこ軽量で扱いやすい大きさであることの多い車体などから、初心者から熟練者まで多くのライダーに選ばれている。他のジャンルに比べると突出した部分が少なく中庸的な性格であるが、それ故に様々な場面をそれなりにこなせる汎用性を持っているともいえる。あまり前傾しておらず比較的楽な乗車姿勢であり、シートも比較的タンデムや荷物の積載をしやすく、「キャリア」と呼ばれる積載量拡張用の荷台やパニアケースで積載能力を拡張すればツアラーに似通った高い積載性となることなども、ツーリング用オートバイとして用いられることが多い理由である。しかしカウルが無いか有っても極小型のために、長時間の高速走行では走行風により疲れやすいという短所もある。近年ではこの走行風による疲労を軽減するために、ハンドル付近から上半身のみを防風するアッパーカウルを装備した「ハーフカウルタイプ」ともいうべき派生車種も増えてきている。
クルーザー
日本国内では「アメリカン」と呼ばれることもある、ハーレーダビットソン社製オートバイに代表される外観を持った車種のジャンルである。映画『イージー・ライダー』等の影響から旅が似合うオートバイという印象があるが、本来はアメリカのような広く長い直進路を巡航(クルージング)するのに向いた性格であるために、日本のような狭く曲がりくねった道が多い道路状況では必ずしも好適とはいえない面もある。基本的には乗車姿勢が楽なために長時間や長距離でも疲れにくいが、チョッパーのようなあまり極端な乗車姿勢のものになると逆にそれほど快適ではない。前後に長い車体と低めの車高により直進安定性は高いが、積極的な運転操作にはあまり向かない乗車姿勢と重めの車重により小回り等は苦手なことが多い。また、エンジン出力が中低速域を重視した特性なものが多く、長時間の高速走行もそれほど得意という訳ではない。ただし荷物に関しては、サドルバッグやキャリア等を用いればかなり高い積載性を発揮し、加えて低い車体からくる低重心によって積荷による操縦安定性の変化が少ないという長所がある。こういった性格から、ゆったりと旅を楽しむスタイルが似合っている車種だといえる。
デュアルパーパス
「オフロード」と呼ばれることもある、未舗装路(オフロード)の走行を考慮した装備や構造を持つ車種のジャンルである。このジャンルの車種でツーリングに出掛けるライダーの多くは、林道そのものを目的地としたり、そこを走破することを目的としてツーリングを行なっている場合が多い。交通量の多い舗装道路から離れ、未舗装の林道で山懐深く入り込み、オンロード用オートバイでは辿り着くことのできない大自然を満喫するのである。また、土や砂利、泥地や岩場など豊かに表情を変える林道自体を走破するスポーツ性もこのジャンルの醍醐味の一つである。ただし、このジャンルに属する多くの車種は未舗装路での走行能力を主眼にしているために、高速道路などでの長時間の高速走行では快適性が劣ったり、軽量な車体と高い車高が裏目となり強風に弱いといった、短所もある。また、細身のシートや小柄な車体のせいで大量の荷物を積載するのは困難な場合も多く、それに加えて、前述の如く荒れた未舗装路を走破する際には、邪魔な重量物ともなり得る荷物の積載はますます困難となる。そのために、荷物の多くなりがちな長距離日程の場合には、キャリアを装備して積載能力を拡張したり、サイドバッグ等を用いて積荷の低重心化をはかったりと、工夫を凝らすことが多い。
なお、デュアルパーパス車のなかでも大型大排気量のものは、オフロードの走破性はやや落ちるものの、楽な運転姿勢、大柄な車体からくる積載性などツアラーに似通った特性を備えており、大型のカウルを装備した車種であれば高速道路の巡航もあまり苦にしない。そのため、シート座面の高さ等に運転者が対応できれば、舗装路のみを使うツーリングにも高い順応性をもつ。
大型スクーター(ビッグスクーター)
ここでいう大型スクーターとは、主に250cc程度かそれ以上の排気量を持つものを指す。1990年代後半からの大型スクーターブームは若年層のみならず中高年のライダーにも波及し、ツーリングに使用されているのをよく見かけるようになった。これは、ほぼすべての車種がオートマチックトランスミッションを採用しており変速やクラッチの操作が必要ないために運転者の負担が少なく、楽な乗車姿勢やカウルの防風効果により長時間や長距離の運転でも疲れにくいことも影響している。またシート下に大容量の荷室を持つ車種が多く、1泊や2泊程度の荷物であれば別途バッグ等を車両に装着せずに収納でき、大型のシートによりタンデムツーリングも容易であることも大きい。ツーリングにおいてこのような長所を持った大型スクーターは、高速道路の二人乗り禁止規制解除も追い風となり、多くのカップルや夫婦でのタンデムツーリングに使用されるようになり、ツーリングの新しいスタイルを形成しつつある。
小排気量車(小型スクーターを含む)
ここでいう小排気量車とは、主に排気量50cc以下の原動機付自転車や125cc以下の小型自動二輪車といった、高速道路を通行できない区分の車種を指す。このジャンルの車種は高速道路が利用できず排気量も小さいために、長距離を走るには適しておらずツーリング用途には本来あまり向いていない。しかし、非力なエンジンや小さな車体で走ることが独特の魅力になっていると、敢えてこのジャンルの車種を選ぶ愛好者が少数派ながら存在する。そもそもメーカーも、数十kgにも及ぶような荷物を載せて数百kmを超える長距離を一気に走り切るような状況を想定して開発していない車種がほとんどなので、長距離ツーリングに用いるにはそれなりの工夫が必要であるが、まったく不可能という訳ではない。むしろ、その旅路の苦難やそれを乗り越える創意工夫こそが、小排気量車での長距離ツーリングを嗜好する多くのライダーにとっての楽しみであるとも言える。また、スーパーカブなどの実用車は、速度こそ出ないものの、もともと大量の荷物を積んで長時間乗るのに適しており、燃費も極めて良く、信頼性も高い上におよそ国内の市街ならどこでも修理や消耗品の交換が可能であることから、できるだけ費用を節約しつつ各地を長期間巡ろうとする旅行の手段として選ばれることがある。

[編集] 装備

ツーリングに必要な装備は距離、宿泊の有無などにより異なる。状況に応じて最低限必要な装備を追加する。 服装は疲労軽減のため重ね着できるようにしておき、暑い、寒いのを我慢して走る状況を作らないこと。

日帰り
  • 雨具 - ゴアテックス等の防水透湿素材が蒸れなくて良いが、一般的なアウトドア用の耐水圧が低い雨具では、高速走行時に雨粒が当たって生じる高い水圧に耐えられない場合があるため、オートバイ用に製作されたものが望ましい。風でばたつくとそこから破れる場合もあるが、防寒のために下に着込む場合があるときはワンサイズ大きめを買う。ばたつきはベルトで縛れるタイプが良い。
  • バッグ - ディパック、タンクバック、ウエストバッグなど。オートバイから離れる時もって歩けるタイプ。
  • 地図 - ツーリングマップルなど、ライダー向けの地図帳が多数出版されている。
連泊
  • 着替え、防寒具。
  • 洗面道具。
  • キャッシュカード・クレジットカード、テレフォンカード、保険証など。
  • ファーストエイド、常備薬、筋肉痛対策の湿布、日焼け止めなど。
  • バッグ - 防水のツーリング用バッグが良いが一般的なスポーツバッグでもかまわない。通常リアシートに固定することになるが、必ずショックコード(ゴムひも)を使用する。伸縮性の無いタイベルトなどで固定すると運転による振動でバッグが次第に小さくなるため緩んでしまう。防水でないバッグは雨天時はビニール袋で包む。長期のツーリングではディパックなど背負うバッグは疲労の元となるので避ける。貴重品を入れるバッグは持ち歩けるように別に用意する。振り分け式のナイロン製サイドバッグはマフラーにあたって溶ける場合があるのでマフラー位置が高いバイクではヒートプロテクタを取り付けるなど工夫が必要である。
  • 工具 - 最低限必要なツールはチェーンオイルと軍手。300kmから500kmごと、または雨天走行後に注油したい。チェーンオイルはスプレー式で良い。ほとんどの場合車載工具で応急処置は可能であるが、転倒などに備えガムテープ、針金もあると良い。修理、パンク、タイヤの空気圧調整などはガソリンスタンドで行える。タイヤに異物が刺さっているのを発見したら抜かないでそのままガソリンスタンドに空気が抜けきる前に入る。チューブ式のタイヤの場合はガソリンスタンドでは修理できない場合もあるためパンク修理キットの携行も検討する。
  • ワイヤー錠 - オートバイから離れる時のことを考えてバッグやヘルメットなどまとめてつなげて固定できる長めのものが良い。
野宿を伴う場合
  • 寝袋、グランドマットまたはエアーマット、シュラフカバー。虫除けまたは蚊取り線香など。
  • 懐中電灯
キャンプを行う場合
  • テント - 宿泊人数分プラス1~2人分の荷物用スペースを確保するとよい。
  • ランタン - 電池式またはガス式がコンパクトでよい。
  • ライダーブーツで旅する場合はサンダル等普段履き用の履物も用意する。
  • トイレットペーパー - 管理の行き届いていないキャンプ場では、使い切られたまま補充されていないことがある。
自炊を行う場合。
  • コンロ - ランタンが燃料式の場合、共用できるよう揃えるとよい。
  • コッヘル、ナイフまたは小型の包丁。調味料(旅行用の小パックなど)。
  • ライター
  • 飲料水用ポリタンク - 1から2リットルの容量を持つミネラルウオーターのペットボトルでも代用できる。
あると便利なもの。
  • サングラス - 夜間や夕刻走ることも考えてスモークシールドは避け、サングラスで光量調整するのが良い。高地高原を走る場合は紫外線が強いため、裸眼だと眼に炎症(いわゆる雪目)を起こす場合がある。
  • ラジオ又は携帯用テレビ 天気予報、ニュース、災害時の情報収集等のため。
  • ビニール袋、レジ袋など。
  • 折り畳み傘 キャンプ中に降雨があった場合、テントの外に出るのにいちいち雨具を着ずに済む。
  • GPSナビゲーション - オートバイでの使用を考えて降雨や振動に考慮した小型の物が市販されている。限られた日程で効率よく目的地を回りたい場合に有用である。(これは同様の機能を持った携帯電話でも代用できる。)また、後で楽しむために移動軌跡を記録する目的で使用されることもある。なお、走行中に画面を注視することは事故防止の観点から禁じられている。
  • 無線機 - マスツーリング時、給油や休憩あるいはトラブル等の連絡に便利である。特定小電力無線機のほか、アマチュア無線用機器が使われることもある。アマチュア無線用機器の場合、所定の免許が必要なほか、用途・通信相手等は免許の範囲内となるので注意が必要である。
  • 腕時計 - 雨天走行も考慮し、10BAR程度以上の防水性能を持ったものが望ましい。同様の理由で、革バンドよりもメタル・プラスチックバンドモデルの方が無難である。車種によっては、乗車時の手首の曲がり具合を阻害する可能性やグローブ内での圧迫が考えられるためケースは小さめ・薄めの方が良い場合がある。また、二輪特有の振動による破損は考慮すべきであり、高価な機械式は不向きである場合がある。バンドの長さ変更が容易な物は、グローブやウェアの上からの装着も可能となる。

これらの荷物はトラブルなどにより他の交通機関を使って帰らなければならない場合も考え、ヘルメットなども含め全部一人で一度に運べる量以内に調整することが望ましい。

[編集] トラブル対応

運行前の点検
一般に仕業点検、運行前点検といわれるもの。特に長距離・長時間のツーリングでは各部に掛かる負担が大きいので、必ず実施する。
ガス欠
山間部や高速道路ではガソリンスタンドが長距離間無い場合が多いので、ガソリン残量には常に注意する。自分のオートバイがガソリン満タンで走行できる距離、リザーブで走行できる距離を必ず把握しておくこと。
パンク
釘など異物が刺さっているのを発見した場合、チューブ入りタイヤは空気が抜けるのが早いのでその場で修理した方がよいが、チューブレスタイヤでまだ空気が抜けていなければ、タイヤに刺さった異物は抜かないでそのまま最寄りの修理のできる店までゆっくり自走できる。パンク修理キットとCO2ボンベ等の空気入れを用意しておくと対応しやすい。なお、液状物質をタイヤに注入する応急パンク修理剤やパンク予防剤も市販されているが、本修理が難しくなることがあるので、購入時に確認しておく。
オイル
長期間オイル交換をせず、潤滑性能が落ちているオイルを使用している場合ツーリングのような連続高負荷運転を行うと焼きつきを起こす場合もある。長期のツーリング前にはオイル交換しておくことが望ましい。また、単気筒のモデルではオイル消費が激しいモデルもあるので注意。2サイクルのバイクでは当然補給オイルも必要であるが、これは旅先のホームセンター等でも購入できる。
ライト切れ
ロービーム切れの場合はハイビームにし、ライトの下側をガムテープで覆ってハイビームをカットする。ネイキッドの場合はライトを下向きに調整する。ウインカーランプ、ブレーキランプ切れ等の場合は手信号で代用し早急に修理工場まで自走する。自分で交換できる場合は予備電球を用意しておくと安心である。
ヒューズ切れ
電気系統の故障・損傷が原因のヒューズ切れの場合、予備ヒューズに交換してもすぐ切れることが多い。原因となった故障箇所が分からないか対処できない場合は修理のできる販売店等に持ち込む。
車載コンピューターの故障や車両火災に発展するおそれがあるので、切れたヒューズの代わりに針金等を使わないこと。
バッテリー上がり
一般的には「押しがけ」でエンジンを始動して充電させるが、それができない車種もあるので、取扱説明書を参照する。バッテリーが故障や老朽化によって能力を失っている場合は新品交換する必要がある。
転倒
ブレーキ/クラッチレバー、ブレーキ/シフトペダルの曲がりなどは、メガネレンチなどをひっかけて曲げることである程度修正できる。ただしこれらがアルミ製部品の場合は無理に直そうとすると折れるので、修正はなんとか操作できる範囲にとどめる。レバー類は電球・ミラー等と違って現地で手に入らない場合もあるので、予備のレバーを持参するのもよい。
また、方向指示器等のレンズが割れた場合、放置すると電気系統に水が侵入するので、飛散した破片のうち大きなものを集め、レンズの形に組み立てて装着する。無色透明な防水テープを携行しておくとよい。
回転部品の焼きつき
長距離を一気に走ることにより回転軸の焼きつきが起こる場合もある。前後車輪のハブ軸などに触り、異常な高温になっていないかチェックを行う。
自走不可能な故障・破損
最寄りのオートバイ販売店へ搬入する必要がある。
国内では日本自動車連盟(JAF)や日本ロードサービス株式会社(JRS)がオートバイ対象のロードサービスを行っているし、いわゆる任意保険にもロードサービスを含む保険商品が存在する。また、特定メーカーのオーナーズクラブ等がメンバー向けにロードサービス会社と契約していることもある。
サービスの内容は会社又は契約によって異なるので、契約時によく検討する。
暖気、クールダウン
高速道路など連続高負荷運転を行う場合にはエンジン以外にも負荷がかかる。特にサービスエリアに寝泊りした場合など、再始動では十分な暖気が必要であるし、エンジン以外の回転部品は暖気が出来ないため、いきなり高速走行は行うべきではない。また、連続した高負荷運転後にすぐにエンジンをストップさせるのもエンジン寿命を縮める原因となるので、パーキングエリアの数キロ手前でスピードを落としてエンジンをクールダウンすることも必要である。
体力低下
ツーリングでは自分でも気が付かないうちに疲れがたまり様々な事故の元となるので必ず休みを取りながら移動すること。握力が低下してブレーキが握れなくなることによる追突事故も多い。
急激な気温、天候変化
旅先で防寒着や雨合羽が必要になった場合は作業服を販売するワークショップが通年で防寒着や雨合羽を販売しているので入手が可能である。格好を気にしないのであれば防水靴はゴム長靴が最も実用的である。荷物が防水で無い場合は大き目のポリ袋(ゴミ袋または漬物袋など)で荷物をまるごとくるんでから縛ると良い。防水グローブが無い場合は軍手をコンビニエンスストアで購入して代用する。いずれの場合も天候が回復するまで待つのが最善の対策であることを心得、無理をしない。
走行時間
一日にバイクがどれぐらいの距離を走れるかは個人の体力、バイクの性能などによって大きく異なるが、現実的にはツーリングでの平均速度は市街地でのゴー・ストップや休息時間等も入れて巡航速度の半分程度である。そのあたりを目安に走行時間の計画を立て、無理な計画を立てないこと。宿に間に合わないので飛ばさなければならないような状況を作らずに、遅れる場合は宿に連絡をいれて余裕を持って走行するよう心がける。

[編集] オートバイによるツーリングを扱った作品

映画
あの胸にもういちど(Girl on a Motorcycle)(1967年/イギリスフランス
イージー・ライダー(EASY RIDER)(1969年/アメリカ
ミー&ウィル(ME & WILL)(1998年/アメリカ)
モーターサイクル・ダイアリーズ(THE MOTORCYCLE DIARIES)(2003年/イギリス・アメリカ)
団塊ボーイズ(Wild Hogs)(2007年/アメリカ)
ドキュメンタリー
水曜どうでしょう 原付ベトナム縦断1800キロ(2002年/日本
Long Way Roundユアン・マクレガー大陸横断バイクの旅)(2004年/イギリス・アメリカ)
小説
彼のオートバイ・彼女の島 片岡義男1977年/日本)
キノの旅 時雨沢恵一2000年/日本)
漫画
左のオクロック 新谷かおる(1988年/日本)

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最終更新 2009年10月10日 (土) 23:27 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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