デスモドロミック

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デスモドロミック(Desmodromic)とは、4ストロークエンジンの給排気弁を強制開閉する機構である。この言葉は、ギリシャ語で管理や支配を意味する「デスモ(desmo)」と調整などを意味する「ドロモス(dromos)」を組み合わせた造語である。

[編集] 概要

1つのバルブにつき2つのカム・ロッカーアームを設け、バルブ押下とバルブ引上を分担させ、スプリングに頼ることなく機械的にバルブを開閉する機構である。古くは1930年代にメルセデス・ベンツレースに使用したという記録があり、市販車としては、ドゥカティオートバイが有名である。

利点は、バルブを開く際にバルブスプリングを押し縮める力が必要なスプリングバルブ方式に比べ、バルブ駆動の負荷抵抗(フリクションロス)が著しく少なくて済むこと、また、スプリングを収容するためのスペースが不要であるため、バルブステムが短くてすみ、結果としてシリンダーヘッド全体のサイズを小さくできることである。さらに、バルブ開閉の両方のタイミングを厳密に管理できるため、エンジンのセッティングが容易であり、バルブスプリングを使用しない関係で、高回転でのバルブサージング(フローティング)が発生せず、タイミングの追従性に優れる。

一方、欠点としては、部品点数がスプリングバルブ方式に比べて多いためコスト高となることや、バルブスプリングを使用しないことにより密閉力が弱く、頻繁にバルブクリアランスを調整する必要が生じる、などが挙げられる。

なお、バルブの密閉力の問題に関しては、バルブの密閉を補助する為に、閉じ側のロッカーアームに弱めのリターンスプリングを併用することで解決されている。ただし、一般的なバルブスプリング方式のエンジンよりも多い頻度でバルブクリアランスを調整する必要性はいまだに残っている。

[編集] 歴史

バルブの強制開閉というアイデア自体は20世紀の初め頃から様々なメーカーで様々な方式が試されてきたが、具体的な形での成功例は1954年メルセデス・ベンツが製作したF1用車両W196のエンジンが最初である。このエンジンは1955年に同社がレース活動を休止するまでの短い期間であったが、多くの成績を残した。

ドゥカティのデスモドロミック機構

その次にデスモドロミックが採用されたのはオートバイの世界で、それはドゥカティが開発した1956年125ccGP用レース車両だった。同社はその後1968年に量産車初のデスモドロミック採用のモデル「マークIIIデスモ」を誕生させた。 ドゥカティはその後もデスモドロミックの研究開発を続け、現在(2007年)では二輪と四輪の両方の世界で唯一量産車にデスモドロミックを採用するメーカーであり、デスモドロミックは同社の代名詞ともなっている。

自動車評論家の福野礼一郎によればスクーデリア・フェラーリ1990年フォーミュラ1用V12エンジンティーポ036が採用していたという。

最終更新 2009年11月18日 (水) 10:50 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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