デュアル・モード・ビークル

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デュアル・モード・ビークルDual Mode Vehicle , DMV)とは、

ここでは前者について記す。

デュアル・モード・ビークル第3次試作車(2008年10月、JR北海道苗穂工場・トヨタ製)
デュアル・モード・ビークル第1次試作車(2006年10月、JR北海道苗穂工場・日産・シビリアンベース)

目次

[編集] 概要

日本においては、利用の少ない路線のコストを削減するために北海道旅客鉄道(JR北海道)が日本除雪機製作所と共同開発している。同じコンセプトの車両はイギリス(シルバーティップ・デザイン社、ランカスター大学、ノーザンブリア大学などの共同開発)など数ヶ国で研究されているが、ここではJR北海道のものについて述べる。

外見や基本的な構造はほとんど普通のバスと同じである。気動車と同じくディーゼルエンジンを動力源として走行し、ゴムタイヤと金属車輪の2つを持つ。

道路走行時は金属車輪を持ち上げてゴムタイヤのみを路面に接する。

線路上を走行する際は、前輪ゴムタイヤの前部に格納された金属車輪(前部ガイド輪)をレール上に降ろして案内用とし、前輪ゴムタイヤを持ち上げて浮かせる。一方、後輪ゴムタイヤ後部の金属車輪(後部ガイド輪)をレール上に降ろして案内用とするが、後輪ゴムタイヤも駆動輪としてレール上面に接する。動力を後輪のゴムタイヤから直接レールに伝えることで軌道上を走行する。後輪ゴムタイヤは駆動軸上に左右それぞれ2本ずつ取り付けられており、内側のタイヤのみレールに接する。

道路走行から軌道走行に切り替える時は、車体をうまく線路上に誘導するため、地表に設置された専用のポインター(走行モード切り替え装置、モードインターチェンジ)が必要となる。この装置によってスムーズな切り替え作業が可能となり、約10秒間という短時間で走行モードを切り替えることができる。走行モード切り替え装置は左右のレールの外側に設置された2本のガイドウェイで構成される。車体前部と後部のガイドローラーをガイドウェイに沿わせて車体を前進させることで、車体をレール中心上に誘導する。但し、ガイドウェイとガイドローラーのみでは車体を完全にレール中心にセットすることが困難なため、この装置付近のみレールの幅(軌間)が約70mm広くなっている。これに伴い、車体側の金属車輪の踏面の幅も広めになっている。

前史ともいうべきアンヒビアン・バスでは、この走行モード切り替えに多大の手間を要したことから実用化が断念された経緯(後述)があり、この点には特に注意が払われている。1車両当たりの定員が少ないが、車両同士を連結可能として総括制御が可能なシステムとされ、輸送単位の小ささを補う。運行管理にはGPSが用いられる。最小限の設備投資で路線を拡張できるとして、地方ローカル線路面電車への導入が各地で検討されている。

乗り心地は、道路上走行時はバスと同じで、レール上走行時もやはり列車と同じである。レール上走行時は、列車特有の「ガタンゴトン」という音がするが、外見そのものがバスとそっくりなため、その様子はバスが線路の上を走っているように見える。

[編集] 車両試作および走行試験

発案者であり開発指揮を担当したJR北海道の副社長柿沼博彦は、本車両製作のきっかけを「2002年に幼稚園の送迎バスをみて、わずかな改造でそのまま線路上に乗せられるのではと考えた」と語る。詳細は外部リンクのインタビューを参照のこと。

2004年平成16年)にマイクロバス日産・シビリアン)を改造した定員34名の第1次試作車(愛称サラマンダー901)が完成し、日高本線で走行試験が行われた。翌2005年(平成17年)には2両を背中合わせに連結できる新型の第2次試作車(911, 912)が製造され、同年10月3日石北本線北見駅 - 西女満別駅 - 女満別空港間で実用化を前提とした走行試験が行われた。

2006年11月より、静岡県富士市がJR北海道より車両を借り入れ、岳南鉄道線でテスト走行を行っている。これは富士市制40周年記念事業でなされるものである。先に24日から26日までの3日間の夜間に走行試験が行われた。続いて2007年(平成19年)1月14日21日にデモンストレーション走行が行われ、岳南原田駅にモードインターチェンジが作られ、市場踏切との間で片道鉄道・片道道路の往復運転が行われた[1]

また毎年、苗穂工場公開の際にDMVの試乗も行っている。

[編集] 試験的営業運行

浜小清水駅のICおよび本線アプローチ線(右へ向かう)
浜小清水駅のICおよび本線アプローチ線(右へ向かう)
藻琴駅のIC。鉄道→道路のみのICは簡素(奥より至る)
藻琴駅のIC。鉄道→道路のみのICは簡素(奥より至る)

2007年度、2008年度は4月から11月まで、第2次試作車を使用して釧網本線浜小清水駅発着で試験的営業運行が行われ、浜小清水駅から藻琴駅まで鉄道を走行、藻琴駅から浜小清水駅は国道244号や藻琴湖、濤沸湖を周遊する道路走行を行う。運転日は土曜・日曜・祝日・長期休暇期間のみで1日3便運行する。2008年度は道路走行を担当する網走バスの回送を利用し、1便目は網走駅前より、3便目は網走駅前まで乗車できた。旅行商品という形のため、乗車には事前に申し込みが必要。

なお、DMV車両は鉄道車両としての車籍を有していなかったが、試験的営業運行を実施するために2007年3月15日付で車籍を与えられ、釧路運輸車両所に配置された。

2007年10月21日午後0時20分頃、浜小清水駅構内で試験的営業車両が軌道へ乗り入れて走り出した直後に脱線事故を起こしたが、乗員乗客に怪我人は出なかった。走行モード切り替えのための停止位置を示す標識がずれていたのが原因とされ、標識を正しい位置へ立て直した後に10月27日から試験的営業を再開した。

2009年度については、8月25日時点で試験的営業運行の実施は発表されていない。

[編集] トヨタの参入

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2008年洞爺湖サミットにあわせて、トヨタ自動車日野自動車の協力を得て製作された第3次試作車(920)が登場した。定員も増やされている。但し、鉄道車両としては前後の車輪の間隔が長いため走行安定性に難があり、車検を取得していないため公道を走ることもできない。

次いで、車体長を若干短くした車両(921)も登場している。

[編集] 前史 - アンヒビアン・バス

1962年昭和37年)、日本国有鉄道(国鉄)は赤字ローカル線活性化の切り札として、鉄軌道と道路の両方を走行することのできるバスの開発に着手した。これがアンヒビアン・バスである。アンヒビアン(amphibian)とは英語で両生類を意味する。

開発にあたっては、軌道走行用の車輪を車体に内蔵する方式と、別途用意された台車にバスの車体を装架する方式とが考えられたが、前者の方式では、構造が複雑になる上、内蔵する台車の重量が嵩み、特に道路走行時に自重の半分にも及ぶ死重を抱えることになることから、台車の着脱を行う後者の方式が選択された。

国鉄では、三菱日本重工業(→三菱重工業三菱自動車工業三菱ふそうトラック・バス)製R-480形シャーシを用いて試作車を製造し、043形と命名した。同車は、6月に鉄道開業90周年を記念して開催された「伸びゆく鉄道科学大博覧会」に出品された。

しかし、この043形は軌道に乗せるために専用のジャッキを必要とし、変速機からのプロペラシャフトブレーキ配管の接続を必要とするなど、軌道走行モードと道路走行モードの転換に多大の手間と時間を要したため、結局実用化されることはなかった[2]

[編集] DMVのメリット・デメリット

[編集] メリット

  • 新造コストが一般の鉄道車両より格段に低く抑えられる。また車体が小さく、重量が軽いため、メンテナンス代、燃料費、維持費が抑えられる。
  • 転車台なしに方向転換ができるため、単行でも運転台を車体の両方につける必要がない。
  • 線路上に土砂崩れ落石などの障害が発生した場合や、線路の定期的な保守作業が必要な場合なども、近くに道路さえあれば運休することなく迂回して目的地に向かうことが可能である。
  • 同様に近くに道路があれば、線路が単線であっても片方の車両を迂回させることで交換設備がなくても交換が可能である(ただし閉塞区間を設ける必要がある)。
  • バス側から見ると、道路を経由するバスを線路に迂回させることによって、渋滞に巻き込まれるのを防ぐことができる。
  • バス側からみると一般道路では最高速度は60km/hであるが、鉄道を走る場合はさらなる高速運転が可能である。
  • 道路の上を走る区間については線路のメンテナンス、維持費が不要である。また新たな線路を建設することなく路線を拡張できる。
  • 「複数のバス路線を走行するバスを特定の駅で連結し、以後は1つの列車として運行する」「特定の駅で列車の切り離しを行い、道路において複数のルートを設けて客を降ろす」等の運用で、需要に合わせたサービスの提供や、集客の効率化及び人件費の節約が可能になる。
  • 2両連結も技術的には可能。国土交通省の通達で認められていないが、安全性実験は行い実証済みである。

[編集] デメリット

  • 同程度の大きさのバスと比べ、価格が高い。
  • 鉄道車両からみると、道路上も走る場合には渋滞などの交通状況に左右され易い。
  • 道路から線路上に移る時には、専用のポインタが必要になる。
  • 列車と比べてエネルギー効率が悪い。またバスと比べても道路走行定員1人当りではエネルギー効率は良いとは言えない。道路走行時は鉄車輪が、レール走行時はタイヤが、それぞれデッドウエイトとなるためである。
  • 鉄道車両に比べて馬力が小さい。
  • 車体構造の違いによる耐衝撃性の低下。踏切事故や衝突事故での衝撃は従来鉄道車両以上と推測される。
  • 鉄道車両と自動車の2つの規制を受けるために、安全対策やシステム構築に無駄ができる可能性がある。
  • DMV1台を旅客運行するためには、現在の規則では鉄道上を走るための動力車操縦者免許を持つ者と、道路で旅客を運ぶのに必要な大型第二種運転免許を持つ者の計2名、もしくは両方の免許を持つ者1名が最低でも必要であり、人件費や人材確保の面で問題がある。ただし、将来的に改善される可能性はある。
  • 鉄道車両としての法定検査と自動車としての車検を二重に受ける必要がある。

また、試作車はマイクロバスを改造したもののため、以下のような問題があった。この中には後継の車両で解消できているものもある。

  • 乗降口が鉄道車両や路線バスの基準で必要とされる幅が確保されていない。このため試験運転では貸し切りバスの線路乗り入れという形をとっており、鉄道線での乗降や路線バスとしての使用が出来ない。ただし、管轄運輸局に基準緩和の申請をして認められると適用事項が緩和される。乗降口の拡幅は構造上難しく、また今後製造されるマイクロバスも路線バスとしての使用は予想されていない。路線バスに使われる一般の小型バスはエンジンを後部に置く関係上、DMVに改造できない。なお、従来はDMVのベースとなる車両がなかったが、トヨタと共同で車両を試作しており、今後はこのタイプのものがベースとなる可能性が高い。
  • ベースとなったマイクロバス自体の定員数が1両あたり28人しかなく、車両改造に伴う重量増加を補うために、バス(道路走行)モードで17人と定員が更に減らされており、一般の鉄道車両ほどの大量輸送に向いていなかった。現在では30人近くまで定員が増加しており、一般のマイクロバスと遜色がなくなっている。
  • 一般の鉄道車両と乗降口の高さが違い、既存ホームの改造または専用ホームの新設が必要になる。さらにドアも片方だけなので乗降所1ヶ所につき2つホームを設置する必要がある。
  • 車体の前部を持ち上げて走行するため、前輪に負荷がかかる。

[編集] 課題と法的整備

課題
北海道の厳冬期における安定運行の確保。2005年11月14日午後11時半ごろ、札沼線での試運転中に月形町石狩月形駅 - 豊ヶ岡駅間の踏切で、積もった雪に乗り上げて脱線し、12時間以上立ち往生したことがある。これは、DMVが一般の列車と比べて軽いことが原因とされる。JR北海道の鉄道車両には、長時間の立ち往生に備えてトイレの装備があるが、現在のDMVには無い。
燃料である軽油に課税される軽油取引税は、道路整備を目的とした目的税であるため、鉄道線路の走行に使用する場合には課税免除の対象になる。しかし道路走行時には課税対象であることから、課税/非課税の切り分け(燃料の管理)が課題になる。
法的整備
2007年の通常国会において、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案が成立した。この法律では、同一の車両(など)を用いて鉄道事業法による鉄道事業(など)と一般乗合旅客自動車運送事業の両方の運送サービスを提供する場合を「新地域旅客運送事業」として、DMVや水陸両用車につき、運賃・料金・各種認可届出などの整備を行おうとするものである。この法律によりDMVの法的位置付けがなされた[3]

[編集] DMVの導入を計画または検討中の都市・事業者所在地

[編集] その他

[編集] 脚注

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[編集] 外部リンクと参考文献

[編集] 関連項目

最終更新 2009年10月31日 (土) 16:47 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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