トラス (ISS)
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トラス(truss)とは、国際宇宙ステーション (ISS) の背骨にあたる基幹構造で、非与圧の物資、ラジエータ、太陽電池パネル、その他の機器が取り付けられている。
初期の宇宙ステーション「フリーダム計画」では、さまざまなトラスのデザインが考えられたが、それらは全て、打ち上げ後に宇宙飛行士が船外活動で組み立て・機器の取り付けを行なう桁として計画されていた。1991年にNASAは設計を見直して、最低限の取り付けで済むように、あらかじめ組み立て済みのより短い部材へと変更された。
目次 |
[編集] トラスの構成要素
[編集] Z1トラス
ISS最初のトラスはZ1トラスで、2000年10月の STS-92 で打ち上げら、若田宇宙飛行士のロボットアーム操作でユニティの上部に設置された。続く STS-97 で打ち上げられたP6トラスと太陽電池パドルの一時的な取り付け場所として使われていた。Z1トラスには、コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)4基、電気配線、Kuバンドの通信装置や、ISS に帯電する静電気を中和するための2基のプラズマ生成ユニット(PCU)などが装備されている。Z1トラスは与圧されていないが、共通結合機構を2ポートを備えている。ポートの1つは、ユニティの天頂ポートと接続されている。もう1つのポートは、与圧結合アダプタPMA-3を一時的に置くためだけに使われた機能を省いた簡易版である。2007年10月に、P6トラスが本来の設置場所であるP5トラスの隣に移され、現在はZ1トラスは他の要素を接続するためには使われていない。単に、CMGや通信装置やプラズマ生成ユニットが格納されているだけである。
[編集] S0トラス
S0トラスは、ISS の中心となる重要なトラスである。2002年4月の STS-110 でデスティニー実験モジュールの上に取り付けられた。S0トラスは、与圧モジュールに電力を送ったり、P1トラスやS1トラスから放熱を行なったりするのに使われている。S0トラスはISSとドッキングしているわけではなく、4基のMTS (Module to Truss Structure) ストラットで取り付けられている。 S0トラスには、カナダアーム2を載せたMBS/MTや宇宙飛行士をISS上の作業場所へ運搬するための台車も取り付けられている(これらはトラス上を移動できるが、S0トラスが通常の停止位置となる)。
[編集] P1,S1トラス
P1トラスとS1トラスは、S0トラスに付けられている。P1のPは左舷(port)、S1のSは右舷(starboard)を意味する。両トラスには、290kg(637lb)の無水アンモニアを冷媒とする排熱用のラジエータもそれぞれ3基ずつ装備されている。S1トラスは2002年10月のSTS-112で打ち上げられ、P1トラスは2002年11月のSTS-113で打ち上げられた。S1トラスとP1トラスの詳細設計とテストと建造は、カリフォルニア州ハンティントンビーチのマクドネル・ダグラス(現在のボーイング)で行なわれた。1996年から建造が開始され、最初のトラスが引き渡されたのは1999年である。
[編集] P2,S2トラス
元となったフリーダム計画では、ロケットスラスタが P2トラスとS2トラスに配置される計画になっていた。しかし、ISS ではロシアのモジュールに推進能力があるため、フリーダム計画でのリブースト機能は必要なくなった。そのため、P2/S2トラスはキャンセルされた[1]。
[編集] P3/P4トラス、S3/S4トラス
P3/P4トラスは、2006年9月9日にスペースシャトル・アトランティスのSTS-115ミッションで打ち上げられ、P1トラスに取り付けられた。P3/P4トラスには、太陽電池パドルが一組、ラジエータ、P3とP4を接続して太陽電池パドルを太陽に向ける太陽電池パドル回転機構がある。取り付けの時点では、電力は回転機構を通っておらず、P4の太陽電池パドルで発電した電力はP4だけで使われ、ステーションの他の部分には供給されていなかった。その後、2006年12月のSTS-116で電気配線を切り替えることにより、全体へ電力が供給されるようになった。 P3/P4トラスの鏡像であるS3/S4トラスは、スペースシャトルアトランティスによる STS-117 13A フライトミッションで、2007年6月11日にトラスに取り付けられた。
P3トラスとS3トラスの主なサブシステムとしては、トラス結合機構 (Segment-to-Segment Attach System : SSAS) 、太陽電池パドル回転機構 (Solar Alpha Rotary Joint : SARJ) 、曝露機器結合システム (Unpressurized Cargo Carrier Attach System : UCCAS) などがある。P3/S3トラスの主な機能としては、2つのUCCASプラットホームに取り付けられる機器への機械的な接続や電力・データ接続の提供、SARJ でパドルを回転させて太陽に向ける機能、モービル・トランスポータ (MT) が移動したり停止したりするための場所、である。P3トラスは六角形のアルミニウム構造体で、隔壁が4つと縦通材が6つある[2]。またS3トラスにはEXPRESS Logistics Carrierが取り付けられるようになっていて、最初のELCは2009年11月にSTS-129で打ち上げられる予定である。
P4トラスとS4トラスの太陽電池モジュール (Photovoltaic Module : PVM) の主なサブシステムとしては、太陽電池パドル (Solar Array Wing : SAW) が2枚、PVラジエータ、改良型トラス結合システム (Modified Rocketdyne Truss Attachment System : MRTAS) 、ベータ・ジンバル・アセンブリ (Beta Gimbal Assembly : BGA) 、などである。
[編集] P5,S5トラス
P5トラスとS5トラスは、P6トラスとS6トラスをそれぞれ接続するためのコネクタである。シャトルの貨物室の大きさにより、P3/P4トラス、S3/S4トラスの長さが制限されるため、P5トラスとS5トラスのような小さなコネクタでトラスを延長することが必要となる。P5トラスは STS-116 ミッションの最初の船外活動で2006年12月12日に取り付けられた。S5トラスは STS-118 ミッションで軌道に運ばれ2007年8月11日に取り付けられた。
[編集] P6,S6トラス
P6トラスは2番目に取り付けられたトラスである。ISS にとって重要な電力を巨大な太陽電池パドル (SAW) から供給できるため、P4トラスの SAW に先立って取り付けられた。STS-97 でZ1トラスに取り付けられ SAW を展開したが、P4/S4トラスの SAW の場所を確保するために STS-116 と STS-117 でP6トラスの SAW が半分ずつ折りたたまれた。STS-120 の 10A フライトでP6トラスをZ1トラスから取り外してP5トラスに取り付け、ラジエータパネルと SAW が再展開された。SAW (2B) は展開に成功したが、SAW (4B) は展開途中に破損を生じたため80%で展開を中止した。その後修復が行なわれ、現在は完全に展開している。後の組み立てミッション(順番が変わってSTS-119)では、S6トラスをS5トラスに取り付けて、これが4つ目で最後の太陽電池パドル・ラジエータとなる。
[編集] トラスのサブシステム
[編集] 太陽電池パドル
「:en:Electrical system of the International Space Station」も参照
現在 ISS では、米国製の巨大な太陽電池パドル (Solar Array Wings : SAW) 4基すべたがそろい、ISS の主なエネルギー源となっている。一組目はP6トラスにあり、2000年後半の STS-97 で打ち上げられZ1トラスに取り付けられていたが、2007年11月の STS-120 で最終的な取り付け位置であるP5トラスに移された。二組目は2006年9月の STS-115 で打ち上げ・取り付けられたが、2006年12月の STS-116 で電気配線を切り替えるまで発電は行なわれなかった。三組目は2007年6月の STS-117 で取り付けられた。最後の組は2009年3月、 STS-119 で取り付けられた。また、ロシア製の科学電力プラットフォーム (SPP) を経由してより多くの電力が供給されることになっていたが、これはキャンセルされた[2]。
各太陽電池パドルは、長さが34m(112フィート)、幅が12m(39フィート)あり、直流でほぼ32.8kWの発電能力がある[3]。それぞれ、展開用マストを間にして2つの太陽電池ブランケットに分かれている。各ブランケットには、16,400のシリコン太陽電池セルが200セルずつ82枚のパネルに分割されていて、各セルは面積が8cm²で4,100個のダイオードから構成されている[2]。
ブランケットのそれぞれの組は、宇宙へ運ぶのに場所を取らないようにアコーディオンのように折り畳まれている。軌道に着いてから、ブランケットの組の間にある展開用マストで元の大きさに広げる。最大電力を得られるよう、ベータ・ジンバル・アセンブリ (Beta Gimbal Assembly : BGA) と呼ばれるジンバルで太陽電池パドルが太陽に向けられる。
[編集] 太陽電池パドル回転機構
アルファ・ジョイントは、太陽電池パドルを太陽に向けるためのロータリー・ジョイントで、通常は周回ごとに360度回転している(が、Night Glider modeも参照)。太陽電池パドル回転機構 (Solar Alpha Rotary Joint : SARJ) の1基はP3トラスとP4トラスの間にあり、もう1基はS3トラスとS4トラスの間にある。これらのジョイントは、運用時には船外のトラスにある太陽電池パネルを太陽に向けるよう回転し続けている。各SARJは、直径が10フィート、重量が約2,500ポンドあり、ベアリング機構とサーボ制御システムで回転し続ける。左舷、右舷ともに、電力はすべて SARJ のユーティリティ・トランスファー・アセンブリ (Utility Transfer Assembly : UTA) を通る。回転部でバラバラにならないように、データと電力はロールリングで接続されている。SARJ は、ロッキード・マーティンとその関連会社で設計・製造・テストされた[2]。
[編集] 電力の調整と貯蔵
「:en:Electrical system of the International Space Station」も参照
直列シャントユニット (Sequential Shunt Unit : SSU) は、太陽電池に光が当たる期間に発生した電力を大まかに調整するよう設計されている。82本の電力線が別々に太陽電池パネルからSSUまで接続されている。各電力線からの出力を調整し、得られる総電力量を安定化させる。制御機器アセンブリ (Integrated Equipment Assembly : IEA) にあるコンピュータが安定化電圧の設定値を制御するが、通常は約140ボルトに設定されている。SSUには、あらゆる運転条件下で出力電圧が最大でもDC200V未満を保つように過電圧保護機能がある。この電力はマスト伸展・回転機構 (Bearing, Motor and Roll Ring Module : BMRRM) を通ってIEAにある直流切替ユニット (Direct Current Switching Unit : DCSU) に入る。SSUの大きさは12インチ×20インチ×32インチで、重量は185ポンドである。
電力貯蔵システムは、バッテリ充放電ユニット (Battery Charge/Discharge Unit : BCDU) と2基のバッテリ・アセンブリで構成されている。
BCDUには、太陽が当たっている期間にはバッテリを充電し、食の期間にはバッテリに蓄えられた電力を(DCSU経由で)電力バスに供給する二つの機能がある。BCDUのバッテリ充電能力は8.4kWで、放電能力は6.6kWである。他には、バッテリの状態を監視する設備と、電力回路の障害からバッテリを保護する設備がある。BCDUはIEAのコンピュータから制御される。
各バッテリ・アセンブリは、軽量のニッケル水素電池が38個と、関連する電気・機械装置で構成されている。各バッテリ・アセンブリの名目上の容量は、81Ahかつ4kWhである[4]。この電力は、BCDUとDCSUのそれぞれを通してISSに供給される。バッテリの設計寿命は6.5年で、放電深度が35%の場合での充電・放電サイクルは38,000回以上である。各バッテリの大きさは18インチ×36インチ×40インチで、重量は375ポンドである[5]。
[編集] トラスと太陽電池パドルの組み立て順序
詳細は「国際宇宙ステーション組立順序」を参照
| 要素 | フライト | 打ち上げ日 | 全長 (m) |
直径 (m) |
質量 (kg) |
|---|---|---|---|---|---|
| Z1トラス | 3A – STS-92 | 2000年10月11日 | 4.9 | 4.2 | 8,755 |
| P6トラス 太陽電池パドル | 4A – STS-97 | 2000年11月30日 | 73.2 | 10.7 | 15,824 |
| S0トラス | 8A – STS-110 | 2002年4月8日 | 13.4 | 4.6 | 13,971 |
| S1トラス | 9A – STS-112 | 2002年10月7日 | 13.7 | 4.6 | 14,124 |
| P1トラス | 11A – STS-113 | 2002年11月23日 | 13.7 | 4.6 | 14,003 |
| P3/P4トラス 太陽電池パドル | 12A – STS-115 | 2006年9月9日 | 13.8 | 4.8 | 15,824 |
| P5トラス - スペーサ | 12A.1 – STS-116 | 2006年12月9日 | 3.37 | 4.55 | 1,864 |
| S3/S4トラス 太陽電池パドル | 13A – STS-117 | 2007年6月8日 | 73.2 | 10.7 | 15,824 |
| S5トラス - スペーサ | 13A.1 – STS-118 | 2007年8月8日 | 3.37 | 4.55 | 1,818 |
| P6トラス 太陽電池パドル(再設置) | 10A – STS-120 | 2007年10月23日 | – | – | – |
| S6トラス 太陽電池パドル | 15A – STS-119 | 2009年3月16日 | 73.2 | 10.7 | 15,824 |
[編集] 出典
- ^ "Ask The Mission Team - Question and Answer Session". NASA. 2006年9月12日 閲覧。
- ^ い ろ は に "STS-115 Press kit". 2006年9月20日 閲覧。
- ^ "Spread Your Wings, It's Time to Fly". NASA (July 26, 2006). 2006年9月21日 閲覧。
- ^ "International Space Station Nickel-Hydrogen Batteries Approached 3-Year On-Orbit Mark". NASA. 2007年9月14日 閲覧。
- ^ "STS-97 Payload: Photovoltaic Array Assembly (PVAA)". NASA. 2007年9月14日 閲覧。
[編集] 外部リンク
- Integrated Truss Structure - NASA (英語)
- トラス:Truss - JAXA (日本語)
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最終更新 2009年11月7日 (土) 06:25 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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