トラムトレイン
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トラムトレイン(Tram-train)とは、柔軟性と利便性を高めるために路面電車を一般の鉄道路線(ヘビーレール)上でも走らせるようにした軌道輸送交通機関である。 この方式を、1992年にはじめて実現したドイツのカールスルーエに習い、カールスルーエモデルと呼ばれるほか、ドイツ語では、Zweisystemstadtbahn(ツヴァイシステムシュタットバーン=2方式軽快電車), Regionalstadtbahn(レギオナルシュタットバーン=地域軽快電車)などとも呼ばれる。
現在は、ドイツを中心に欧州の都市で導入されている。
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[編集] 概要
路面電車もしくは、その発展形であるライトレール用の車輛が一般の鉄道線上に乗り入れ、都市の郊外~中距離圏と都心部を直結するものである。
このシステムが生まれたドイツでは、日本では地方私鉄の郊外電車に相当する路線が、路面電車(およびライトレール)と直通する事例は数多い[1]。しかし、これらは一括して路面電車の同類であるとみなされ、法令も路面電車および地下鉄に関するもの(BOStrab:Verordnung über den Bau und Betrieb der Straßenbahnen)に基いていることが多い。従って、これらをトラムトレインと呼ぶことはない。
トラムトレインは、ヘビーレール=つまり日本でのJRの鉄道線もしくはそれ以上の規格の路線へ直通する点が最大の特徴である[2]。なお、ドイツのヘビーレールは、 標準軌間鉄道に関する法令(EBO:Eisenbahn-Bau- und Betriebsordnung)に則って運行されている。このため、トラムトレインは、両方の規格を満たすことが必要である。
[編集] 利点
旅客が市街の中心部と郊外を中央駅などで乗り換える必要が無く、そのまま列車で行くことが出来る点にある。 また、機関車牽引の列車に比べ、運行コストの削減にも寄与する。
[編集] 欠点
トラムトレインの車輛は、多くが幅2.7m・全長37m程度である。これは通常の路面電車よりも大きいが、もともとの鉄道線車輛に比べると幅は狭く長さは短い。また、トイレなどの設備が不足することなどから旅客が不便を感じることもある。
[編集] 実例
大きくわけて、以下の3つの事例が存在する。
- 路面電車と鉄道線をそれぞれの規格に準じて走らせることができるもの。ドイツのカールスルーエ、ザールブリュッケン、カッセル、スペインのアリカンテ、オランダのハーグ、ゴーダ~ライデン(RijnGouweLijn)が該当する。
- 双方のシステムに対応した車輛が必要になる。
- カールスルーエ、ザーリュブリュッケンでは、路面電車よりも高速で走るシュタットバーン用の車輛をベースに、交直流両用化した車両を導入した。
- カッセルではこれに加え、直流電気架線集電とディーゼル発電の両用車を用い、非電化区間への乗り入れも行なう。
- アリカンテは乗り入れ先の非電化鉄道線を電化して対応した。
- 車輛の導入コストなどは高いが、双方の特性に対応した運行ができる。
- なお、この車輛を用い、鉄道線区間のみを走行する列車も設定されている。
- ケムニッツでは、鉄道線が非電化の支線であったため、路面電車と同じ直流750V架線集電式で電化の上で乗り入れさせた。
- 車輛は、路面電車用の超低床車(バリオバーン)を用いている。
- なおケムニッツモデルと呼ばれることがある。
- 一方、ノルトハウゼンは、軌間1000mmのハルツ狭軌鉄道へ乗り入れた。こちらは、路面電車用の超低床車(コンビーノ)にディーゼル発電機を積んで対応した。
- 路面電車に鉄道線車輛がそのまま乗り入れるもの。ドイツのツヴィッカウが該当する。
- ヘビーレールであってもホームが低い欧州大陸ならではの方法で、路面電車に鉄道線の軽量気動車(レギオ・スプリンター)がそのまま乗り入れる。
- なお、ツヴィカウの路面電車は軌間1000mm、鉄道線は軌間1435mmであるため、乗り入れ区間は3線軌条となっている。
これに加え、フランスのパリ郊外(T4線)、日本の富山などがあるが、これらは鉄道線を路面電車規格の車輛を用いる路線に変更したものである。パリと富山[3]は鉄道線を改築して列車の運行頻度を高めたもので、全体的に市内線指向が強く、他のトラムトレインの特徴である鉄道線を市内中心部まで直通させる事例とは異なる。なお、パリはカールスルーエなどと同様の鉄道線・軌道線の双方に直通可能な車輛を用い架線電圧は鉄道線のまま(交流25000V 50Hz)なのに対し、富山は路面電車車輛を用い架線電圧も路面電車に合わせた(直流600V)点が異なる。
[編集] 各都市の事例
[編集] カールスルーエ(およびハイルブロン)
カールスルーエはドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州の、人口約28万人の都市である。以前から路面電車のネットワーク拡大に熱心であり、それも既存の鉄道網を活用した方式に特徴がある。1958~1971年にかけて市の南側へ延びる軌間1000mmのアルブタール鉄道(カールスルーエ~エトリンゲン~バートヘレンアルプ、イータスバッハ)を路面電車と同一の軌間1435mm、直流750V電化に順次改築して乗り入れを開始、1979年には市の北部ホホシュテッテン(Hochstetten)への路線延長に際し、ドイツ連邦鉄道(DB 現在のドイツ鉄道)の貨物線であるハルト線を借用し軌道を共有した。後のカールスルーエモデルの原形となる。
更なる路線網の拡張を目指して、1984年に連邦鉄道の旅客線への乗入れの研究を開始。運行規則や路線規格の大幅な違いを乗り越えて、1992年に実現した。これがトラムトレインの第1号とされる。市街東部に全長2.8kmの連絡線を敷設、連邦鉄道クライヒガウ線のブレッテンまでの約21kmを交流15000V 16.7Hz電化、駅の増設等を実施、車輛はデュワグ社(DUEWAG)のシュタットバーン用車輛を鉄道線対応・交直両用化したGT8-100C/2S(全幅2650mm、長さ37000mmの8軸3車体式)を投入した。最高速度は100km/hである。これにより、1年後には乗客が5倍に増加した。
その後、中央駅付近と市街北西に連絡線を増設し乗り入れ区間を大幅に拡大。更に、ドイツ鉄道線内のみを運転する列車をトラムトレイン用の車輛に置きかえるなどの結果、その走行区間の総延長は400kmに達している。 このうち南東方面のライン線ラシュタット、バーデン・バーデン方面はドイツとスイスを結ぶ幹線路線であり、超高速列車のICEが在来線とはいえ200km/hで走行する区間にトラムトレインが乗り入れる。 また、トラムトレインの終点となったヴェルト、バートヴィルトバートでは短距離の市内線を建設して、路線を更に延長した。
同様に、1999年にトラムトレインの終点となったハイルブロン(人口約10万人)でも、同様に短距離の市内線を2001年に建設したが、ここは2005年に更に路線を延長して、もう一度鉄道線に乗り入れ約25km東のエーリンゲンが終点となった。ハイルブロンはカールスルーエから東に約70km離れており、独立した都市圏を形成する。従って、2つの都市のトラムトレインが連結した形になったといえる。
路線拡大にあたり、GT8-100D/M-2Sが製造された。台車以外の部分の床高さを580mmに下げたことが特徴である。一部車輛は中間車体にビュッフェが設けられたがこれは現在は使われていない。しかし、同時にとりつけられたトイレは後の増備車に生かされている。
なお、カールスルーエのトラムトレインは、他の都市ではSバーンを示すS**の系統番号が振られている。このうちS3のみはライン・ネッカー地区(マンハイム、ハイデルベルク、カイザースラウテルン等)のSバーンが乗り入れている。
[編集] ザールブリュッケン
[編集] カッセル
[編集] 注釈
- ^ たとえば、デュッセルドルフのK線・D線、ボンのジークブルク方面、ゴータのチューリンゲンバルトバーンなどが該当する。日本での、広島電鉄宮島線・市内線、福井鉄道、名古屋鉄道岐阜地区に似た事例である。
- ^ 従来の旅客列車を路面電車直通車に置き換えた路線に呼称の対象を限定し、貨物線と路面電車が軌道を共有するケースや、廃線敷の流用事例は対象外とする場合がある。
- ^ 富山は英国のライトレール関連団体「LRTA」の分類に従ったものだが、実態は鉄道線の市内線への完全改築である。このような事例は米国のサンディエゴ、英国のロンドン(クロイドン)等にもあるが、そちらはLRTAではトラムトレイン扱いしていない。パリ郊外のT4線も同様だが、こちらはwikipediaドイツ語版に従い、本項で述べた。
[編集] 参考文献
- 『Straßenbahn Fahrzeuge Band.2』、GeraMond・ミュンヘン、2000年 ISBN 3-932785-17-7
- 服部重敬「カールスルーエのLRT」、鉄道ジャーナル443号、鉄道ジャーナル社・東京、2003年9月(雑誌06551-9)
- 服部重敬「カッセルのレギオトラム」、鉄道ファン553号、交友社・東京、2007年5月(雑誌06459-05)
[編集] 関連項目
最終更新 2009年6月12日 (金) 17:59 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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