トーラスロケット

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トーラス
2004年5月20日、ROCSAT 2を積んで打ち上げられたトーラスXL(3210)
基本データ
運用国 アメリカ合衆国
開発者 OSC
運用機関 OSC, NASA, DARPA, USAF
使用期間 1994年3月13日 - 現役
射場 ワロップス飛行施設
ヴァンデンバーグ空軍基地LC-576E
ケープカナベラル
コディアック島
打ち上げ数 8回(成功6回)
打ち上げ費用 $ 19 - 43 million
原型 ピースキーパーICBM, ペガサス
姉妹型 アテナI,II, ミノタウルIV,V
発展型 トーラスII
公式ページ Taurus
物理的特徴
段数 4段または5段
総質量 69 - 77 t
全長 27 - 32 m
直径 2.35 m
軌道投入能力
  

トーラスロケット英語: Taurus)はオービタル・サイエンシズ社(OSC)が開発した人工衛星打ち上げ用の全段固体燃料ロケットである。

目次

[編集] 概要

OSCの運用する空中発射ロケットペガサスデルタII等の中型ロケットの間を埋める軌道投入能力をもつロケットを目標として国防高等研究局(DARPA)の支援のもと開発されたペガサスの地上発射バリエーションがトーラスである[1]。当初はSSLV("Standard Small Launch Vehicle")と呼称され1989年に契約が行われ開発が進められた[2]

政府機関用人工衛星や商用人工衛星の打ち上げに用いられる他、全段固体で即応性の高い設計により軍事衛星の打ち上げにも適している。1994年の初飛翔以来、8機が打ち上げられ6機が成功した。

[編集] 構成・諸元

通常の場合ロケットの初段は第1段と表記するが、OSCではトーラスの初段を第0段と表記している。これはトーラスがペガサスの地上発射バリエーションとして開発されたという経緯によるもので、これを踏まえ本項では初段を第0段と表記する。

トーラスは第0段から第3段または第4段までで構成される4段または5段の全段固体燃料のロケットであり、モータは全てATKランチ・システムズ・グループ(旧チオコール)が製造する[3]。第0段ブースタとしてピースキーパーICBMの第1段であるTU-903や、キャスター120を採用し、その上段としてペガサスとほぼ同じモータを用いる構成をもつ。上段モータのペガサスとの主な差異は翼や可動ノズル推力偏向制御(MNTVC)能力の有無による姿勢及び誘導制御方式の違いのみであるが、一部モータでは推進剤量にも差異が認められる。第4段はオプションであるが2008年までに使われたことはない。

トーラスの構成は4桁の数字によって表記され、おおまかに1000番台のSSLVトーラス、2000番台の標準型トーラス、3000番台のトーラスXLの3種に区分される。他にフェアリングや第3段の種類、第4段の有無によってさらに細かく区分されている[4]。構成と番号の対応を以下に示す。

トーラスabcd型式
番号 a b c d
構成 フェアリング径 第3段 第4段
0 N/A N/A N/A
1 SSLVトーラス 63インチ オリオン38 N/A
2 トーラス 92インチ N/A N/A
3 トーラスXL N/A スター37FM スター37FM

[編集] SSLVトーラス

エアフォース・トーラス(1110)の打ち上げ。

数字による区分で1000番台にあたる軍事用トーラスである。ARPA(現DARPA)が使用する場合はARPAトーラス、空軍が使用する場合はエアフォース・トーラスと呼ばれるが、構成は同一のものであり、共に第0段ブースタとしてピースキーパーの初段TU-903を採用しているのが特徴である。3機が打ち上げられ全て成功している。

主要諸元一覧[3][5]
全長 26 m
代表径 2.35 m
全備質量 69 t
ペイロード 1,180 kg / 28.5° 400km LEO
750 kg / 98° 400km SSO
段数(Stage) 第0段 第1段 第2段 第3段 第4段(オプション)
使用モータ TU-903 オリオン50ST オリオン50T オリオン38 スター37FM スター37FM
各段全長 10.70 m 8.46 m 2.67 m 1.34 m 1.69 m 1.69 m
各段代表径 2.35 m 1.27 m 1.27 m 0.97 m 0.93 m 0.93 m
各段質量 53,400 kg 13,405 kg 3,379 kg 896 kg 1,148 kg 1,148 kg
推進剤 - QDL-1 QDL-1 QDL-1 TP-H3340 TP-H3340
推進剤質量 49,000 kg 12,157 kg 3,025 kg 770 kg 1,066 kg 1,066 kg
真空平均推力 1,711 kN 454.1 kN 114.5 kN 32.2 kN 47.2 kN 47.2 kN
真空比推力 275 s 286 s 292 s 287 s 290 s 290 s
ノズル膨張比 - 26.7 52.1 49.3 48.2 48.2
有効燃焼時間 78.8 s 75.0 s 75.6 s 68.5 s 62.7 s 62.7 s

[編集] トーラス

トーラス(2110)

数字による区分で2000番台にあたる商業打ち上げ用の標準型トーラスである。SSLVトーラスとの差異は第0段ブースタにキャスター120モータを採用している点にある。このモータはATKがTU-903をもとにして商業打ち上げを行うアテナ用に開発したものである。第0段の最大加速度や構造質量が改善されており、軌道投入能力は向上している。3機が打ち上げられ、1機が失敗した。

主要諸元一覧[3][4]
全長 27 m
代表径 2.35 m
全備質量 69 t
ペイロード 2110 1,259 kg / 28.5° 400km LEO
889 kg / 98° 400km SSO
2210 1,047 kg / 28.5° 400km LEO
695 kg / 98° 400km SSO
段数(Stage) 第0段 第1段 第2段 第3段 第4段(オプション)
使用モータ キャスター120 オリオン50ST オリオン50T オリオン38 スター37FM スター37FM
各段全長 12.77 m 8.46 m 2.67 m 1.34 m 1.69 m 1.69 m
各段代表径 2.35 m 1.27 m 1.27 m 0.97 m 0.93 m 0.93 m
各段質量 53,077 kg 13,405 kg 3,379 kg 896 kg 1,148 kg 1,148 kg
推進剤 TP-H1246 QDL-1 QDL-1 QDL-1 TP-H3340 TP-H3340
推進剤質量 49,005 kg 12,157 kg 3,025 kg 770 kg 1,066 kg 1,066 kg
真空平均推力 1,685 kN 454.1 kN 114.5 kN 32.2 kN 47.2 kN 47.2 kN
真空比推力 279 s 286 s 292 s 287 s 290 s 290 s
ノズル膨張比 16.3 26.7 52.1 49.3 48.2 48.2
有効燃焼時間 79.5 s 75.0 s 75.6 s 68.5 s 62.7 s 62.7 s

[編集] トーラスXL

トーラス(3110)

数字による区分で3000番台にあたる商業打ち上げ用の増強型トーラスである。標準型と異なり1,2段にペガサスXLと同様の拡張型モータを用い、軌道投入能力の向上が図られている。2機が打ち上げられ、1機が失敗した。

主要諸元一覧[3][4]
全長 32 m
代表径 2.35 m
全備質量 77 t
ペイロード 3110 1,458 kg / 28.5° 400km LEO
1,054 kg / 98° 400km SSO
3210 1,276 kg / 28.5° 400km LEO
882 kg / 98° 400km SSO
段数(Stage) 第0段 第1段 第2段 第3段 第4段(オプション)
使用モータ キャスター120 オリオン50S XLT オリオン50 XLT オリオン38 スター37FM スター37FM
各段全長 12.77 m 9.88 m 3.10 m 1.34 m 1.69 m 1.69 m
各段代表径 2.35 m 1.27 m 1.27 m 0.97 m 0.93 m 0.93 m
各段質量 53,077 kg 16,181 kg 4,518 kg 896 kg 1,148 kg 1,148 kg
推進剤 TP-H1246 QDL-1 QDL-1 QDL-1 TP-H3340 TP-H3340
推進剤質量 49,005 kg 15,023 kg 3,924 kg 770 kg 1,066 kg 1,066 kg
真空平均推力 1,685 kN 614.5 kN 160.4 kN 32.2 kN 47.2 kN 47.2 kN
真空比推力 279 s 286 s 291 s 287 s 290 s 290 s
ノズル膨張比 16.3 24.8 43.5 49.3 48.2 48.2
有効燃焼時間 79.5 s 68.4 s 69.7 s 68.5 s 62.7 s 62.7 s

[編集] 打ち上げ実績

8機の打ち上げは全てヴァンデンバーグ空軍基地LC-576Eから行われている。

打ち上げ番号 日付 型式 ペイロード 結果 備考
1 1994年3月13日 SSLVトーラス(1110) STEP 0 / DARPASAT 成功
2 1998年2月10日 トーラス(2110) GFO / ORBCOMM (11,12) 成功
3 1998年10月3日 SSLVトーラス(1110) STEX(NRO開発) 成功
4 1999年12月20日 トーラス(2110) KOMPSAT / ACRIMSAT 成功
5 2000年3月12日 SSLVトーラス(1110) MTI 成功
6 2001年9月21日 トーラス(2110) オーブビュー4号 / クイックTOMS 失敗 T+83秒、第1段燃焼中に推力偏向アクチュエータに異常が発生。予定飛翔経路から逸脱した[6]
7 2004年5月20日 トーラスXL(3210) ROCSAT-2 成功
8 2009年2月24日 トーラスXL(3110) OCO[7] 失敗 フェアリング分離失敗による速度不足。ペイロードは南極付近に落下したと推定される

[編集] 打ち上げ予定

2009年半ばにヴァンデンバーグ空軍基地からGlory,E1P,KySat1,HERMESの4機の人工衛星をトーラスXLで打ち上げる予定である[8]

[編集] オービタル・ブースト・ビークル/トーラス・ライト

OSCはアメリカミサイル防衛局の地上配備型ミッドコース防衛システム(GMD)における地上発射式の弾道弾迎撃ミサイルとして大気圏外迎撃体(EKV)を搭載するオービタル・ブースト・ビークル(OBV:Orbital Boost Vehicle)を供給している。これはトーラス・ライトとして考案されたもので、トーラスXLの第0段ブースタを取り除き第1段ノズルを地上発射用に改修した構成をもつ[9]

[編集] トーラスII

詳細は「トーラスII」を参照

OSCはNASAとの商業軌道輸送サービス(COTS)契約に則り、国際宇宙ステーション補給機シグナスと、それを打ち上げる中型ロケットのトーラスIIを開発している。原型機とは異なり第1段にAJ26-62エアロジェットがアメリカ向けに改修したNK-33)を2機用いる液体燃料ロケットであり、最初の打ち上げは2010年末を予定している[10]

[編集] 出典・脚注

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

最終更新 2009年11月14日 (土) 08:35 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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