ナポレオン -獅子の時代-

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ナポレオン -獅子の時代-
ジャンル 歴史漫画
漫画
作者 長谷川哲也
出版社 少年画報社
掲載誌 ヤングキングアワーズ
レーベル ヤングキングコミックス
発表期間 2003年2月号 - 連載中
巻数 12巻(以下続刊)
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ナポレオン -獅子の時代-』(ナポレオン ししのじだい)は、長谷川哲也による歴史漫画。その名の通り、ナポレオン・ボナパルトの生涯を扱ったものである。現在、「ヤングキングアワーズ」にて連載中。

目次

[編集] 概要

2003年2月号から、「ヤングキングアワーズ」にて連載が開始された。当初はアウステルリッツの戦いから物語が始まったが、この戦いの終わりと同時に物語はナポレオンの誕生直前にまで遡り、以後はナポレオンの生涯に沿った物語の展開を見せている。話の都合上、フランス革命の展開をじっくりと描いており、主人公であるナポレオンがほとんど登場せず、事実上、フランス革命を描いた漫画と化していた時期もあった。

非常に個性の濃いキャラクター設定(とはいっても、登場人物のほとんどが実在した人物ではある)と、漫画全体を漂う“男臭い”空気、史実とかけ離れた演出や印象深いセリフ(俗に長谷川マジックと称される)などから、他の漫画には見られない独特の色を醸し出している。『北斗の拳』を思わせるような、非常に濃いタッチの画風も、この漫画の雰囲気作りに一役買っているともいえる(なお、作者の長谷川哲也は、北斗の拳の作者・原哲夫アシスタント経験者でもある)。掲載紙がメジャーであるとは言いがたいものの、このように様々な面で他の漫画とは異なった個性をもつ本作には、ナポレオンマニア以外にも、熱狂的なファンも多い。

また、同じくナポレオンを扱った漫画として池田理代子の『栄光のナポレオン-エロイカ』があるが、作者ホームページによれば、長谷川は『獅子の時代』を書く上でこれを多少なり参考にしている様だ。とはいえ、少女マンガの代表格である『ベルサイユのばら』続編の『エロイカ』とは、作風が大きく異なっているため、あくまで参考にとどめているようである(人物の造形やストーリーの一部に多少の影響が見られる)。

当作品をアワーズに推薦したのは平野耕太であり、長谷川いわく「平野さんは恩人」とのこと。

[編集] コミックス

2009年4月現在、11巻まで発売中。毎回販促用のオビに有名漫画家のアオリ文がつく事で知られ、過去に安彦良和平野耕太小池一夫らもアオリ文句を寄稿している。特典ページとして、軍事研究家の兒玉源次郎による時代背景や人物解説「大陸軍戦報」や、巻末コメントとしての「ビクトル対談」がつく。

韓国版・フランス版・台湾版も出版されている。

[編集] 登場人物

それぞれ作中のフィクションとしての人物解説であるため、一部史実にそぐわないものもある。詳しくは各人物の項を参照されたい。

ナポレオン・ボナパルト
主人公。アウステルリッツ編では背も低く描かれているが、青年期では比較的スマートに描かれている。出世志向が強いが、軍人としての才には長けている。自身がコルシカ島出身であることにこだわりをもち、フランスへの復讐を目指していたが、パオリとの決別後は自身がコルシカ人であることを捨てる。物語がフランス革命期のパリでの政争にスポットが当てられていたころは、主人公であるにもかかわらず、ほとんど出番がなかった。トゥーロン攻囲戦で功績をあげるが、その後は軍籍を剥奪され、一時本屋で働いていた。その後、ヴァンデミエールの反乱鎮圧に起用され、出世街道に復帰する。その直後、総裁政府の五総裁の一人ラザール・カルノーの推薦によりイタリア方面軍司令官に任命される。

[編集] ボナパルト家・親族

レティツィア
ナポレオンの母。男勝りの性格である。熱心なコルシカ独立主義者であり、自由な生き方を好む夫のカルロの代わりに、ボナパルト家を支えている。
カルロ
ナポレオンの父。自由に生きることを好み、人からは変節漢と呼ばれるが、それゆえに人の心を見抜く目がある。ナポレオンが軍人を目指していることにいち早く気付き、彼を士官学校に入学させた。
ジョゼフ
ナポレオンの兄だが、なにかと弟に欲しい物を奪われがちである。元々財産目当てにデジレ・クラリーと結婚するはずであったが、ナポレオンの意向で姉のジュリー・クラリーと婚約する。
ポリーヌ
ナポレオンの妹。兄に強くあこがれているが、ジュノーから付き慕われている。後にルクレールと結婚する。
ジョゼフィーヌ
ナポレオンの妻。最初の夫ボアルネ将軍との間には2人の子どもがいる。監獄から出た後はバラスの愛人だった。ジョゼフィーヌという名前はナポレオンが「自分だけの呼び名で呼ばせてくれないか」と付けた。財産を持つ女との結婚を目指すナポレオンの目に留まる。結婚式に際しては年齢を4つほど若く申告している。(逆にナポレオンは2つ年齢を高くしており、これは兄であるジョゼフよりも年長になってしまっている)。
ウジェーヌ
ジョゼフィーヌと、その前夫ボアルネ将軍の息子。ヴァンデミエールの反乱鎮圧後、父の形見である剣の返却をナポレオンに嘆願し度胸試しの後に剣の所持を認められ、少し後にナポレオンも「立派だった」と褒めている。母ジョゼフィーヌがナポレオンと結婚したためナポレオンの義息となっている。東方遠征に同行する。
オルタンス
ジョゼフィーヌの娘で、ウジェーヌの妹。ウジェーヌがナポレオンに剣の返却を嘆願しに行くとき、「(ナポレオンが)ヴァンデミエールで市民の血を飲んだ」という噂を信じて会いに行くのを止めようとする。ジョゼフィーヌとナポレオンの結婚によりナポレオンの義娘となったが、登場の機会がない。
史実では後にナポレオンの弟ルイと結婚し、彼との間に三人の男子を授かる。三男のシャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルトは、後の第二帝政時代のフランス皇帝ナポレオン3世である。

[編集] フランス革命軍・大陸軍

[編集] アウステルリッツ編

ダヴー
"不敗のダヴー"。第3軍団司令官。幼年学校時代にも登場し、ナポレオンとフェンシングで勝負している。
「ダヴー外伝 禿鬼」では、頭髪がよく抜けることを気にしながらも派遣議員暗殺の真相とシャルル・フランソワ・デュムーリエの裏切りと内通を見抜くという、勘の良さを見せた。
エジプト編においても、ドゼーの部下として登場している。
スルト
第4軍団司令官。ナポレオン曰く"フランス最良の戦略家"。ただし、スルト自身はナポレオンを一歩引いた客観的な目で見ている。

[編集] トゥーロン編

ジュノー
ナポレオンの部下。ボナパルト家がコルシカ島から落ち延びた後に住み着こうとした家の先住者。ナポレオン達が家に侵入してきた際、妹・ポリーヌに出会い一目惚れするが、彼女に「私に会いたかったら男らしくなって」と言われ、以後ナポレオンの隊に歩兵として加わり、のちにルクレール配下の騎兵となる。極端に無口で、「ポリーヌ」「うが」以外の台詞をほとんどしゃべらない。
マルモン
トゥーロン攻囲戦以降、ナポレオンの副官となる。上官を選ぶ兵士であり、ナポレオン着任以前は無能な上官をわざと危険な場所へ赴かせたり、狙撃したりしていた。ナポレオンには忠実であり、彼が投獄された際も脱獄の準備をしていた。
カルトー
ナポレオンが着任した時点での革命軍トゥーロン攻略部隊司令官。画家上がりで軍事的な知識や才能の皆無な将軍であり、ナポレオンの作戦案を尽く却下した。朝食中にイギリス軍の砲撃を受け(マルモンの挑発が原因)、腑抜けと化して更迭される。ヴァンデミエール編でも登場するが、殆ど顔見せだけの出番であった。
ドッペ(François Amédée Doppet
カルトーの後任として派遣されたトゥーロン攻略部隊司令官。医者上がりの将軍で、目前で幕僚の一人が砲弾で無残な死に方をした際に、血の海を見て恐怖に駆られ退却命令を出すような、胆力に欠けた腰抜けとして描かれている。史実では自ら辞任したが、本作ではマルモンに頭部を狙撃されて死亡(ナポレオンは黙認)。
デュゴミエ
ドッペの後任としてトゥーロンに派遣された革命軍の将軍。たたき上げの人物で、戦略眼や部下の人心掌握に長けている。ナポレオンの軍事的才能を認め、彼の作戦を採用する。登場年代の当時は50代中盤であるにもかかわらず、非常に老齢な人物として描かれている。史実ではこの一年程後に砲弾の直撃を受けて壮絶な戦死を遂げた。彼が「あいつはいつか偉くなる」といった対象は、本当にその通りになっていることが多い。
なお本作品の代名詞とも言える大陸軍は世界最強!」というスローガンは、彼の演説「革命軍は地上最強!」をナポレオンが剽窃したものである。
ルクレール
トゥーロン攻略部隊の騎兵隊員として登場するが、トゥーロン編での活躍はジュノーと共に行ったミュルグラーブ砦(通称、小ジブラルタル)への抜け穴掘りとその抜け穴から殴り込みをかけたことぐらいである。イタリア編で再び登場し、今度は騎兵として活躍する。ジュノーが惚れたポリーヌと結婚する。
マッセナ
トゥーロンに派遣された援軍の指揮官でデュゴミエの部下。金銭欲や物欲の強い人物であり、幼いころはマッセナ団というギャングの棟梁をしていた。トゥーロン攻囲戦では敵の金庫を襲うべくラルティック要塞を襲撃する。イタリア編でも金銭への執着は相変わらずであり、略奪や軍の補給品の横流しを散々やらかした挙句に男装させた愛人を前線に連れて来るなど、問題行動も多い、石鹸を一定の大きさに切るための状の道具を凶器(武器)として振るう。マッセナは奪うことをモットーとしており、掠奪品を返却してきた相手には激昂する。
ヴィクトール
トゥーロン編で、マッセナの指揮下にある騎兵隊長(服装から見て軽騎兵ユサールと思われる)として登場する。太った巨漢であるが、剣の達人でもある。任務を成し遂げた後でやたらと「怖かった」と口にしており、マッセナは彼のことを「怖がりデブ」と呼んでいるが、率先して敵陣に切り込むなど本当の臆病者ではない。イタリア編でも登場する。後述のビクトルとは別人。
スーシェ
トゥーロン編でわずかに登場。部下から非常に慕われている。イタリア編でも登場しているが、まだまだ出番は少ない。彼にスポットを当てた「スーシェ外伝 月牛」では、故郷のリヨンを攻撃する際の彼が描かれている。

[編集] ヴァンデミエール編

ミュラ
ヴァンデミエール編から登場。猟騎兵連隊隊長。おしゃれで派手好きな色男で、恋愛には自信をもっている。一度ナポレオンが店員を勤める本屋に客として訪れたが、ヴァンデミエールの反乱で彼と再会し、立場が逆となる。以後、ナポレオンの副官の様に彼に付き添う。
イタリア編では単騎で敵中に取り残された味方の将軍を救出し、敵からの称賛に恍惚とした表情を浮かべるなど軽薄で目立ちたがり屋な側面が出ておりランヌと対立する。
ベルティエ
ヴァンデミエール編から登場。冴えない小男だが有能な参謀であり指揮能力も高い。ナポレオンが店員を勤める本屋に客として訪れた際に孫子の兵法書を購入していった。鼻をほじくる癖がある。イタリア編では書類にこだわる官僚的な側面を持った人物として描かれており、強欲なマッセナや粗暴なオージュロー相手に神経を相当使っている模様。愛人のヴィスコンティ夫人を崇拝しており、そのため東方遠征をしぶる。
ブリュヌ
ヴァンデミエールの反乱勃発時に国民公会側で参戦(名前はイタリア編で登場する)し、ナポレオンの大砲使用については「言いにくいことをあっさり口に出した」と評していたことから、自身でもそのように考えていたと思われる。
リヴォリの戦いの少し前にイタリア方面軍へ転属となり、ジュベールと共にナポレオンの幕僚として身近にいた。ジュベール同様長身であるため、2人が近くにいるとナポレオン曰く「山に挟まれた気分」になる。

[編集] イタリア編

セリュリエ
単身最前線で敵の矢面に立ち味方を奮起させる(このことは実際のマルモンの手記に記されている)など、革命後の新時代においても、旧貴族本来の気高さや騎士道を守り通す老将軍。士気を高める為兵士達に略奪を奨励するナポレオンの方針に不服を抱きつつも従っている。
オージュロー
イタリア方面軍の師団長。粗暴かつ横柄な性格で、訛った口調ではなす。一人称は「おり」。よほど改まった席でもない限り、常に上半身裸か素肌に直接将軍用のコートを着用して過ごしている。自ら戦うことを好み、サーベルや二挺拳銃で戦闘に参加することが多い。書類を一切提出しないためにベルティエと諍いが絶えない。唯一の報告書は、実に簡潔。銃の提供を渋ったベルティエへの当てつけがましく「銃一〇〇〇丁得た!」
フリュクチドールのクーデタで活躍したあとは、成功のため羽振りがよくなった。
ランヌ

cイタリア方面軍に所属する大佐。禁欲的な人物で常に「どこでも戦える兵士」たらんと意識している。身体能力も高く、行軍の際に素早く山を駆け下りたり市街戦の際にオーストリア軍のバリケードに設置された大砲から発射された釘と銃弾を二角帽子で受け止め拡散を防いだりするなど、常人離れした運動能力の持ち主として描かれている。口ばかり動かして働かない奴や軽薄で自分勝手な奴を嫌っており、ミュラと対立している。ナポレオンに高く評価されており、階級を越えた友人でもある。

トマ=アレクサンドル・デュマ
イタリア方面軍所属の将軍。サン=ドマング(現在のハイチ)で黒人の母と白人の父との間に生まれたムラート混血)。三銃士モンテ・クリスト伯(巌窟王)の著者である作家アレクサンドル・デュマ・ペールの父親でもある。
セリュリエと共にマントヴァ攻囲軍の指揮を執っており、マントヴァに籠城するオーストリア軍部隊に少量の肉とダルヴィンチ軍敗走のニュースの載った新聞を投げ込み、降伏を勧告する。また、規律の緩みがちな攻囲軍将兵に対して厳しい訓練を施す鬼軍曹的な側面を持つ。
東方遠征では、兵士を労らないナポレオンに不満を抱いている。
ジュベール
イタリア方面軍所属の将軍。太った女性の大きな胸に顔をうずめる趣味を持つ。熱心な革命支持派で、「(自分の子供に残したいものは)自由と平等だけだ」と発言する。
ベシェール
イタリア方面軍所属の騎兵大尉で、長髪と不精髭が外見上の特徴である。かつては床屋であり、ミュラの親友でもある。
ベルナドット
イタリア編末期にイタリア方面軍に転属となった将軍。一見紳士的で誠実であるが、実際はかなりプライドが高く蔭でナポレオンやオッシュの活躍に対するねたみや自身を高く評価しない上層部への不満を小声でぶつぶつと呟き続けるという、いささか狭量な印象を与える癖がある。

[編集] エジプト編

クレベール
エジプト遠征軍に参加した将軍の一人で、エジプト遠征以前はヴァンデの反乱の鎮圧に従事していた。途中立ち寄ったマルタで総裁政府に対するクーデターをナポレオンにそそのかす。
ドゼー
エジプト遠征軍に参加した将軍の一人。笑顔を絶やさないが観察眼があり、クレベールのクーデター提案に対するナポレオンの本心を見抜く。
ブリュイ
フランス海軍提督で、ナポレオンをエジプトに運んだフランス艦隊の司令官。自艦隊とネルソン率いるイギリス艦隊(=フランス海軍とイギリス海軍)の力の差を熟知しており、ナポレオンが海戦に無知なことを含めて自艦隊の行く末を案じている。
アブキール湾の海戦において砲弾で両脚を吹き飛ばされてからも後甲板で椅子に座って指揮を執り続けたが、後に砲弾で体ごと吹き飛ばされて戦死。

[編集] フランス革命指導者

[編集] ジャコバン派

ロベスピエール
革命の勃発~恐怖政治期までの期間における、フランス最強の男。ジャコバン派の領袖。また、特定の人物ではなく、市民と革命を愛するが故に童貞である。エベール派・ダントン派を粛清した後、さらに恐怖政治を加速させるが、他の議員の反感を買い、テルミドールのクーデターで失脚、処刑される。
ルイ16世のランスでの戴冠式の帰途、ラテン詩での祝詩を送ったことを告白した後に「死刑」と宣言するシーン、サン・ジュストに「私は」「童貞だ」と打ち明けるシーンは、作中屈指の名場面でもある。
サン・ジュスト
ロベスピエールの同志。軍人としてのナポレオンを評価する人物であり、彼の昇進を助けている。テルミドールのクーデターでは逃げ延び、後にタリアンを暗殺。続いてバラスの暗殺を謀るが、ナポレオンによって阻止される。
史実ではナポレオンを高く評価していたのはロベスピエールの弟・オーギュスタンであり、キャラクターのモデルとしてオーギュスタンがサン・ジュストに統合されている可能性がある。
クートン
ロベスピエールの同志。足が麻痺しているため、常に車椅子に乗っている。公会に反旗を翻したリヨンに派遣されるが、処罰が甘いとしてフーシェに取って代わられる。テルミドールのクーデタの際は大砲や爆弾を装備した車椅子で兵士と戦い、最後はバラスを巻き込んで自爆した(クートンの車椅子は実在のものである。勿論武器は仕込まれていない)。
ダントン
ジャコバン右派。恐怖政治の停止を求めるが、ロベスピエール一派によって逮捕に追い込まれる。裁判では豪胆な演説で市民を味方につけるが、結局同派のデムーランと共にギロチン送りとなった。
怪力で、さらには愛妻家として描かれており、夜中に妻の死体を掘り起こして抱きしめるシーンがある。
エベール
ジャコバン左派。『デュシェーヌ親父』という新聞を発行し、下層市民の支持を得る。ロベスピエール一派によって逮捕に追い込まれ、最後は泣きわめきながら処刑される。罪状はシャツの窃盗。
マラー
ジャコバン派議員で、元医者。皮膚病を患っており、常に痒みに苦しんでいる。薬湯での治療中、シャルロット・コルデーによって暗殺される。
フーキエ・タンヴィル
革命裁判所検察官。デムーランの縁戚。慈悲のない裁きで多くの市民から恐れられる。テルミドールのクーデタ後にジャコバン派が没落すると、自身も裁判にかけられ、処刑される。

[編集] テルミドール派・総裁政府

ポール・バラス
国民公会議員。トゥーロンに派遣され、反乱関係者を多く処刑するが、そのことをロベスピエールに追及されるのをおそれ、フーシェと共にテルミドールのクーデタを画策する。クーデタ後は総裁政府の中心となり、ヴァンデミエールの反乱鎮圧にナポレオンを起用するなど、彼の庇護者となる。ジョゼフィーヌの愛人であったが、彼女をナポレオンに譲ったのも彼。
ナイフ投げが得意であること以外は、作中で特に秀でた能力は見受けられない。場違いな権力者として描かれており、作者も「バラスはボロクソに書いても心が痛まない」と言っている。
ジョゼフ・フーシェ
国民公会議員で、陰謀の天才。リヨンでの反乱関係者虐殺をとがめられるのを恐れ、バラスやタリアンをけしかけてロベスピエールに対するクーデタを画策する。クーデタ後は政治の表舞台から離れてバラスの密偵となり、ナポレオンにも接近する。
一方、死んだ自分の子供を思い続けるなど人間らしい一面も見せている。
タリアン
国民公会議員。牢獄に入れられた妻を助けるために、ロベスピエールを告発しクーデタのきっかけを作る。しかしその後は没落し、妻にも見捨てられ、酒に溺れていたところでサン・ジュストによって暗殺されてしまう。
タリアン夫人
ジョゼフィーヌと共に牢獄に入れられていた、タリアンの妻。釈放後は社交界の華として人々の注目を集め、落ちぶれた夫のタリアンを見捨ててバラスの愛人となる。
ラザール・カルノー
革命戦争期のフランスの軍制改革を強力に指導し、ロベスピエールの時代からフランスの軍事面を支えた人物であり「勝利の組織者」の異名を持つ。ナポレオンをイタリア方面軍司令官に任命する以前から彼を高く評価しており、彼の作戦計画をイタリア方面軍司令官に送りつけていた。
史実ではカルノーも公安委員会のメンバーであったが、サン=ジュストを始めとするロベスピエール派と対立していたことと軍略的才能を惜しまれたため、ギロチン送りを免れて総裁政府でも登用された。
法治主義者ゆえにフリュクティドールのクーデタを認めずパリから逃亡する際、自作の武器を駆使してオージュローと互角に渡り合いながら、自分の定めた軍制を守らずだらしない服装をしているオージュローを咎めた。
タレーラン
僧侶だったが革命に参加し恐怖政治の間は亡命していた。帰国後、愛人のスタール夫人の勧めによりナポレオンと総裁政府に接近する。ナポレオンからは「タイユラン」と呼ばれている。
本作ではスタール夫人と共に、フリュクティドールのクーデタの黒幕とされている。
スタール夫人
女性政治活動家。頭部が極めて大きく等身が極端に低い、特異な容貌に描かれている(コミックス10巻の小話において、某有名SF映画に登場するエイリアンに例えられる)。ナポレオンの才能を見抜きラブレターを送るが拒絶される。
革命を守るために画策し、タレーランと共にフリュクティドールのクーデタの黒幕となる。

[編集] 敵対国の人物

[編集] ロシア帝国

アレクサンドル1世
ロシア皇帝。アウステルリッツ編に登場。ナポレオンを倒して英雄となることを夢見ている。クトゥーゾフは「婆さん(エカチェリーナ2世)の代から仕えている」宿将なので、一応遠慮しているらしいが、明らかに嫌っている。
クトゥーゾフ
ロシアの軍人。アウステルリッツ編に登場。老練な用兵家として描かれており、ウルムの戦い後に指揮した退却戦は、ナポレオンをして「教本に載せたいような見事な離隔」と言わしめた。アレクサンドルや若い将軍たちには軽んじられているが、ナポレオンには警戒されている。アウステルリッツ戦前夜、ナポレオンの暗殺を謀って刺客を送り込んだが、失敗に終わっている。
バグラチオン
ロシアの軍人。アウステルリッツ編に登場。かなり短気な人物として描かれており、使者として訪れたビクトルの挑発(ナポレオンからの伝言を伝えただけだが)に激昂し、ビクトルを半殺しにしている。勇敢な司令官ではあるが、アウステルリッツではアレクサンドル同様ナポレオンの能力を見誤っており、敗走途中クトゥーゾフから「お前は奴には勝てん」と叱咤された。
ブクスホーデン(ラテン文字:Friedrich Wilhelm von Buxhoevedenキリル文字Буксгевден, Фёдор Фёдорович|
ロシアの軍人。アウステルリッツ編に登場。ナポレオンの罠にはまり、ダヴーとスルトに包囲された上、本隊から見捨てられてしまう。史実では辛くも危機を脱したが、本作では至近距離から葡萄弾の砲撃をまともに受けて悲惨な最期を遂げている。

[編集] プロイセン

クラウゼヴィッツ
プロイセンの軍人で、軍事理論の古典『戦争論』の著者。アウステルリッツ編に登場。ナポレオンの指揮振りを目の当たりにし、「見た…だが信じられん」と驚愕の感想を洩らしている。

[編集] イギリス

ネルソン
トゥーロン編で初登場。この時はあまり活躍していないが、ビクトルに人妻を愛した男はどうすればいいか、と問いかけている(ネルソンの愛人エマ・ハミルトンとその夫ウィリアム・ダグラス・ハミルトンとの三角関係に関するもの)。
トゥーロン後の戦いで右目と右腕を失い弱気になっていたが、ナポレオンを乗せた艦隊の出撃の報を聞いたのをきっかけに戦線復帰し追撃艦隊の指揮を執る。
アブキール湾に停泊していたフランス艦隊を発見すると、フランス側の予想に反して座礁の危険を冒して夜間戦闘を強行。左前頭部にボルトの直撃を喰らい頭皮がめくれあがる大けがを負うものの、フランス艦隊に壊滅的打撃を与えることに成功する。
オハラ(Charles O'Hara
イギリス陸軍の将軍。トゥーロンに派遣されたイギリス陸軍部隊の司令官。敵情視察中に狙撃され、捕虜となる。史実ではスーシェが彼を捕虜にしたが、本作ではマルモンが狙撃した彼をマッセナが捉えて手柄を横取りした。
フッド
イギリス海軍提督。トゥーロンに派遣されたイギリス地中海艦隊司令官。史実では無事にトゥーロンを脱出するが、本編ではエギエット要塞の大砲の破壊を命令しようとしたところをトゥーロン市内に迷い込んだビクトルに狙撃されて重傷を負うが、生死不明。
トーマス・グラハム(Thomas Graham, 1st Baron Lynedoch
スコットランド出身のイギリス貴族。フランス旅行中に死んだ妻の棺を革命政府が暴いたのをきっかけに、熱烈な反革命主義者となる。
イタリア編でマントヴァから単身脱出して、籠城するヴルムザーの部隊の窮状をダルヴィンチに伝える。狙撃の名手でもある。

[編集] オーストリア

ボーリュー(Jean-Pierre de Beaulieu
ナポレオンがイタリア方面軍司令官に着任した時点でのオーストリア軍司令官。かなりの高齢であるが、歯の治療中にナポレオン隷下のフランス軍の行動開始を聞きつけた際、自分の虫歯を自分で引っこ抜いた。
要塞を無視するなどこれまでの戦争の定石を覆すナポレオンの戦法に対処しきれず、ロディの戦いを最後にオーストリア軍イタリア方面軍司令官の地位をヴルムザーと交代する。交代直後に投身自殺を図るが、木の枝に引っかかって失敗。ヴルムザーに「死ぬもならず、確かに老いた」と吐き捨てられる。
ブカソビッチ(Joseph Philipp Vukasović
オーストリア軍大佐。デゴを占領して略奪に熱中していたマッセナの師団に夜襲をかけてデゴを奪回し(再度のフランス軍襲来時には粘るが、援軍が来ないため撤退)、ロディの戦いにおいても正面のフランス軍の仕事のぬるさから陽動であることを見抜など、戦術眼に長けている。
ヴルムザー(Dagobert Sigmund von Wurmser
ボーリューの後任として派遣されたオーストリア軍司令官。カスティリョーネの戦いで初めてナポレオンと対決するが、ナポレオンの巧みな作戦の前に敗れる。さらにバッサノの戦いにおいても敗れ、指揮下の部隊ごとマントヴァ要塞に逃げ込む。
カスダノビッチ(Peter Quasdanovich
ヴルムザーの部下。背が低く出っ歯で、語尾に「ざんす」をつけるのが口癖。戦術的にはあまり有能とは言えない将で、ロナトの戦いとリヴォリの戦いで二度も早期に敗北し、ヴルムザーに「使えないやつ」呼ばわりされる。
ダルヴィンチ(József Alvinczi
アルコレの戦いにおけるオーストリア軍司令官。アルコレの戦いにおいてナポレオンの心理作戦でパニックを起こした兵を止められず、撤退する。
いささか異常なテンションでナポレオンを「悪い子」と呼びながら独白を行い、その独白において要所で拳銃を発砲する(部下を傷つけたこともある)などアブナイ性格の人物として描かれている。
カール大公
オーストリアの皇族である将軍。ライン方面の戦いではジュールダンやモローが指揮するフランス軍を打ち破るが、イタリアからウィーンに進軍するナポレオンの軍団に敗退する。
フランツ2世
オーストリア皇帝で、カール大公の兄。イタリア戦線からウィーンに向かって北上するナポレオンを「コルシカの人食い鬼」と評する。

[編集] ピエモンテ(サルディニア)王国

ヴィットリオ・アマデウス3世
ピエモンテ王国の国王。ナポレオン着任後のフランス軍の快進撃と道中での蛮行に恐怖し、第一次対仏大同盟から離脱してフランス(ナポレオン)と講和する。

[編集] エジプト

ムラード・ベイ
エジプトのマムルークの首領。蠅叩きで人を殴る殺せるほどの怪力の持ち主で、「わしは殺し合いが好きじゃあ」と公言するほどの戦争好き。

[編集] その他

ミラボー
ナポレオンが誕生した年、フランス軍コルシカ島攻略部隊の将校として登場。後のフランス革命初期において立憲王政を主張するフイヤン派の指導者として辣腕をふるい、ロベスピエールらの国王処刑には反対する。後の議会でコルシカ島から亡命していたパオリの恩赦とコルシカ島への帰還を認めさせる。
死の直後、パンテオンに埋葬されるが、8月10日事件の際に国王との密約が明るみに出て遺体は民衆の手でゴミ捨て場に放り出された。
「疱瘡の虎」。ロベスピエール曰く「ヤリチン」。
パスカル・パオリ
コルシカ独立運動のリーダー。若いころ、ナポレオンの母であるレティッツィアに恋していた様であり、ナポレオンにも自身を「父親だと思ってくれていい」と言っている。革命勃発後はボナパルト家をコルシカ島から追放する。ナポレオンによれば、軍隊の指揮は下手くそで、負けても仕方がないとのこと。
ブーリエンヌ
ナポレオンの幼年学校時代の友人。後に再会して、彼の秘書となる。商売の才能がある。史実では、ナポレオンに関する覚書を後世に残している。
ビクトル
本編オリジナルの人物。アウステルリッツ編から登場し、主に兵士として物語の各所で絶妙な役回りを演じているが、損な役であることが多い。処刑人サンソンの手伝いとして雇われたり、トゥーロンでは派遣議員のふりをして敵を陽動する役目などを負った。
マルキ・ド・サド
侯爵。奇抜な小説を書く文筆家。バスティーユ牢獄に収監されていた際は、さまざまなデマを広げて革命のきっかけを作った。後にサン・ジュストから猟奇的な小説の執筆を求められ、『悪徳の栄え』を出版。
サンソン
パリの死刑執行を担当する死刑執行人ムッシュ・ド・パリ)。恐怖政治下、数多くの人の処刑を実行するが、本人は心優しい人物。政治的には国王を尊敬している王党派
ダヴィッド
画家。マラーが刺殺された後、その遺体をモデルとして代表作『マラーの死』を描く。テルミドール反動の後、一時的に投獄されるがヴァンデミエール後に釈放され、五総裁の制服をデザインする。
オッシュ将軍
パリの牢獄に収監中、ジョゼフィーヌと一時的な愛人関係を結ぶ(誘ったのはジョゼフィーヌ)。彼はすでに結婚しており、釈放後にはジョゼフィーヌと別れた。
史実ではサン=ジュスト派の将軍に告発されて収監された。ジョゼフィーヌとの恋も史実である。釈放後はヴァンデの反乱の鎮圧に従事した。
メルダ
一兵士。テルミドールのクーデターの際に彼が撃った銃弾がロベスピエールの顎を砕き、彼の言葉を奪った。その直後、その場に居合わせたサン=ジュストに拳銃で左目から脳髄まで刺し貫かれて死亡。

[編集] 史実との相違

  • 作中、ロベスピエールは童貞としてのキャラクターが定着しているが、そのような確証があるわけではない。ただし、ロベスピエールの女性関係に関する私的な研究は存在し、それによると「女性関係なし」という結論とのこと。
  • 漫画ではテルミドールのクーデタの際、クートンは自爆し、サン・ジュストは逃げ延びているが、史実では二人とも逮捕され、ロベスピエールと共にギロチン送りとなっている。作中の「アデュー」という別れの言葉は史実ではギロチンにかけられる直前に発したもの。
  • 史実では、メルダはサン=ジュストに殺されることはなくテルミドール後も生存し、フランス革命軍及びナポレオン軍で地道に昇進を続け、准将にまでなっている。ロベスピエールの顎を砕いたのは、実際にはロベスピエールの自殺未遂(傷の出来方からの推測)を自分の手柄だと偽っただけのようである。
  • サン・ジュストによって暗殺されたタリアンだが、史実ではそのようなことはなかった。生き延びた彼は、ナポレオンのエジプト遠征の際、調査団の経済学担当として参加している。
  • 単行本二巻で、死刑執行人であるシャルル=アンリ・サンソンは法律によって他の住人から離れた場所に住まなければならなかったとあるが、ムッシュ・ド・パリはこの法律が適用されておらず、実際にはパリ市内に豪邸を構えて住んでいた。サンソンの家として書かれている建物はシャルル=アンリ・サンソンの実弟でプロヴァンの処刑人だったルイーシルーシャルマーニュ・サンソンが住んでいたプロヴァン市郊外の家である(この家は現存する)。
  • 単行本二巻でビクトルが処刑人の助手としてシャルロット・コルデーの首をひっぱたいたが、史実では大工のフランソワ・ル・グロという人物である。彼は漫画のビクトルのようにコルデーの首をひっぱたき、その場でサンソンに撲り倒されて首になっている。
  • 単行本第12巻ではナポレオン軍がアレクサンドリアを攻略した直後にナイルの海戦(アブキール湾の海戦)が発生したが、史実ではナポレオン軍がカイロを攻略した後に行われた。

[編集] 外部リンク

最終更新 2009年12月3日 (木) 14:36 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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