ニート
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ニート(NEET)とは英国政府が労働政策上の人口の分類として定義した言葉で、「Not currently engaged in Employment, Education or Training」の略語であり、日本語訳は「教育を受けておらず、労働をしておらず、職業訓練もしていない」となる。
ただし、この訳は日本におけるニートの定義とは異なる。なお、以下では特に断り書きのない限り、日本におけるニートの解説である。
目次 |
[編集] 経緯
1999年にイギリスの内閣府社会的排除防止局(Social Exclusion Unit)が作成した調査報告書[1]に由来する言葉であり、ブレア政権で用いられた政策スローガンの一つ。そのため英国におけるニートの定義は、当該報告書に準じた「16〜18歳の教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」とされている。但し、ニートという語は英国を始めとする諸外国では殆ど使用されておらず、類似した分類も普及していない。むしろ近年、欧米では「ニート」について「日本における若年無業者問題を指す語」として認知されつつある[2]。
[編集] 日本での普及過程
この言葉は厚生労働省が2004年に発表した労働白書の中で、「労働者・失業者・主婦・学生」のいずれにも該当しない「その他」の人口から、「15-34歳」までの若年者のみを抽出した人口(若年無業者)[要出典]が、同年出版された玄田有史の著書[要出典]において「NEET=ニート」と言い換えられ、以後、マスメディア等を通じて一般にも知られるようになった新語である。
[編集] 現状
そもそもニートとは「○○をしていない」という「状態」を現すにすぎない言葉だったが、現在では「○○をする意欲が無い」という意味で使われることが一般的となっている。政府の見解としては、第162回衆議院予算委員会第7号(2005年2月7日)では、尾辻秀久厚生労働大臣(当時)が、「働いておらず、教育も訓練も受けていない者」としており、「働く意欲のない者か?」という質問に対し、「ニートの定義は先ほど答えたとおり。若者にもさまざまいて、意欲のある者もいたりする」と答えており、必ずしも「ニート = 無職」とは限らない。
[編集] 定義・類型
ニートとは総務省が毎月実施する労働力調査において、月末の1週間に、主に家事も通学もしていなかった非労働力人口のうち、年齢が15-34歳までの層を指す語であり、後に厚生労働省が定めた定義は、これに準じるものである。しかし、その実態調査をおこなった内閣府は、就業構造基本調査から得た統計を基に「ニート」の再定義をおこなったことから、厚生労働省と内閣府の定義には若干の差異が生じることとなった。
[編集] 厚生労働省の定義
「若者の人間力を高めるための国民会議資料」や平成17年以降の「労働経済白書(労働経済の分析)」では、ニートを「非労働力人口のうち、年齢15歳-34歳、通学・家事もしていない者」としており、平成16年「労働経済白書(労働経済の分析)」での定義(「年齢15-34歳、卒業者、未婚であって、家事・通学をしていない者」)に、
- 学籍はあるが、実際は学校に行っていない人
- 既婚者で家事をしていない人
が追加された。これにより推定数は2002年の48万人、2003年の52万人から、ともに64万人へと上方修正された。
[編集] 内閣府の定義
内閣府の「青少年の就労に関する研究調査」で用いられる定義は、「高校や大学などの学校及び予備校・専修学校などに通学しておらず、配偶者のいない独身者であり、ふだん収入を伴う仕事をしていない15歳以上 34歳以下の個人である」としている。なおこの調査では、家事手伝いについてもニートに含めるとしている。
この定義に基づくニート人口の推定(5年に1度行われる「就業構造基本調査」)では、1992年(平成4年)66.8万人、1997年(平成9年)71.6万人、2002年(平成14年)84.7万人となっている[3]
[編集] 政府によるニートの二重基準問題
この定義の差異が「二重基準である」との誤解を招き、平成18年3月22日参議院経済産業委員会においても、この問題が取り上げられた。しかし「政府として厚生労働省の定義を採用している」という旨の答弁がされ、現在は厚生労働省による定義が「政府の公式見解」とされている。なお「青少年の就労に関する調査」の報告書中では「内閣府政策統括官(共生社会政策担当)の公式見解を示すものではない」と記載されている。
[編集] 家事手伝いの扱いについて
厚生労働省は、家事手伝いをニートに含まない理由について「自営業者の家族従業員が含まれるため」としているが、内閣府の青少年の就労に関する研究調査企画分析委員長玄田有史は、その実態を把握するため家事手伝いをニートに含め調査を実施している。
[編集] フリーターや失業者との相違点
この言葉はしばしばフリーターと混同されることがあるが、フリーターはアルバイトなどをしていれば、法的には一応労働者として扱われる。ただし、内閣府の定義ではフリーターの一部にニートが含まれており、厳密に区分けはされていない。
また失業者についても「就業に向けた活動をおこなっている」という点でニートとは区別される。
[編集] 類型
内閣府の調査では、ニートを非求職型と非希望型に分類している。前者は、就業を希望するものの具体的な就職活動等行動を起こしていない者のことで、後者は就業自体を希望していない者のことである。
非求職型とは『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明しながら、求職活動はしていない個人』であり、就業構造基本調査の調査項目において『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、「何か収入になる仕事をしたいと思っているか」に「思っている」を選び「その仕事を探したり開業の準備をしたりしているか」には「何もしていない」を選んだ個人』としている。
非希望型とは『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明していない個人』であり、『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、「何か収入になる仕事をしたいと思っているか」に「思っていない」を選んだ個人』としている。
[編集] 実態に関する調査
ニートの人口を算出する調査としては、以下のものが使用されている。
- 労働力調査
- 労働力調査とは、毎月1回、およそ4万世帯を対象とした調査で、ニートは基礎調査票の5項「月末1週間(ただし12月は20〜26日)に仕事をしたかどうかの別」という設問の「仕事を少しもしなかった人のうち」「その他」に該当する人で、かつ15〜34歳までの人となり、2006年の各月の平均は約62万人と推計されている[4]。
- 就業構造基本調査
- 就業構造基本調査とは、5年に1回、およそ44万世帯を対象(2002年)とする標本調査で、過去1年間の国民の就業状態を調査する目的で行われる。内閣府の平成17年青少年の就労に関する研究調査では、この就業構造基本調査を特別集計し、ニートの規模を推計している。
[編集] 総人口と変遷
内閣府の定義によるニートの総人口は、1992年から2002年までに約18万人増加している。しかしそのうちの大半は非求職型のニートであり、非希望型のニートについては殆ど増減が見られない。
| 年 | 失業者 | ニート | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 非求職型 | 非希望型 | ||||
| 1992 | 638.9 | 256.6 | 0.7% | 411.7 | 1.2% |
| 1997 | 993.3 | 291.1 | 0.8% | 425.4 | 1.2% |
| 2002 | 1,284.6 | 425.7 | 1.3% | 421.5 | 1.2% |
厚生労働省による統計
| 年 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 総数 | 40 | 42 | 45 | 40 | 42 | 46 | 48 | 44 | 49 | 64 | 64 | 64 | 64 | 62 |
この統計[6] ではニート人口は2002年に前年の49万人から64万人へと急増しているが、これは、ニートの定義「非労働力人口のうち、就業、就学、または職業訓練を受けていない15歳から35歳までの未婚者」に「不登校」や「家事を行わない者」が付加され定義変更されたためで、2002年とそれ以前の数値は接続しない。
年齢階層別の推移については以下のとおり、15〜19歳までの若年層が18万人から12万人に減少する一方、30〜34歳までの中年層のニート人口は12万人から23万人へと倍増している。
| 年\年齢 | 15〜19歳 | 20〜24歳 | 25〜29歳 | 30〜34歳 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1992 | 176.8 | 1.8% | 215.6 | 2.2% | 158.8 | 1.9% | 117.2 | 1.5% |
| 1997 | 149.2 | 1.8% | 228.7 | 2.4% | 211.2 | 2.2% | 127.3 | 1.5% |
| 2002 | 114.5 | 1.6% | 240.9 | 3.0% | 264.0 | 2.8% | 227.9 | 2.4% |
また、第一生命経済研究所は人口推移の推計値とニート比率の持続を前提に、「雇用対策が講じられなければ、2015年にニートは109.3万人に達する。一方雇用対策を講じれば、2005年をピークに、2015年には79.5万人と徐々に減っていく」としている[7]。
なお厚生労働省の調査では、ニートは2002年以降4年連続で64万人という水準で推移しており増加傾向は見られない。また2006年には62万に減少している。
[編集] 求職活動をしていない理由(非求職型)
非求職型のニートが「就業に向けた活動を行わない(行えない)理由」で最も多いのは「病気や怪我の療養で活動を行えない」で全体の約4分の1を占め、傷病者もニートの範疇に含まれている。しかし「不況の影響で求人がない」「雇用のミスマッチ」など、社会的な要因によるものも多く、1992年から2002年まで一貫して増加傾向にある。
| 年\理由 | 求人がないため | 希望の求人がない | 能力に自信がない | 病気や怪我のため | 家事や育児のため | 介護や看護のため | 急ぐ必要がない | それ以外の理由 | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1992 | 16.2 | 6.3% | 22.7 | 8.9% | 21.6 | 8.4% | 64.0 | 25.0% | 14.4 | 5.6% | 8.5 | 3.3% | 45.0 | 17.6% | 63.7 | 24.9% |
| 1997 | 26.7 | 9.2% | 31.5 | 10.8% | 27.9 | 9.6% | 68.1 | 23.4% | 16.5 | 5.7% | 9.7 | 3.3% | 37.5 | 12.9% | 72.9 | 25.1% |
| 2002 | 53.4 | 12.5% | 40.8 | 9.6% | 42.3 | 10.0% | 104.0 | 24.5% | 13.8 | 3.2% | 9.5 | 2.2% | 49.2 | 11.6% | 112.1 | 26.4% |
[編集] 男女比
内閣府の調査(2002年)によると、ニートの男女比率は男性が48.4%(41万人)、女性が51.6%(43.7万人)とほぼ半々となっており、過去10年間の調査と比較しても大きな変化は見られない。
[編集] 家庭環境
| 年 | 非求職型 | 非希望型 | ||
|---|---|---|---|---|
| 300万円未満 | 1000万円以上 | 300万円未満 | 1000万円以上 | |
| 1992 | 29.1% | 15.3% | 21.6% | 21.5% |
| 1997 | 27.0% | 17.7% | 28.1% | 22.9% |
| 2002 | 31.8% | 12.9% | 37.6% | 14.4% |
ニートは裕福な家庭に属していることが多いという意見があるが、この表の世帯の年収をみると、1997年までは所得1,000万円以上の世帯の中では、非希望型の世帯の割合が高かった。これが2002年になると状況が変わり、非希望型の割合は低くなっている。ここから、97年までは裕福であるがゆえ無理に就職を望む必要がなく非希望型を選択した個人も多かったが、2002年の時点では非希望型において経済的に裕福な世帯が抜きん出て多いという特徴はすでに消失していることがいえる[10]。
年収300万円未満の世帯をみると、1992年時点では非求職型が多かったが、2002年には逆転して非希望型が急増した。非希望型は全体の割合と比べても2倍以上の値となっている。
なおニート本人の年収は100万円未満が約57%で半数以上を占め、100〜300万円は約31%、それ以上は約2.5%である。また親との同居率は、非求職型が83%、非希望型は73%となっている[10]。
[編集] 増加の要因
ニートが増加したとされる1990年代後半から2000年にかけて、バブル崩壊とそれにともなうリストラによる失業者の増加、さらに団塊ジュニアや女性の社会進出など、人材の供給が過剰となる要因が重なり、若者の就職は非常に困難な状況にあった。またこの頃から年功序列制度が崩壊し、代わって成果主義を導入する企業が増えたことから労働環境が悪化し、新入社員の離職率が高まったと言われている。こうした状況は2003年頃まで続き、ニート増加の一因になったと言われている(就職氷河期も参照)。
[編集] 問題点
[編集] 偏見と差別
若年層における無業者の増加は、海外では「労働経済問題」または「若年失業者問題」として議論されることが一般的である。しかし、日本では「失業率の悪化」や労働市場の性格といった構造的観点が見落とされ、若者の意識の変容(職業観や就労観の低下)に原因を求める傾向が強い。そのため「自己責任」とされ、単に個人の資質や能力の問題として議論が終始し、労働市場の差別問題やそれへの政府労働対策については十分言及されていない[要出典]。
また、ニートの男女比率はほぼ半々であるにもかかわらず、ニートは男だけという偏見がなされることがある[11]。また就職の面接において就職していない空白の期間訪ねてきた場合、女性は「家事手伝いや介護をしていた」などで通用するが、男性は家事手伝いが通用せず、男性の方がニートから脱却するのに不利になることがある[要出典]。
差別の基本的なありかたとしては、雇用主が履歴書の職歴にある空白の期間をニートと決めつけ、「病気や怪我の療養で活動できなかった」可能性を否定したり、「ニート=怠け者」といった先入観や思い込みから一律で不採用とするといったものである。同様の事態はフリーターに対しても行われることもあり、雇用対策法が改正されたとはいえ差別的な待遇は現存したままである。
英国や欧米ではネオ・コーポラティズムの運動などによってこうした労働市場における差別問題や階級差別の問題は日本よりも認識と実践が進んでいる。 社会的排除も参照。
また一時は家事手伝いや過年度生といった従来は受容されていた無業者に対しても批判的な目が向けられることもあった。
[編集] 企業のニート採用に対する見解
2008年4月、横浜市が市内の企業に対し行ったアンケート(約1,000社中316社が回答)によると、83.3%の企業が若年無業者は就労困難であるという先入観を抱いており、「ニートや引きこもり状態にある若者を雇用する意向はない」と回答したという。[12]
[編集] 就労経験への偏見
ニートは引きこもりと混同されやすいため、就労経験がないと思われることが多い。しかし内閣府の調査によると、就労経験がない者は非求職型の38.0%、非希望型の70.1%(いずれも2002年)という水準に止まっており、就労経験のある者も決して少なくない[13]。
[編集] 就労意識への偏見
| 性別\職業 | 製造・生産 | 建設・労務 | 運輸・通信 | 営業・販売 | サービス業 | 専門・技術 | 管理的職業 | 事務的職業 | その他の職 | こだわらず |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | 12.2 | 7.4 | 4.7 | 4.7 | 16.9 | 36.1 | 1.2 | 8.8 | 11.7 | 102.8 |
| 女性 | 10.4 | 1.2 | 0.4 | 8.3 | 39.8 | 35.2 | 0.1 | 30.1 | 7.6 | 85.0 |
| 合計 | 22.6 | 8.6 | 5.1 | 13.0 | 56.7 | 71.3 | 1.3 | 38.9 | 19.3 | 187.8 |
ニート増加の原因を、若年層における職業観や就労観の低下に求める意見は多く、講じられる対策もそれを前提としたものが多い。しかし2002年現在の統計によると、ニート(非求職型)の約半数は具体的な職業に就くことを希望しており、44.2%は職業にこだわらず就労したいと回答している。
[編集] 分類に関する問題・誤解
ニートは「働く意欲が無い者」あるいは「ひきこもり」などと混同されている場合が多い、しかし前述の定義に該当する者であれば、理由の如何に関わらずニートに分類される、したがって進学・留学準備、資格取得準備、家業手伝い、病気・怪我の療養、結婚準備、介護・育児、芸能芸術プロ準備、などの状態にあっても、定義上はニートに分類される。趣味・娯楽、特に何もしていない場合も同様である[15]。
[編集] 中年層ニート
ニートは若年者だけの問題と思われがちだが、35〜49歳の中年層のニート(正確には中年層の純粋無業者)は、増加率ではむしろ若年層を上回っており、状況はより深刻である。しかし定義上35歳以上はニートとみなされないために、支援策などは講じられておらず、自殺や社会保障費の増加などが懸念されている[16]。
家族に扶養されているニートの場合、扶養者である家族の高齢化や死去以降の生計手段が問題となってくる。遺産や貯蓄等が尽きしだい行政は生存権保証のために生活保護を行う必要があり、これによって福祉財政を圧迫すると指摘されることもある。
2008年、中年層ニート兄弟が就職に奮闘し友情を築くスラップスティック・コメディ映画「Step Brothers」が米国で制作された。
[編集] 利権
詳細は「ニート利権」を参照
[編集] 対策
- 内閣官房
- 内閣官房(再チャレンジ担当室)は、ニートやフリーターに対する公務員採用枠の確保や、再チャレンジに協力的な企業に対する表彰制度、また税制面での優遇措置などを検討している。
- 厚生労働省
- 厚生労働省の対策として筆頭に挙げられるのが若者自立塾である。この施設は3〜6ヶ月の期間、合宿形式での集団生活を行い、職場体験やワークショップを行うもの。費用は一部自己負担(10-40万円)となる。厚生労働省の目標は、卒業生の7割が、半年後までに就業することとしている。ちなみに、2006年3月1日時点の卒業生に占める就業者(アルバイトを含む)の割合は、約48%[17]である。
- 一定の効果はあるとする一方で、若者自立塾を運営するNPO法人からは「まだまだ試行錯誤の段階であり、期間延長等の更なる改善をすべき」と意見があがっている[17]。
- 文部科学省
- 文部科学省はニート増加の原因が、若者の職業観・就労観の低下にあるとの判断から、キャリア教育に重点を置き、生徒が学校を離れ1日〜5日の期間、地元のスーパーマーケットや保育所などで就労体験をする職場体験や、総合的な学習の時間を利用した予防授業などの対策を推進している。
しかしながら、これらは対症療法的なものにとどまり、日本の労働市場の根本的な性格を議論する水準にはいたっていない。ワークシェアリング(労働の分有・共有)といった観念についてもあまり議論されることがない。他方、ワーキングプア問題なども存在する。ニートやフリーターやワーキングプアのいずれも労働市場の性格にかかわる問題であり、たとえば労働時間と余暇時間との配分や、旧来の労働倫理が通用しない産業構造の変容、労働者の権利などといった諸問題とあわせて対策をとる必要がある。
[編集] 諸外国の状況
[編集] 欧米
「トウィックスター」、「:en:Boomerang Generation」、および「:en:Quarter life crisis」も参照
欧米においても「教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」は存在するが、日本語でいうような「ニート」あるいは類する語での分類・定義付けはされておらず、その概念も普及していない。その原因の一つは「ニート」という分類が1999年当時社会問題となっていた「社会参加困難者」(被社会的排除者)の一部に過ぎないものであることが挙げられる。欧米における「社会参加困難者」は人種・宗教・言語による差別・格差問題の色が濃く、日本での若年無業者問題と同列に扱うことは困難である。英国の「ニート」の定義付けは将来的な「社会参加困難者」を予測する分析としての意義はあったが、総合的な「社会的排除対策」が行われる中で「ニート」という分類自体は重要視されなかった。イタリアでは、2007年10月に当時経済・金融大臣の銀行家Tommaso Padoa-Schioppaが、20歳〜30歳の家族とともに生活している人々(該当する人々は全人口の内、相当の数)をbamboccioni(big dummy boys:大きなおしゃぶり坊やたち)と定義し[18]、イタリアの世論の大きな騒ぎを引き起こした。新聞社は、個人的に気分を害され侮辱と受け取った読者達からの大量の手紙を受け取り、イタリアの人口の内大変な数を占める「月約1000ユーロで生活していて、両親の家を離れるだけのお金を支払うことの出来ない20〜30歳」の状況を全く理解していないと彼を非難した[19]。アメリカでは、2008年に中年層ニート兄弟が就職に奮闘し友情を築くスラップスティック・コメディ映画「Step Brothers」が制作された。
[編集] 韓国
OECD は、韓国の青年(15歳〜29歳)の6人に1人が「ニート」で、割合はOECD加盟国の平均を大きく上回っていると指摘。[1]。同国では前政権下、雇用安定を目的として法的に解雇が大きく制限された。このことによって企業が若者の新規採用を手控えるという意図せぬ結果を生み出してしまったとされる。
| 韓国 | OECD加盟国平均 | |
|---|---|---|
| 「15〜24歳」の失業率 | 10.0%(2006年) 6.3%(1996年) |
14.7% |
| 就業率(2006年) | 27.2% | 43.0% |
| 「15〜24歳」のニート占有率 | 11.7% | 12.0% |
| 「15〜29歳」のニート占有率 | 17.0% | 12.0% |
OECDは韓国にニートが多い理由について、「兵役で就職が遅れ、大学卒業後にも就職しない若者が多いため」と報告。ただし徴兵制は若者を強制的に社会参加に強いる制度であるが故、青少年期の「ひきこもり」状態からそのまま全く社会経験を経ずに家に閉じこもったまま「ニート」に移行していくパターンは日本より過小である。
[編集] 中国
「コウ老族」および「オンラインゲーム依存症」も参照
中国の通信社・新華社によると、2005年の時点で16歳から35歳の3.62%(およそ1216万人)がいわゆるニートになっているという。これらの若者が、自室やインターネットカフェに入り浸り、寝食を忘れてオンラインゲームに熱中し、死に至る事件が相次ぐなど、社会問題化している[20]。
[編集] 関連項目
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[編集] 人物
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[編集] 外部リンク
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構
- 学校から職業への移行を支援する諸機関へのヒアリング調査結果
- 青少年の就労に関する研究調査
- 若年者の雇用支援(PDFファイル)
- "Final Report of the NEET Workstream" (英語). The Scottish Government (2005-08-30). 2008-11-14 閲覧。
- "ニュートラ、働くことを考える◎現状に満足しない若者を応援するサイト". 内閣府. 2008-11-14 閲覧。
[編集] 主な関連書籍
- 玄田有史・曲沼美恵共著『ニート-フリーターでもなく失業者でもなく』(幻冬舎、2004/7) ISBN 4-344-40825-X
- 小杉礼子著『フリーターとニート』(勁草書房、2005/4)
- 斉藤環著『「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論』(中央公論新社・中公新書ラクレ、2005/4/10)
- 玄田有史・小杉礼子・労働政策研究・研修機構共著『子どもがニートになったなら』(日本放送出版協会・生活人新書、2005/7)
- 本田由紀・内藤朝雄・後藤和智共著『「ニート」って言うな!』(光文社・光文社新書、2006/1/17) ISBN 4-334-03337-7
- 内田樹著『下流志向 - 学ばない子どもたち、働かない若者たち』(講談社、2007/1/31)
他、多数
[編集] 脚注
- ^ BRIDGING THE GAP: NEW OPPORTUNITIES FOR 16-18 YEAR OLDS NOT IN EDUCATION, EMPLOYMENT OR TRAINING
- ^ 英語版ウィキペディア「NEET」
- ^ 伊東雅之、社会労働課 (20060426). "ニートの現状とその対策、我が国と欧米主要国の若年雇用対策PDF". 国立国会図書館. 20090808 閲覧。
- ^ 労働力調査 基礎調査票(総務省)
- ^ い ろ 青少年の就労に関する研究調査 表2-1-2(内閣府)
- ^ 人口減少下における雇用・労働政策の課題(厚生労働省)
- ^ 第一生計研究所 もっとも有効なニート対策は若年雇用のミスマッチ解消(2005年6月8日)
- ^ 青少年の就労に関する研究調査 求職活動をしていない理由別(内閣府)
- ^ 内閣府 青少年の就労に関する研究調査 世帯年収(内閣府)
- ^ い ろ 青少年の就労に関する研究調査 4.所得階層との関連
- ^ 「「ニートはどうして男だけなの?」 そんな疑問が正しくないワケ。」J-CASTニュース、2008年12月29日
- ^ 就労希望者8割、採用消極的企業も8割/横浜市「ニート」調査 - カナロコ(2008年4月28日)
- ^ 青少年の就労に関する研究調査 今までに何か仕事をしていたことがない割合
- ^ 青少年の就労に関する研究調査 資料
希望する仕事の種類別構成比(内閣府) - ^ 青少年の就労に関する研究調査 各タイプの現在の状況
- ^ 青少年の就労に関する研究調査 中年無業者の実情
- ^ い ろ 2006年4月16日付 読売ウィークリー
- ^ «Mandiamo i bamboccioni fuori di casa» . Corriere della Sera
- ^ Il bamboccione
- ^ 『女たちの中国〜13億人のチカラ…美と権力と涙の物語〜』(日本テレビ)2008年2月11日放送


