ヌンチャク
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ヌンチャクは沖縄古武術の武器の一種。形状は2本の同じ長さの棒を紐や鎖で連結したもので、本来定寸はないが一般では長さは25~45cm、太さは24mm~36mm。振り回して相手を殴打したり、棍棒として「打ち」や「突き」としても用いられる。流派によってはヌウチクとも呼ばれる。
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[編集] 起源
ヌンチャクの起源には諸説がある。沖縄では馬具『ムーゲー』からの発生説が一般にはよく知られているが、他にも麦や稲の脱穀用具「車棒(くるまんぼう)」からの発生説などもある。また、近年では中国から沖縄への伝播説なども唱えられている。ヌンチャクの語源についてはよく分かっていない。ヌンチャク以外にも、ヌウチクと発音する流派もある。
[編集] 歴史
上述のように、ヌンチャクの起源や歴史ははっきり分かっていない。以下は、代表的なムーゲー起源説である。
琉球王国時代、御殿、殿内といった貴族、またある程度以上の上級士族は、乗馬用に馬を飼育しており、日常的に馬術の稽古も怠らなかった。こうした上流階級の貴士族は、不意の襲撃などに備えて隠し武器、いわゆる暗器を携帯したり、また身近にある道具を隠し武器として利用するように心がけていた。例えば、簪(ジーファー)の活用などがそうである。
ムーゲーとは、木製の轡(くつわ)の一種で、普段は馬の顔に装着されているが、不意の襲撃に遭った時などには、これを外して武器として活用できるように工夫されていた。これがヌンチャクの起源であるという[1]。例えば、本部御殿の本部朝勇なども、こうしたムーゲーヌンチャクの作り方を心得ていたという[2]。
昔のヌンチャクは長さ7寸5分(約23センチ)から長くて10寸(30センチ)までで、一般に小型であった。それゆえ、着物の袂(たもと)に忍ばせたり、腰帯の間に隠したりして、隠し武器として携帯することが容易であった。また、木製のヌンチャク以外にも、手ぬぐいを湿らせて即席の武器として利用したり、あるいはタオルの端に小石を包んで縫い付けておけば、立派なヌンチャクの代用品の役割を果たすことができた。
それゆえ、ヌンチャクは庶民の護身武器ではなく、馬を飼育し、日常的に乗馬の習慣のあった貴士族の隠し武器として考案されたものであったということになる。
[編集] 材質
[編集] 棒部
棒部には、かつては樫や椎などの木製が用いられた。今日では、赤樫や柳などの木製、また玩具向けや練習用にプラスチックやラバーなどの素材も用いられている。ほかにも、グラファイトやLED内蔵のアクリル製なども素材として使用されている。
[編集] 紐部
紐には、かつてはアダンの木根、シュロ、馬の尾、人間の頭髪などが用いられた。今日では、鎖(チェーン)などもポピュラーである。鎖と棒の接合部分にボールベアリングをはめ込んだタイプなどもある。また、沖縄では現在でも馬の尾を用いて自作している流派もある。
[編集] 技法
ヌンチャクの技法は、世界的な普及もあって、現在では世界各国で様々な技法が生み出されている。以下に紹介するのは、基本的に沖縄の伝統的な技法である。
ヌンチャクの技法の基本は、棒の基底部を握り、振り回すことで遠心力を発生させ、これを打撃に利用するものである。後述のように、ヌンチャクはブルース・リーの映画で世界的にポピュラーになったが、ブルース・リーが用いた技法は、フィリピン武術の技法などを元に、映画的な殺陣の迫力や美しさを追求して彼が独自に編み出したものと言われており、本来の沖縄の技法ではないので注意が必要である。また、打撃以外にも、棒部による防御などの技法もある。
沖縄では一般にヌンチャク一本による操作を基本とするが、二本一対を基本とする流派(本部御殿手)もある。また、振り方にも各流派によって特徴がある。ほかにヌンチャクの材質、重量、長さによっても要求される技法は違ってくる。いまでも馬の尾を紐部に使用する流派(渡山流)では、尾の弾力を利用して弾くように振ったりもする[3]。
ヌンチャクは元来が隠し武器という性格上、かつては人前で演武したりして、武器の存在そのものを広くアピールするということはなかった。例えば、尚泰王の冊封の際に開催された演武会の目録には、棒や釵(鉄尺)の演武の記録はあるが、ヌンチャクが演武された記録はない(『島袋全発著作集』)。ヌンチャクが一般に紹介されるようになったのは、主に戦後である。それゆえ、棒や釵などと違って、昔から広く知られた伝統的なヌンチャクの型というものはない。しかし、近年では稽古用に、また演武会用に演出を強く意識した型などが、各流派、団体によって創られている。
[編集] 類似の武器
その形状から、中国武術で用いられる二節棍や双節棍といった梢子棍としばしば混同されるが、二節棍は鎖で2つつないだ棍を指す言葉で、連接された棍の長さが違うものも含まれる。いっぽう双節棍は棍の長さが両方同じであるが、あくまで棍のバリエーションであるため、全体のサイズはヌンチャクよりも大きいなどの違いがある。また棍ではないので多節棍には本来含まれない[要出典]。因みに沖縄武術の武具には、各部位の長さが短い四節棍も存在している。
[編集] ヌンチャクとブルース・リー
俳優のブルース・リーが映画『燃えよドラゴン』の劇中で使用したことで、ヌンチャクは世界中で知られる武具となった。日本人俳優の倉田保昭は、「私がリーにヌンチャクをプレゼントして映画に採用した」と語っている[4]。しかし倉田と会う以前にリーがヌンチャクを使用している写真が残っている。一方、リーとともに截拳道を創始したダン・イノサントが、フィリピン武術で用いられている類似の武具『タバク・トヨク』を紹介したという説もある(イノサントは世界中の武術を幅広く学んでおり、映画『死亡遊戯』の中でもヌンチャクの技術を披露している)。
もっともリーは、ヌンチャクに実践的な価値を見出していなかったらしい[5]。しかし、アクションシーンの演出としてはインパクトがあると考えて、映画で使用した。リーが映画撮影時に用いたヌンチャクは棍がゴム製、鎖がプラスティック製の軽く、安全なものである。
[編集] その他
- 上述のように、ヌンチャクはブルース・リーの武具として人気があるため、空手や中国武術、多様なマーシャルアーツの流派を問わず取り入れられている。
- 武術という枠を出て、「美しく表演するスポーツ」「健康に良い運動」といった観点での活動も見られ、型にとらわれないフリースタイルというジャンルが個人スポーツとして欧米を中心に広まっている。
- 従来のヌンチャクは樫の木で作られたもので、長さ約36cm、棍間13-15cmが一般的に用いられていた。現在はラバーヌンチャクなど柔らかい素材で作られたものもある。
- 振り方も従来の打撃を目的にした技の他に、連結する紐やチェーンを手首に巻いて回転させるリストスピン(リストロール)が盛んになってきている。これにはフロントハンドとバックハンドの回し型があり小指側から回すフロントハンドスピンのほうが難度が高い。
- 日本では携帯すると軽犯罪法に触れる恐れがあり、海外でも単独所持を法律で禁じている国もある。
[編集] 脚注
[編集] 参考文献
- 外間哲弘『沖縄空手道・古武道の真髄』那覇出版社、平成11年。 ISBN 4890951245
- 仲本政博『沖縄伝統古武道・改訂版』ゆい出版、2007年。
[編集] 関連項目
最終更新 2009年11月14日 (土) 01:55 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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