バーター症候群

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バーター症候群(ばーたーしょうこうぐん、Bartter syndrome)は何らかの原因で腎臓ヘンレ係蹄上皮細胞管腔側にあるNa+-K+-2Cl-共輸送体が機能不全を起こす症候群

目次

[編集] 病態

バーター症候群は、Na+-K+-2Cl-共輸送体の機能不全によって起こると考えられている。

遠位尿細管の緻密斑では、原尿中のCl-の濃度が低いほど糸球体傍細胞でのレニン分泌を亢進させるように、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAA系)を調節している。その際に、緻密斑細胞が原尿中のCl-の濃度を感知する上で、Na+-K+-2Cl-共輸送体が重要な役割をはたしていると考えられている。しかし、Na+-K+-2Cl-共輸送体が機能不全に陥ると、原尿中のCl-の濃度を緻密斑が感知できなくなるため、原尿中のCl-の濃度が低いと誤認識を起こし、糸球体傍細胞でのレニン分泌が異常に亢進する。その結果、RAA系が過剰に賦活されアルドステロンの分泌を異常に促し、続発性アルドステロン症を起こす。

続発性アルドステロン症は低カリウム血症代謝性アルカローシスを起こす。続発性アルドステロン症によって起こされた低カリウム血症は腎臓で合成されるプロスタグランジンの産成を異常に促進し、過剰に産成されたプロスタグランジンはRAA系を更に賦活すると言う悪循環ができる。一方、レニンの昇圧作用とプロスタグランジンの降圧作用が相殺されて、血圧は正常に保たれる。

[編集] 分類

  • Na+-K+-2Cl-共輸送体そのものの異常
  • ヘンレ係蹄の上皮細胞内から尿細管腔へK+を戻すROMKチャンネルの異常
  • ヘンレ係蹄の上皮細胞内から血管側へCl-を戻すCl-チャンネルの異常
    等に分けられる。

[編集] 原因

Na+-K+-2Cl-共輸送体やその機能に関係のある遺伝子の異常。

[編集] 統計

ICD-10:E26.8

[編集] 症状

低カリウム血症による筋力低下、四肢麻痺、尿濃縮力低下による多尿、等を来たし、腎不全に至る。

[編集] 検査

  • 基本身体検査
    元々RAA系が亢進しているのでアンギオテンシンII負荷試験にて昇圧性が低下している。
  • 血液検査
    • 血清生化学検査
      低カリウム血症、代謝性アルカローシス、等が認められる。
  • 腎臓針生体検査
    レニンを異常分泌している傍糸球体装置が過剰に形成されて大きくなる。過剰に形成される事を過形成と言う。
  • 心電図
    低カリウム血症によるU波消失などを認める。

[編集] 診断

低カリウム血症、代謝性アルカローシス、続発性アルドステロン症を呈するが血圧は正常である時、本症を疑う。

[編集] 治療

先天異常なので対症療法を行う。低カリウム血症に対してはカリウムを補給する。低クロール血症に対してはKClの経口投与で補給する。アルドステロン症に対しては、アルドステロン受容体拮抗薬スピロノラクトンを投与する。プロスタグランジンの過剰産生に対しては、プロスタグランジン産成阻害薬のインドメサシン等を投与する。

[編集] 予後

乳児期から低カリウム血症を発症し、成人までに1/3が末期腎不全に至る。

[編集] 関連

  • 腎臓学
  • ギッテルマン症候群
    かつてバーター症候群と同一疾患だと思われていた疾患。バーター症候群と同様血圧の上昇を認めないアルドステロン症のひとつである。バーター症候群との違いは低マグネシウム血症、著明な低カルシウム血症を起こし、テタニーまで起こすことがあるということである。分子生物学的にはサイアザイド感受性の輸送体遺伝子の異常である。

最終更新 2008年12月19日 (金) 08:28 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
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